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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35562号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2720338号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり「RED WING」の文字を横書きしてなり、第17類「洋服、コート、和服、溶接マスク、防毒マスク、防じんマスク、防火被服、帽子、ナイトキヤツプ、ずきん、ヘルメツト、すげがさ、頭から冠る防虫網、布製身回品、寝具類」を指定商品として昭和60年6月10日に登録出願され、平成9年4月4日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が引用する登録第791179号商標(以下「引用商標」という。)は、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和41年6月29日に登録出願、同43年8月20日に設定登録され、その後同63年10月25日及び平成10年9月16日の2回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

第3 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は、「本件商標の登録は無効とすべきものとする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第22号証(枝番号を含む。)を提出している。

2 請求の理由

本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号に該当し、同法第46条第1項第1号の規定に基づいて無効とされるべきものである。

(1)本件商標と引用商標とを比較検討すると、本件商標は、「RED WING」のローマ字を書して成るところ、これをその指定商品との関係よりみると、本件商標の指定商品は、その色彩が、商品の品質を表示するためのものとして最も重要な要素となり得るものであり、したがって、商標中の色彩を表示する部分は、商品の品質(色彩)を表示する形容詞的な部分であって、自他商品の識別標識としての識別機能を果し得ない部分であるというを相当とし、商標のその余の部分が、商標の最も重要な部分、いわゆる商標の要部であるといわなければならないところである。

しかして、本件商標を構成する「RED」の文字部分は、容易に一般世人をして、「赤色」を意味する英語又は外来語として、理解し、認識するものというを相当とするところである。

してみれば、「RED WING」の文字を書して成る本件商標は、「レッドウイング」の称呼を生ずる場合があるとしても、商標の要部である、「WING」の文字部分より、単に「ウイング」のみの称呼をも生ずるものといわざるを得ないものである。

他にこれを、常に一連一体のものとしてのみ、称呼、観念しなければならない格別の事情も存しないものである。

一方、引用商標は、その構成上、「ウイング」の称呼を生ずるものであること明らかなところである。

そうであるとするならば、本件商標と引用商標とは「ウイング」の称呼を共通にする、互いに称呼上、彼此相紛らわしいものであるという外はないところである。

請求人の上記主張理由の正当性を立証すべく、本件商標と同じ(旧)第17類に属する事件で、「RED」その他の色彩表示との結合商標における類否を争点とする、特許庁の過去の審決例を挙げて、請求人は、これを自己の主張理由に有利に援用することとする。

(2)さらに、請求人は、引用商標を付した自己の業務に係る商品について、昭和50年より今日に至るまでの間、継続して製造し、日本全国にわたって販売をし続けた結果、現在においても、請求人の業務に係る商品を表示するための商標として、取引者及び需要者の間において極めて広く認識されるに至っている周知、著名な商標であることを立証するために、京都商工会議所を初めとして、東京商工会議所及び請求人の取引者の証明書を提出するものである。(甲第20号証ないし甲第22号証)

これによって、請求人の引用商標が、自己の業務に係る商品を表示するものとして、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されるに至っている商標であることが認められるところである。

してみれば、本件商標は、引用商標と「ウイング」の称呼及び観念の点において、互いに彼此相紛らわしい類似の商標であるといわなければならず、かつ、本件商標の指定商品が、引用商標のそれに包含されていること明らかなところであり、しかも、引用商標が、請求人の業務に係る商品を表示するためのものとして、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されるに至っている周知、著名な商標であるから、本件商標をその指定商品について使用をするときは、これらに接する取引者及び需要者をして、その商品が、請求人の取り扱いに係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれの充分にある商標であるといわざるを得ないので、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。

したがって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号の規定に基づいて、その登録は、無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第22号証を提出している。

(1)本件商標は被請求人の商号の略称からなるので一体不可分のものとして取り扱われる。

(イ)商号商標の取扱い

本件商標は被請求人の商号であるRED WING SHOE Co.Inc.から、業種を示す「SHOE」と組織形態を表示する「Co.lnc.」の部分を除いたいわば被請求人の固有の名称からなるものである。

