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Trademark Appeal Case

周知商標の類否と不正目的

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900093(T2019−900093/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6107920号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6107920号商標(以下、「本件商標」という。)は、「Terravita」の欧文字を標準文字で表してなり、平成30年3月16日に登録出願、第29類「チョコレートを含有した乳製品,チョコレート風味の乳飲料,チョコレートナッツ油脂,乳製品,加工野菜及び加工果実」及び第30類「チョコレート,チョコレートを使用した菓子及びパン,チョコレート飲料,チョコレートの風味を有するコーヒー,チョコレート飲料製造用のチョコレート粉末,生チョコレートを加味したココア,チョコレートを加味したパイ生地,チョコレートを加味したパン生地,チョコレートを加味してなる穀物の加工品,チョコレートを主原料としたスプレッド,チョコレートシロップ,チョコレートを使用したラビオリ,チョコレートを使用する即席菓子のもと,チョコレートの風味を有する即席菓子のもと,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,穀物の加工品,チョコレートスプレッド,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと」を指定商品として、同年10月31日に登録査定、同12月21日に設定登録されたものである。

第2 引用標章

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する標章は、「Terravita」の欧文字を横書きしたもの(以下「引用標章1」という。)、及び別掲に示すとおりの構成からなるもの(以下「引用標章2」という。)であり(以下、これらをまとめて「引用標章」という。)チョコレート等の商品に使用するほか、申立人の略称として使用しているとするものである。

第3 登録異議の申立ての理由(要旨)

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するものとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第55号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第7号について

本件商標は、その出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないため、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。

2 商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、申立人の業務に係る商品「チョコレート」等(以下「申立人使用商品」という。)を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用標章と同一又は類似の商標であって、本件商標の指定商品は、申立人使用商品と同一又はこれらに類似のものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

3 商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、申立人使用商品を表示するものとして、我が国、ポーランド又はその他外国の需要者の間に広く認識されている引用標章と同一又は類似の商標であって、本件商標の出願当初の出願人は、申立人と直接の取引関係にあり、他社の取引参入を阻止し、独占販売契約の締結を強制するといった不正の目的をもって使用をする商標であるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 引用標章の外国及び我が国における周知性について

(1)申立人から各国の販売業者に卸売販売された申立人使用商品の2018年の販売実績により、引用標章は、少なくとも、ルーマニア、チェコ共和国、ブルガリア共和国等の国々又は広く商品を輸出している各国において、申立人使用商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。

(2)申立人使用商品の販売の際に、2018年に発行されたインボイス(明細書付き請求書)の写し(甲15〜甲46)により、日本を含む32か国の取引先58社との間で、現実に卸売販売が行われた証拠となるものと考える。また、運送業者の送り状の写しにより、申立人使用商品が実際どこに配送されたかについても確認が可能である。また、インボイスに添付の明細書には、左上に引用標章2が付されていることから、申立人使用商品の取引書類での当該標章の使用も確認できる。

(3)各国の小売店の菓子売場での販売風景を示す写真(甲47〜甲52)により、各国の取引先に卸売された申立人使用商品が、現実に各国の菓子売場で販売されていることがわかる。

(4)申立人が商品見本市に参加し、出展ブースにおいて引用標章を使用していることから(甲53、甲54)、様々な取引者・需要者が集う販売促進の場においても、引用標章が使用され、認知度を高めたものと推測できる。

なお、小売店の菓子売場等の写真には、商品「Terravita」のほか、申立人の業務に係る商品「Alpinella」及び「Chocola!」も見られる。引用標章は、「Terravita」シリーズの商品に使用される商標であると同時に、申立人名の要部より採られたハウスマークであるので、上記「Alpinella」シリーズなどの商品についてもしばしば重畳的に使用されており、当該シリーズ商品に係るウェブサイトでの広告等(甲55)や明細書などの取引書類(甲16ほか)には引用標章が付されているので、これらの商品も申立人使用商品であるといえる。

(5)申立人使用商品全ての包装に、申立人名「TERRAVITA Sp.zo.o.」が製造販売者として明示されていることにより、申立人標章が特定のチョコレート商品メーカーであることを示すものとして広く知名度を高めることに結びついている。

(6)したがって、販売額などの情報及び証拠(甲14〜甲55)により、引用標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本を含む各国における需要者の間に広く認識されていることが確認できる。

