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Trademark Appeal Case

A2MILK観念と称呼の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900257(T2019−900257/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6153405号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6153405号商標(以下「本件商標」という。)は、「NA2MILK」を標準文字で表した構成からなり、平成30年7月24日に登録出願、第29類「牛乳,クリーム(乳製品),チーズ,乳酸飲料,乳酸菌飲料,バター,発酵乳,粉乳(乳幼児用のものを除く。),練乳,アルコール分を含まないエッグノッグ(乳飲料),アルブミン乳,カード(凝乳),加糖練乳,クミス,クリーム(酪農製品),ケフィール,スメタナ(サワークリーム),乳飲料,乳しょう,バタークリーム,プロストクワーシャ(サワーミルク),プロテインミルク(アルブミン乳),粉乳,ホイップクリーム,ヨーグルト,リャージェンカ(煮沸発酵乳),その他の乳製品,乳脂肪を原料とする粉末油脂,その他の牛乳を使用してなる食用油脂,牛乳を使用してなるカレー・シチュー又はスープのもと,乳清とミルクミネラルを添加したお茶漬けのり,その他の牛乳を使用してなるお茶漬けのり,乳清とミルクミネラルを添加したふりかけ,その他の牛乳を使用してなるふりかけ,牛乳のたんぱく質を使用してなる食用たんぱく」を指定商品として、令和元年5月13日に登録査定、同年6月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標等

(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は次のア及びイのとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。

ア 登録第6044548号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様 「a2 MILK」(標準文字)

指定商品 第5類「乳児用食品,乳児用牛乳及び乳児用粉ミルク,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,栄養補助食品,プロテインを主原料とする栄養補助食品」及び第29類「粉乳,牛乳,クリーム,バター,チーズ,ヨーグルト,乳飲料」

登録出願日 平成29年9月5日

設定登録日 平成30年5月18日

イ 登録第5743365号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様 「THE a2 MILK COMPANY」(標準文字)

指定商品 第5類「乳児用食品,乳児用牛乳及び乳児用粉ミルク,食餌療法用食品及び飲料」及び第29類「牛乳,クリーム(乳製品),全乳製の粉乳・脱脂粉乳・その他の粉乳(乳幼児用のものを除く。),乳清,乳清を加味した乳製品,バター,チーズ,乳飲料,その他の乳製品」

登録出願日 平成26年4月1日(優先権主張:サモア独立国 2014年(平成26年)2月24日)

設定登録日 平成27年2月20日

(2)申立人が、本件商商標は商標法第4条第1項第19号に該当するとして引用する商標は、主に、別掲1(1)及び別掲1(2)の「a2milk」の文字からなる商標(以下「a2milk商標」という。)並びに別掲2のとおりの商標であり(以下、別掲1及び別掲2の商標をまとめていうときは「使用商標」という。)、申立人が「乳製品」ついて使用しオーストラリア連邦において広く認識されているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標と引用商標との類似性について

(ア)称呼について

本件商標は「NA2MILK」より「エヌエイツーミルク」の称呼が生じる。

一方、引用商標1は「a2 MILK」と表されており、これより「エイツーミルク」の称呼が生じ、引用商標2は「THE a2 MILK COMPANY」と表されており、その構成中、「THE」は定冠詞、「COMPANY」は会社を意味し、ともに出所表示機能は弱いことから、「a2 MILK」の文字が強い識別機能を発揮し、これより「エイツーミルク」の称呼が生じる。

そこで、本件商標と引用商標から生じる「エヌエイツーミルク」と「エイツーミルク」の称呼を比較すると、両者は、語頭の「エヌ」以外は同じ称呼、すなわち長音を除いた8文字の内、6文字「エイツーミルク」の称呼が共通する。

したがって、これらの商標が、互いに同一又は類似の関係にある両登録商標の指定商品に使用された場合、両者の関連性を否定することはできず、実際の取引過程においては出所の混同を生じさせるおそれがあるから、両者は互いに類似する商標である。

(イ)観念について

牛乳の種類としては、ベー夕カゼインA1を多く含む牛乳と、ベータカゼインA2を多く含む牛乳が存在する(甲9)。

すなわち、「A2」は牛乳のタンパク質成分の型を表しているものであるが、この情報は、栄養学等の科学的専門分野に精通している乳製品の研究者にとっては通常の知識の範囲かと考えるが、一般の消費者、取引者がこの情報を知っている状況にはないといえる。

したがって、本件商標と引用商標の要部である「a2 MILK」の「a2」の部分からは特定の観念は生じないため、商標全体としても「MILK」以外の部分から特定の観念は生じない。

