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Trademark Appeal Case

「×」結合商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−1105(T2019−1105/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「乳酸菌のチカラ×美白×植物のチカラ」の文字を横書きしてなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成29年9月6日に登録出願、その後、本願の指定商品については、当審における同31年1月28日付け手続補正書により、第3類「美白用のせっけん類,美白用の化粧品」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、『乳酸菌のチカラ×美白×植物のチカラ』の文字及び記号を書してなるところ、その構成中『チカラ』の文字部分は、『能力』等の意味合いを表す『力』に通じるものであるから、『乳酸菌のチカラ』及び『植物のチカラ』の文字部分からは、『乳酸菌の力(能力)』及び『植物の力(能力)』程の意味合いが認識されるものである。そして、構成中の『×』の記号は、『掛ける』に通じるものであるが、『○○×○○』の文字が『プロテイン×青汁(プロテインと青汁)』のように、『○○と○○』程の意味合いを表すものとしても使用されている。また、近年、『乳酸菌の力(能力)』、『植物の力(能力)』を利用した各種商品が製造、販売され、化粧品に関連する分野においても『乳酸菌の力(能力)』、『植物の力(能力)』を利用した商品が製造、販売されている。さらに、美白化粧品は、しみ、そばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑える効能等を備えたものであるが、乳酸菌発酵代謝液や植物抽出成分を配合した美白用の商品も製造、販売されている実情がある。そうすると、本願商標を、その指定商品中『美白用の商品』に使用しても、これに接する需要者等は、該商品が『乳酸菌の力(能力)と植物の力(能力)を利用した商品』程の意味合いを表したもの、あるいはそれを強調して表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないとみるのが相当であり、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋

当審において、審判長は、請求人に対し、令和元年9月4日付けで、別掲のとおりの事実を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答(要旨)

請求人は、前記3の審尋に対し、令和元年10月21日付け回答書を提出し、要旨以下のように主張した。

(1)本願商標は、外観及び称呼において、一体不可分に認識される商標である。本願商標に接する取引者、需要者が本願商標を「乳酸菌のチカラ」「美白」及び「植物のチカラ」に分離し、その各々の意味合いを認識した上で、再びこれらの意味同士を結びつけて本願商標の意味合いを認識することは、取引の場においては極めて不自然である。そのため、取引の場においては、本願商標は、全体としては何らの意味合いをも認識させることのない造語商標であり、仮に、別掲に述べられたような事実があるとしても、自他商品の識別標識として認識し、また、商品の品質、効能の誤認を生ずるおそれもない。

(2)「乳酸菌のチカラ」「美白」「植物のチカラ」それぞれを単独で使用した場合には、本願の補正後の指定商品との関係においては、自他商品の識別標識として機能し得ないか又は極めて弱いものである。しかしながら、本願商標は、「乳酸菌のチカラ」「美白」及び「植物のチカラ」という、識別力がないか極めて弱い文字同士を記号「×」を介して外観上まとまりよく結合させた商標であるといえ、このような構成の商標については、その構成中のいずれかの文字部分のみが着目され記憶されることはなく、構成文字全体が一種の造語として認識され、取引者、需要者に認識、把握されるとみるのが相当である。

(3)審尋においては、商品の「効能や原材料(有効成分)」を組み合わせて表す際に「×」の記号が使用されていることを、本願商標が自他商品の識別標識としては認識し得ない根拠の一つとして挙げている。しかしながら、「乳酸菌のチカラ(力)」の文字が「乳酸菌の『効能』」ほどの意味合いで、「植物のチカラ(力)」の文字が「植物の『効能』」ほどの意味合いで、「美白」の文字が肌を美しく白くする効能をうたう商品に、それぞれ一般に使用されている旨述べられていることからして、商品の「効能」を組み合わせて表す際に「×」の記号が使用されていることのみが上述の根拠とされるべきであり、商品の「原材料(有効成分)」を組み合わせて表す際に「×」の記号が使用されていることを根拠とするのは全く妥当ではない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本願商標は、前記1のとおり、「乳酸菌のチカラ×美白×植物のチカラ」の文字を横書きしてなるところ、その文字構成から、「乳酸菌のチカラ」、「美白」及び「植物のチカラ」の文字とを「×」の記号を用いて結合してなるものと看取、把握されるものである。

