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Trademark Appeal Case

TWEET商標の類否と著名性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900193(T2019−900193/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6138010号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6138010号商標(以下「本件商標」という。)は,「TWEET」の文字を標準文字で表してなり,平成30年6月21日に登録出願,第33類「日本酒,清酒,泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,直し,みりん,濁酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」を指定商品として,同31年3月5日に登録査定,同年4月12日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである(以下,それらをまとめて「引用商標」という。)。

なお,引用商標に係る商標権は,いずれも現に有効に存続している。

(1)登録第5469004号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様 TWEET(標準文字)

指定商品及び指定役務 第9類,第35類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務

登録出願日 平成23年2月25日(優先権主張:アメリカ合衆国 2010年(平成22年)8月26日)

設定登録日 平成24年2月10日

(2)登録第5327291号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様 TWEET(標準文字)

指定役務 第38類,第41類,第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の役務

登録出願日 平成21年6月11日(優先権主張:アメリカ合衆国 2009年(平成21年)4月16日)

設定登録日 平成22年6月4日

(3)登録第5332541号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の態様 ツイート(標準文字)

指定役務 第38類,第41類,第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の役務

登録出願日 平成21年7月16日

設定登録日 平成22年6月25日

(4)登録第5332540号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の態様 つぶやく(標準文字)

指定役務 第38類,第41類,第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の役務

登録出願日 平成21年7月16日

設定登録日 平成22年6月25日

3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第67号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)引用商標の周知・著名性について

引用商標は,申立人が同人の提供に係る「コンピュータやスマートフォン等を利用したリアルタイムで行うことができるコミュニケーションサービス」を指称する「TWITTER(ツイッター)」(以下「ツイッター」という。)において,ユーザーが140字以内の短文を投稿すること,あるいは,その投稿を意味する語として使用した結果,本件商標の登録出願前には既に,我が国及び世界において広く一般に知られるに至っていた著名商標である。

ア 申立人は,米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社をおき,全世界でツイッターの運営を行っている(甲4)。

ツイッターは,2006年(平成18年)7月に英語版サービスが開始された(甲4)。その後,2008年(平成20年)4月に日本語版の利用が可能となると,我が国のメディアがツイッターのもつ利便性にいち早く注目し,広く報道がなされた。その結果,2010年(平成22年)には日本のツイッター閲覧者数は月に約1200万人,ページビュー(PV)は48億PVにも達し,アカウントを取得して利用するユーザーの数も300万人を超え,我が国の一般需要者の間でツイッターの利用はまたたく間に浸透していった(甲5)。

2018年(平成30年)12月時点における全世界のツイッターの月間アクティブユーザー数は3億2600万であり,このうち我が国のユーザー数は4500万以上と全体の14%近くを占める。申立人の我が国における同年第3四半期(7月〜9月)の売上高は1億3000万ドル(約140億円)にのぼり,これは米国に次いで2番目に高い数字である。(甲6,甲7)

イ ツイッターに140文字以内のコメントを投稿すること及びその投稿内容を「TWEET(ツイート)」といい,日本語では「つぶやく」及び「つぶやき」ともいう。「TWEET」は,もともと「(小鳥が)さえずる」「小鳥のさえずり」を意味する英語であるが(甲8),上述のとおりツイッターは,我が国で急速に利用が広まった結果,「広辞苑」において「ツイート」の語が,「ツイッターに短文を投稿すること。また,その投稿。文字数に制限がある。つぶやき。」と,また「ツイッター」の語が,「インターネット上の会員制サービスの一種。投稿による情報の発信と,それに対する返信を利用した他の利用者とのコミュニケーションに用いる。」と,それぞれ載録されるほどであり(甲9),このことからも,「TWEET」が申立人の著名な商標として我が国において広く一般に知られ,浸透していることがわかる。

ウ ツイッターは,特にスポーツ観戦の場面でユーザーに活発に利用され,また,2011年(平成23年)3月の東日本大震災をきっかけに,情報インフラとしての側面にも注目が集まった(甲7,甲10)。

また,トランプ米大統領,安倍晋三首相がツイッターを活用しツイートを投稿するなど,ツイッターは,外交の場面でもその利用が広がっているとともに(甲11〜甲20),国内政治においても盛んに利用されている(甲21〜甲24)。

さらに,我が国の企業活動においても,ツイッターは新たなマーケティングツールとして急速にその利用が広まっている(甲25)。本件商標の指定商品であるアルコール飲料の分野においても,多数のアルコール飲料メーカーが,ツイッターを活用して自社及び自社製品の広告宣伝活動を行っている(甲26〜甲43)。

