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Trademark Appeal Case

BEAM商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900387(T2018−900387/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6084951号商標の指定商品及び指定役務中、第33類「洋酒,果実酒,酎ハイ」及び第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6084951号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成30年1月16日に登録出願、第33類「焼酎,泡盛,合成清酒,白酒,清酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」及び第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同年9月6日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立ての理由において引用する商標は以下のとおりである。

1 登録第2156083号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和62年5月8日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年7月31日に設定登録され、その後、平成11年5月18日、同21年7月28日及び令和元年7月9日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。そして、指定商品については、平成22年9月29日に、第33類「洋酒,果実酒」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

2 登録第1867618号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおり、「BEAM’S」及び「CHOICE」の欧文字を二段に横書きした構成よりなり、昭和59年5月7日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年6月27日に設定登録され、その後、平成8年9月27日、同18年6月20日及びに同29年1月10日に商標権存続期間の更新登録がされ、平成18年11月8日に指定商品を第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。

3 申立人がその業務に係るウイスキー及びハイボール(以下「申立人使用商品」という。)に使用して周知・著名となっていると主張する「BEAM」の文字からなる標章(以下「15号引用商標」という。)

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第33類「全指定商品」及び第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「本件申立商品・役務」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号に基づき、取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、上段に比較的大きく円形の中に山の模様を配した赤色の図形、中段に比較的大きく赤色の「BEAMS」の欧文字、下段に比較的小さく赤色の「JAPAN」の欧文字を配した構成よりなる商標であって、引用商標と類似する商標であり、また、本件商標は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似する商品及び役務について使用する商標である。

したがって、本件商標は、引用商標に類似する商標であって、その指定商品と同一又は類似する商品及び役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、上述の構成よりなり、申立人の業務に係るウイスキー及びハイボール(ウイスキーを炭酸水で割ったアルコール飲料)に使用して周知・著名となっている15号引用商標「BEAM」と類似するものであるから、15号引用商標が使用される商品と関連性の高い指定商品・指定役務について使用された場合には、これに接する需要者及び取引者は、あたかも申立人若しくは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であるかのごとく認識し、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 取消理由の通知

当審において、令和元年10月7日付けで、商標権者に対し、「本件商標は、引用商標1との関係において、その指定商品及び指定役務中、第33類『洋酒,果実酒,酎ハイ』及び第35類『飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』について、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨の取消理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 商標権者の意見

上記第4の取消理由に対して、商標権者は、要旨以下のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。

1 本件商標の構成について

本件商標は、その上段から6割程度を、赤色円形内に山様の図形を表した図形部分が占め、図形部分が最大の構成要素となっており、外観において、この部分を捨象したのでは、最早、本件商標の外観ではない。

引用商標1は、この本件商標では大部分を占める図形部分が含まれないから、本件商標とは全く外観を異にしている。

本件商標では、上述した図形部分はもとより、「JAPAN」という我が国の英語表記が含まれるのに対し、引用商標1にはこれらが含まれていない。

一方で、引用商標1は「BEAM’S」であり、「’」(アポストロフィ)により和訳すれば「〜の」の意を表す部分が含まれるのに対し、本件商標はこれを含んでいない。

本件商標は、山のイメージや日本的なイメージといった観念が生じ得るのに対し、引用商標1は「ビームの」といった観念が生じ得て、観念においても異なり、これらの要素によって外観の相違がさらに顕著になっている。

引用商標1は、全体的に太く、特に「B」や「M」の字で顕著なように、下部側の幅が相対的に拡がった字体で表されている。一方、本件商標は、引用商標より細く、おおむね同じ幅で統一されている。

このように、字体が異なれば、それを観る需要者の印象も異なるため、このことも引用商標1との差異となる。

本件商標は、上述したように、図形部分が全体の大部分を占める構成上、これより少ない領域を占めるにすぎない文字部分は、あえて分離して称呼することなく、一体的な称呼を生ずることが自然であるから、本件商標は「ビームスジャパン」の称呼が生じ、単に「ビームス」の称呼は生じない。

