結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35090号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3338844号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第18類「かばん類,袋物,傘」を指定商品として、平成5年7月23日登録出願、同9年8月15日に設定登録がなされたものである。
本件商標の登録無効の理由として、請求人が引用する登録第1756792号商標(以下、「引用A商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、昭和54年8月28日登録出願、同60年3月25日に設定登録がなされたものであり、同じく、登録第2447522号商標(以下、「引用B商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第22類「 はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、平成1年12月12日登録出願、同4年8月31日に設定登録がなされたものであり、 同じく、登録第2498593号商標(以下、「引用C商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品及び附属品 」を指定商品として、昭和63年11月30日登録出願、平成5年1月29日に設定登録がなされたものであり、同じく、登録第2498594号商標(以下、「引用D商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第22類「 はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、昭和63年11月30日登録出願、平成5年1月29日に設定登録がなされたものであり、同じく、登録第2536853号商標(以下、「引用E商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第22類「はき物、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年3月7日登録出願、同5年5月31日に設定登録がなされたものであり、同じく、登録第2643136号商標(以下、「引用F商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第22類「はき物、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年1月23日登録出願、同6年3月31日に設定登録がなされたものであり、 同じく、登録第1597967号商標(以下、「引用G商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第24類「おもちや、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く )レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、昭和54年8月28日登録出願、同58年6月30日に設定登録がなされたものであり、同じく、登録第1964926号商標(以下、「引用H商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第23類「 眼鏡、眼鏡のわく、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和57年12月8日登録出願、同62年6月16日に設定登録がなされたものであり、同じく、登録第1621835号商標(以下、「引用I商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第26類「印刷物(文房具類に属するものを除く)書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、昭和54年8月28日登録出願、同58年10月27日に設定登録がなされたものであり、 同じく、登録第1710909号商標(以下、「引用J商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、昭和54年10月15日登録出願、同59年8月28日に設定登録がなされたものであり、 同じく、登録第2212871号商標(以下、「引用K商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第12類「自動車用ハンドル、自動車用合金製リム、自動車用座席カバー、自動車用カーペツト、その他の自動車部品及び附属品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和60年1月23日登録出願、平成2年2月23日に設定登録がなされたものであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由として要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用A商標は、第1位置文字「F」と末尾位置文字「A」において殆ど態様を同じくするもので外観上類似し、その指定商品も抵触するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用各商標に共通する「FILA」なる標章は、1978年頃イタリア国に在住していた日本国籍の「イマイ ヒロノブ氏」に請求人会社が創作を依頼し、同氏によって考案されたオリジナルデザインである。
就中、第1位置文字「F」と末尾位置文字「A」は、とりわけ独創性を示すもので、上記引用各商標は該2文字の存在によって顕著な存在価値を示していると云うことが出来る。してみれば、引用各商標に於ける外観上の要部は該「F」、「A」に存すると云わなければならず、該文字は請求人以外の何人にもその使用は許されないものである。
ところで、引用各商標は、イタリア国、日本国を含む世界140ケ国以上の国々で登録、使用されており、特に、「テニスウエアー、スキーウエアー、登山用衣服、ヨット、水泳等のスポーツウェアー」、「装身具、かばん類、袋物」、「スポーツシューズ」、「サングラス、時計」、「化粧品」、「自転車」等については日本国を含む全世界の取引者、需要者に極めて広く認識されている。
日本国においては、本件商標の登録出願日(1993年7月23日)以前から、特に、1987年以降、専用使用権者である鐘紡(株)を通じて上記商品の殆どの輸入、販売に努力した結果、上記出願日時点において、すでに「FILA」商標を付した上記商品は、請求人及び請求人のライセンシーの輸入、製造、販売に係る商標として当業界及び需要者間に周知されていたものである。
本件商標は、引用各商標の構成要素の内、その要部である「F」と「A」の文字を悪用し、それ等に平凡な欧文字「inT」を単に挿入して成るにすぎず、その指定商品に付されて市場に出現する時は、取引者、需要者一般が、該商品を請求人及び専用使用権者の引用各商標に係る商品とその出所について誤認混同するので、商標法第4条第1項第15号に該当する。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨次のように答弁した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用各商標の外観を比較検討するに、まず本件商標「FINTA」は5文字より構成され、引用各商標に共通する「FILA」は4文字より構成され、語頭の「F」と語尾の「A」がほぼ共通する態様をなしているものと認められる。
