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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−16039(T2018−16039/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は,登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類及び第42類に属する願書記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成29年5月1日に登録出願され,その後,指定商品及び指定役務については,当審における令和2年1月17日受付の手続補正書により,第9類「カメラ用三脚,写真撮影用フラッシュ,フィルター(写真用のもの),カメラ(写真用のもの),写真装置用スタンド,写真機械器具,電池,スライドフィルム,カメラ用レンズ,広角レンズからなるパノラマカメラ」及び第42類「技術的事項に関する研究,パノラマ式画像処理技術の分野に関する技術的助言,パノラマ式画像処理技術の研究及び開発,材料検査,パノラマ式画像処理用ソフトウェアの設計,データ又は文書の物理媒体から電子媒体への変換,情報技術(IT)に関する助言,電子データの保存用記憶領域の貸与」と補正されたものである。

2 引用商標

原査定において,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。

なお,以下の登録商標をまとめて「引用商標」という。

(1)登録第5702480号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

優先権主張:2013年(平成25年)3月4日 アメリカ合衆国

登録出願日:平成25年9月4日

設定登録日:平成26年9月12日

指定商品及び指定役務:別掲3のとおり

(2)登録第5851799号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:INSTA

優先権主張:2015年(平成27年)5月21日 アメリカ合衆国

登録出願日:平成27年11月20日

設定登録日:平成28年5月20日

指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

(3)国際登録第1119698号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:INSTAR

国際商標登録出願日:2012年(平成24年)4月27日

設定登録日:平成25年4月26日

指定商品 :第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品

3 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は,本願商標の構成中「Insta」の文字部分を分離抽出し,これと引用商標とが類似する商標であるから,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとしたものである。

4 当審の判断

(1)本願商標の指定商品と引用商標1ないし引用商標3との指定商品について

本願商標の指定商品は,上記1のとおり補正された結果,引用商標1ないし引用商標3の指定商品と同一又は類似の商品はすべて削除され,引用商標1ないし引用商標3の指定商品と類似しない商品となった。

したがって,本願商標の指定商品は引用商標1ないし引用商標3の指定商品との関係において,商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定の拒絶の理由は,解消した。

(2)本願商標と引用商標1との類否について

本願商標は,別掲1のとおり,黒色と白色で描かれた4つの円をモチーフとした図形(以下「本願図形部分」という。)の右横に,やや丸みを帯びデザイン化された書体で「Insta360」の文字を表してなるところ(以下「本願文字部分」という。),本願図形部分と本願文字部分との間には,一文字分程度の間隔があり視覚的に分離して看取し得るものである。

そして,本願図形部分は抽象的な図形であるから,特定の称呼及び観念を生じないものである。

また,本願文字部分中の「Insta」の文字は,辞書等に掲載された語ではないから,一種の造語とみるのが相当であって,特定の観念を生じないものであり,「360」の数字と結合した本願文字部分全体からも,特定の観念を生じないものである。

そうすると,本願図形部分と本願文字部分は,観念上の関連性を有するものであるということはできない。

したがって,本願商標は,その構成における本願図形部分及び本願文字部分のそれぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず,本願図形部分と本願文字部分は,各々,自他役務識別標識としての機能を有するものと認められる。

次に,本願文字部分は,やや丸みを帯びデザイン化された書体で,同大,等間隔に表され,全体に統一感のある一体的なものとして把握し得るものである。

また,本願文字部分中の「Insta」の文字は,上記のとおり一種の造語であって特定の観念を生じないものであるから,「Insta」の文字及び「360」の数字は,その指定役務との関係において,両者のいずれかの語が,役務の出所識別標識としての称呼及び観念を生じないというものではなく,また,両者のいずれかが取引者,需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとも認めることはできない。

さらに,本願文字部分から生じる「インスタサンロクゼロ」又は「インスタサンビャクロクジュー」の称呼は,格別冗長というべきものでなく,無理なく一連に称呼し得るものである。

そうすると,上記構成態様及び称呼を併せ考慮すれば,本願商標に接する取引者,需要者は,その構成中の「Insta」の文字部分又は「360」の数字のみに着目することなく,その構成文字全体を一体のものとして看取,把握するとみるのが相当である。

また,ほかに,本願商標の指定役務との関係において,本願文字部分の一部のみが殊更に分離,抽出され,独立して取引に資されるというべき特段の事情も見いだせない。

してみれば,本願商標の構成中の「Insta」の文字部分を分離,抽出して他の商標との類否判断を行うことは許されないものというのが相当である。

したがって,本願文字部分は一体不可分のものであるといわなければならない。

(3)まとめ

以上のとおり,本願商標の指定商品は,補正により引用商標1ないし引用商標3に係る指定商品とは非類似の商品となり,また,本願商標の指定役務と引用商標1の指定役務が類似するとしても,本願商標の構成中「Insta」の文字部分を分離,抽出し,その上で,本願商標と引用商標1とが類似するものとして,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は,取消しを免れない。

その他,本願について拒絶の理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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