Trademark Appeal Case
結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−12777(T2018−12777/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「FRESH F21C」の文字を標準文字で表してなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成29年4月17日に登録出願され、その後、本願の指定商品については、原審における同30年3月1日受付の手続補正書により、第3類「化粧品,皮膚及び身体手入れ用化粧品,唇の手入れ用化粧品,香水,香料及び薫料,香」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『FRESH F21C』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、『FRESH』の文字は、『新しい、新鮮な、元気な、爽やかな』等の意味を有する平易な英語として一般によく知られている語であり、補正後の指定商品を取り扱う業界においても、『FRESH』及びその表音である『フレッシュ』の文字が、例えば、『頭皮にスキッとした爽快感が素早く広がり、使用後も持続します・・・』などのように使用されている実情がみられる。また、その構成中、『F21C』の文字は、ローマ文字と数字を組み合わせたものであるところ、このような組合せは、多くの産業分野において商品の種別、形式、規格、品番等を表示するための記号、符号として類型的に広く採択、使用されており、『F21C』もその一類型とみられるものである。そうすると、本願商標をその指定商品について使用したときには、これに接する取引者、需要者は、『使用感が爽快な商品』等であるものと認識するにすぎず、単に商品の品質、効能と商品の記号、符号の一類型を表示したものと理解するにとどまるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした審尋
当審において、審判長は、請求人に対し、令和元年7月8日付けで、別掲に示すとおりの用例を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとする旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
4 審尋に対する請求人の回答
請求人は、前記3の審尋に対し、令和元年10月4日受付の回答書を提出し、要旨以下のように主張するとともに、その主張を裏付けるものとして、当審における平成30年11月1日付け手続補足書をもって提出した甲第1号証ないし甲第30号証に加えて、甲第31号証ないし甲第75号証を提出した。
(1)本願商標は、同書、同大で「FRESH F21C」と横書きしてなるものであって、構成上、一体的に観察されるものであり、商標全体として識別力を有するものであるから、登録されるべきである。
また、「FRESH」の語が「新鮮な、生き生きとした、さわやかな」程度の語義を有するものであることは認め得るが、例えば、「生き生きとした化粧品」がどのような性状の商品であるかは一義的に認識できるものではないし、本願の指定商品と同一又は類似する商品について「FRESH」の語に他の語を結合することで識別力が認められて登録されている例や、本願の指定商品と非類似の商品について「FRESH」の語又は「フレッシュ」の語の識別力が認められて登録されている例があることからすれば、本願商標について全く識別力が認められないとの認定には承服しかねる。
さらに、特許庁の商標法第3条第1項第5号に係る審査基準や、審査及び審判において識別力が認められた例によれば、欧文字ないし数字を任意に結合させた商標については、一般的に使用されるものに限定して登録を拒絶し、その余は登録しているものと考えられるところ、化粧品業界において、特に、2桁の数字の前後を欧文字で挟んで構成された商標が型式、規格、品番等を表示するための記号、符号として一般的に採択、使用されている事実はなく、本願商標の構成中の「F21C」の語についても、業界において一般的に使用されているとはいえないことから、識別力が認められるべきである。
なお、「FRESH」は、請求人の名称「FRESH Inc.」(フレッシュ インク)の略称でもあり、また、「F21C」は、「
F
ormula of
21
st
C
entury」から採択した請求人の造語であり、実際に商品に使用している。
(2)審査及び審判において、単独では識別力がない2つの文字部分からなる結合商標が登録された例や、単独では識別力に乏しい商標であっても、その全体構成に着目、観察して登録された例に照らせば、本願商標は、その構成全体をもって、一連一体の造語的な商標として登録が認められるべきである。
なお、審査においては、「FRESH(フレッシュ)」の語に識別力がないか又は識別力が乏しい語若しくは記号を結合してなる商標も多数登録されている。
(3)本願商標は、カナダ、欧州、韓国、メキシコ、ニュージーランド及びシンガポールにおいて、識別力を有すると判断されて登録されているところ、商標登録の可否は、各国において独自に判断されるべきものではあるものの、国際間の商取引が日常的に行われている現代では、ある商標が商標として機能し得るか否かについての社会通念は、ある程度国際的に共通するというべきであり、他国における本願商標の登録状況も、充分に参酌に値するものである。