取消理由通知において、「『JAPAN』の文字は、自他商品の識別及び自他役務の識別標識としの機能を有しないもの、あるいは、弱いものというべきである。」と認定しており、商標の構成の中で少ない領域を占めるにすぎない上に、さらに自他商品等の識別性に乏しい部分を、あえて分離して称呼する事情は見いだせない。

引用商標1と本件商標とは、外観、称呼、観念いずれにおいても相紛らわしいことはなく、両者間で出所の誤認ないしは混同が生ずるおそれはない。

たとえ構成の一部に「ビームス」という引用商標1と共通する称呼が含まれていたとしても、上述のように図形部分は捨象できない以上、外観が顕著に異なっており、共通する称呼が生ずる部分だけを抜き出して、引用商標と比較して本件商標と引用商標の類否を判断すべきではない(乙2、乙3)。

商標法は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ることを目的としており(商標法第1条)、このことを考慮すれば、引用商標1と本件商標とで全体として異なる商標と捉えられる以上、細部の共通部分をもって類似するとし、保護しないのであれば、業務上の信用が維持できなくなるおそれがある。

したがって、法目的の観点からも、本件商標は保護されるべきである。

2 本件商標の使用状況について

本件商標は、株式会社ビームスを介して使用されており(乙4〜乙8)、図形部分と文字部分が一体構成をなす態様にて、登録査定時には既に一定の信用が形成されている。

そして、この使用されている伏態では、図形部分と文字部分が一体構成をなすため、図形部分が大部分を占めており、外観が引用商標1と著しく異なる。

3 その他

引用商標1について、不使用取消審判にて審理終結通知が出されており(乙9)、不使用取消審判の取消審決が確定した商標につき、信用が形成されていないとして、その取引実情を考慮して対比商標間が類似しないと認められた裁判例3件を参考として提出する(乙10〜乙12)。

4 むすび

以上より、本件商標は、引用商標1と類似せず、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項に反して登録されたのではなく、同法第43条第2項の規定に該当せず、登録が維持されるものである。

第6 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、上段に赤色円形内に山様の図形を表した図形(以下「図形部分」という。)、中段に比較的大きく赤色で表された「BEAMS」及び下段に小さく赤色で表された「JAPAN」の欧文字(以下「文字部分」という。)を配した構成よりなる商標であるところ、当該図形部分は、特定の意味合いを表すものとして認識されるというべき事情は認められないものであるから、これよりは、特定の称呼及び観念を生じないものである。

また、本件商標にあっては、その構成上、図形部分と文字部分とを分離して観察することが取引上、不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、図形部分と文字部分とを常に一体のものとして把握しなければならない実情も認められないことからすれば、文字部分が独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。

そして、当該文字部分において、「BEAMS」の文字は、外観上、大きく顕著に表されており、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであること、また、小さく表された「JAPAN」の文字は、商品の産地・販売地、役務の提供場所などを表示すると理解されるものであって、自他商品・役務の識別標識としての機能を有しないもの、あるいは、弱いものであることをあわせて考慮すれば、本件商標は、その構成中、「BEAMS」の文字部分が自他商品・役務の識別標識としての機能を果たす要部として認識され、当該文字部分のみに着目し、その文字部分から生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。

してみれば、本件商標は、構成文字全体から生ずる「ビームスジャパン」の称呼の他に、「BEAMS」の文字に相応して、「ビームス」の称呼を生ずるものであり、また、「BEAMS」の文字は、一般的な辞書に掲載がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであって、一種の造語というべきものであるから、特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標1

引用商標1は、別掲2のとおり、「BEAM’S」の文字を書してなるところ、当該文字は、一般的な辞書に掲載がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであって、一種の造語というべきものである

してみれば、引用商標1は、その構成文字に相応して「ビームス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標1との類否について

本件商標と引用商標1は、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、全体の外観において相違するとしても、本件商標の構成中「BEAMS」の欧文字と引用商標1の比較においては、色彩と「’(アポストロフィ)」の有無に差異を有するのみであり、つづりを全て同一にするものであるから、外観において近似するものといえる。

