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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900367(T2018−900367/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6078746号商標の指定商品中,第7類「動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),動力機械器具の部品,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」及び第12類「陸上の乗物用の機械要素,陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),トラクター並びにその部品及び附属品,農業用トラクター並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6078746号商標(以下「本件商標」という。)は,「E POWER PLATFORM」の欧文字を横書きしてなり,平成29年12月22日に登録出願,第7類「発電機並びにその部品及び附属品,交流発電機並びにその部品及び附属品,直流発電機並びにその部品及び附属品,陸上の乗物用の発電機並びにその部品及び附属品,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),動力機械器具の部品,動力伝導装置(陸上の乗物用のものを除く機械要素),機械要素(陸上の乗物用のものを除く。),農業用機械器具並びにその部品及び附属品」及び第12類「動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素),陸上の乗物用の機械要素,陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),トラクター並びにその部品及び附属品,農業用トラクター並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として,同30年8月22日に登録査定され,同年9月7日に設定登録されたものである。

第2 引用商標及び使用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである。

1 引用商標

(1)登録第5158593号商標(以下「引用商標1」という。:甲2)

商標の態様:E−Power(標準文字)

指定商品 :第12類「自動車並びにその部品及び附属品」

登録出願日:平成20年1月9日

設定登録日:平成20年8月8日

(2)登録第5905101号商標(以下「引用商標2」という。:甲3)

商標の態様:別掲1のとおり

指定商品 :第12類「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用のエンジン,陸上の乗物用の駆動原動機,軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,緩衝器,ばね,制動装置,自動車並びにその部品及び附属品,電気自動車並びにその部品及び附属品,燃料電池自動車並びにその部品及び附属品,トラック,自動車(バンタイプ),スポーツユーティリティービーグル,バス,レクリエーション用自動車,スポーツカー,レーシングカー,自動車の車体,自動車のステアリングホイール,自動車用シャシー,陸上の電動式乗物,ワゴン型自動車」

登録出願日:平成27年9月9日

設定登録日:平成28年12月16日

なお,引用商標1及び引用商標2に係る商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。

また,以下,引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。

2 使用商標

申立人が引用する使用商標は,「e−POWER」の文字(以下「使用商標1」という。:甲4)及び別掲2のとおりの構成からなるもの(以下「使用商標2」という。:甲5)であり,同人の製造,販売する自動車に搭載する「ガソリンエンジン,発電機,インバーター,モーターからなるコンパクトな一体型パワートレインと高電圧バッテリーから構成される新電動パワートレイン」(以下「使用商品」という。)に使用しているとされるものである。

また,以下,使用商標1及び使用商標2をまとめて「使用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由(要旨)

申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号,同項第10号及び同項第15号に該当し,同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証(枝番号を含む。)を提出している。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標について

本件商標は,「E POWER」の造語と,特に自動車業界において異なるモデルに対して共通で使用する車両の基本構造を示す語として理解される「PLATFORM」(甲7〜甲9)を組み合わせてなる。そのような構造を持つ本件商標については,前半の造語部分「E POWER」の部分が要部として認識され,当該部分から「イーパワー」の称呼を生じ,要部は特定の観念を生じない造語として認識される。また,異議の決定において,「Platform」の語を自動車関連役務について識別力なしとした例も,上記の申立人の主張を裏付けるものである(甲10)。

(2)引用商標について

引用商標1は,「E−Power」の文字を標準文字で表したものであり,当該商標から「イーパワー」の称呼を生じ,特定の観念を生じない造語として認識される。引用商標2は「e−POWER」の文字を特定の書体で表したものであり,当該商標から「イーパワー」の称呼を生じ,特定の観念を生じない造語として認識される。

(3)本件商標と引用商標との類否について

本件商標の出願人との関係において,引用商標は出願日のより早い「他人の登録商標」に該当し,本件商標と引用商標とは称呼「イーパワー」において共通することから,本件商標は他人の登録商標に類似する商標である。