商号は全体として始めて特定の会社を指すことができるものであって、その一部をもってしてはその機能を果たせない。

したがって、実際の取引においては、商号は略称されることはない。かりに、略称される場合といっても、株式会社等の組織を表す部分ないしは例えば、「金属」、「石油」の如く当該会社が取り扱っている業種を示す部分が省略されるに止まる。もし、商号の固有の名称の部分がその一部をもって略称されると、そのような略称では特定の会社を指すことができず、商号の機能を果たすことができないものとなる。

商号からなる商標も上記した商号に対する取引上の取扱いに合わせて、原則として一体不可分のものとされる。けだし、商号からなる商標はその商品の取扱い者を直裁に取引者、需要者に知らしめようとする意図の下で採択されるものであり、取引者、需要者も商号によって示される商品の取扱い者を意識して当該商標に接するすなわち、商号からなる商標は商号的側面を持つものとして取り扱われるからである。そして、このような商標が略称される場合も、商号の取扱いと同じく株式会社等の組織を表す部分ないしは業種を示す部分が除かれるだけであって、固有の名称部分はその一部をもって略称されることはない。

以上の如く、商号中の固有の名称部分からなる商標は、固有の名称部分が特定の会社を指すものとして(商号として)使用される場合には決して略称されることがないのと同じく、その一部をもって略称されるものではない。この取扱いは国際化が進み、外国の商品が数多くわが国で販売されるようになり、外国会社の商号に接する機会が増えた現在では、内外の法人を問わないものとなっている。

現に、被請求人の取扱いに係る商品は、後述するように、日本で永年に渡って使用され、この使用に応じて被請求人自身も書籍等において紹介されることが多いが、この際にはいずれの場合にも「レッドウィング(RED WING)」として表示され、「ウィング(WING)」と表示されることはない。

(ロ)RED WINGの著名性

しかも、本件商標は被請求人の商号の略称としてすでにわが国においても著名なものとなっている。この事情により、なお一層、本件商標の一体不可分性は強固なものとなる。

被請求人の歴史は1905年にさかのぼる。当時、レッドウイングの町や周辺に入植していた開拓者たちは、ミシシッピー川の水運を利用して事業を興そうと考えていた。毛皮の取引でレッドウイングの町に出入りしていたチャールズ・べツクマンもそのひとりだった。彼は6人の仲間を集めて、相談の結果、当時アメリカには質の高い靴がなかったため、靴工場を始めることにした。その靴工場の名前はRED WINGSHOE Co.lnc.とした。その製品はありきたりのヨーロッパデザインではなく、独自のデザインのワークブーツであった。そして、この靴の商標として「RED WING/SHOES」が選択された。この商標「RED WING/SHOES」は時には「RED WING」とも略称された。

日産150足の割で作られた靴はミシシッピ一川で運ばれると、中部アメリカで飛ぶように売れ、事業は大成功だった。

1921年に就任した第3代社長のスウィジーは自らハンティング、山歩きを愛するアウトドア・スポーツマンであって、そのフィールド経験を生かして多くのユニークな靴を考え出した。スウィジーが社長に就任してからは、被請求人の売り上げは100万ドルを越えるまでになった。現在、被請求人は高品質を売り物にアメリカ・ワークシューズ市場の30パーセントを占めるまでに成長した。そして、アメリカでは被請求人の靴は価格は高いがはけばはくほど足になじみ型くずれしない最高級品として認められており、また、世界においても被請求人の靴は最も美しいブーツのひとつに数えられている(乙第1号証アメリカン・スピリッツ)。このように、被請求人はワークシューズ市場では品質・市場専有率・知名度で群を抜く存在となったのである(乙第2号証英和商品名辞典)。その結果、「RED WING」は被請求人のハウスマークの略称として、また、被請求人の商号の略称としても周知、著名なものとなったのである。