また、両商標は、「ビームス」の称呼を共通にするものである。

そして、両商標は、特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較できず、全体の外観及び称呼において相違するとしても、本件商標の要部である「BEAMS」の文字部分と引用商標1は、外観上、近似するものであって、「ビームス」の称呼を同一にするものであるから、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。

(4)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標1の指定商品との類否について

本件商標の指定商品及び指定役務中には、「洋酒,果実酒,酎ハイ」及び「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれるのに対し、引用商標1の指定商品は、「洋酒,果実酒」である。

そうすると、本件商標の指定商品中「洋酒,果実酒,酎ハイ」は、引用商標1の指定商品と同一又は類似するものであり、また、本件商標の指定役務中「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を「小売等役務」という。)は、その小売等役務に係る取扱商品中に、引用商標1の指定商品「洋酒,果実酒」と同一又は類似の商品が含まれており、需要者の範囲等を共通にすることから、引用商標1の指定商品と類似するものである。

(5)商標権者の主張について

ア 本件商標の構成について

商標権者は、「本件商標は、その上段から6割程度を、赤色円形内に山様の図形を表した図形部分が占め、図形部分が最大の構成要素となっており、外観において、この部分を捨象したのでは、最早、本件商標の外観ではない。」、「引用商標は『BEAM’S』であり、『’』(アポストロフィ)により和訳すれば『〜の』の意を表す部分が含まれるのに対し、本件商標は、これを含んでいない。」、「本件商標には山のイメージや日本的なイメージといった観念が生じ得るのに対し、引用商標には『ビームの』と言った観念が生じ得て、観念においても異なり、これらの要素によって外観の相違がさらに顕著になっている。」等と述べ、引用商標1と本件商標とは、非類似である旨主張している。

しかしながら、本件商標の図形部分と文字部分の比率が6対4程であったとしても、図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、分離して観察することが取引上、不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、結合商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所表示識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などは、当該構成部分の一部を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものであり、本件商標については、上記のとおり、「BEAMS」の文字部分を要部として抽出し、類否判断をすることは許されるものと判断するのが相当である。

また、商標権者は、「本件商標には山のイメージや日本的なイメージといった観念が生じる」旨主張しているが、本件商標の図形的要素はいずれも抽象的なものであって、「山」や「日本」といった具体的な意味合いを理解させるものとして親しまれている図形とはいい難いものである。

さらに、引用商標1の構成文字中の「BEAM」の文字は、「梁」「光線」等の複数の意味を有する英語であるものの、「’S」と結合した構成文字全体からは、直ちに「ビームの」といった親しまれた意味合いを生ずるともいえない。

イ 本件商標の使用状況及び裁判例について

商標権者は、「本件商標は、株式会社ビームスを介して使用されており、図形部分と文字部分が一体構成をなす態様にて、登録査定時には既に一定の信用が形成されている。」旨主張し、証拠としてウェブサイトのプリントアウト(乙4〜乙8)を提出するとともに、引用商標1に対する不使用取消審判(取消2019−300053)を挙げて、不使用取消審判の取消審決が確定した商標につき、信用が形成されていないとして、その取引実情を考慮して対比商標間が類似しないと認められた裁判例(乙10〜乙12)に基づき、本件商標は、引用商標1と類似しないと判断されるべき旨主張している。

確かに、商標権者が提出したウェブサイトのプリントアウトの一部に、本件商標の図形部分と文字部分が表示されてはいるものの、株式会社ビームスと商標権者の関係は不明であり、また、当該プリントアウトの情報以外には、商標権者がその業務に係る商品・役務について、本件商標を継続して、一定程度使用していたことを確認することのできる証拠は提出されていない。

そうすると、商標権者提出の証拠によっては、本件商標が使用され、その登録査定時に一定の信用が形成されていたということはできず、これを取引の実情として考慮することはできない。