第4 当審の判断

1 引用標章の周知性について

申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。

(1)申立人であるテラヴィータ スプウカ ス オルガニザツィーノン オトゥポビエジャルノシチョン(リミテッド ライアビリティー カンパニー)は、ポーランド西部の都市ポズナンに所在し、チョコレート商品などの製造と卸売販売を行う企業であって(甲2、甲3)、申立人使用商品に引用標章を使用しており(甲3、甲4)、申立人は、申立人使用商品を、本国ポーランドで販売するほか、2018年頃には、欧州諸国から、日本や台湾を始めとするアジア地域、米国やカナダの北米地域、南アフリカ等の32カ国で販売しており、販売の際に発行されるインボイスに添付の明細書には、引用標章2が表示されている(甲15〜甲46)。

(2)申立人使用商品のパッケージや広告等には、引用標章2が付され、引用標章2は、EUTM登録第17999401号の赤色の態様(甲5)のほか、パッケージの地色や広告の背景の色彩に対応して、様々な色彩で使用されている(甲2〜甲4、甲6〜甲9、甲15〜甲46)。また、引用標章1は、申立人の会社名の略称であり、遅くとも、2010年頃には、同人の事業や申立人使用商品に使用されている(甲4、甲9、甲11、甲15〜甲46)。

(3)日本においては、引用標章を使用した申立人使用商品が、2016年から2018年にかけて、日本において販売されたと推定されるところ(甲12、甲26)、引用標章2を付した申立人使用商品がウェブサイトを通じて販売されており、チョコレートメーカーの業界団体である日本チョコレート工業協同組合のウェブサイトには、ポーランドのチョコレートメーカーとして「TERRAVITA」の記載がある(甲6)。

(4)申立人は、ドイツのケルンで毎年開催され、西欧諸国を始め、東欧、アメリカ、アジア各国の出展企業や専門バイヤー等が集まる「ISMケルン国際菓子専門見本市」に申立人使用商品を出品し、広告宣伝を行っている(甲10、甲11、甲54)。また、「Amazon.co.uk」や「TESCO」のウェブサイト(2019年6月14日紙出力)において、引用標章2が付された申立人使用商品が掲載されていることはうかがえるものの、当該ウェブサイトにおける掲載日は不明であって、その出力日は、いずれも本件商標の登録査定後の日付である(甲9)。

(5)引用標章2を付した申立人使用商品が外国の店舗において販売されていることはうかがえるものの、撮影日とされる日付(2017年から2019年)は、申立人が手書きで記載したものであり、実際に販売された日付は不明である上、その日付も本件商標の登録査定後のものである(甲47〜甲52)。

(6)上記(1)ないし(5)によれば、申立人は、遅くとも、2010年頃には、申立人の会社名の略称である引用標章1を同人の事業や申立人使用商品に使用しており、申立人は、2018年に、欧州諸国から、日本や台湾を始めとするアジア地域、米国やカナダの北米地域、南アフリカ等の32カ国において申立人使用商品を販売し、当該取引の際に、申立人の表記と共に引用標章が使用されていることから、それぞれの国で申立人使用商品は、一定程度流通していることがうかがえる。

しかしながら、引用標章の使用開始時期及び使用期間、申立人使用商品の我が国若しくはポーランド又はその他の外国における販売数、売上高、市場シェア等の販売実績並びに宣伝広告の期間、地域及び規模等の広告実績を定量的に確認できる客観的な資料は提出されていないから、引用標章の周知性の程度を推し量ることはできない。

加えて、提出された証拠は、ウェブサイトや写真等における掲載日や撮影日が不明又は本件商標の登録査定後の日付のものが大半である。

そうすると、申立人使用商品に使用されている引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(チョコレート)を表示するものとして、我が国、ポーランド又はその他外国の需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。

また、他に、引用標章が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(チョコレート)を表示するものとして、我が国、ポーランド又はその他外国の需要者の間に広く認識されている商標と認めるに足りる証拠は見いだせない。

以上よりすれば、引用標章が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。

2 本件商標と引用標章の類否について

(1)本件商標

本件商標は、「Terravita」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「テラヴィータ」の称呼を生じ、また、当該文字は、一般的な辞書に掲載されている語ではなく、直ちに特定の意味合いを理解させるものとして知られているものでもないから、本件商標は、特定の語義を有しない造語を表したものとして認識、把握されるというべきであって、これより特定の観念は生じない。