そして、本願商標の構成中、「乳酸菌」の文字は「乳酸発酵に関与する細菌の総称」の意味を、「美白」の文字は「肌の美しく白いこと」の意味を、「植物」の文字は「動物と対立する一群の生物」の意味を有する語であり、「チカラ」の文字は「効能」等の意味を有する「力」の文字(いずれも「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店))を片仮名表記したものと容易に認識されるものであるから、「乳酸菌のチカラ」の文字は「乳酸菌の効能」ほどの意味合いを、「植物のチカラ」の文字は「植物の効能」ほどの意味合いを容易に理解、認識させるものである。

そして、本願の指定商品を取り扱う業界において、「乳酸菌のチカラ(力)」の文字が「乳酸菌の効能」ほどの意味合いで(別掲1)、「植物のチカラ(力)」の文字が「植物の効能」ほどの意味合いで(別掲2)一般に使用されている事実があり、「美白」の文字についても、肌を美しく白くする効能をうたう商品に一般に使用されている事実がある(別掲2(3)、別掲3(1)ないし(3))。さらに、商品の効能や原材料(有効成分)を組み合わせて表す際に、「×」の記号が一般に使用されている事実がある(別掲3)。

これらの事実を踏まえると、本願商標は、構成全体として「乳酸菌の効能と植物の効能を有する美白用の商品」を表したものと理解させるというべきであるから、これをその指定商品中「乳酸菌の効能と植物の効能を有する美白用の商品」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。

してみれば、本願商標は、その商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、上記商品以外の指定商品に使用するときは、商品の品質、効能の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張について

請求人は、本願商標は、「乳酸菌のチカラ」「美白」及び「植物のチカラ」という、識別力がないか極めて弱い文字同士を記号「×」を介して外観上まとまりよく結合させた商標であるといえ、このような構成の商標については、その構成中のいずれかの文字部分のみが着目され記憶されることはなく、構成文字全体が一種の造語として認識され、取引者、需要者に認識、把握されるとみるのが相当である旨主張する。

しかしながら、本願商標は、その構成全体として、「乳酸菌の効能と植物の効能を有する美白用の商品」程の意味合いを認識させるにとどまり、その商品の品質、効能を表示するにすぎないこと、上記(1)のとおりであるから、請求人による上記主張は、採用することができない。

また、請求人は、審尋において開示した事実について、本願商標が自他商品の識別標識としては認識し得ない根拠の一つとして、商品の「原材料(有効成分)」を組み合わせて表す際に「×」の記号が使用されていることを挙げるのは全く妥当ではない旨主張する。

しかしながら、前記3の審尋において開示した事実によれば、本願の指定商品を取り扱う業界において、「×」の記号が、商品の効能のほかに原材料(有効成分)を組み合わせて表す際に使用されていることが認められるところ、「×」の記号により組み合わされるものが、商品の原材料(有効成分)を表す文字であったとしても、商品の効能を表す文字の場合と同様に、いずれも商品の品質を表すものであることに変わりはなく、自他商品の識別標識としては認識し得ない文字を「×」の記号で組み合わせるという手法において、両者は共通性を有するものであるから、請求人による上記主張は、採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、登録することができない。

なお、原査定においては、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨認定、判断しており、当審の認定、判断とは相違する点はあるものの、本願商標の構成及び本願の指定商品に基づき、取引の実情等を総合勘案したときに、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないもの及び商品の品質、効能の誤認を生ずるおそれがあるものとする点を共通にするものであるから、原査定と当審の認定、判断との間に実質的な差異はない。

よって、結論のとおり審決する。

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