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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−9261(T2018−9261/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第5類及び第10類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、2015年5月8日に英国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成27年10月30日に色彩のみからなる商標として登録出願、その後、本願の指定商品については、原審における同30年3月7日受付の手続補正書により、第5類「処方箋が必要な喘息及び/又は慢性閉塞性肺疾患の治療用薬剤」及び第10類「処方箋が必要な喘息及び/又は慢性閉塞性肺疾患の治療用の吸入器並びにその部品」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「商品に使用される色彩は、多くの場合、商品の魅力向上等のために採択されるものであり、商品の需要者は当該色彩について、商品の出所を表示し、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものである。そして、薬剤を取り扱う業界において、商品や商品のパッケージ等に本願商標の紫色と同系の色彩が使用されている状況を踏まえると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、商品に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまるというのが相当であり、本願商標は単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。次に、本願商標が使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて検討すると、平成19年から平成28年にかけて、出願人の取扱いに係る治療用薬剤の吸入器のパッケージに本願商標と同一視し得る色彩が使用されていることが推認できるものの、その使用態様は常に本願商標と同一視し得る色彩以外に『アドエア』等の文字が共に用いられており、本願商標と同一視し得る色彩以外の構成要素を伴った使用態様であることから、本願商標の色彩のみが独立して自他商品の識別標識として機能しているとは判断し難く、また、本願商標についての医療関係者以外の一般需要者の認識を客観的に把握することができないことを併せ考えると、パッケージに本願商標と同一視し得る色彩を使用した商品の売上高、市場シェア及び本願商標に対する医師及び薬剤師等の医療関係者の認識度及び広告宣伝等の状況を考慮したとしても、本願商標が、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、別掲1のとおり、「紫色(パントーン2587C)」の色彩のみからなる商標であり、第5類「処方箋が必要な喘息及び/又は慢性閉塞性肺疾患の治療用薬剤」及び第10類「処方箋が必要な喘息及び/又は慢性閉塞性肺疾患の治療用の吸入器並びにその部品」を指定商品とするものである。

ところで、色彩は、商品そのものやその包装はもとより、その商品の広告等においても、商品の魅力向上等に資する装飾等として、一般に広く使用されているものであるから、例えば、文字や図形等と組み合わせるなど、具体的な形態を伴う場合はともかく、そのような形態を伴わない場合には、これに接する者は、通常、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

そして、本願の指定商品を取り扱う業界においても、原審における平成28年12月27日付け刊行物等提出書及び当審における同30年12月7日付け刊行物等提出書により提出された情報並びに原審の拒絶理由通知において示した例(別掲2)及び別掲3において示す例のように、商品又は商品の包装等における装飾等として、紫色ないし本願商標を構成する色彩に近似する色彩が使用されている事実がある。

そうすると、本願商標は、上記のとおり、紫色(パントーン2587C)の色彩のみからなる商標であるから、これを本願の指定商品について使用しても、これに接する需要者は、その商品又は商品の包装等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

したがって、本願商標は、商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものであるから、登録されるべきものである旨主張し、証拠として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。以下、枝番号を含むもので枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出しているので、以下検討する。

ア 使用開始時期及び使用態様

請求人は、2007年6月に、「アドエア100ディスカス28吸入用」「アドエア250ディスカス28吸入用」「アドエア500ディスカス28吸入用」と称する喘息治療配合剤又は喘息・COPD治療配合剤(処方箋医薬品)の販売を開始した。その後、請求人は、2008年7月には、「アドエア100ディスカス60吸入用」「アドエア250ディスカス60吸入用」「アドエア500ディスカス60吸入用」と称する喘息治療配合剤又は喘息・COPD治療配合剤を、また、2010年4月には、「アドエア125エアゾール120吸入用」と称する喘息・COPD治療配合剤をそれぞれ発売した(甲2、甲14の2、甲14の5、甲14の7〜甲14の9、甲14の11、甲14の12、甲14の29、甲14の31〜甲14の33、甲14の37〜甲14の39)。