(2)引用標章

前記第2のとおり、引用標章1は、「Terravita」の欧文字を横書きしたものであり、引用標章2は、別掲のとおり、「terravita」の欧文字(1文字目及び8文字目の「t」の文字がややデザイン化されている。以下、同じ。)を赤字で表してなるところ、引用標章は、上記(1)と同様に、その構成文字に相応して「テラヴィータ」の称呼を生じ、これよりは、特定の観念は生じない。

(3)本件商標と引用標章との類否

ア 本件商標と引用標章1との類否

上記(1)及び(2)よりすれば、本件商標と引用標章1とは、「Terravita」の欧文字を共通にすることから、外観において紛らわしく、「テラヴィータ」の称呼を共通にし、観念において比較することはできない。

そうすると、本件商標と引用標章1とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼を共通にするものであるから、相紛れるおそれのある類似の商標である。

イ 本件商標と引用標章2との類否

本件商標と引用標章2とは、書体及び色彩を異にし、1文字目が大文字で表されているか小文字で表されているかという差異があるものの、つづりを同一とするものであるから、外観上、近似した印象を与えるものである。

また、両者は、「テラヴィータ」の称呼を共通にし、観念において比較することはできない。

してみれば、本件商標と引用標章2とは、観念において比較できないとしても、外観において類似し、称呼を共通にするものであるから、相紛れるおそれのある類似の商標である。

そうすると、本件商標と引用標章とは、観念において比較できないとしても、外観において類似であり、同一の称呼を生じるものであるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのある同一又は類似の商標である。

(4)本件商標の指定商品と申立人使用商品との類否

本件商標の指定商品と申立人使用商品は、いずれも「チョコレート」を含むものであり、生産・部門、原材料、用途、需要者等を共通にする同一又は類似の商品ということができる。

したがって、本件商標の指定商品と申立人使用商品とは、同一又は類似の商品である。

3 商標法第4条第1項第10号該当性について

本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するというためには、引用標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていなければならないとするところ、上記1のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間で、広く認識されていたものとはいえないものであるから、上記2のとおり、本件商標と引用標章とが同一又は類似の商標であり、本件商標の指定商品と申立人使用商品とが同一又は類似であるとしても、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれらに類似する商品について使用をするものということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第19号該当性について

本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するというためには、引用標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていなければならず、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用するものでなければならないとするところ、上記2のとおり、本件商標と引用標章は類似の商標であり、本件商標の指定商品と申立人使用商品とが同一又は類似するとしても、上記1のとおり、引用標章は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又外国の需要者の間に広く認識されていた商標とは認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号該当性の前提を欠くものといわなければならない。

なお、申立人は、本件商標の当初の出願人は、申立人と直接の取引関係にあり、他社の取引参入を阻止し、独占販売契約の締結を強制するといった不正の目的をもって使用をするものであるから、本件商標に係る出願人とその譲受人(現商標権者)には不正の目的があった旨述べ、証拠(甲12、甲13)を提出しているところ、当該証拠から、申立人と本件商標の当初の出願人とが取引関係にあり、本件商標に係る内容でのメールのやり取りがあったことはうかがえるが、当該証拠をもって、本件商標に係る出願人とその譲受人(現商標権者)が、我が国において不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって、本件商標を使用するものと認めるに足りる具体的事実を見いだすことはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

5 商標法第4条1項第7号該当性について

本件商標は、前記第1のとおりの構成からなるところ、それ自体、何ら卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるものではない。

なお、申立人は、本件商標に係る出願人は、本来の商標権者である申立人に無断で本件商標の登録出願を行ったものであり、本件商標の出願の経緯には、社会的相当性を欠くものがあり、その登録を認めることは、商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ない旨述べている。

しかしながら、申立人提出の証拠からは、本件商標に係る内容でメールのやり取りがあったことはうかがえるが、本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くなどの具体的事実、本件商標をその指定商品について使用することが、申立人との関係において、公正な取引秩序を乱し国際信義に反するものとすべき事情も見いだせない。加えて、本件商標は、他の法律によって本件商標の使用が禁止されていると認められるものではないから、本件商標は、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような特段の事情があるものとまでは認められず、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

6 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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