Trademark Appeal Case
「ピンポイント農薬散布」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−5666(T2019−5666/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ピンポイント農薬散布」の文字を標準文字で表してなり、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,センサー(測定機器)(医療用のものを除く。),電子計算機用プログラム,データ通信端末機用プログラム,携帯情報端末,携帯情報端末機用プログラム,身体に装着可能なコンピュータ,コンピュータネットワーク及び通信ネットワークへの安全な遠隔からのアクセスを提供するためのコンピュータ及びコンピュータソフトウェア,コンピュータ又はコンピュータネットワークに遠隔で接続するためのコンピュータプログラム,遠隔制御用無線受信機,遠隔監視システム用サーバコンピュータ,無人航空機用又は無人マルチコプターに使用するコンピュータプログラム」、第12類「カメラを搭載したドローン,民間用ドローン」、第42類「遠隔通信ネットワーク用電子計算機プログラムの設計・作成又は保守,通信を用いて行う携帯電話機用のコンピュータプログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供,航空機に関するコンピュータプログラム及びソフトウェアの設計」及び第44類「植物の栽培,空中及び地上での肥料及び農薬の散布,肥料及び農薬の散布,肥料散布に関する情報の提供,農業のための殺虫剤散布,防虫剤又は殺菌剤の散布」を指定商品又は指定役務として、平成29年12月26日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『極めて限られた狭い地点に農薬を散布すること』の意味合いを容易に認識させる『ピンポイント農薬散布』の文字を標準文字で表してなるものであるから、これを本願の指定商品中、第12類の『カメラを搭載したドローン,民間用ドローン』に使用しても、単に商品の品質(用途)を表示するものであり、また、本願の指定役務中、第44類の『極めて限られた狭い地点への空中及び地上での農薬の散布,極めて限られた狭い地点への農薬の散布』に使用しても、単に役務の質(内容)を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の第44類『空中及び地上での肥料及び農薬の散布,肥料及び農薬の散布,肥料散布に関する情報の提供,農業のための殺虫剤散布,防虫剤又は殺菌剤の散布』に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、意見を申し立てる機会を与えるべく、相当の期間を指定して、令和元年12月4日付けで証拠調べの結果を通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めたところ、請求人からは、何ら応答がなかった。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「ピンポイント農薬散布」の文字からなるところ、その構成中「ピンポイント」、「農薬」及び「散布」の文字は、それぞれ「極めて限られた狭い地点」、「農業用の薬剤」及び「ふりまくこと」等の意味を有するものと容易に理解される平易な語であって、本願商標の構成全体から「極めて限られた狭い地点で行う農薬の散布」程度の意味合いを認識させるものである。
そして、当審で示した証拠(別掲)のように、原査定において拒絶の理由として対象とした商品及び役務の分野において、害虫被害箇所等の極めて限られた狭い地点を狙うという範囲を表すものとして、「ピンポイントで農薬をまく」、「ピンポイントで散布する」、「ピンポイントで肥料をまく」のように「ピンポイント」の語が使用されており、さらに、上記のとおりの狭い地点を狙って行う農薬や肥料の散布を表すものとして「ピンポイント農薬散布」又は「ピンポイント散布」の語が使用されている事実も認められる。また、農薬散布等にドローンが利用されている実情も見てとることができる。
してみれば、「ピンポイント農薬散布」の文字からなる本願商標を、本願の指定商品又は指定役務中の「カメラを搭載したドローン,民間用ドローン」又は「極めて限られた狭い地点への空中及び地上での農薬の散布,極めて限られた狭い地点への農薬の散布」について使用しても、取引者、需要者は「ピンポイントで農薬を散布できるドローン」又は「空中及び地上でのピンポイントで行う農薬の散布,ピンポイントで行う農薬の散布」であることを理解するにすぎず、単に商品の品質、用途又は役務の質を普通に用いられる方法で表したものと認識され、自他商品又は自他役務の識別標識として認識し得ないものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「極めて限られた狭い地点への空中及び地上での農薬の散布,極めて限られた狭い地点への農薬の散布」以外の「空中及び地上での肥料及び農薬の散布,肥料及び農薬の散布,肥料散布に関する情報の提供,農業のための殺虫剤散布,防虫剤又は殺菌剤の散布」に使用するときには、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「『ピンポイント』の語は、『正確な位置制御』の意味も有するから、本願商標は、全体として極めて漠然とした広範な意味を生ずるものである。」旨主張し、「ピンポイント」の文字と商品又は役務の普通名称等とを組み合わせた商標の登録例を挙げ、本願商標も、それらの登録例と同様に、指定商品又は指定役務との関係において、一定の商品の品質又は役務の質を表示するものとして、取引者、需要者に認識されるものではない旨を主張している。
しかしながら、前記(1)のとおり、本願の指定商品又は指定役務との関係における、「ピンポイント」の語の使用例及び「ピンポイント農薬散布」又は「ピンポイント散布」の使用例等からすると、本願商標は、前記(1)において商標法第3条第1項第3号に該当する対象とした指定商品又は指定役務について使用しても、「ピンポイントで農薬散布できるドローン」又は「ピンポイントで行う農薬の散布」であることを認識させるにすぎず、請求人が主張する「極めて漠然とした広範な意味を生ずるもの」であるということはできないから、本願商標は、商品の品質、用途又は役務の質を直接かつ具体的に理解する語であるというのが相当である。
また、登録出願に係る商標が登録され得るものであるか否かの判断は、商標ごとに個別具体的に検討、判断されるべきものであり、たとえ「ピンポイント」という語を含む商標が登録されている例があるとしても、当該登録商標の存在によって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについての判断が左右されるものではない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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