上記商品のうち、「アドエア ディスカス」と称する商品については、薬剤が充填されている吸入器の大部分を覆うカバー部分と、吸入器のカバーを開いた状態におけるマウスピース(吸入口)に、本願商標を構成する紫色と同じ色彩と認識され得る紫色が使用されており、吸入器の本体部分には、本願商標を構成する紫色よりも薄い紫色が使用されている。また、吸入器のカバー部分の中央には、それぞれ「アドエア100ディスカス」「アドエア250ディスカス」「アドエア500ディスカス」などと印字されたシールが貼付されている。一方、上記商品のうち、「アドエア エアゾール」と称する商品については、薬剤が充填されている吸入器のアダプター部分及び吸入口に、本願商標を構成する紫色と同じ色彩と認識され得る紫色が使用されており、吸入器のキャップ部分には、本願商標を構成する紫色よりも薄い紫色が使用されている。また、薬剤が封入されているボンベには「アドエア125エアゾール」などと印字されている。そして、請求人は、少なくとも2009年以降、上記態様の商品を販売していることが認められる(甲1、甲10、甲14の2、甲14の3、甲14の6〜甲14の9、甲14の11、甲14の12、甲14の29〜甲14の39、甲15の2、甲15の3)(以下、上記商品をまとめて「本件商品」という。)。

なお、請求人が、2009年4月に販売した「アドエア50エアゾール120吸入用」と称する喘息治療配合剤のアダプター部分及び吸入口には、本願商標を構成する紫色に比して薄い紫色が、2010年4月に販売した「アドエア250エアゾール120吸入用」と称する喘息治療配合剤のアダプター部分及び吸入口には、本願商標を構成する紫色に比して濃い紫色がそれぞれ使用されている(甲14の11、甲14の38、甲14の39)。

イ 売上高及び販売シェア等

請求人は、本件商品の売上高について、2007年ないし2016年の期間における各年の売上高の推計値を列記しつつ、その売上総額が約3670億円であるとしており、また、本件商品の販売個数について、2007年ないし2016年の期間における各年の販売個数を列記しつつ、その累計個数が約6545万個であるとするものの、その売上高及び販売個数を客観的に裏付ける証左の提出はない(甲3)。

そして、本件商品を含む全ての「アドエア」と称する商品のシェアは、吸入器市場において、2007年には5.57%であったところ、2008年には23.28%に増加し、2010年には42.15%となったものの、その後は減少が続き、2016年には22.79%となっていることがうかがえる(甲11)。

さらに、請求人は、本件商品を含む全ての「アドエア」と称する商品のシェアが、「ICS(吸入ステロイド薬)及びLABA(長時間作用性吸入β刺激薬)の配合剤」の市場においては、2007年ないし2009年の期間は100%であり、その後、競合製品の登場等により、請求人のシェアは徐々に減少し、2016年のシェアは35%となっているものの、2015年までは、「ICS(吸入ステロイド薬)及びLABA(長時間作用性吸入β刺激薬)の配合剤」の市場において1位のシェアを有していたとするが、その主張を客観的に裏付ける証左の提出はない(甲3)。

ウ 広告宣伝

処方箋医薬品は、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告宣伝を行うことは認められていないところ(医薬品等適正広告基準 第3の5(1)。甲12)、製薬会社は、自社の医薬情報担当者(MR)を通じて、医療機関に対し、パンフレット等を使用して、医薬品の品質、有効性及び安全性に関する説明を行うことにより、販売促進活動を行っている(甲3、甲9)。

そして、請求人も、処方箋医薬品である「アドエア」と称する商品(本件商品を含む)の販売促進のため、少なくとも2009年以降、医療機関、調剤薬局及び特約店に配布するパンフレット及びリーフレットを作成していることが認められる。当該パンフレット等には、本件商品を含む「アドエア」と称する商品の外観の写真が掲載されるとともに、「アドエア」の文字の地色や、文字等の背景色として、本願商標を構成する紫色と同じ色彩と認識され得る紫色のほか、多様な色調の紫色が使用されており、商品の写真が掲載されていないパンフレット等においても同様に、「アドエア」の文字の地色や、文字等の背景色として、本願商標を構成する紫色と同じ色彩と認識され得る紫色のほか、多様な色調の紫色が使用されていることがうかがえる(甲14)。なお、これらのパンフレット等の累計配布数は105万部であるとされる(甲14の1)が、具体的な頒布地域は明らかでない。

さらに、請求人は、自己のウェブサイト(甲15。2016年12月22日紙出力)において、本件商品の外観の写真を掲載するとともに、文字の地色や見出しの枠囲い等の背景色として、本願商標を構成する紫色と同じ色彩と認識され得る紫色のほか、多様な色調の紫色を使用しているが、当該ウェブサイトの冒頭には「当サイトは12月28日をもって閉鎖を予定しております。」の文字が記載されていることから、現在におけるウェブサイトの体裁は不明である。