わが国においても1970年頃より本件商標を付した被請求人の靴が輸入され始め、その優れた品質によりわが国の需要者、取引者にも好評を博し、爾来今日に至っている。

特に、わが国においても近年アウトドア・スポーツ、郊外でのレジャーが盛んになり、これらのスポーツ、レジャーに欠くべからざるものとしてワークブーツは日本人の生活に入り込んできた。これは被請求人のワークブーツの需要がわが国でも上がることを意味している。また、アウトドア・スポーツ、郊外でのレジャーの普及によりワークブーツは一般的なものとして取り上げられ、ファッション雑誌にも載るようになった(乙第3号証MEN’S CLUB)。上述したように、被請求人のワークブーツはアメリカにおいては品質・市場専有率・知名度で群を抜く存在であったが、わが国においても、その優れた品質の故に好評を博し、その実績からわが国でもベストのものとされている(乙第4号証ダンディに技あり)。

また、被請求人のワークブーツは古くから雑誌等でも紹介されていた(乙第5号証Made in U.S.A.1975及び同第1号証アメリカン・スピリッツ)。ここで、注意すべきは、これら雑誌に掲載されて被請求人のワークブーツ及び被請求人自身が著名なことはもちろんであるが、このような雑誌に掲載されるものはある程度需要者間で著名なものとなっているということである。すなわち、上記雑誌に掲載されること自体、被請求人のワークブーツがある程度著名であったことを意味するのである。被請求人のワークブーツがすでに1975年頃の雑誌に掲載されており、その後、ワークブーツの使用が不可欠なアウトドア・スポーツ、郊外でのレジャーが普及したことに鑑みると、現在では、被請求人のワークブーツが著名なものとなっていることは疑いようもない。

ちなみに、アクセサリー、おもちゃ、家具、楽器、靴、化粧品、コンピューター、酒、自動車等の広範囲な商品に使用される世界中の商標の中から選ばれた9000のものの中にも被請求人のワークブーツは含まれている(乙第2号証英和商品名辞典)。世界中で使用される商標の数は膨大なものとなることからすれば、9000の数字が如何に限られたものであるか明らかである。そうであるとすれば、この中に選ばれた被請求人のワークブーツは著名な存在であることは自明なことである。

そして、添付の証拠方法から明らかなように、「RED WING」が被請求人のワークブーツのハウスマークの略称として、また、被請求人の商号の略称として使用されてきた。

以上述べた如く、永年にわたるわが国における使用、その靴に対する需要者、取引者の好評及び文献等への掲載の結果、現在、本件商標「RED WING」は著名な商標の略称となっているともに、被請求人の商号の略称としてもわが国でも周知、著名となった。本願の指定商品とワークブーツとは共に身に付けるものであり、しかも、本願の指定商品であるTシャツ、シャツ、スウェットシャツはワークブーツに似合うものとして、一緒に着用されることが多い。そのため、取引者、需要者がかなりの部分で重なり合うものと言える。また、ワークブーツがファッション雑誌に掲載されるようになった。これらの点に鑑みれば、本件商標の指定商品の分野でも「RED WING」の浸透度は大きいものとなったと言える。そのため、需要者、取引者は「RED WING」が一体として被請求人を指すものであると認識するに至っている。なお、被請求人はTシャツ、シャツ、スウェットシャツ自体も取り扱っており、わが国においてもこれら商品が販売されている(乙第6号証)。

取引上、ある商標が全体として特定の法人ないしは者を指すものであると認識できる場合には、これを観念上一体のものとして一体不可分性の強い商標として取り扱われるものであることは夙に知られている。

以上詳述した如く、本件商標は商標として取引上略称されることのない商号中の固有の名称の部分からなり、とりわけ、被請求人の商号の略称として著名なものである点で一体不可分のものとされると言える。

(2)本件商標の「WING」は他の語と結合し易い語であり、しかも、「RED WING」からは熟語的意味合いが感得できるので、本件商標は一体不可分のものと認識される。

