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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−7755(T2019−7755/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類「録画済DVD,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,電子出版物,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,電気通信機械器具,スマートフォン・タブレット型コンピュータ用アプリケーションソフトウェア,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,スマートフォン,腕時計型携帯情報端末,タブレット型携帯情報端末,スマートフォン用のケース又はカバー,タブレット型携帯情報端末用のケース又はカバー」及び第45類「動物の貸与,愛玩動物の世話及びこれに関する情報の提供,愛玩動物の葬儀の執行に関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として,平成29年12月25日に登録出願されたものである。

第2 引用商標

原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第4473896号商標(以下「引用商標1」という。)

・商標の構成:別掲2のとおり

・登録出願日:平成12年2月10日

・設定登録日:平成13年5月11日

・指定役務:第42類「葬儀の執行」を含む第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務

(2)登録第5987899号商標(以下「引用商標2」という。)

・商標の構成:別掲3のとおり

・登録出願日:平成27年11月9日

・設定登録日:平成29年10月13日

・指定商品:第16類「写真,写真立て」を含む第16類,第20類,第21類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

第3 当審の判断

1 商標の類否判断について

「商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであり,かつ,その商品の取引の実情を明らかにしうる限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である。

また,複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合は,一つの称呼,観念が他人の商標の称呼,観念と同一又は類似であるといえないとしても,他の称呼,観念が他人の商標のそれと類似するときは,両商標はなお類似するものと解するのが相当である。」(最高裁昭和39年(行ツ)第110号 同43年2月27日判決,最高裁昭和37年(オ)第953号 同38年12月5日判決,知財高裁平成31年(行ケ)第10020号 令和元年9月12日判決参照。)

上記の観点から,本願商標と引用商標2との類否について判断する。

2 本願商標について

本願商標は,別掲1のとおり,「ZOO」の文字を黒色で横書してなるところ,その構成文字は,冒頭の「Z」の文字は横線を太く,これに続く「OO」の文字は縦方向の曲線部分を太く表したものである。

そして,「ZOO」の文字は,「動物園」を意味する英語として我が国において広く知られるものである(「ランダムハウス英和大辞典 第2版」株式会社小学館発行,「コンサイスカタカナ語辞典第4版」株式会社三省堂発行)。

したがって,本願商標は,その構成文字に相応して「ズー」の称呼を生じ,「動物園」の観念を生じるものである。

3 引用商標2について

(1)引用商標2は,別掲3のとおり,上下4段の構成部分からなるものであり(a)上から第1段に,青色と赤色で着色した屋根又は覆いのようなものの頂点に旗を有する図形(以下「屋根図形」という。)を配し,(b)第2段に,「THE」の文字を,各文字の縦線を太くし,字画末端部の一部をカーブさせた黒色のセリフ(字画末端部に爪のような張り出し部)を有する書体で表してなり,(c)第3段に,「ZOO」の文字を,各文字の全体を太くした黒色のサンセリフ(字画末端部に爪のような張り出し部がない)の書体で最も大きく表してなり,(d)第4段に,上段部分を柵のように表し,下段部分を青色と赤色で着色した円筒型の図形(以下「円筒図形」という。)を配してなるものである。

(2)引用商標2の上記(a)ないし(d)の各構成部分は,それぞれが間隔を空けて配されており,また,それぞれに色彩,態様,大きさの違いがあることから,外観上,明確に分離して看取されるものである。

また,引用商標2の構成中の「ZOO」の文字は,「THE」の文字に比して略2倍の大きさで表され,「屋根図形」及び「円筒図形」に比して横幅が略2.6倍の大きさで,全体の中央部分に表されていることから,外観上,見る者の注意を最も強く引く部分であると認められる。

(3)引用商標2の構成中,「屋根図形」及び「円筒図形」は,それぞれ,屋根又は覆いのようなもの及び旗,一部分を柵のように表した円筒型の図形を表すものと認められるとしても,一義的な観念や特定の称呼が生じるものとまでは認められないから,当該「屋根図形」及び「円筒図形」と「THE」及び「ZOO」の文字部分とは,直ちに観念上のつながりがあるものとは認められない。

(4)引用商標2の文字部分である「THE」及び「ZOO」の文字のうち「THE」の文字は,英語の定冠詞(名詞の前に付して強調する働きを有する)として我が国において広く知られるものであり(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行),それ自体に格別の意味はないものであるのに対し,「ZOO」の文字は,上記2のとおり,「動物園」を意味する英語として我が国において広く知られるものであり,引用商標2の指定商品との関係において,商品の品質等を表す記述的な記載とみることはできない。

