Trademark Appeal Case
「空調ベスト」の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−6114(T2019−6114/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「空調ベスト」の文字を標準文字で表してなり,第25類「通気機能を備えたベスト」を指定商品として,平成29年12月12日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は,「空調ベスト」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「空調」の文字は「空気調節」の意味を有する語であるから,構成文字全体として「空気調節機能の付いたベスト」の意味合いを容易に認識させる。
また,「空気調節機能の付いたベスト」が,「空調ベスト」,「ベストタイプの空調服」の表示で販売されている実情もある。
そうすると,本願商標を,その指定商品に使用するときは,単に商品の品質を表示するにすぎない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 当審においてした証拠調べ
(1)当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,空気調節機能を備えるベスト(「空調ベスト」と称されるものも含む。)の事例(別掲)を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項に基づき,請求人に対して,その結果を通知し(令和元年10月8日付け証拠調べ通知書),意見を求めた。
(2)また,本願商標に関して商標法第3条第2項の適用に係る主張をしているのであれば,その使用開始時期,使用期間,使用地域,販売数量,市場シェア,広告宣伝の方法,広告地域及び広告宣伝費等を客観的に把握できる証拠の提出を求めた。
4 証拠調べに対する請求人の意見の要点
(1)本願商標は,請求人による造語であり,商品の品質を表示するものではない。
(2)証拠調べで通知された事例は,請求人による本願商標の使用開始後に生じたもので,請求人の商品の模造品である。また,一部を除き,請求人の商品名である本願商標とは異なる表記である。
(3)本願商標は,提出した証拠(甲4〜甲16,甲18〜甲24)によれば,請求人による正当な使用の結果,請求人及び請求人の商品を表すものとして,全国的に周知となっており,識別力を有する。
したがって,本願商標は,仮に商標法第3条第1項第3号に該当するとしても,同条第2項の規定により登録されるべきである。
5 当審の判断
(1)本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当すること
ア 本願商標は,「空調ベスト」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「空調」の文字(語)は「空気調節の略」であり,「ベスト」の文字(語)は「洋服の上衣の下に着る短い胴着。袖がなく,胸・腹・背をおおうもの。」の意味を有するもので(「広辞苑 第6版」岩波書店),いずれも意味合いの理解が容易な語といえる。
イ そして,近年,冷却用ファンを搭載した空気調節機能を備える服(ベストを含む。)が取引されており,同機能を備える商品が,例えば「空調ベストセット」(DCMブランド),「空調ベストクールボウイ」(ブレイン),「安全空調ベスト」(ブレイン),「空調ベスト+ファンセット」(サンダンス),「革新的なあなた専用の空調ベスト・・・」(ENTRAK),「軽やかなポリエステル素材の空調ベスト・・・」(空調風神服/Dickies),「空調服ベスト」(タカヤ商事),「空調服 ベスト」(YAMAZEN(山善)),「空調服 ベスト」(日清被服),「空調服ベスト」(作業福造商店),「空調服ベスト」(バートル),「空調ファン機能付き『クーラーベスト』」(AOKI)などと称して,取引又は紹介されている実情がある。
ウ そうすると,本願商標は,その構成文字の語義及び取引の実情を踏まえると,その構成全体をして「空気調節(機能を備えた)ベスト」程度の意味合いを容易に認識させるもので,単に商品の品質(機能)を表示するにすぎないものである。
エ 請求人の主張に対して
(ア)請求人は,空気調節機能の付いたベストを開発し,「空調ベスト」と命名したのは請求人であるから,本願商標は一連一体の造語というべきで,別掲の事例も,請求人による本願商標の使用開始後に生じた事例であり,模造品というべきであるから,本願商標は,自他商品の識別力を十分有する旨を主張する。
しかしながら,本願商標は,上記アのとおり,その構成文字である「空調」及び「ベスト」ともに語義の理解は容易であるから,両語を結合しても,特定の意味を有さない造語と理解されるものとはいえず,取引の実情をみても「空調ベスト」や「空調ベスト」と称するような空気調節機能を備える服(ベスト)が取引,紹介されている実情があることを踏まえると,本願商標に接する需要者は「空気調節(機能を備えた)ベスト」程の意味合いを容易に認識することができるというべきだから,その主張は採択できない。
(イ)請求人は,過去の登録例を引用して,本願商標も同様に登録すべきである旨を主張する。
しかしながら,商標登録の適格性は,商標ごとに,個別の事案に係る実情に応じて判断を行うべきもので,過去の審査例や商標登録例に左右されるものではないから,その主張は採択できない。
オ 小括
以上のとおり,本願商標は,その指定商品との関係において,商品の品質(機能,態様)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備しないこと
ア 請求人は,2018年1月以降(甲4)の約2年間,他社に先駆けて本願商標の使用をしていること,その販売地域は全国的に及ぶこと(甲24),市場シェアを示す証拠はないが,請求人は,電動ファン付きウェアの市場においてはトップシェアを誇っていること,新聞,雑誌,業界誌等に広告をしていること(甲4〜甲10,甲12)を示して,本願商標は請求人による使用の結果,請求人又はその商品を表すものとして全国的に周知となっており,識別力を有するに至ったもので,商標法第3条第2項の要件を具備する旨を主張する。
イ しかしながら,本願商標は,意味合いの理解が容易な語を組み合わせたもので,全体として造語とも理解されず,その書体も特段の特徴はないから,独創性は低いもので,その使用期間も2年程度と短期間であり,販売数量や営業規模,具体的な市場シェア,広告宣伝費も不明だから,客観的に販売規模の多寡や広告宣伝の規模を把握できない。
さらに,新聞や雑誌等における本願商標に係る商品紹介記事も,商品販売開始のアナウンスなど,通常事業を行っていれば報道される程度の内容にすぎないばかりか,本願商標に相当する名称すら表示せずに「ベストタイプの空調服の新商品」(甲9)の発売を紹介するものや「半袖やベストタイプに人気がある・・・来年はベストタイプの新商品が増えることが予想される」(甲10)などのように,空調機能を備えたベストが今後ともに広く販売されることを示唆するものまであるから,これら記事によって「空調ベスト」の語が「空気調節機能を備えたベスト」の意味であると印象付ける効果はあり得るとしても,それが請求人の固有の出所識別標識であると印象付ける効果は極めて乏しい。
そうすると,本願商標は,請求人に係る商品の販売実績及び広告実績などを考慮しても,その指定商品に係る需要者の間において,請求人又はその商品に係る出所識別標識として,広く知られるに至っているものとはいえない。
ウ 小括
本願商標は,上記のとおり,請求人により使用された結果,請求人又はその商品に係る出所識別標識として広く知られるに至ったものではないから,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標とはいえない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(3)まとめ
本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであって,かつ,同条第2項の要件を具備するものではないから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。