(イ)「WING」の語としての結合性

「WING」は「clearwing(すばしばが科のか)」、「goosewing(補助帆)」、「lacewing(くさかげろう)」、「lapwing(たげり)」、「leftwing(左派の)」、「pigeonwing(仮装ダンス一種)」、「right wing(右派の)」、「wing back(アメリカンフットボールの攻撃法の陣形)」、「wing bar(翼の横骨)」、「wing chair(そでいす)」、「wing commander covert(雨おおい羽)」、「wing loading(翼面荷重)」、「wing man(パイロット)」、「wing mate(護衛機)」、「wing shot(飛ぶ鳥を撃つこと)」等さまざまな語と結合して、一定の意味ある語をつくるものである(乙第9号証)。しかも、「RED WING」自体も「わきあかつぐみ」を意味する既成語でもある(乙第9号証)。また、わが国には、「EAST WING」、「SOUTH WING」等の建物の位置を示す和製英語も存在する。

このように「WING」は他の語と結合しやすい語であって、需要者、取引者は「WING」の結合性を上記した語を通して熟知しているものと言えよう。そのため、需要者、取引者は「○○○WING」なる語を一体性のある語として把握する傾向にある。このような認識の下で、本件商標に接すれば、自ずと当該商標を一体性のあるものと捉えるであろう。

(ロ)商標としての結合性

さらに、商標選択においても、この「WING」の結合性に鑑みて、他の語と「WING」とを結合させた商標が数多く採択されている。本件商標の指定商品の分野も例外ではなく、「○○○○WING」及び「WING○○○○」なる商標が採択されている(乙第10号証)。

このことは取りも直さず本件商標の指定商品の分野でも「○○○○WING」及び「WING○○○○」なる商標が使用されていることを意味している。取引において商標の構成要素として頻繁に使用される語は次第に該語のみをもって商標を略称するものとならなくなる。けだし、取引上頻繁に商標の構成要素となる語をもって商標を略称するとしたら、当該商標が自他商品識別標識として機能できないものとなってしまうからである。それ故、本件商標は「WING」の部分をもって略称されない。

(ハ)本件商標の意味するものの実存性

しかも、「RED WING」は「わきあかつぐみ」を意味する観念上一体のものである。かりに、このことを知らない需要者、取引者であっても、本件商標が意味するものを実存的なものとして認識し、該商標を観念上一体性のあるものとして取り扱うものと考えられる。すなわち、本件商標が全体として「赤い翼」を意味するものであることは、現在の「RED」と「WING」の浸透度からして、取引者、需要者の誰もが理解できる。この本件商標が意味する「赤い翼」は「夕日に映える飛行機の翼ないしは鳥の翼」、「赤く塗られた飛行機の翼」等をイメージするものであって、これら「夕日に映える飛行機の翼ないしは鳥の翼」、「赤く塗られた飛行機の翼」は具体的な実像を容易に想像できるものであり、特に、「赤く塗られた飛行機の翼」なるものは実際に存在する可能性の高いものである。したがって、本件商標は一体として実存性の高いものを意味する点で熟語的意味合いがあると言える。

とりわけ、「翼」という語は「赤」という語と結合されることによって「赤い翼」なる意味を持つと人に強い印象を与えるものとなるようで、映画のタイトルとして「紅の翼」なるものがあり、その映画の主題歌の中でも「....紅の翼」と歌われている(乙第11号証キネマ旬報日本映画作品全集)。このように、「赤い翼」が人に強い印象を与えるものである以上、その一体性は極めて強いものである。

以上の如く、本件商標の「WING」が他の語と結合し易い傾向にある語であり、商標の構成要素としても頻繁に使用されるものであり、しかも、本件商標が全体として一体性の強い熟語的意味合いがある点からも、一体不可分のものと認識されるのである。

(3)本件商標は外観及び称呼上一体不可分のものである。

本件商標においては、その構成文字であるR・E・D・W・I・N・Gが同一の書体、同一の色彩、同一の大きさで記載されている。「RED」と「WING」との間に一文字程度の間隙を有するが、ローマ字書きからなる語にあっては記載に際して各単語間に一文字程度の間隙を設けるものとされていることからして、本件商標における一文字程度の間隙は極く自然なものである。すなわち、本件商標における構成文字は極く自然に記載されているのである。極く自然に記載されている「REDWING」が敢えて分離されるものとは考えられない。