なお、請求人による広告宣伝費は、2007年から2015年までの総額で約127億円とされるが、その費用を客観的に裏付ける証左の提出はない(甲3)。

エ アンケート調査

請求人は、マーケティングリサーチの専門会社に依頼して、請求人が「アドエア」という名称で販売している吸入薬に使用している紫色の色彩が、日本国内における医師及び薬剤師において、請求人の商品であることを示す色彩として認知されているかを確認する目的で、アンケート調査を実施した(甲4)。これは同社のアンケートサイトの登録モニターのうち、以下の(ア)又は(イ)の条件を満たす全国の対象者をスクリーニング調査により抽出した上で、医師については2016年2月29日ないし3月4日の期間に、薬剤師については2016年3月3日ないし3月7日の期間に、インターネット調査として実施されたものである。

(ア)「呼吸器科」及び/又は「アレルギー科」において、自ら喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者のために吸入器の処方を行った経験がある医師(臨床医)。性別及び年代は問わない。

(イ)「病院」及び「調剤薬局」に勤務し、自ら喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者のために吸入薬の調剤、販売を行った経験がある24歳から69歳の薬剤師。性別は問わない。また、本人及び家族が「マスコミ・広告、新聞・放送業、市場調査」に従事していないことという条件を満たす者。

調査の具体的方法は、本願商標を構成する紫色と同一の色彩である紫色(パントーン2587C)の正方形の色見本を提示し、「吸入器」に関して当該色彩を見てすぐに思い浮かぶことを尋ね(STEP1)、次に、当該色彩が使われている「吸入器」を知っているか、又は、今までに見たことがあるかを尋ね(STEP2)、その後、当該色彩について、4つの選択肢(「この色彩を使った吸入器はある特定の一社の製薬メーカーのものである」「この色彩が使用された吸入器にはいくつかの異なる製薬メーカーのものがある」「この色彩を使用した吸入器から製薬メーカーのことは何もわからない」「この色彩を使用した吸入器のことは何も知らない」)から回答を1つ選択させる(STEP3)調査である。

なお、一旦回答した内容は修正できないように制御され、選択肢をランダムに表示させることで、特定の選択肢に回答が偏らないように設定されていた。さらに、コンピュータのモニターに起因する色彩の表示状態を確認するため、画面に表示された色彩が「パープル」であると回答した者の回答のみを集計し、紫色以外の色彩として認識した者の回答は集計対象外とした結果、集計対象となった医師は207人、薬剤師は220人であった。

調査結果は、紫色の色見本を見て、「吸入器」に関して請求人又は「アドエア」と回答した者は、医師については集計対象者全体の91.3%であり、薬剤師については集計対象者全体の72.3%であった(STEP1)。また、当該色彩が使われている「吸入器」を今までに見たことがあると回答した者は、医師については集計対象者全体の97.6%であり、薬剤師については集計対象者全体の82.7%であった(STEP2)。そして、4つの選択肢から「この色彩を使った吸入器はある特定の一社の製薬メーカーのものである」を選択した者は、医師については集計対象者全体の92.8%であり、薬剤師については集計対象者全体の64.5%であった(STEP3)。

オ 小括

上記アないしエによれば、請求人は、本件商品を含む「アドエア」と称する喘息治療配合剤又は喘息・COPD治療配合剤を、2007年6月から現在に至るまで販売しており、少なくとも2009年以降、本件商品に係る吸入器の一定の部分に、本願商標を構成する紫色と同じ色彩と認識され得る紫色を継続して使用しているとはいえるが、吸入器の他の部分には、本願商標を構成する紫色よりも薄い紫色が使用されており、常に2つの異なる色調の紫色が使用されていることに加え、これらの吸入器には、その商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識され得る「アドエア」の文字が表示されている。

また、本件商品については、医療機関等に対して、パンフレット等により、広告宣伝がなされてきたとはいえるが、その広告宣伝に当たっては、商品の写真とともに、本願商標を構成する紫色と同じ色彩と認識され得る紫色のほか、多様な色調の紫色が使用されているところ、その使用は、「アドエア」の文字の地色や文字等の背景色としての使用であって、それらが表示されるパンフレット等の装飾ないしデザインなどとして看取、認識されるものとみるのが相当であるから、その使用に係る紫色の色彩から、本願商標を構成する紫色のみが分離して観察され、強く印象付けられるとはいい難い。