そして、引用商標1の商標登録原簿の記載によれば、引用商標1に対する不使用取消審判は、平成31年1月18日に請求され、同年2月4日にその審判の請求の登録がされていることを認めることができるところ、そもそも登録異議の申立ては、商標登録の瑕疵を是正するため当該登録を見直しする趣旨で設けられている制度であることからすると、引用商標1の商標権は、本件商標の登録査定時(平成30年9月6日)には有効に存在していたものであり、しかも、不使用取消審判は、本件商標が登録された後に請求されたものであることから、仮に、その取消審判の審決によって引用商標1の登録が取り消されたとしても、本件異議申立ての判断には影響しない。

してみれば、本件商標と引用商標1は、上述のとおり、類似するものと判断するのが相当であり、商標権者の主張はいずれも採用することができない。

(6)小括

以上のとおり、本件商標と引用商標1は類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品及び指定役務中、「洋酒,果実酒,酎ハイ」及び「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標1の指定商品と同一又は類似するものである。

したがって、本件商標は、引用商標1との関係で、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)15号引用商標の周知・著名性について

申立人が提出した証拠及び主張によれば、以下のとおりである。

ア 申立人の歴史

申立人は、ウイスキーをはじめとしたプレミアムスピリッツメーカーであり、1795年に、創業者ジェイコブ・ビーム(JacobBeam)が、アメリカ、ケンタッキー州において「オールド・シェイク・ビーム・サワーマッシュ」と名付けたウイスキーを販売して創業を開始した。このウイスキーは、開拓者、農民、商人の間で特に人気となり、1880年、ビーム一族の手による瓶詰めバーボン「オールド・タブ」が、アメリカ初のナショナルブランドとなった。

1894年、「ジムビーム」と呼ばれたジェームズ・ボーリガード・ビームは、一族の蒸溜所を引き継ぎ、1933年に禁酒法が終了した直後の1934年にジムビームバーボンを発表した。1943年、申立人は「オールド・タブ」から「ジムビーム」と名称を変更した。

1946年、海外駐留のアメリカ軍人にバーボンを売ることをきっかけに、ジムビームの世界展開を始めた。1988年、6代目となったジムビームのひ孫にあたるブッカー・ノーにより、ブッカーズと名付けられたジムビームの小量生産、クラフトバーボンが誕生した。2005年、クレアモントの蒸溜所ではジムビームの製造が1,300万樽となった。

申立人は、世界各国でウイスキーを中心とした商品を販売し、従業員数3,200名(2012年2月末時点)になり、売上高は2,264億円(2011年)となった(甲19)。

2014年、サントリーホールディングスが申立人を買収し、新会社は「BeamSuntoryInc.」(ビームサントリーインク)という名称を使用し、世界第3位の規模のプレミアムスピリッツメーカーに成長した(甲16〜甲18)。

そして、「JIM BEAM」(ジムビーム)は、同社を代表するバーボンウイスキーの主要商品である(甲19)。

イ 15号引用商標について

申立人は、その名称の略称として、「BEAM(ビーム)」を使用しており(甲19)、平成26年(2014年)、日本を代表するアルコール飲料・清涼飲料メーカーであるサントリーホールディングスの下に入り、「BeamSuntoryInc.」(ビームサントリーインク:以下「ビームサントリー」という。)の名称を使用している。

申立人は、商品「ハイボール缶」(ウイスキーを炭酸水で割った缶入りアルコール飲料)に「ビームハイボール」という商標を付して平成27年(2015年)から販売しており、平成27年(2015年)に22万ケース、平成28年(2016年)に20万ケース、平成29年(2017年)に72万ケース、平成30年(2018年)に108万ケースを販売した(6リットル/1ケース換算)とされる(甲20)。

ジムビームブランド全体においても、平成25年(2013年)に23万ケース、平成26年(2014年)に25.3万ケース、平成27年(2015年)に43万ケース、平成28年(2016年)に58万ケース、平成29年(2017年)に73万ケース、平成30年(2018年)に90万ケースを販売した(8.4リットル/1ケース換算)(甲19〜甲31)とされる(同上)。

平成26年(2014年)ごろから、バーボンウイスキー「JIM BEAM」の広告に、テレビタレントでモデルの「ローラ」を起用して、ローラが「JIM BEAM」を使った氷割やハイボール等を作るシーンや、「ビームハイボール!」と歓声を上げるシーンが印象的な広告を、テレビコマーシャル、交通広告(中吊り)、デジタル広告、デジタル看板、イベント等という媒体において、宣伝活動を行ったとされる(甲32)。