本件商標の称呼「レッドウィング」は格別冗長なものではなく、澱みなく一連に称呼できるものである。特に、「レッド」も「ウィング」も取引者、需要者にはよく知られた語である点からもその称呼が容易なものである。この事情からすれば、「レッドウィング」が澱みなく称呼できないとは到底考えられない。したがって、簡易迅速を尊ぶ取引の実情に鑑みても、本件商標が「ウィング」と略称されるものとはならない。

以上の如く、外観及び称呼の点でも本件商標は一体不可分のものと認められる。

(4)結論

以上述べたように、本件商標は取引上一体不可分のものと認識され、「レッドウィング」のみの称呼をもって取り扱われるものと言える。一方、引用商標はその構成から「ウィング」の称呼をもって取り扱われる。本件商標の称呼「レッドウィング」と引用商標の称呼「ウィング」とは称呼上相紛れるものではない。

上述したことから明らかなように、本件商標は被請求人の商号の固有の名称なので、引用商標とは観念上相紛れることはない。

本件商標が引用商標と外観上相違することは多言を要しない。

なお、請求人は自己の主張を根拠付けるために審決例、異議決定を挙げるが、本件商標は被請求人の商号の固有の名称であって、需要者が該事実を知り得ていること、本件商標が既成語からなりかつその意味するものが実存性のあるものであること等の事情からして、本件とこれら審決例、異議決定は事案を異にする。

したがって、本件商標は引用商標とは非類似の商標であって、商標法第4条第1項第11号の規定には該当しない。

また、本件商標が引用商標に類似しない以上、引用商標の著名か否かにかかわらず、本件商標の使用によっては出所の混同を生じることはない。したがって、商標法第4条第1項第15号の規定にも該当しない。それ故、本件商標の登録は無効とされるべきものではない。

第5 当審の判断

(1)本件商標の周知性について

被請求人提出の乙第1号証ないし同第5号証によれば、以下の事実が認められる。

(イ)乙第1号証110頁「10年以上も使えるタフな一級品。美しさは折り紙つき」において

「(略)アメリカでは、レッドウイングの靴は高級品として扱われている。確かに、価格は高いが、はけばはくほど足になじみ、型くずれしない最高の品質といえるからである。(以下略)」の記載。

(ロ)乙第1号証112頁「ワークシューズの名品はここから生まれる」において

「1905年4月に日産150足でスタートしたレッドウイング社の靴作りは、現在日産7500足を作るところまで大きくなっている。もちろんその品質は落ちることなく、むしろ高まっている。特にコンピューターを導入した工場を1960年に建設してからは、独自の製品開発や製造機械開発など基幹となるセクションの充実がいちじるしいという。(以下略)」の記載。

(ハ)乙第1号証114頁「働く人たちのための靴、伝統のレッドウイング」において

「最高の品質のワークシューズだけを作り続けているレッドウイング社だが、その中でもアイリッシュ・セッターの人気は、1921年にデビューしてから60年以上も衰えることがなく、ワークブーツの原型とまでいわれている。ぶ厚い革、ガッチリとした縫い方、独特の白いラバーソールといった特徴を持ち、8インチと6インチのレングスのものがやはり人気の中心になっている。(以下略)」の記述。

(ニ)乙第2号証359頁「Red Wing レッドウィング」における以下の記載事実

米国のRed Wing Shoe Co.,Inc.の略・通称.同社製のワークシューズ・ハンティングブーツそれらの手入れ用のオイルやレザーコンディショナーも販売.同社は1905年にMinnesota州Red Wingで創業,ワークシューズでは品質・市場占有率・知名度で群を抜く存在.