よって、本件商標と引用商標とは、観念において比較することはできない。

(ウ)外観について

本件商標と引用商標は、語頭の「N」の有無と、Aとaにおける大文字と小文字の相違でしかなく、称呼の近似性と相まって、外観の近似性がある。

(エ)本件商標と引用商標との類似性のまとめ

本件商標と引用商標とは、構成において異なるところはあるものの、時と場所を異にする取引場面においては、称呼の共通部分の存在と外観の近似性によって商品の出所を混同するおそれがあり、また観念によって、それらの共通性を覆すほどの特徴はないものである。

したがって、本件商標と引用商標とは全体として類似するものである。

イ 指定商品の類否

本件商標の指定商品である第29類「牛乳,クリーム(乳製品),チーズ,乳酸飲料,乳酸菌飲料,バター,発酵乳,粉乳(乳幼児用のものを除く。),練乳,アルコール分を含まないエッグノッグ(乳飲料),アルブミン乳,カード(凝乳),加糖練乳,クミス,クリーム(酪農製品),ケフィール,スメタナ(サワークリーム),乳飲料,乳しょう,バタークリーム,プロストクワーシャ(サワーミルク),プロテインミルク(アルブミン乳),粉乳,ホイップクリーム,ヨーグルト,リャージェンカ(煮沸発酵乳),その他の乳製品」は、引用商標の指定商品中例えば第5類「乳児用牛乳及び乳児用粉ミルク」、29類「粉乳,牛乳,クリーム,バター,チーズ,ヨーグルト,乳飲料」、などと類似している。

ウ 小括

以上述べたように、本件商標と引用商標は「エイツーミルク」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と類似する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第19号該当性について

ア オーストラリア連邦における使用商標の周知性

申立人は、オーストラリア連邦において、「a2」の文字を含んだ数種の商標を登録及び使用し、需要者の間に広く認識されている。

(ア)申立人の歴史

申立人の前身である「A2 Corporation Limited」は、2000年にニュージーランド国で設立され、2014年4月に、会社名が現在の名称に変更された。申立人は、2004年にニュージーランド証券取引所(NZX)に、2015年にオーストラリア証券取引所(ASX)に上場した。それ以来、売上高の増大と共に株価も上昇してきた(甲10)。

現在では、オーストラリア連邦を最重要マーケットとし、ニュージーランド、アメリカ合衆国、イギリス、中国、日本、アセアン諸国等において、世界的規模で活発に事業展開している。

申立人は、研究開発の場において、A1プロテインを含まないA2プロテインのみの乳製品を消費者に提供することをコーポレートミッションとし、その方針下に牛乳を主力商品とする多種の乳製品を販売している。

また、申立人の事業については我が国のインターネット上のビジネス記事やブログでも度々取り上げられている(甲12、甲14、甲15)。

なお、上述したように、科学的な用語としての「A1プロテイン」や「A2プロテイン」は一般の消費者においては知識のない語であり、オーストラリア連邦においても「a2」は識別力を発揮しているといえる。

(イ)グループ企業の総売上高及びオーストラリア連邦における売上高

申立人のグループ企業全体及びオーストラリア連邦における売上高は、2011年度(2010年7月1日〜2011年6月30日。以下同様。)の29.5億円及び29.5億円から、2019年度の913.0億円及び589.7億円と、約9年間でグループ企業全体では約31倍、オーストラリアにおいては約20倍となった(甲13。1NZ$=70円で換算。以下同じ。)。

(ウ)オーストラリア連邦におけるマーケットシェア

各乳製品のオーストラリア連邦におけるマーケットシェアは、ミルクが2012年5月ないし2019年6月で各年8.0%ないし11.2%、乳児用調製粉乳が2013年3月ないし2019年3月で各年0.5%ないし36.8%であった。

(エ)販売店及び商品提供場所

使用商標など「a2」の文字を含む商標(以下「使用商標等」という。)の付された申立人の乳製品は、オーストラリア連邦だけでも、2大スーパーマーケットを含む3,395以上のストアで販売されており(甲16)、その販売店の数は現在も増え続けている。また、直接の顧客である卸先も多数有している。

さらに、申立人の乳製品は、シドニー及びメルボルンを中心に、2009年以来250以上のカフェで使用されている(甲17)。

(オ)商品パッケージ及び商品陳列の様子

使用商標の付された申立人の乳製品は、ストアの中でも主要通路側に配置され、消費者の目に付きやすく、かつ商品を手に取り易い場所に陳列されている(甲18)。使用商標等を付した商品パッケージを2003年から使用し続けた結果(甲19)、オーストラリア連邦における消費者の間で「a2」ブランドの乳製品は認知された。また、標章には常に「TM」シンボルを付し、その標章が申立人の商標であることを消費者に認識してもらうように努めた。