申立人は、平成28年(2016年)ごろから「ジムビーム」のハイボールをジョッキで楽しめる居酒屋を「ビームハイ酒場」と名付け、ビームハイ酒場にお客さんとー緒にお店を盛り上げながら「ジムビーム」の魅力を紹介する「ビームガール」が来店して、ゲーム大会を開催するというイベントを行った(甲33)。

また、平成30年(2018年)7月には、沖縄において「ビームハイボール」を提供するイベント「KUMOJI BEAM FESTIVAL 2018(久茂地ビームフェスティバル)」を開催し、販促運動を行った(甲34)。

ウ 判断

以上を総合して判断すれば、申立人は、アメリカ合衆国ケンタッキー州において、スピリッツメーカーとして創業し、1943年には、「JIM BEAM」の名称でバーボンウイスキーを販売したことがうかがわれ、その後も継続して同名称の下、バーボンウイスキー、ハイボールといった自社製品を販売し、我が国においても「JIM BEAM」(ジムビーム)の名称の下で継続的にバーボンウイスキー等を販売していることが推認できる。

しかしながら、ビームサントリーのウェブサイトや新聞記事中の使用例は、ほとんどが「ジムビーム」(甲17、甲19等)の片仮名や、ラベルに表示された「JIM BEAM」(甲26、甲29等)の欧文字からなるロゴマークであり、「BEAM」の文字が単独で使用されている事例はごくわずかである。

また、申立人は、「ジムビームブランド、ジムビームハイボール缶売上実績(写)」(甲20)を提出しているが、これは作成者不明の表にすぎず、当該表に示された販売事実を客観的に裏付ける証拠はなく、これのみによって、15号引用商標を付した申立人使用商品の販売実績を認めることはできない。

その他、15号引用商標の使用開始時期及び使用範囲等、15号引用商標を付した申立人商品の売上高、シェアなどの販売実績並びに15号引用商標に係る広告宣伝の費用、宣伝方法などについては、その事実を量的に把握することができる客観的な証拠は何ら提出されていない。

してみれば、申立人提出の証拠をもってしては、15号引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

(2)本件商標と15号引用商標の類似性の程度について

本件商標は、上記1(1)のとおり、上段に赤色円形内に山様の図形を表した図形、中段に比較的大きく赤色で表された「BEAMS」及び下段に比較的小さく赤色で表された「JAPAN」の欧文字を配した構成よりなる商標であり、一方、15号引用商標は「BEAM」の欧文字からなるものであるから、外観において全く異なるものであり、その類似性の程度が高いということはできない。

(3)本件商標の指定商品及び指定役務と申立人使用商品との関連性及び需要者の共通性について

本件商標の指定商品及び指定役務には、「洋酒,果実酒,酎ハイ」及び「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれており、申立人商品である「ウイスキー」及び「ハイボール」とは、生産部門や販売部門等を共通にする場合や、小売等役務とその取扱商品の関係にある商品であることから、関連性の程度は高く、取引者、需要者が共通する場合が多いといえる。

(4)小括

本件商標の指定商品及び指定役務と申立人商品は、関連性の程度は高く、需要者を共通にする場合があるとしても、15号引用商標は、申立人の業務に係る商品を表すものとして広く知られていたとはいい難いものであって、本件商標との類似性の程度が高くないことからすれば、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用した場合に、これに接する取引者、需要者は15号引用商標を連想、想起することはなく、当該商品及び役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものと判断するのが相当である。

また、その他に本件商標が他人の業務に係る商品及び役務と混同を生ずるおそれがある商標であるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号には該当しないものの、引用商標1に類似する商標であって、引用商標1に係る指定商品と同一又は類似する第33類「洋酒,果実酒,酎ハイ」及び第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用をするものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、「結論掲記の指定商品及び指定役務」についての登録は、同条第1項の規定に違反してされたものといわなければならないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

しかしながら、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、その登録を取り消す理由がないから,商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持するべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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