また,本件商標の第7類の指定商品「動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),動力機械器具の部品,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」及び第12類の指定商品「陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,トラクター並びにその部品及び附属品,農業用トラクター並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品」は,引用商標1の指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」及び引用商標2の指定商品「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用のエンジン,陸上の乗物用の駆動原動機,軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,緩衝器,ばね,制動装置,自動車並びにその部品及び附属品,電気自動車並びにその部品及び附属品,燃料電池自動車並びにその部品及び附属品,トラック,自動車(バンタイプ),スポーツユーティリティービーグル,バス,レクリエーション用自動車,スポーツカー,レーシングカー,自動車の車体,自動車のステアリングホイール,自動車用シャシー,陸上の電動式乗物,ワゴン型自動車」に類似するものである。

本件商標は,引用商標に類似する商標,すなわち,他人の登録商標に類似する商標であり,商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。

2 商標法第4条第1項第15号について

引用商標は,使用商品の名称として使用され,また,申立人は,申立人の業務に係る商品「自動車」について引用商標と社会通念上同一といえる商標及び使用商標を付して2016年(平成28年)11月2日の正式リリース以降,商品を販売している。申立人の商標使用状況と引用商標及び使用商標の周知性について以下検討する。

申立人の自動車「ノート」について,引用商標と社会通念上同一の商標及び使用商標を付した車両販売開始後約3週間で,月間販売目標の2倍に相当する2万台を売り上げた(甲11)。このことは,申立人の技術が高く評価され,需要者に受け入れられたことを表している。2016年(平成28年)11月に新車販売台数1位を獲得したことは(甲12,甲13),30年ぶりということもあり,多くのメディアで報道された(甲14,甲15)。その後,同年度下期,2017年度(平成29年度)上期で同じく1位を獲得したのに続き,同年暦年(2017年1月−12月累計)の国内販売で138,905台(前年比135.6%)を記録し,コンパクトセグメント(総排気量1600cc以下の小型・普通乗用車)の年間ランキングで1位になったことを申立人が発表し(甲16,甲17),多くの報道がなされた。同年度の国内販売でも,同様のセグメントで1位を獲得している(甲18)。同年11月の発売から約11か月間という短期間のうちに,そして,本件商標の出願日の約1か月前に,10万台の車両を販売したことを申立人は発表している(甲19)。

2018年(平成30年)2月末には,申立人の商品であるミニバンの「セレナ」についても,引用商標と社会通念上同一の商標及び使用商標を附した車両の販売が開始された(甲20)。同年上半期(2018年1月−6月累計)の販売で「ノート」が登録車No.1を獲得,併せて,同じく新電動パワートレイン「e−POWER」を搭載する「セレナ」がミニバンNo.1を獲得したことについても,申立人が発表し(甲21),多くの報道がなされた(甲22)。

本件商標の出願日直前の時期に,申立人が行った広告宣伝の例を示す。申立人の販売店が送付した,ダイレクトメールの写しには,2017年(平成29年)9月の商談会の案内と,引用商標と社会通念上同一の商標及び使用商標が付された車両が大きく表示されている(甲23)。次に日産サティオ弘前で同年11月11日及び12日に行われた商談会のチラシ(甲24),同所にて同年年12月9日及び10日に行われた商談会のチラシ(甲25)を示す。いずれも,3ページ目に同年9月30日〜12月29日対象のキャッシュバックキャンペーンの表示があるので,当該期間,すなわち本件商標の出願日を間に含む期間において,販売店で頒布されたことを裏付けている。

引用商標と社会通念上同一の商標及び使用商標を用いた使用商品を搭載した「自動車」については,数多くのテレビ広告を行っているが,その中でも特に2016年度(平成28年度),2017年度(平成29年度)のコンパクトカー販売台数No.1を獲得した際のテレビ広告の例を添付する(甲26,甲27)。甲第26号証に示す広告は,インターネット動画サイト「Youtube.com」においても2017年(平成29年)4月13日に公開され,動画サイト単独で700万回以上の視聴がされている。公開時期としては,本件商標の出願日の約8か月前にあたる。甲第27号証に示す広告は,インターネット動画サイト「Youtube.com」においても2018年(平成30年)4月15日に公開され,動画サイト単独で602万回以上の視聴がされている。公開時期としては,本件商標の登録の約5か月前,出願中の時期にあたる。本件商標の出願日(2017年(平成29年)12月22日)の時点において,引用商標と社会通念上同一の商標及び使用商標が,申立人の業務に係る商品「自動車」及び使用商品について既に使用され,商品との関連において周知となっていたことは,上記の各点から明らかである。

