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Trademark Appeal Case

音商標の要部抽出と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−3078(T2019−3078/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成28年12月26日に音商標として登録出願されたものである。

その後,上記の指定商品については,原審における平成29年11月21日付け手続補正書により,第9類「電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,電気又は電子楽器用フェイザー」と補正されたものである。

2 引用商標

原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして,拒絶の理由に引用した登録第5225004号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成20年6月6日に登録出願,第11類「ボイラー,暖冷房装置,家庭用電熱用品類,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台」,第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,民生用電気機械器具の修理又は保守」を指定商品及び指定役務として,同21年4月24日に設定登録されたものであり,その後,令和元年5月7日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断

(1)本願商標について

ア 本願商標は,別掲1のとおり,だんだん大きくなる「ヒュー」という電子音が聞こえた後に,「ピッ」という電子音,その後に「キュイーン」という音(以下,これらの音を「本願電子音等」という。),当該「キュイーン」という音と同時に,「switch on」(スイッチオン)という男性の声(以下「本願男性の声」という。)の構成からなる音商標であり,全体の長さは約1秒間である。

イ 一般に,商品若しくは役務の魅力を向上させるため又は広告宣伝等において取引者,需要者の注意を喚起するため,音声が使用されており,当該音声は,音楽的要素及び自然音等並びに言語的要素(人の声や歌詞等)で構成される。

そして,特に広告宣伝等で使用される音声においては,その構成中に出所識別機能を有する企業名や商標等の言語的要素を配することが広く一般に行われている。

ウ 本願電子音等である「ヒュー」及び「ピッ」といった電子音並びに「キュイーン」という音は,広告宣伝等において使用される需要者の注意を喚起するための効果音として看取されるものといえるから,出所識別標識としての称呼,観念が生じないというべきである。

一方,本願男性の声は,「switch on」(スイッチオン)の言語的要素であること,「switch on」(スイッチオン)の語が「スイッチを入れる」(「ベーシックジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店)を意味する熟語として一般に親しまれていること,本願男性の声が本願商標の構成中において明瞭に聴取できること,及び広告宣伝等で使用される音声においては,その構成中に出所識別機能を有する企業名や商標等の言語的要素を配することが広く一般に行われていることからすると,本願商標に接する取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというのが相当であるから,本願商標から本願男性の声を要部として抽出し他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。

そうすると,本願商標は,本願男性の声に相応して,「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を生じるというのが相当である。

(2)引用商標について

引用商標は,別掲2のとおり,赤色で塗りつぶされた横長長方形内に白抜きで,「Switch!」の文字及び記号と,その右側にデザイン化された「on」の文字を太字で大きく表してなるところ,上記(1)ウのとおり,「switch on」の文字は,「スイッチを入れる」を意味する親しまれた熟語であることから,「Switch」の文字に記号「!」が付されているとしても,全体として1つの観念を容易に想起するため,その構成文字全体から,「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を生じるとみるのが自然である。

(3)本願商標と引用商標との類否について

本願商標の要部である本願男性の声と引用商標とを比較すると,音自体は外観によって視認できないことから,外観上,比較することはできないが,称呼及び観念において,本願商標の要部と引用商標とは,「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を共通にするものである。

以上によれば,本願商標の要部である本願男性の声と引用商標とは,外観上比較できないものの,称呼及び観念を共通にするものであるから,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すると,商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。

したがって,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標といえる。

(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定役務との類否について

本願商標の指定商品中「電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム」と引用商標の指定役務中「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,当該役務の取扱いに係る商品に,本願商標の上記指定商品が含まれるものであり,商品の販売と,その商品を取り扱う小売役務の提供とが同一の者によって行われることは,商取引上,しばしば見受けられるものである。

そうすると,当該商品の販売場所や需要者の範囲が,当該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも,少なからずあることから,本願商標の上記指定商品と引用商標の上記指定役務に同一又は類似する商標が使用された場合,両者は,その出所について混同を生ずるおそれがある,互いに類似するものというべきである。

(5)小括

以上によれば,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,また,本願商標の指定商品と引用商標の指定役務も類似するものである。

したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(6)請求人の主張について

ア 請求人は,本願商標と引用商標の「switch on」部分から生ずる称呼のうち,言語的要素のみが共通するとしても,両商標から生ずる称呼は異なるばかりか,商標自体の種類ないし基本的構成態様を全く異にし,両者は互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である旨主張する。

しかしながら,本願商標と引用商標とは上記(3)のとおり,「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を共通にする互いに類似する商標といえるものであり,商標の類否は同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであるから,商標自体の種類ないし基本的構成態様の違いは,上記判断を左右するものではない。

イ 請求人は,本願商標を構成する音商標は,請求人により長年にわたってウェブないし広告等で広く使用され,その指定商品をはじめ,請求人のインターネットホームページやその他のパブリシティないしテレビ広告において請求人を示す音として広く使用されている旨主張する。

しかしながら,本願商標が請求人を示す音として取引者,需要者の間に広く知られていることを認めるに足りる証拠はない。

ウ したがって,請求人の上記主張はいずれも採用することができない。

(7)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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