エ 以上のとおり,申立人の「TWEET」(ツイート)は,申立人が運営するコミュニケーションサービス「ツイッター」において,ユーザーが140字以内の短文を投稿すること,あるいは,その投稿を意味する語として,2008年(平成20年)の我が国におけるツイッターのサービス開始以来,我が国の需要者の間に広く認識されている事実は疑いようがない。

したがって,本件商標の出願時はもちろんのこと,その査定時においても継続してその著名性を維持していたと優に推認できるものである。

オ 特許庁における実務

引用商標の周知・著名性は,異議決定(甲44)においても明確に認められており,また,当該異議決定において著名性が認定されている引用商標2は,「特許情報プラットフォーム」(J−PlatPat)内「日本国周知・著名商標検索」において,「周知・著名商標」として認定されている。

このように,引用商標の周知・著名性については,特許庁も明確に認定している事実である。

カ 以上のとおり,「TWEET」は,申立人の運営するコミュニケーションサービス「ツイッター」に短文を投稿すること,及びその投稿を表す商標として,我が国を含む世界中で広く一般に知られているものである。したがって,引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間において広く知られた著名商標であったことは明らかである。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標の周知・著名性

前記(1)のとおり,引用商標は,申立人の運営するコミュニケーションサービスであるツイッターに短文を投稿すること及びその投稿を表す商標として我が国をはじめとする世界中で使用された結果,申立人の業務に係る商標として本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間で広く知られるに至っている著名商標である。

イ 本件商標と引用商標との類似性

本件商標は,「TWEET」の文字を標準文字で表してなる商標であり,その構成文字に照応して「ツイート」の称呼が生じる。そして,「TWEET」は既述のとおり,申立人の業務を表象するものとして我が国の需要者の間で著名な商標であるから,本件商標は,「申立人の運営するツイッターに投稿すること及びその投稿」としての観念が明確に生じる。

他方,「TWEET」及びその片仮名音訳である「ツイート」並びにこれらの日本語訳である「つぶやく」の各文字からなる引用商標は,我が国の需要者の間で広く知られた著名商標であるから,「申立人の運営するツイッターに投稿すること及びその投稿」としての観念が明確に生じる。

したがって,本件商標と引用商標が同一又は類似することは明らかであり,その類似性の程度は極めて高いといえる。

ウ 引用商標の独創性

引用商標を構成する「TWEET」「ツイート」「つぶやく」の各文字は,引用商標の指定商品・役務との関係において,何ら直接的に商品・役務の品質・質等を表すものではなく,このような文字を採択すること自体,高い顕著性を有しているといえる。

したがって,引用商標の独創性は極めて高いものである。

エ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る役務の関連性の程度

引用商標は,申立人の提供に係るツイッターにおいて,ユーザーが140字以内の短文を投稿すること,あるいは,その投稿を意味する語として使用されるものであるところ,ツイッターは,本件商標の指定商品であるアルコール飲料の分野においても,我が国を代表する数々の酒造会社をはじめ,多数のアルコール飲料メーカーが,自社及び自社製品の広告宣伝のためにツイッターを利用し,需要者に向けて自社製品である日本酒,清酒,洋酒等に関するツイートを日々投稿しているのである。

以上の具体的な取引の実情に照らせば,本件商標の指定商品と申立人の業務に係る役務は,極めて密接な関連を有するものであることは明らかである。

オ 取引者,需要者の共通性

上述のとおり,ツイッターが今日の日本における情報インフラとして広く浸透していることからすれば,その需要者,利用者はあらゆる分野の広汎な一般消費者であり,その中には酒類の取引者,需要者も当然含まれることになる。現に本件商標の指定商品の分野においては,我が国及び世界の主要なアルコール飲料メーカーが自社及び自社製品に関するツイッターアカウントを取得し,積極的に自社及び自社製品の広告宣伝活動を行っている。その中には,多いもので100万ものフォロワーを擁するアカウントもある。そうすると,本件商標の指定商品の取引者,需要者の中には,ツイッターを介して酒類に関する広告や宣伝に接したり,酒類に関する最新の情報を得ようとする者も多いといえる。

このように本件商標の指定商品の取引者,需要者と,申立人の運営するツイッターの需要者が共通していることは明らかであって,ツイッターにおいて使用される引用商標が,本件商標の指定商品の需要者の間においても強い印象を与え,記憶されていることは疑う余地がない。

したがって,本件商標と引用商標の取引者,需要者の共通性は極めて高いものである。

カ 我が国における判決及び審決例

平成12年7月11日の最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号。甲45)以降,他人の周知著名な商標と同一又は類似する商標について,当該他人の業務に係る商品等と混同を生じるおそれがあるとして,登録拒絶又は登録無効若しくは取消しの判断をした判決や特許庁の審決は多数存在する(甲46〜甲52)が,いずれの判決及び審決も,商品又は役務が一般的に類似関係にない商標であっても,商標の周知著名性の程度,商品(役務)の関連性や需要者の共通性等を鑑みて,出所の混同を生じるおそれがあると判断している。