また,2018年(平成30年)1月には「e−POWER技術」が「省エネ大賞・省エネルギーセンター会長賞」を受賞したことが公表され(甲28),同年上半期(2018年(平成30年)1月−6月累計)において引用商標を付した車両が7割を占める「ノート」が登録車No.1を獲得し,多くの報道がなされた(甲21,甲22)。本件商標の設定登録日(2018年(平成30年)9月7日)を挟んで同年11月には2019年次「RJCテクノロジーオブザイヤー」を受賞したことが公表されている(甲29)。上記の事実からも,登録時においても周知性が持続していたことは明らかである。

申立人が使用する引用商標と社会通念上同一の商標及び使用商標の周知性,及び引用商標から生じる「イーパワー」の称呼をもって多くの宣伝・広告・報道等がなされた関連において,要部「E POWER」と「PLATFORM」を結合させた本件商標を指定商品に使用した場合には,あたかも申立人の業務に係る商品「自動車」と基礎設計(プラットフォーム)が共通するかのような誤認や,「エンジンで発電して,モーターだけで走る」(甲31)使用商品に使用されたエンジン(動力機械器具)やその部品,自動車の機械要素等を共通にする,若しくは申立人の高い技術等の供与を受けた商品であるかのような誤認を生じ,商品等の出所の混同を生ずるおそれが高いものであるから,本願商標は,商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。

3 商標法第4条第1項第10号について

(1)使用商標について

使用商標1は「e−POWER」の文字を一般的な字体で表したものであり,商標全体から「イーパワー」の称呼を生じ,全体として特定の観念を生じない造語として認識される。使用商標2は略正方形図形で囲んだ「e」の文字と「POWER」の文字とをハイフンで結合したうえで一体感ある特定の書体で表したものであり,商標全体から「イーパワー」の称呼を生じ,全体として特定の観念を生じない造語として認識される。申立人と本件商標の出願人とは他人の関係にあり,使用商標は「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するもの」に該当する。以下に,使用商標は需要者の間に広く認識されている商標でもあることを申し述べる。

使用商標は,使用商品に使用され(甲4,甲5),また,申立人は,申立人の業務に係る商品「自動車」について,上記の使用商品を搭載したものについては引用商標と社会通念上同一といえる商標を付して2016年(平成28年)11月2日の正式リリース以降,商品を販売している。月間新車販売台数1位を度々獲得している人気車種として周知であることは,既に上記2で述べたとおりである。

パワートレイン(パワートレーン)は自動車において動力を車輪に伝える装置や一連の機構全体を指す語であり(甲30),車両に搭載しているガソリンエンジンで発電機を動かし,生じた電力によりモーターを使って車両を動かす,一連の動力伝導機構である使用商品の名称として,使用商標は使用されている(甲4,甲5)。

本件商標の出願直前である2017年(平成29年)11月23日には,使用商標を付した自動車の販売が10万台を突破したことが公表されている(甲19)。自動車の出所表示のみならず,使用商品の出所を示す表示として使用商標は広く認識され,使用商品が搭載された自動車を多くの需要者が選択し,買い求めたことを示している。同年のコンパクトセグメントの暦年ランキング1位を獲得した自動車「ノート」の約7割は,使用商標を用いた使用商品を搭載した自動車を需要者が選択して購入していることから(甲16),使用商標は,特定の使用商品の出所表示であるとともに,自動車が高度な,独自性のある技術を用いたものであることを示す品質表示機能も果たしているといえる。

以上のとおり使用商標は,本件商標との関連において「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」に該当すると判断されるべきである。

(2)本件商標と使用商標との商標の類否について

本件商標の構成は,上記第1のとおりであり,本件商標,引用商標及び使用商標とは称呼「イーパワー」において共通することから,本件商標は,使用商標,すなわち他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標である。