また、上記のとおり、複数の国において本願商標の登録が認められている現在では、商標保護制度の国際的調和の観点からも、我が国として、本願商標の登録を認めることが望ましいことはいうまでもない。
したがって、本願商標は、上記のとおり、我が国においても、識別力を有する請求人の造語商標というべき商標であるから、その登録が認められるべきである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「FRESH F21C」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「FRESH」の文字と「F21C」の文字との間には1文字程度の間隙が設けられており、また、当該「FRESH」の文字が「新鮮な、生き生きとした、爽やかな」等の意味を有する平易な英語であるのに対し、当該「F21C」の文字は特定の意味合いを想起させることのないものといえる。
この点について、請求人は、甲第74号証を提出して、本願商標の構成中、「FRESH」の文字は、請求人の名称「FRESH Inc.」(フレッシュ インク)の略称でもあり、また、「F21C」は、「
F
ormula of
21
st
C
entury」から採択した請求人の造語であり、実際に商品に使用している旨主張するところ、甲第74号証は、全13葉からなり、そのうち、第1葉から第4葉までは、2019年(令和元年)10月2日に紙出力された請求人のウェブサイトと思しきものであって、化粧品の類いと見受けられる商品の画像等は掲載されているものの、本願商標と同一の標章が使用されていることは明らかでなく、その全てが英語で表示されているものであり、また、第5葉目から第13葉目までは、化粧品の類いと見受けられる複数の商品の画像ではあるものの、その作成時期は不明である上、当該商品の容器表面に付されている標章は、「fresh」の文字と、その下方に、当該文字に比して極めて小さく表された「F21C」の文字を配してなるもの(両文字は、書体も異なる。)であって、本願商標とは明確に構成態様を異にするものであること、さらに、全13葉のいずれをみても、当該「F21C」の文字が「
F
ormula of
21
st
C
entury」から採択した請求人の造語であることを認めるに足る事実は見いだせないことから、本願の指定商品に係る我が国の取引者、需要者が、本願商標の構成中の「FRESH」及び「F21C」の各文字について、それぞれ、上記請求人が主張するような略称や造語などとして認識するとはいい難い。
そうすると、本願商標は、平易な英語の「FRESH」の語と特定の意味合いを想起させることのない「F21C」の語との組合せからなるものであって、その構成全体をもって特定の意味合いを想起させることのないものであり、また、両語の間に密接不可分とみるべき特段の事情もないものとみるのが相当である。
ところで、本願の指定商品は、第3類に属する「化粧品」や「香水」等であるところ、これらの商品を取り扱う業界においては、「FRESH」の英語の読みを片仮名表記したものであって、同義の外来語として慣れ親しまれている「フレッシュ」の語が、その語義に即する「生き生きとした、爽やかな」ほどの意味合いをもって、商品の使用感といった、その特長などを表すものとして一般に使用されている(別掲1)。
また、上記本願の指定商品の分野を始めとする様々な産業分野においては、自己の製造、販売に係る各種商品について、その商品の管理又は取引の便宜性等の事情から、例えば、数字の前後に欧文字1字を配してなるものなど、欧文字の1字又は2字と数字とを組み合わせてなるものが、商品の品番又は規格等を表示するための記号、符号として、取引上、普通に採択されている(別掲2)。
そこで、これらを踏まえて本願商標をみるに、本願商標は、上記のとおり、「FRESH」の語と「F21C」の語との組合せからなるものであって、その構成全体をもって特定の意味合いを想起させることのないものであり、また、両語の間に密接不可分とみるべき特段の事情もないものであるから、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「FRESH」の文字と「F21C」の文字とを分離して観察しつつ、当該「FRESH」の文字については、その商品が有する特長などを表したもの、当該「F21C」の文字については、その商品についての品番等を表示する記号、符号の一類型と看取、理解した上で、その構成全体をもって「(商品の使用感といった観点において、)生き生きとした(爽やかな)ことを特長とする商品であって、品番を『F21C』とするもの」ほどの意味合いを記述的に表したものと認識するにとどまり、これを商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。
してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標について、同書、同大で「FRESH F21C」と横書きしてなるものであって、構成上、一体的に観察されるものであるし、また、本願の指定商品と同一又は類似する商品について「FRESH」の語に他の語を結合することで識別力が認められて登録されている例や、本願の指定商品と非類似の商品について「FRESH」の語又は「フレッシュ」の語の識別力が認められて登録されている例があること、さらに、化粧品業界において、特に、2桁の数字の前後を欧文字で挟んで構成された商標が型式、規格、品番等を表示するための記号、符号として一般的に採択、使用されている事実はなく、「F21C」の語についても、業界において一般的に使用されているとはいえないことからすれば、商標全体として識別力を有するものであるから、登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、「FRESH F21C」の文字を標準文字で表してなる本願商標は、その構成文字の書体及び大きさは同じくするものの、「FRESH」の文字と「F21C」の文字との間に1文字程度の間隙が設けられていることにより、視覚上、当該2つの文字を組み合わせたものと看取、把握されることは明らかであり、また、本願の指定商品に係る取引の実情を踏まえた場合には、本願商標に接する取引者、需要者は、前者を商品が有する特長などを表したもの、後者を商品についての品番等を表示する記号、符号の一類型として看取、理解した上で、その構成全体をもって「(商品の使用感といった観点において、)生き生きとした(爽やかな)ことを特長とする商品であって、品番を『F21C』とするもの」ほどの意味合いを記述的に表したものと認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきこと、上記(1)のとおりである。
そして、請求人が挙げる「FRESH」の語又は「フレッシュ」の語に係る登録例は、いずれも商標の構成態様を本願商標と異にするもの又は指定商品を本願の指定商品と異にするものであるから、本件とは事案を異にするというべきものであるし、また、たとえ、「F21C」の語が、化粧品業界において、型式、規格、品番等を表示するための記号、符号として一般的に使用されているとはいえないとしても、例えば、数字の前後に欧文字1字を配してなるものなど、欧文字の1字又は2字と数字とを組み合わせてなるものが、そのような記号、符号として、取引上、普通に採択されていること(別掲2)に照らせば、「F21C」の語についても、取引者、需要者をして、そのような記号、符号の一類型として認識されるものというべきであって、格別、識別力を有するものなどということはできない。
したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。
イ 請求人は、審査及び審判において、単独では識別力がない2つの文字部分からなる結合商標が登録されたり、単独では識別力に乏しい商標であっても、その全体構成に着目、観察して登録された例があることや、審査においては、「FRESH(フレッシュ)」の語に識別力がないか又は識別力が乏しい語若しくは記号を結合してなる商標も多数登録されていることに照らせば、本願商標は、その構成全体をもって、一連一体の造語的な商標として登録が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様とその指定商品に係る取引の実情等を総合勘案し、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるところ、「FRESH F21C」の文字を標準文字で表してなる本願商標については、上記(1)のとおり、本願の指定商品に係る取引の実情等を総合勘案すれば、取引者、需要者をして、その構成全体をもって商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識されることはないと判断したのであり、このようにした判断が、商標の構成態様又は指定商品等が相違し、本件とは事案を異にするというべき請求人が挙げた登録例により左右されることはない。
したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。
ウ 請求人は、本願商標が複数の国において登録が認められていることを挙げつつ、商標登録の可否は、各国において独自に判断されるべきものではあるものの、商標保護制度の国際的調和の観点から、他国における本願商標の登録状況も充分に参酌に値するものであるから、我が国として、本願商標の登録を認めることが望ましい旨主張する。
しかしながら、諸外国と我が国の商標保護に関する法制は、細部においては自ずと異なるものであるから、本願商標の登録の適否は、専ら我が国商標法の下において判断されるべきものであって、諸外国における登録状況等の事情をもって、上記(1)においてした本願商標についての判断が左右されるべきではない。
したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであって、登録することができない。
なお、原査定においては、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨認定、判断しており、当審の認定、判断とは相違する点はあるものの、本願商標の構成及び本願の指定商品に基づき、取引の実情等を総合勘案したときに、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとする点を共通にするものであるから、原査定と当審の認定、判断との間に実質的な差異はない。
よって、結論のとおり審決する。
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