キ 小括

以上の事実及び判決・審決例に基づき総合的に勘案すれば,本件商標は,その登録出願前には既に,我が国及び世界において広く一般に知られるに至っていた著名商標である「TWEET」と同一の文字からなるものであり,本件商標の指定商品であるアルコール飲料の分野において,多数のメーカーが自社及び自社製品の広告宣伝活動にツイッターを活用している事実があり,また,本件商標の指定商品の取引者,需要者と申立人の運営するツイッターの需要者は共通している。

よって,本件商標を引用商標と需要者を共通にするその指定商品に使用した場合,取引者,需要者において,申立人の著名な引用商標を想起して,その商品があたかも申立人又は同人と同一の営業主体の業務に係る商品,又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の取り扱う業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれがある。そして,本件商標の登録を認めた場合には,引用商標が持つ顧客吸引力へのただ乗りやその希釈化を招くという結果を免れない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に該当するというべきである。

(3)商標法第4条第1項第19号該当性について

ア 引用商標の著名性

上記(1)のとおり,引用商標は,申立人の運営するコミュニケーションサービスであるツイッターに短文を投稿すること,及びその投稿を表す商標として,我が国を含む世界中で高い著名性を獲得するに至った商標であることは明らかである。

イ 本件商標と引用商標の類似性

上記(2)イのとおり,本件商標と引用商標が類似することは明らかであり,その類似性の程度は極めて高いというべきである。

ウ 不正の目的

引用商標は,前述のとおり,需要者の間において広く知られ高い名声・信用・評判を獲得するに至っているものであり,本件商標の登録出願時には既に,申立人の商標として日本国内及び外国における需要者の間に極めて広く認識されていた著名商標であったことに疑いを挟む余地はない。

本件商標は,そのような申立人の著名商標である「TWEET」と同一の文字からなるものであって,「TWEET」(ツイート)の語は「広辞苑」に載録されていることを考慮すれば,本件商標において,申立人の著名商標である「TWEET」と同一の文字が偶然に採択されたものとは到底認め難く,商標権者は,一般に相当程度知られていた引用商標を知りつつ,それが有する高い名声・信用・評判にただ乗りする目的,すなわち不正の目的をもって,本件商標の登録出願をし,本件商標を使用したものと優に推認される。

なお,商標権者は,2011年(平成23年)1月に自らのツイッターのアカウントを取得した上で,遅くとも2017年(平成29年)12月4日からツイートの投稿を開始し(甲53,甲54),本件商標の登録出願日の前日にも2件のツイートを投稿している(甲55)。本件商標の登録出願前の7年間,申立人のサービスを利用し,出願日の前日にも自らツイートを投稿していた商標権者が,申立人の著名商標である「TWEET」の存在を知らずに,偶然にそれと同一の文字綴りからなる本件商標を出願したとは到底考えられない。

以上のことから,商標権者は,我が国及び外国において周知な申立人の商標「TWEET」が,本件商標の指定商品について我が国で登録されていないことを奇貨として,先取り的に本件商標の登録出願をしたものであり,かつ,我が国で著名な引用商標の存在を知りつつ,それに化体した信用や名声等に対してただ乗りする目的で,本件商標の登録出願をしたものと優に推認されるものである。

したがって,本件商標は,他人である申立人の商標として日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている商標「TWEET」と同一の商標であって,不正の目的をもって使用するものであることは明らかであるから,商標法第4条第1項第19号に該当するというべきである。

エ 我が国における判決及び審決

商標法第4条第1項第19号該当性について判断した裁判例や審決例は多数存在し(甲56〜甲67),いずれも日本国内又は外国における著名商標と同一又は類似する商標を出願・登録した商標権者の不正の目的を認定している。

上記の事情を斟酌すれば,過去の裁判例及び審決による商標権者の不正の目的の認定に至る説示は,本件商標の採択及び出願に至った商標権者にも当てはまるものと考える。

オ 小括

以上のとおり,商標「TWEET」は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の商標として我が国及び世界中の需要者の間に広く認識されている商標であって,本件商標は,商標権者が申立人の「TWEET」の著名性に便乗し,これと同一の文字からなる本件商標の独占排他的使用を得ようとする不正の目的に基づいて出願・登録されたものであることは明らかである。