本件商標の指定商品では第12類の「動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素)」に相当する商品,すなわち電気を用いた動力伝導機構について使用商標は使用されており,また,本件商標の指定商品のうち第7類の「動力伝導装置(陸上の乗物用のものを除く機械要素)」とは類似の商品にあたる。

また,使用商標が使用される使用商品は,通常の自動車とは異なりエンジンは発電にのみ使用され,車はバッテリーに蓄えられた電気を使ってモーターで動く新しい技術として多くの広告・宣伝がなされ,広く知られたことは既に述べたとおりである。広告の一例として,2017年(平成29年)12月3日に実施された「第18回 全国車いすマラソン in 横須賀 日産カップ 追浜チャンピオンシップ」の告知チラシ裏面に表示された使用商標を表示した「NOTE e−POWER」の宣伝は,「”エンジンで発電して,モーターだけで走る”e−POWERを搭載」というフレーズを用いて,発電機能に特に重点をおいて宣伝している(甲31)。このような広告も相まって,発電機は使用商標との関連において主要な構成部品として認識されうる。自動車用の発電機は,本件商標の第7類の指定商品「発電機並びにその部品及び附属品,交流発電機並びにその部品及び附属品,直流発電機並びにその部品及び附属品,陸上の乗物用の発電機並びにその部品及び附属品」と同一又は類似の関係にある。

本件商標は,上記に論じた指定商品の関連において,「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」に該当する引用商標に類似する商標であり,申立人の商品に類似する商品について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものである。

4 むすび

以上のとおり,本件登録商標は,商標法第4条第1項第10号,同項11号又は同項第15号に違反して登録されたものである。

第4 取消理由の通知(要旨)

当審において,令和元年5月14日付けで,本件商標権者に対し,「本件商標と引用商標とは,類似する商標であって,かつ,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品と同一又は類似する商品であるから,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるため,商標法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 本件商標権者の意見(要旨)

本件商標権者は,上記第4の取消理由に対して,要旨以下のように意見を述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出している。

1 商標の類否判断は,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,商標全体として把握すべきである。

2 本件商標のうち,「E POWER」は,本件商標の指定商品との関係で,自他商品識別標識としての機能がないか又は極めて弱いものである。

3 「PLATFORM」については,取消理由通知書にあるとおり自他商品識別標識としての機能がないか又は極めて弱いものである。

4 したがって,本件商標は「E POWER PLATFORM」全体として把握されるべきであり,引用商標とは非類似の商標である。

第6 当審の判断

1 引用商標及び使用商標の周知性について

(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,次の事実を認めることができる。

ア 申立人について

申立人は,神奈川県横浜市西区に本社を有する自動車を製造,販売する企業であり,同人の業務に係る「自動車」及び「パワートレーン(電気自動車で,電気エネルギーを駆動車輪への機械エネルギーに変換する装置のこと。(自動車情報事典「大車林」株式会社三栄書房))」を以下「申立人商品」という(甲4〜甲6)。

イ 新聞記事について

(ア)2016年(平成28年)12月6日の日本経済新聞電子版には,「日産車,30年ぶり首位 11月の国内販売」の見出しの下,「・・・日産自動車の小型車『ノート』が初めて首位になった。」の記載がある(甲15)。

(イ)2018年(平成30年)7月5日の日本経済新聞電子版には,「日産,『ノート』で48年ぶり首位 成熟技術に支持」の見出しの下,「1〜6月の軽自動車を除く国内新車販売で,日産自動車の小型車『ノート』が首位に立った。・・・ノートの販売増をけん引したのが,ガソリンエンジンで発電した電気でモーターを回して走るハイブリッド(HV)技術『eパワー』だ。・・・ノートにeパワー搭載車が追加された16年11月以降の累計販売で,約7割の購入者がガソリンエンジンよりも約20万円高いeパワー仕様を選んだ。・・・日産は今年3月からミニバン『セレナ』にもeパワー搭載車を導入したほか,・・・」の記載がある(甲22)。