(ホ)乙第3号証における以下の記載事実

レッドウイングREDWING「1905年、ミネソタ州・レッドウイングで、チャールズ・ベックマンらが堅牢なワークブーツを作り出したのが、レッドウィングの始まり。3代目の社長になったJ・R・スウィージーはハンティングやトレッキングを好むアウトドアマンだったが、彼が自らの経験を生かして1924年に名品「アイリッシュセッターモデル」を世に送り出した。このモデルは、基本的デザインはもちろん、素材や製法までほとんど当時と同じに作られている。

(ヘ)乙第4号証における以下の記載事実

レッドウイング「ワーク・ブーツはレッドウイングにどうやら落ち着きそうだ。世にも優れたブランドは数多くあるが、やはり実績からいって、日本ではレッドウイングがベストと呼ばれているようだ。レッドウイング社は1905年、ミネソタ州で生まれたメーカー。LAやサンフランシスコにも支店を持っており、ワーク・ブーツやスポーツ、レジャーのフットウェアしか作らないという自分のポリシーをしっかり持っている。」

(ト)乙第5号証WORK58「WORK BOOTSワークブーツこれがアメリカの靴」における以下の記載事実

アメリカが生んだフットウエアの最大傑作が、カウボーイブーツとワークブーツのふたつだろう。(略)<RED WING><HERMAN><CHIPPEWA><GEORGIA><DUNHAM’S><SANTA ROSA>といったところが、ワークブーツ・メーカーの有名どころだが、この他にもまだ沢山の小さなメーカーがあるけれど、この6社のものならまず間違いのないものを手に入れることができるだろう。

(チ)乙第5号証59WORK「RED WINGワークマンの誇りレッドウイング・ブーツ」における以下の記載事実

<レッドウイング>は、あまた数あるワークブーツのなかで、かなり上等なワークブーツとして知られている。ミネソタに本拠を置き、ロサンジェルス、サンフランシスコに専門店を出しているほどだ。ワーク、スポーツ、レジャー用の靴しか作らないところだけに誇り高いワークブーツ屋というカンジ。

以上の記載事実によれば、本件商標と同じ「RED WING」の文字またはその片仮名書きの「レッド ウイング」の文字は、請求人の業務に係るワークブーツ、スポーツ、レジャー用の靴の商標として、又は被請求人会社の略称として、本件商標の登録時においてはアメリカ及びわが国において周知なものとなっていたものと認めることができる。

そして、この場合「RED」の文字部分が商品の色彩を表すものとして認識されている証拠はなく、「RED WING」の全体をもって商標又は会社の略称として認識されているものと認められる。

(2)本件商標と引用商標の類否について

前記認定事実をもとに、本件商標と引用商標とが混同を生ずるほどに類似するものであるかどうかを判断すると、本件商標は、その商標中の「RED」の文字部分については商標の品質を表したものとして認識されることはなく、「RED WING」の全体をもって観察され、「レッドウイ(ィ)ング」の称呼をもって取り引きされ、また、乙第1号証、同第3号証ないし同第5号証において「RED WING SHOES」の文字とともに表された「翼とおぼしき図形」からすれば、「赤い翼」と観念して取り引きされているものと認められる。

そうだとすれば、請求人が引用する「WING」の商標がたとえその指定商品中の「女性用下着、ねまき類」等の商品について周知なものであるとしても、本件商標は前記認定のとおり、請求人の業務に係るワークブーツやスポーツ、レジャー用の靴の商標として又は被請求人会社の略称として周知なものであり、請求人の業務に係る前記商品も、引用商標の指定商品もともにファッションに関係する需要者層を共通にする商品であることからすれば、本件商標は引用商標と混同を生ずるおそれはなく、互いに類似するものでないというのが相当である。

請求人は、本件商標の「RED」の文字部分については本件商標の指定商品を取り扱う業界にあっては、商品の色彩を表すものとして普通に使用されているものであるからこの文字部分については商品の出所表示としての機能を有しない部分であると述べる。

たしかに、本件商標の指定商品を取り扱う業界にあっては、「RED」や「レッド」、「赤」など英語表記日本語表記にかかわらず、色彩については商品の品質を表すものとして普通に使用されていることも事実である。

しかし、引用商標については前記認定のとおり、取引者、需要者は商標中の「RED」の文字部分を商品の色彩を表す部分として捉えるのではなく、「RED WING」の全体を被請求人の商標として又は略称として認識しているといえるものであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでない。

第6 結論

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、商標法第46条第1項第1号の規定によりその登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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