さらに、請求人が実施したアンケート調査は、自ら喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者のために吸入器の処方を行った経験がある医師、あるいは、自ら喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者のために吸入薬の調剤、販売を行った経験がある薬剤師のみを対象として行われたアンケートであり、治療を受ける患者が対象者に含まれていないことから、対象の範囲の設定に問題があることが指摘でき、加えて、アンケートの調査方法は、「喘息、慢性閉塞性肺疾患の治療用薬剤」について尋ねるのではなく、薬剤が充填されている「吸入器」に限定して尋ねていることを踏まえると、アンケートの調査方法からして適正といえるかは疑問である。よって、これらの点において、当該アンケートの結果を基礎として、本願商標に対する需要者の認識を推し量ることは困難である。

そうすると、「アドエア」と称する本件商品が、その発売から10年以上の間、継続して製造、販売され、吸入器市場において、2007年ないし2016年にかけて、国内で一定のシェアを占めており、医療機関等に対して広告宣伝がされているとしても、本件商品については、その広告宣伝等を含めて使用されている「アドエア」の文字が、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として需要者に認識されているとみるのが相当であり、本願商標を構成する紫色と同じ色彩と認識され得る紫色のみをもって、需要者が、専ら請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められない。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は、原査定が、需要者が商品を識別するのは、商品に付された「アドエア」等の文字であって、色彩ではないとする点について、単一の商品について、文字と他の要素がそれぞれ識別力を有することはあり得るから、当該他の要素が常に文字を伴って使用されており、当該文字が識別力を有している場合であっても、当該他の要素の識別力は必ずしも否定されないとし、本願商標についても、そのユニークさや、売上高、広告宣伝費、取引実態、需要者の認識等に基づけば識別力を有する旨主張する。

しかしながら、本願商標が、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かを判断するに当たっては、本願商標を構成する紫色と同じ色彩と認識され得る紫色が、「アドエア」の文字とともに使用されていることのみをもって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないと判断したものではなく、請求人の主張及びその提出に係る証拠によって、本願商標の使用態様、売上高、市場シェア、広告宣伝等を総合してみても、本願商標をその指定商品について使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っていると認めるに足る事実を見いだせないと判断したものである。

したがって、上記請求人の主張は、採用することはできない。

イ 請求人は、他の薬剤では紫色と同系の色彩が使用されているが、喘息及び/又は慢性閉塞性肺疾患の治療用薬剤については、日本国内において、本願商標と同一又は類似の紫色の色彩が使用された商品が販売されたことはなく、請求人の商品は、日本市場における唯一の紫色の吸入器である旨述べるとともに、本願商標の識別力は、本願の指定商品について判断されるべきものであるから、本願の指定商品以外の薬剤に、本願商標と同系の紫色が使用されている事実は、本願商標の識別力の判断に影響を与えるものではない旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かの判断は、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品との関係や取引の実情をも踏まえて検討、判断されるべきものであるところ、上記(1)のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界では、商品又は商品の包装等における装飾等として、紫色ないし本願商標を構成する色彩に近似する色彩が、請求人以外の者によって使用されている事実がある。これらの取引の実情を踏まえれば、本願商標は、特定人による独占使用を認めることは適切ではなく、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものともいえない。

したがって、上記請求人の主張は、採用することはできない。

ウ 請求人は、仮に一般需要者である患者が、本願の指定商品の取引者、需要者に該当することが否定できないとしても、本願商標の識別力の判断については、本願の指定商品の取引者、需要者の全体ではなく、取引者、需要者の重要な部分において、本願商標が出所識別力を獲得しているか否かが検討されるべきであり、処方箋医薬品を主体的に選択するのは医師及び薬剤師であることから、アンケートの対象が医師及び薬剤師に限られていても不適切ではない旨主張する。

しかしながら、請求人の主張を前提としても、処方箋医薬品の需要者は、医師及び薬剤師に限定されているわけではなく、処方箋医薬品を購入し使用するのは、処方箋医薬品に係る治療を受ける患者であるから、患者も需要者に含まれるというべきである。そして、請求人が実施したアンケート調査には、対象の範囲の設定以外に、調査方法にも疑問点が存すること、上記(2)オのとおりである。

したがって、上記請求人の主張は、採用することはできない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものとも認められないから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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