(5)以上のとおり,引用商標2の外観上,(a)ないし(d)の各構成部分は,それぞれが間隔を空けて配されており,また,それぞれに色彩,態様,大きさの違いがあることから,明確に分離して看取されるものであること,引用商標2の構成中の「ZOO」の文字は,「THE」の文字に比して略2倍の大きさで表され,「屋根図形」及び「円筒図形」に比して横幅が略2.6倍の大きさで,全体の中央部分に表されていることから,外観上,見る者の注意を最も強く引く部分であると認められること,引用商標2の文字部分と「屋根図形」及び「円筒図形」とは,観念上のつながりがあるものとは認められないこと,「THE」の文字は,英語の定冠詞として我が国において広く知られるものであり,それ自体に格別の意味はないものであるのに対し,「ZOO」の文字は,「動物園」を意味する英語として我が国において広く知られるものであり,引用商標2の指定商品との関係において,商品の品質等を表す記述的な記載とみることはできないことを総合して考慮すると,引用商標2に接する取引者,需要者は,引用商標2を常に一体不可分のものとして認識するだけでなく,外観上,見る者の注意を最も強く引く部分である「ZOO」の文字部分を,商品の出所識別標識として,他の文字及び図形部分とは独立した顕著な文字部分として認識するものということができる。

そうすると,引用商標2は,その構成中の「ZOO」の文字部分を他の文字及び図形部分から分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認めることはできないというべきである。

してみれば,引用商標2は,その構成中の「ZOO」の文字部分を要部として抽出し,この部分だけを本願商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。

したがって,引用商標2は,要部である「ZOO」の文字部分に相応して「ズー」の称呼を生じ,「動物園」の観念を生じるものである。

4 本願商標と引用商標2との類否について

本願商標と引用商標2の類否について検討すると,本願商標を構成する「ZOO」の文字と引用商標2の要部である「ZOO」の文字部分とは,書体が異なるものの,ともに黒色でつづりが同一であることから,外観上,近似した印象を与えるものである。

次に,称呼においては,本願商標を構成する「ZOO」の文字と引用商標2の要部である「ZOO」の文字部分とは,ともに「ズー」の称呼を生じるから,称呼上,同一である。

さらに,本願商標を構成する「ZOO」の文字と引用商標2の要部である「ZOO」の文字部分とは,ともに「動物園」の観念を生じるから,観念上,同一である。

以上によれば,本願商標と引用商標2とは,その要部において,外観上近似した印象を与えるものであって,称呼及び観念を同一にするものであるから,その外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,全体的に考察すれば,両商標は,商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。

5 本願の指定商品と引用商標2の指定商品の類否について

本願の指定商品中,第9類「録画済DVD,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,電子出版物」と,引用商標2の指定商品中,第16類「写真,写真立て」とは,販売部門,需要者の範囲等を共通にする同一又は類似の商品である。

6 小括

以上によれば,本願商標は,引用商標2と類似する商標であって,かつ,本願の指定商品と引用商標2の指定商品が同一又は類似の商品であるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。

7 請求人の主張について

(1)請求人は,引用商標2は,構成全体が一体不可分のものとして取引者,需要者に認識されるものであり,本願商標と引用商標2の文字部分を比較してみても,文字の構成態様など顕著な差異を有するものであるから,本願商標と引用商標とは,外観における相違が顕著で明確であって,称呼の共通性が外観における差異を凌駕するものでは決してなく,外観,称呼及び観念を総合して考察すると,非類似の商標である旨主張する。

しかしながら,引用商標2は,その構成中の「ZOO」の文字部分を抽出し,この部分だけを本願商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきであることは,上記3のとおりである。

また,本願商標は,「ZOO」の文字を黒色で横書きしてなり,冒頭の「Z」の文字は横線を太く,これに続く「OO」の文字は縦方向の曲線部分を太く表してなるものの,それ以上に文字の描画や構成文字の配置の仕方に格別の特徴があるとは認められず,その態様が取引者,需要者に対し特段の強い印象を与えるものではない。これに対し,引用商標2の構成中の「ZOO」の文字部分も,各文字の全体を太くした黒色のサンセリフの文字で表してなるものの,その態様が取引者,需要者に対し特段の強い印象を与えるものではない。

そうすると,本願商標と引用商標2の「ZOO」の文字部分の外観上の相違が,両商標の類似性を否定するに十分なものであるとは認められない。

(2)請求人は,「ZOO」の文字を含む複数の商標が商標登録されている事例や,外観が異なるものの同一の称呼が生じると認められる登録商標が併存している事例を挙げて,本願商標と引用商標2とは非類似の商標である旨主張する。

しかしながら,上記事例における各登録商標と本願商標及び引用商標2とは,その構成態様が異なるものであるから,上記事例をもって直ちに,本願商標と引用商標2が非類似の商標であるということはできない。

(3)したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。

8 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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