ウ 統計について

日本自動車販売協会連合会の統計とされる「乗用車ブランド通称名称別順位(2016年)」の写しによれば,5位に「ブランド通称名」として「ノート」がランキングされ,約10万台販売され,「乗用車ブランド通称名称別順位(2017年)」の写しによれば,2位に「ブランド通称名」として「ノート」がランキングされ,約13万9千台販売されたと記載され,これには順位が1位から50位までの「ブランド通称名」の自動車が記載され,1位から50位までの販売台数の合計は,約242万4千台である(甲13,甲17)。

エ 宣伝広告について

(ア)申立人が,2017年(平成29年)9月9日・10日,16日〜18日に行った商談会の案内のダイレクトメールの写しとされるものには,「NOTE e−POWER」,「ノート e−POWER」(「e」の文字は白抜きの文字を青色の角が丸い正方形で囲んである)及び「e−POWER」の文字が記載されている(甲23)。

(イ)日産サティ弘前で行われた商談会のチラシ(甲24,甲25)の写しには,「ノート e−POWER」(「e」の文字は白抜きの文字を青色の角が丸い正方形で囲んである)及び「ノート e−POWER」の文字が記載されている。また,それぞれのチラシには,「12/9(SAT)・10(SUN)」又は「11/11(SAT)・12(SUN)」の記載があり,それぞれのチラシの3葉目には「【対象期間】2017年9月30日(土)から2017年12月29日(金)まで・・・」の記載がある。

(ウ)申立人は,テレビ広告を行っており,その中の一部を動画サイト「Youtube.com」に掲載しているところ,そのキャプチャー画面(甲26)には,「2016年度 下期コンパクトカー/販売台数/No.1」,その下に「【ノート e−POWER】TVCM」,「7,006,784回視聴」及び「2018/12/14」の記載があり,キャプチャー画面(甲27)には,「2017年度 コンパクトカー/販売台数/No.1」,その下に「【ノート e−POWER】TVCM」,「6,023,148回視聴」及び「2018/12/14」の記載がある。

(エ)2017年(平成29年)12月3日に行われた「第18回 全国車椅子マラソンin横須賀」のチラシにおいて「NOTE/e−POWER」の見出しの下,「“エンジンで発電して,モーターだけで走る”e−POWERを搭載。」の記載がある(甲31)。

(2)以上のことからすれば,申立人が製造,販売している「ガソリンエンジンで発電した電気でモーターを回して走るハイブリッド(HV)技術『eパワー』」を搭載した自動車について,「ノート e−POWER」のように,使用商標を使用していることが認められる(以下,使用商標を使用した申立人の業務に係る商品「自動車」を「『e−POWER』搭載車」という。)。また,申立人の業務に係る商品「自動車」の「ノート」の販売台数が平成28年11月の国内販売で30年ぶりに首位になったこと,日本自動車販売協会連合会の統計とされる2016年(平成28年)及び2017年(同29年)の販売順位で自動車「ノート」が,それぞれ5位で約10万台販売され,2位で約13万9千台販売されたことが認められる。

しかしながら,自動車「ノート」の販売台数が上記のとおり相当数あるとしても,上記(1)ウのとおり,2017年(平成29年)における販売台数は,合計で約242万4千台であり,「ノート」の販売台数が,約13万9千台であるから,全販売台数に占める割合は,約5.7%であり、多いとはいえないものであって,そのうち「e−POWER」搭載車の販売台数は,2016年(平成28年)11月以降の累計販売台数で全体の約7割であるということからすれば,上記販売台数より減少することは明らかである。

また,申立人の業務に係る商品「自動車」の「セレナ」は,本件商標の登録出願後の2018年(平成30年)3月から「e−POWER」搭載車を導入したものであり,当該「セレナ」における「e−POWER」搭載車の販売台数は明らかではない。

さらに,申立人の引用商標及び使用商標に係る宣伝広告の状況は,新聞記事が2件あるものの,使用商標が表示されたダイレクトメールやチラシの頒布数や頒布地域は不明である。

また,テレビ広告を行っているとしているがその放送時期及び放送回数等の詳細は不明であり,動画サイトに関する証拠(甲26,甲27)には,キャプチャー画面のみが掲載され,その掲載時期や広告の内容は不明であり,視聴回数も,2018年(平成30年)12月14日時点のものであって,本件商標の登録査定後の期間も含まれていることから,この視聴回数をもって,本件商標の登録出願前から需要者の間に知られているものということはできない。