請求人は、引用各商標に共通する「FILA」なる標章は、請求人が「イマイ ヒロノブ」氏に依頼し、考案されたオリジナルデザインであり、語頭の「F」と語尾の「A」とがとりわけ独創性を有して引用各商標の顕著な存在価値を示し、外観上の要部を構成し、何人もその使用が許されないと主張している。
しかしながら、本件商標が使用される指定商品「かばん類,袋物,傘」の主たる需要者層は、主婦や老人を含む一般消費者であり、一般消費者にすれば引用各商標がオリジナルデザインである等の主観的意図を知り得るものではなく、請求人の主観的意図を認識して商標に接することはほとんどなく、商品について使用されている商標の全体を商品の識別標識として客観的に考察し、他の商標と比較して商品を識別していると考えるのが自然である。
かかる観点から引用各商標を検討するに、引用各商標に共通する「FILA」は形態上、「F」、「I」、「LA」から構成されていると認められ、各構成部分は確かに特有の態様となっているが、語頭の「F」と語尾の「A」のみが形態上の独創性を特に有し、他の部分は独創性が低いとは認められず、また、最後の「LA」は連続し、一体化している点にも1つの特徴があるものと認められ、請求人が主張するように、語頭の「F」と語尾の「A」が外観上の要部を構成しているとは必ずしも断言できず、商標の商品識別標識としての機能を考慮すると主たる需要者には引用各商標はその全体「FILA」でもって認識されていると考えるのが相当である。
また、現実の商品の流通過程では商標を構成する文字を様々な態様で図案化して商品に使用することがしばしば行われ、需要者はかかる状況に慣れ親しんでおり、又多種多様なレタリングが存在し、それぞれが親しまれ理解される今日にあっては、本件商標が「FinTA」の欧文文字、引用各商標が「FILA」の欧文文字を図案化したものと容易に理解されると考えられる。
確かに、本件商標と引用各商標に共通する「FILA」とは語頭の「F」と語尾の「A」をほぼ同じ態様とするものの、中間の「inT」と「IL」の部分は構成文字が大きく異なり、しかも形状及び態様に顕著な差異があることは明確である。
かかる構成文字、その形状及び態様の顕著な差異は商標の構成文字列の中間に位置するといえども、これが両商標に与える影響は決して少なくなく、本件商標と引用各商標とは一見して異なる商標と容易に区別でき、時と処とを異にしてそれぞれに接しても彼此相紛れるおそれはない。
次に、両商標の称呼を検討するに、本件商標が「FinTA」の欧文文字、引用各商標が「FILA」の欧文文字を図案化したものと容易に理解されることから、本件商標は「フィンタ」の称呼が、引用各商標は「フィラ」又は「フィラー」の称呼が発生すると認められるが、両者は構成音数が相違し、相互に相紛れるおそれはなく、また「フィンタ」と「フィラ」又は「フィラー」は比較的短い音構成において「ンタ」と「ラ」又は「ラー」の音に顕著な差異を有し、称呼上も区別し得るものである。
さらに、両者の観念を検討するに、両者はいずれも観念のない造語である。
してみれば、本件商標は、引用各商標と外観、称呼、観念のいずれにおいても互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用各商標に共通する「FILA」なる標章が周知著名であることは被請求人も認めるところである。
しかしながら、引用各商標は「フィラ」又は「フィラー」と称呼されるが故に周知著名であって、そのような「フィラ」又は「フィラー」と称呼され得ない本件商標は、これを指定商品に使用しても引用各商標を想起し又は連想することはない。
また、本件商標は外観上、語頭の「F」と語尾の「A」にほぼ共通の態様を有するものの、全体として見た場合には中間の「inT」と「IL」について構成文字、その形状及び態様の顕著な差異を有し、引用各商標とは一見して異なり、しかも関連のない商標と認識でき、これを指定商品に使用しても引用各商標に共通する「FILA」なる標章を想起し又は連想することがあるとは考えられない。
してみれば、本件商標は、これを指定商品に使用しても引用各商標に共通する「FILA」なる標章との関係において商品の出所について混同を生ずるおそれはなく、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用各商標は、別掲に示すとおりの構成よりなるものであるが、本件商標は、5文字より構成されるものと、また、引用各商標に共通する「FILA」の部分は、4文字の構成よりなるものと、容易に看取されるものである。
そして、各種多様のレタリングが存在し、それぞれが親しまれ理解される今日にあっては、本件商標が「FinTA」、引用各商標が「FILA」の欧文字よりなるものと容易に理解されるものである。
しかして、本件商標と引用各商標の最前部の文字「F」と最後尾の文字「A」とが態様を同じくするとしても、中間の「inT」と「IL」の部分は、構成文字が異なり、形状、態様に明らかな差異があるから、この差が、両商標から受ける印象に与える影響は決して少なくなく、時と処を異にしてそれぞれに接しても、外観上彼此相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、本件商標より生ずる称呼「フィン夕」と引用各商標より生ずる「フィラ」或いは「フィラー」とは、構成音数が相違し、互いに区別され得るものと認められる。
さらに、本件商標と引用各商標とは、観念については比較すべくもない。
してみると、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、引用各商標は、イタリア国、日本国を含む世界140ケ国以上の国々で登録、使用されており、特に、「テニスウエアー、スキーウエアー、登山用衣服、ヨット、水泳等のスポーツウェアー」、「装身具、かばん類、袋物」、「スポーツシューズ」、「サングラス、時計」、「化粧品」、「自転車」等については日本国を含む全世界の取引者、需要者に極めて広く認識されており、日本国においては、本件商標登録出願日以前から、特に、1987年以降、専用使用権者である鐘紡(株)を通じて上記商品の殆どの輸入、販売に努力した結果、上記出願日時点において、すでに「FILA」商標を付した上記商品は、請求人及び請求人のライセンシーの輸入、製造、販売に係る商標として当業界及び需要者間に周知されていたと主張しているが、請求人の主張するように引用各商標に共通する「FILA」なる商標が周知であるとしても、本件商標は、引用各商標と非類似の別異の商標であること上記(1)で認定のとおりであるから、これをその指定商品に使用しても、引用各商標に共通する「FILA」なる商標を想起ないしは連想することがあるとは認め難く、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号の規定に違反して登録されたものとはいえないから、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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