したがって,本件商標は,その登録出願時及び登録査定時において世界的な著名性を獲得していた引用商標と同一の商標であり,その商標権者の不正の目的によって出願されたものであるから,出所混同のおそれがあるか否かにかかわらず,商標法第4条第1項第19号に該当する。

(4)結び

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同法第4条第1項第19号に該当するものである。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

申立人提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査(インターネット情報,新聞記事情報など)によれば,申立人は我が国を含む世界各国で「TWITTER(ツイッター)」と称する「コンピュータやスマートフォン等を利用したリアルタイムで行うことができるコミュニケーションサービス」を提供し,2010年(平成22年)の我が国のツイッター閲覧者数は月に約1200万人,2018年(平成30年)12月時点における我が国の月間アクティブユーザー数は4500万以上とされており,さらに近時の官民における当該サービスの利用状況など(甲5〜甲7,ほか。職権調査)を併せみれば,「TWITTER」「ツイッター」の文字は,申立人が提供する上記サービス(以下「申立人役務」という。)を指称するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められる。

しかしながら,「ツイート」の文字は,それが申立人役務に係るウェブページにおいて,「ツイッターに投稿すること,及びその投稿」を意味するものとして,他のいくつかの語と並べて表示されていることが確認できるものの(甲11,甲12,甲14,甲16ほか),かかる表示態様によっては,看者をして申立人の業務に係る役務又は商品を表示するものとして認識されることなく,単に投稿数や投稿の内容などを表すための一つの項目として認識されるものと判断するのが相当である。

そうすると,「ツイート」の文字は,申立人の業務に係る役務又は商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

また,「TWEET」及び「つぶやく」の文字は,いずれも申立人の業務に係る役務又は商品について使用されている事実が確認できないから,申立人の業務に係る役務又は商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

してみれば,「TWEET」「ツイート」及び「つぶやく」の文字からなる引用商標は,いずれも申立人の業務に係る役務又は商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。また,それらが申立人の業務に係る役務又は商品について外国において使用されている事実も確認できないから,それらは外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることもできない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 本件商標と引用商標との類似性の程度について

本件商標は,上記1のとおり,「TWEET」の文字を表してなり,引用商標1及び2は,上記2(1)及び(2)のとおり,「TWEET」の文字,引用商標3は,上記2(3)のとおり,「ツイート」の片仮名,引用商標4は,上記2(4)のとおり,「つぶやく」の平仮名からそれぞれなるものである。

そうすると,本件商標は,引用商標1及び2と同一の商標といえるものであるから,類似性の程度は極めて高いものであり,引用商標3とは類似するものであり,また,引用商標4とは非類似の商標であって別異の商標といえる。

イ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度について

上記(1)のとおり,引用商標は,いずれも申立人の業務に係る役務又は商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。

また,引用商標は,いずれも既成の単語及びその読み並びに意味を表したものといえるから,独創性の程度は低い。

ウ 本件商標の指定商品と引用商標に係る指定役務等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度について

本件商標の指定商品は,上記1のとおり,「日本酒,清酒,泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,直し,みりん,濁酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」であり,引用商標の指定商品及び指定役務は,上記2のとおり,酒類とは関連しない商品及び役務であるから,両者の性質,用途又は目的における関連性の程度は極めて低いものである。

なお,本件商標の指定商品と申立人役務とは,両者の一般的,恒常的な取引の実情からすれば,両者の性質,用途又は目的における関連性の程度は極めて低いとみるのが相当である。

エ 商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情について

上記ウのとおり,本件商標の指定商品と引用商標に係る指定役務等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度は極めて低いものであるから,取引者及び需要者の共通性も極めて低いといえる。

オ 出所の混同を生ずるおそれについて

上記アのとおり,本件商標は,引用商標1及び2と同一の商標といえ類似性の程度が極めて高く,また,引用商標3と類似するものであるが,引用商標4とは非類似の商標であって別異の商標であること,上記イないしエのとおり,引用商標はいずれも申立人の業務に係る役務又は商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであって,独創性の程度が低いこと,本件商標の指定商品と引用商標に係る指定役務等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに両者の取引者及び需要者の共通性がいずれも極めて低いことを併せみれば,本件商標は,これに接する取引者,需要者が引用商標を連想又は想起することのないものと判断するのが相当である。

そうすると,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他,本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第19号該当性について

上記(2)アのとおり,本件商標は,引用商標1ないし3と同一又は類似のものであるが,引用商標4とは非類似の商標であり,上記(1)のとおり,引用商標はいずれも申立人の業務に係る役務及び商品を表示するものとして,我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,上記(2)オのとおり,本件商標は引用商標を連想又は想起させるものではない。

そうすると,本件商標は,引用商標の名声,信用等にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(4)むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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