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Trademark Appeal Case

動き商標の分離観察

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−3076(T2019−3076/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり, 第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成28年12月26日に動き商標として登録出願されたものである。

その後,上記の指定商品については,原審における平成29年11月17日付け手続補正書により,第9類「電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,電気又は電子楽器用フェイザー」と補正されたものである。

2 引用商標

原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして,拒絶の理由に引用した登録第5225004号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成20年6月6日に登録出願,第11類「ボイラー,暖冷房装置,家庭用電熱用品類,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台」,第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,民生用電気機械器具の修理又は保守」を指定商品及び指定役務として,同21年4月24日に設定登録されたものであり,その後,令和元年5月7日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断

(1)本願商標について

ア 本願商標は,別掲1のとおり,上端が切れている円輪郭の内側に,人差し指と親指を立てた手をデザイン化した図形(以下,円輪郭を含めて「本願図形部分」という。)及び本願図形部分の下に一定の間隔を空けて「switch on」の文字(末尾の文字「n」の右上には3つの細長い逆三角形が放射状に並んでいる。以下同じ。)(以下「本願文字部分」という。)を組み合わせた構成よりなる標章が時間の経過に伴って変化する動き商標であり,全体の長さは約1秒間である。

具体的には,本願商標は,最初にやや暗い状態で本願図形部分及び本願文字部分が表示され,本願図形部分中の手の図形が僅かに動いた後(別掲1(1)の商標登録を受けようとする商標の図番号1〜6),手の図形中の人差し指の先端において主に十字状に伸びる光が生じ(同図番号7〜13),併せて本願商標全体が明るく変化しつつ(同図番号14〜23),最終的に十字状の光は消え,かつ,本願図形部分及び本願文字部分が明るい状態で表示されるもの(同図番号24)である。

そして,手の図形の動き及び当該十字状に伸びる光の動きは,直ちに特定の事物を想起させるものではなく,取引者,需要者の注意を喚起するために装飾的に付加されたものと理解されるというのが相当であるから,それらの動き自体が出所識別機能を有するとはいい難い。

そうすると,本願商標は,動きを有するとしても,最初から最後まで継続して表示されている本願図形部分及び本願文字部分が,本願商標に接する取引者,需要者に強い印象を与えるとともに,その注意を強く引くといえる。

そして,本願商標は,本願図形部分と本願文字部分とが,一定の間隔を空けて配されているものであるから,両者は,視覚上,分離して看取し得るものである。

イ 本願図形部分は,人差し指と親指を立てた手をデザイン化した図形からなるものの,抽象化して表された図形であって,直ちに特定の事物を想起させるものではないから,本願図形部分からは,特定の称呼及び観念を生じないものとみるのが相当である。

ウ 本願文字部分は,これを構成する「switch on」の文字が,「スイッチを入れる」(「ベーシックジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店)を意味する熟語として一般に親しまれていること,及び末尾の文字「n」の右上に配された放射状に並んだ逆三角形は単なる文字の装飾として看取されるものといえるから,その構成文字に相応して「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を生じるものである。

エ 以上よりすると,本願商標は,その構成中,本願図形部分及び本願文字部分が,視覚上,図形部分と文字部分とに分離して看取し得るものであり,また,両者が,それぞれ観念的に特段の関連性を有しているとまではいえず,一連一体の称呼が生じるともいえないことからすると,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認めることはできない。

そうすると,本願商標は,その構成中の本願図形部分及び本願文字部分が,それぞれ要部として自他商品識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。

したがって,本願商標は,その要部の一である本願文字部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものであり,本願商標は,「switch on」の文字部分に相応して,「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を生じるというのが相当である。

(2)引用商標について

引用商標は,別掲2のとおり,赤色で塗りつぶされた横長長方形内に白抜きで,「Switch!」の文字及び記号と,その右側にデザイン化された「on」の文字を太字で大きく表してなるところ,上記(1)ウのとおり,「switch on」の文字は,「スイッチを入れる」を意味する親しまれた熟語であることから,「Switch」の文字に記号「!」が付されているとしても,全体として1つの観念を容易に想起するため,その構成文字全体から,「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を生じるとみるのが自然である。

(3)本願商標と引用商標との類否について

本願商標の要部の一である「switch on」の文字部分と引用商標とを比較すると,外観においては,3つの細長い逆三角形図形の有無,赤い長方形及び「!」の記号等による差異があるものの,両者はつづり字を共通にするものであるから,外観上,近似した印象を与えるものである。

そして,称呼及び観念においては,本願商標の要部と引用商標とは,「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を共通にするものである。

以上によれば,本願商標の要部の一である「switch on」の文字部分と引用商標とは,外観上,近似した印象を与えるものであって,称呼及び観念を共通にするものであるから,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すると,商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。

したがって,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標といえる。

(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定役務との類否について

本願商標の指定商品中「電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム」と引用商標の指定役務中「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,当該役務の取扱いに係る商品に,本願商標の上記指定商品が含まれるものであり,商品の販売と,その商品を取り扱う小売役務の提供とが同一の者によって行われることは,商取引上,しばしば見受けられるものである。

そうすると,当該商品の販売場所や需要者の範囲が,当該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも,少なからずあることから,本願商標の上記指定商品と引用商標の上記指定役務に同一又は類似する商標が使用された場合,両者は,その出所について混同を生ずるおそれがある,互いに類似するものというべきである。

(5)小括

以上によれば,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,また,本願商標の指定商品と引用商標の指定役務も類似するものである。

したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(6)請求人の主張について

ア 請求人は,本願商標と引用商標とは,「switch on」の文字部分から生ずる称呼が共通するとしても,商標自体の種類ないし基本的構成態様が全く異なるものであり,特に本願商標は,「動き商標」としてそれらの「動き」に合わせて商標の外観を認定するべきであるから非類似の商標である旨主張する。

しかしながら,本願商標と引用商標とは上記(3)のとおり,「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を共通にする互いに類似する商標といえるものであり,商標の類否は同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであるから,商標自体の種類ないし基本的構成態様の違いは,上記判断を左右するものではない。

イ 請求人は,本願商標を構成する手形図形部分は,人差し指と親指を立てた手が円で囲まれていて,人差し指がその円から飛び出ている様子をデザイン化した特異な形状であって,請求人が長年にわたってウェブないし広告等で広く使用しているアイキャッチマークである「スイッチオン図形」と呼ばれるもので,「switch on」の文字部分とともに,取引者,需要者の間にも広く知られていること,また,動き商標である本願商標も,その指定商品をはじめとして,請求人のインターネットホームページやその他のパブリシティにおいて請求人を表示する標章として広く使用されている旨主張する。

しかしながら,本願図形部分及び動き商標である本願商標が請求人を表示する標章として取引者,需要者の間に広く知られていることを認めるに足りる証拠はない。

ウ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。

(7)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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