そうすると,これらの証拠からは,申立人の業務に係る商品「自動車」については,引用商標及び使用商標が取引者,需要者にある程度知られていることがうかがい知れるとしても,申立人の業務に係る商品「パワートレイン」については,引用商標及び使用商標がどの程度使用されているのか確認することができないから,「パワートレイン」について引用商標及び使用商標が取引者,需要者にどの程度知られているかを確認することができない。

(3)したがって,引用商標及び使用商標は,申立人商品を表示するものとして,本願商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されているものと認められない。

2 商標法第4条第1項第11号該当性

(1)商標の類否

ア 本件商標

本件商標は,上記第1のとおり「E POWER PLATFORM」の文字からなり,「E」,「POWER」,「PLATFORM」の各文字の間に1文字分の空白があることから,「E」の文字,「力,能力,体力,活力」等の意味を有する語である「POWER」の文字と「壇,プラットホーム(客車・バス),乗降段」等の意味を有する語である「PLATFORM」の文字とを組み合わせた結合商標と解される。

そして,本件商標の構成中,後半部の「PLATFORM」の文字は,商品「自動車及びその部品及び附属品」等との関係においては,本件商標の登録査定の日(平成30年8月22日)前から「車台を中心とした基本的構造部分」を意味する語として一般に使用され,認識されている「プラットフォ(ホ)ーム」の英語表記と認められる(甲7〜甲9)。

そうすると,本件商標は,その構成中の「PLATFORM」の文字は,その指定商品中,自動車及びその部品附属品等に関わる商品,すなわち,第7類「動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),動力機械器具の部品,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」及び第12類「陸上の乗物用の機械要素,陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),トラクター並びにその部品及び附属品,農業用トラクター並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品」(以下「取消対象商品」という。)との関係においては,自他商品識別標識としての機能がないか又は非常に弱いことから,前半部の「E POWER」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。

してみると,本件商標は,その指定商品中取消対象商品との関係においては,「E POWER」の文字部分に相応し,「イーパワー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標

引用商標1は,上記第2(1)のとおりであり,引用商標2は,別掲1のとおり,「e−POWER」の文字をややレタリングされた書体で書してなるところ,両者はそれぞれ「E−Power」及び「e−POWER」の文字からなり,いずれも各文字に相応し「イーパワー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標との類否を検討すると,本件商標の構成中,自他商品識別標識としての機能を果たし得る「E POWER」の文字部分と引用商標とを比較してみるに,外観においては,両者は大文字と小文字の差異及び引用商標の2文字目の「−(ハイフン)」の有無に差異を有するが,つづり字において「E POWER(e power)」の文字を共通にするので,外観上,相紛らわしいものである。

また,称呼においては,両者は「イーパワー」の称呼を共通にするものである。

そして,観念においては,両者はいずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。

そうすると,本件商標の構成中「E POWER」の文字と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観において相紛らわしく,かつ,称呼を共通にするものであるから,両者の外観,称呼及び観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。

してみれば,本件商標と引用商標とは,類似の商標といわざるを得ない。

(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否

本件商標の指定商品中の取消対象商品は,引用商標の指定商品「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用のエンジン,陸上の乗物用の駆動原動機,軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,緩衝器,ばね,制動装置,自動車並びにその部品及び附属品,電気自動車並びにその部品及び附属品,燃料電池自動車並びにその部品及び附属品,トラック,自動車(バンタイプ),スポーツユーティリティービーグル,バス,レクリエーション用自動車,スポーツカー,レーシングカー,自動車の車体,自動車のステアリングホイール,自動車用シャシー,陸上の電動式乗物,ワゴン型自動車」と同一又は類似の商品である。

(3)被請求人の主張について

被請求人は,「『E POWER(又はE−POWER)』は,・・・『ELECTRIC POWER』(又は『ELECTRONIC POWER』),つまり『電力』や『電動』を意味する言葉と捉えるのが相当であり,本件商標の指定商品との関係においては,そもそも識別力がないか,又は極めて弱いものというのが自然である。」と主張するとともに,「E POWER(又はE−POWER)」の文字の使用状況を例示している(乙6〜乙11)。

