Trademark Appeal Case
称呼の類否と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−13048(T2019−13048/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第11類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成30年6月15日に登録出願されたものである。
その後,上記の指定商品については,原審における平成31年3月22日付け手続補正書により,第11類「電熱式マットレス」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして,拒絶の理由に引用した登録第5872518号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成27年10月14日に登録出願,第7類「電気ミキサー」及び第35類「発電装置・その他の電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第6類,第7類,第9類,第11類,第35類ないし第40類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同28年8月5日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,緑色の円形図形の左側を取り巻くように同系色の三日月様図形を配してなり(以下,これらを「本願図形部分」という。),当該円形図形の中央に「TESS」及び「Corporation」の白抜きの文字(「TESS」の文字は「Corporation」の文字に比して顕著に大きく太く書されている。)を上下二段に表してなる文字と図形の結合商標である。
そして,本願商標の構成中「TESS」及び「Corporation」の各文字部分と本願図形部分は,白色と緑色との鮮やかなコントラストにより,視覚上,分離して看取し得るものであることに加え,本願図形部分は,抽象化して表された図形であって,直ちに特定の事物を想起させるものではないから,本願図形部分からは,特定の称呼及び観念を生じないものである。
また,「TESS」及び「Corporation」の各文字部分と本願図形部分とに観念的なつながりを見いだすことはできず,一連一体の称呼が生じるともいえないことからすると,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認めることはできない。
他方,本願商標構成中の「Corporation」の文字は,会社の種類を表す「株式会社」等の意味を有する語(「ベーシックジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店)として広く使用されていることから,当該文字は自他商品の識別標識としての機能を有さないか極めて弱いものであることに加えて,「TESS」の文字部分は,「Corporation」の文字部分に比して顕著に大きく太く書されていることから,「TESS」の文字部分が取引者,需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。
そうすると,本願商標は,その構成中「TESS」の文字部分又は本願図形部分が,それぞれ要部として自他商品識別標識としての機能を果たし得るというのが相当である。
したがって,本願商標は,その構成中の「TESS」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することが許されるものであるから,当該文字部分に相応して「テス」の称呼を生じ,また,当該文字は,我が国で一般的に知られている語とはいえないことから,特定の意味を有しない一種の造語と認められる。
以上よりすると,本願商標は,要部の一である「TESS」の文字部分(以下「本願要部」という。)に相応して「テス」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は,別掲2のとおり,「TESS」の赤色の文字(末尾の「S」の文字はややデザイン化されている。)及び当該文字の右上側から左下側にかけて文字列の一部を囲むように紺色のだ円形状の図形(以下「引用図形部分」という。)を配してなる文字と図形の結合商標である。
そして,引用商標の構成中「TESS」の文字部分と引用図形部分は,色彩の相違に加え文字部分と図形部分により,視覚上,分離して看取し得るものであることに加え,引用図形部分は単なるだ円形状の図形であって,直ちに特定の事物を想起させるものではないから,引用図形部分からは,特定の称呼及び観念を生じないものである。
また,「TESS」の文字部分と引用図形部分とに観念的なつながりを見いだすことはできず,一連一体の称呼が生じるともいえないことからすると,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認めることはできない。
したがって,引用商標は,その構成中の「TESS」の文字部分及び引用図形部分が,それぞれ要部として自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得るというのが相当である。
以上よりすると,引用商標は,上記(1)と同様に要部の一である「TESS」の文字部分(以下「引用要部」という。)に相応して「テス」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願要部と引用要部とを比較すると,いずれも欧文字の大文字でそのつづりを共通にするから,外観上,互いに近似した印象を与えるものである。
次に,称呼においては,両者は,「テス」の称呼を共通にするものである。
そして,観念においては,両者は特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。
以上によれば,本願要部と引用要部とは,観念上,比較できないとしても,外観上,互いに近似した印象を与えるものであり,称呼を共通にするものであるから,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すると,本願商標と引用商標は,その出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
したがって,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標といえる。
(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
本願商標の指定商品「電熱式マットレス」と引用商標の指定商品中の第7類「電気ミキサー」とは類似する商品である。
また,本願商標の指定商品「電熱式マットレス」と引用商標の指定役務中の第35類「発電装置・その他の電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,当該役務の取扱いに係る商品に,本願商標の指定商品が含まれるものであり,商品の販売とその商品を取り扱う小売役務の提供とが同一の者によって行われることは,商取引上,しばしば見受けられるものである。
そうすると,当該商品の販売場所や需要者の範囲が,当該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも少なからずあることから,本願商標の指定商品と引用商標の上記指定役務に同一又は類似する商標が使用された場合,両者は,その出所について混同を生ずるおそれがある,互いに類似するものというべきである。
(5)小括
以上によれば,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,また,本願商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務も類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
請求人は,本願商標中の文字部分全体は,請求人名称「株式会社TESSコーポレーション」の英文表記「TESS Corporation」であるから,取引者,需要者においては一部を省略して認識し理解することはなく,「Corporation」の文字は省略されない,また,本願商標の構成文字の大きさの差が商標観察に影響を与えるものではない旨述べ,過去の審決例を挙げている。
しかしながら,取引者,需要者が「TESS」及び「Corporation」の両文字部分を常に一体不可分と認識し理解するべき具体的な証拠の提出はなく,また,本願商標の構成態様からすると,「TESS」の文字部分が,独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部として理解されるものであることは,上記(1)のとおりである。
さらに,商標の類否の判断は,当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において,個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた審決例は,いずれも本願商標とは,その文字種や構成態様が異なるなど,事案を異にするというべきであるから,当該審決例の存在によって本願商標の上記判断が左右されるものではない。
よって,請求人の上記主張は,採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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