(カ)宣伝広告

申立人は、特に2010年頃から大規模な宣伝広告及びキャンペーン活動を行ってきた。グループ企業全体の宣伝広告費用は、2013年度ないし2019年度で各年3.2億円ないし94.7億円である。

申立人は、ストア内では販売促進用品を使用し、商品を目立たせるよう工夫し(甲20)、また、2016年より2018年にかけて、賞金当選キャンペーンを行った(甲21)。

さらに、申立人は、2005年から現在まで自己のウェブサイトで使用商標等を使用し続けており(甲22)、同ウェブサイトへのアクセス数は2015年1月ないし12月が39.2万アクセス、2016年1月ないし12月が47.0万アクセスであった。

申立人は、ソーシャルメディアでも広告ページを開設している(甲23)。

(キ)オーストラリア連邦及びその他の国での商標登録

申立人は、オーストラリア連邦において、20年以上も前から自社製品のブランドマークである「a2」の文字を含む商標をいくつも登録し(甲5〜甲7、甲24〜甲28)、使用し続けており、また、ニュージーランド、アメリカ合衆国、中国、日本等を含む世界35か国において多くの「a2」の文字を含む商標を登録している。

(ク)インターネット検索結果

検索エンジンの国設定を「オーストラリア」にし、「a2」の文字を検索すると、上位29件の内、22件が申立人のウェブサイト又は申立人の商品に関する記事であり、これは、a2ブランドがオーストラリア連邦において広く認識されていることを示している(甲29)。

イ 本件商標と使用商標の類似性について

(ア)称呼について

本件商標及び「a2milk」商標からは、上記1(ア)アと同様に「エイツーミルク」の称呼が生じ、実際の取引においては出所の混同を生じさせるおそれがある。

このように、本件商標と「a2milk」商標は、同一の称呼を含み、実取引上、誤認・混同を生ずるおそれがあり、称呼の共通性から類似する商標である。

(イ)観念について

上記(1)ア(イ)で述べたとおり、「A2」を乳製品との関連で看取したとしても、それは英文字と数字の組み合わせであって、その科学的な意味までも理解することはできない。

したがって、「A2」の表示であっても、「a2」の表示であっても、一般消費者や販売者においては、特別な観念は想起できないと考える。

よって、本件商標と使用商標とは、観念において比較することはできない。

(ウ)外観について

本件商標と「a2milk」商標は、外観的にも近似しており、称呼の共通性を凌駕する程、外観において相違するものではない。

(エ)本件商標と使用商標との類似性のまとめ

本件商標と「a2milk」商標とは、取引過程で販売場所と販売時を同じくした場合、称呼の共通性から商品の出所を混同するおそれがあり、また観念や外観によって、その称呼の共通性を覆すほどの特徴はないものである。

ウ 不正の目的について

上述のとおり、使用商標が、本件商標の出願日前よりオーストラリア連邦の需要者の間に広く認識されていたことは明らかであり、このような周知な使用商標と共通の称呼を有する類似の商標を出願し、登録することは、使用商標に蓄積された信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りするものであり、使用商標の出所表示機能を希釈化させるおそれがあるものと考える。

このような状況から、本件商標は、不正の目的をもって出願されたことが推認される。

エ 小括

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 申立人は、本件商標は、「NA2MILK」の構成から「N」の文字を除いた「A2MILK」の構成に相応して「エイツーミルク」の称呼を生じ、引用商標も、「エイツーミルク」の称呼を生じるから、両者は「エイツーミルク」の称呼を共通にする類似の商標である旨主張する。

イ 本件商標は、「NA2MILK」を標準文字により書してなるところ、構成各文字は、同一の書体、同一の大きさ及び等しい間隔によりまとまりよく表されてなり、これより生じる「エヌエーツーミルク」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。そして、その構成中、「A2MILK」の文字が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとか、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認めるに足りる事情は見いだせない。

してみれば、本件商標は、その構成全体をもって、看取、把握されるとみるのが相当であるから、構成文字に相応して「エヌエーツーミルク」の称呼のみを生じるものの、「エーツーミルク」の称呼を生じるということはできない。

また、本件商標からは、特定の観念は生じないというのが相当である。

ウ 上記のとおり、申立人の主張は、その前提において理由がなく、また、他に本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。