しかしながら,被請求人が「E POWER(又はE−POWER)」の文字の使用状況として例示する「e−POWER LED」,「ePowerBox」及び「ePower−Life」の文字は,それぞれ商品の名称として使用されているものというのが相当であって,これらよりは,「E POWER(又はE−POWER)」の文字が,「電力」又は「電動」を意味する語として使用されているものとはいい難い。

したがって,「E POWER(又はE−POWER)」の文字が,自他商品識別力がないか,又は極めて弱いものとする,被請求人の主張は,採用できない。

(4)小括

以上のとおり,本件商標は引用商標と類似する商標であって,上記(2)のとおり本件商標の指定商品中の取消対象商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。

しかしながら,上記取消対象商品以外の指定商品は,引用商標の指定商品とは非類似の商品である。

したがって,本件商標は,その指定商品中の取消対象商品について商標法第4条第1項第11号に該当するが,それ以外の指定商品については,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第10号該当性

(1)使用商標の周知性について

上記1のとおり,使用商標は,申立人商品を表示するものとして,本願商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されているものと認められない。

(2)本件商標と使用商標の類否について

上記2(1)アのとおり,本件商標は,その指定商品中の取消対象商品との関係においては,その構成中の「PLATFORM」の文字が自他商品識別標識としての機能がないか又は非常に弱いことから,前半部の「E POWER」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。

したがって,本件商標は,その指定商品中の取消対象商品との関係においては,「E POWER」の文字部分に相応し,「イーパワー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

一方,使用商標1は,上記第2の2とおり「e−POWER」の文字からなり,使用商標2は,別掲2のとおり,白抜きの「e」の文字を青色の角が丸い正方形で囲みその後に「−(ハイフン)」を挟み「POWER」の文字を一連にして横書きにしてなるところ,両者はそれぞれ「e−Power」及び「e−POWER」の文字からなり,いずれも各文字に相応し「イーパワー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

そこで,本件商標と使用商標との類否を検討すると,本件商標の構成中,自他商品識別標識としての機能を果たし得る「E POWER」の文字部分と使用商標とを比較してみるに,外観においては,両者は大文字と小文字の差異及び使用商標の2文字目の「−(ハイフン)」の有無に差異を有するが,つづり字において「E Power(e POWER)」の文字を共通にするので,外観上,相紛らわしいものである。

また,称呼においては,両者は「イーパワー」の称呼を共通にするものである。

そして,観念においては,両者はいずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。

そうすると,本件商標の構成中「E POWER」の文字と使用商標とは,観念において比較できないとしても,外観において相紛らわしく,かつ,称呼を共通にするものであるから,両者の外観,称呼及び観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。

してみれば,本件商標と使用商標とは,類似の商標といわざるを得ない。

(3)本件商標の指定商品と使用商標に係る申立人商品の類否

本件商標の指定商品中の取消対象商品と使用商標に係る申立人商品とは,同一又は類似の商品である。

しかしながら,上記取引対象商品以外の指定商品は,使用商標に係る申立人商品とは非類似の商品である。

(4)小括

以上のとおり, 本件商標は,使用商標と類似の商標であり,本件商標の指定商品には使用商標に係る申立人商品と,同一又は類似の商品を含むものである。

しかし,使用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第15号該当性

上記2(1)及び3(2)のとおり,本件商標と引用商標及び使用商標は相紛れるおそれのある類似性の高い商標である。

そして, 上記1のとおり,引用商標及び使用商標は,申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものではないから,本件商標は,これに接する取引者,需要者が,引用商標及び使用商標を連想又は想起するものということはできない。

してみれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして引用商標及び使用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。

その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

5 むすび

以上のとおり,本件商標は,その指定商品中,第7類「動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),動力機械器具の部品,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」及び第12類「陸上の乗物用の機械要素,陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),トラクター並びにその部品及び附属品,農業用トラクター並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品」については,商標法第4条第1項第11号に該当し,その登録は同条第1項に違反してされたものと認められるから,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。

しかしながら,本件異議申立てに係るその余の指定商品については,取り消す理由がないから,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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