引用商標1は、「a2 Milk」を標準文字で表してなるところ、「Milk」の文字が指定商品との関係において品質を表示するものと認識されることから、これよりは、「エーツーミルク」及び「エーツー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

引用商標2は、「THE a2 MILK COMPANY」を標準文字で表してなるところ、これよりは、「ザエーツーミルクカンパニー」の称呼を生じるものの「エーツーミルク」の称呼を生じるというべき事情は見いだせず、特定の観念は生じないものである。

エ 上記イ及びウのとおり、本件商標と引用商標とは、外観において明らかな差異を有し、互いに紛れるおそれはないものである。

また、称呼についても、上記イ及びウのとおり、本件商標から生じる「エヌエーツーミルク」の称呼と引用商標から生じる「エーツーミルク」及び「ザエーツーミルクカンパニー」の称呼とは、音構成及び構成音数において明らかな差異を有することから、称呼においても互いに紛れるおそれはないものである。

なお、観念については、上記イ及びウのとおり、本件商標及び引用商標からは特定の観念は生じないものであるから、観念において比較することはできない。

以上のとおり、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において互いに紛れるおそれのないことが明らかなものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合 してみれば、両商標は、非類似の商標というのが相当である。

したがって、本件商標は、引用商標と非類似のものというべきものであるから、その指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第19号該当性について

ア 使用商標のオーストラリア連邦における周知性について

(ア)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人はニュージーランドのオークランドに所在し、同国、オーストラリア連邦、中国などにおいて牛乳など乳製品の販売を行っていること、申立人のグループ企業の総売上高は、2018年度9.2億NZ$(645.6億円。)、2019年度13.0億NZ$(913.0億円)であり、同じく宣伝広告費は2018年度7,365万NZ$(51.6億円)、2019年度1億3,530万NZ$(94.7億円)であることが認められる(甲13)。

そして、申立人の商品(乳製品)は、2016年頃にオーストラリア連邦の乳製品市場で10%近いシェアであったこと、オーストラリア連邦の主要な食料品チェーンなどで販売されていること(甲12、甲15)、オーストラリア連邦においても、申立人の商品には使用商標など「a2」の文字を含む商標(使用商標等)が付され、また、同商品の広告などに使用商標等が用いられていること(甲18〜甲20)がうかがえる。

しかしながら、オーストラリア連邦における申立人の商品の売上額、及び同じく使用商標を使用した商品の売上額を示す証左は見いだせない。

(イ)上記(ア)のとおり、申立人はオーストラリア連邦において乳製品の販売等を行っており、グループ企業の総売上高が2019年度において913億円であることに加え、申立人の商品は、2016年頃にオーストラリア連邦の乳製品市場で10%近いシェアであったこと及びオーストラリア連邦の主要な食料品チェーンなどで販売されていることがうかがえることを考慮すれば、申立人の商品は、オーストラリア連邦の需要者の間である程度知られているものということができる。

しかしながら、オーストラリア連邦における申立人の商品の売上額及び使用商標を使用した商品の売上額を示す証左は見いだせないから、申立人の商品は、オーストラリア連邦の需要者の間に広く知られてものと認めることはできない。

なお、仮に申立人の商品が2016年頃にオーストラリア連邦の乳製品市場で10%近いシェアであったことが事実だとしても、その時点のみのものであるし、何より、かかるシェアが申立人の商品の周知性を基礎付けるほど高い市場シェアであると認めるに足りる証左は見いだせない。

したがって、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「乳製品」を表示するものとしてオーストラリア連邦における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

なお、使用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又はオーストラリア連邦以外の外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることもできない。

イ 本件商標と使用商標との類否について

本件商標は、上記(1)イのとおり、「NA2MILK」の文字に相応して「エヌエーツーミルク」の称呼のみを生じると判断するのが相当であり、その構成中、「A2MILK」又は「A2」の文字が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。

そして、本件商標と、別掲のとおりの使用商標とは、両者の外観、称呼、観念のいずれの点においても、及びそれらを総合してみても類似しないものであること明らかであり、他に本件商標と使用商標が類似するというべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標と使用商標は非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

ウ 不正の目的について

申立人提出の全証拠及び職権で調査するも、本件商標が、使用商標の名声などにただ乗りする、使用商標の出所表示機能を希釈化させるなど不正の目的をもって使用をするものとの事情は見いだせない。

エ 小括

上記アのとおり、使用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとしてオーストラリア連邦の需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記イのとおり、本件商標と使用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異のものというべきであり、更に上記ウのとおり、本件商標は不正の目的をもって使用をするものと認めることはできないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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