sokuhyo

Trademark Appeal Case

著名地名と普通名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−6144(T2019−6144/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,「端島軍鶏」の文字と「軍鶏」の文字の下部に「シャモ」の文字を配し,普通に用いられる方法をもって書した構成からなるものであって,第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成29年11月14日に登録出願され,その後,本願の指定商品については,原審において,平成30年9月19日付け手続補正書により,第29類「軍鶏の鶏肉,軍鶏と他品種の交配種または軍鶏と他品種の雑種の鶏肉,軍鶏の鶏肉を原料とする肉製品,軍鶏と他品種の交配種または軍鶏と他品種の雑種の鶏肉を原料とする肉製品」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は,「『端島』が長崎県の著名な観光地の一つとして知られている現在,本願商標をその指定商品に使用した場合には,これに接する取引者,需要者は,当該商品が『端島及びその周辺地域で生産又は販売された商品』程の意味合いを認識するにすぎず,単に商品の産地,販売地,品質を普通に用いられる方法で表したものと認識するにとどまるから,本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し,さらに,上記意味合いに照応する商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから,本願商標は商標法第4条第1項第16号にも該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における審尋及びこれに対する意見

1 審判長は,令和2年1月8日付けで別掲1〜3に係る証拠を示した上で,本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する旨の審尋をし,期間を指定して,これに対する意見を求めた。

2 上記1の審尋に対し,請求人は,令和2年1月21日付け意見書を提出し,要旨以下のとおり意見を述べた。

「端島」を認識している人々すなわち「端島」を周知している人々は,「端島」が無人島であることをしっかりと理解しているはずであり,したがって,「端島」で「軍鶏」を生産できないことや「端島」に売店等が存在しないことを常識として理解するはずである。別掲1に示された証拠からは,「端島」が現在無人島であるということが理解され,これらは,「端島」を認識する人々が,「端島」が「軍鶏」を生産し,あるいは販売している島ではないことを理解していることの証左となる。

第4 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

(1)本願商標は,上記第1のとおり,「端島軍鶏」の文字と「軍鶏」の文字の下部に「シャモ」の文字を配し,普通に用いられる方法をもって書した構成からなるものであって,「端島」の文字と「軍鶏」及びその読みを表したものと理解される「シャモ」の文字とを組み合わせた構成からなるものと看取,把握されるものである。

また,本願商標の構成中の「端島」の文字について,広辞苑第7版によれば,「端島」の項には「長崎県南部,長崎半島西岸沖にある島。・・・軍艦島。世界遺産。」と,「軍艦島」の項には「端島の通称。」と記載されている。

さらに,本願商標の構成中,「軍鶏」及び「シャモ」の文字は,本願の指定商品との関係において,商品の名称又は原材料を表すものである。

(2)そして,「端島」は,2015年(平成27年)7月に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のひとつであって,現在では,その通称である「軍艦島」とともに,広く一般に知られる観光地となっている(別掲1)。

また一般に,観光地(その所在地又は周辺地域を含む。)においては,観光名所などの名称やその地理的な名称を付した土産物の商品が多数販売されている実情にあることはよく知られているところであり,端島の周辺地域,すなわち,端島がある長崎市において,「端島」の通称である「軍艦島」の文字が表示された様々な商品が販売されている実情がある(別掲2)。

さらに,本願の指定商品に係る業界において,「シャモ」若しくは「しゃも」の文字に生産地である地名,地域名を組み合わせて「○○シャモ」のように表示している実情がある(別掲3)。

(3)以上からすれば,「端島軍鶏」の文字と「軍鶏」の文字の下部にその読みを表したものと理解される「シャモ」の文字を書した構成からなる本願商標は,「端島」が著名な観光地として広く知られており,その通称である「軍艦島」の文字が表示された様々な商品が販売されていること及び生産地を冠したシャモが生産,販売されている実情を総合勘案すれば,これがその指定商品に使用されたときは,これに接する取引者,需要者は,本願商標全体から,「端島及びその周辺地域で生産又は販売された、軍鶏の鶏肉・軍鶏と他品種の交配種または軍鶏と他品種の雑種の鶏肉・軍鶏の鶏肉を原料とする肉製品・軍鶏と他品種の交配種または軍鶏と他品種の雑種の鶏肉を原料とする肉製品」であることを表したものと認識するにとどまるというのが相当である。

したがって,本願商標は,その指定商品の産地,販売地又は品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 請求人の主張について

上記第3の2のとおり,請求人は,「端島」を知る人々はそれが無人島であることを理解しているので,「端島」では軍鶏が生産できないことや「端島」に売店等が存在しないことを常識として理解するはずである旨主張する。

しかし,請求人の上記主張は,以下のとおり採用できない。

商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには,必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず,需要者又は取引者によって,当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである(最高裁昭和60年(行ツ)第68号同61年1月23日第一小法廷判決・裁判集民事147号7ページ)。

そして,取引者,需要者は,本願商標の指定商品が端島及びその周辺地域において生産され又は販売されているであろうと認識するといえるのは上記1での判断のとおりであって,本願商標の指定商品が端島において現実に生産され又は販売されているか否かは,本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断を左右するものではない。

なお,請求人は,端島を認識している人々は端島が無人島であることをしっかりと理解しているはずであると主張するものの,主張の根拠としては別掲1に係る証拠を援用するだけで,取引者,需要者がそのように理解することの根拠となる具体的証拠を何ら提出していない。

3 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。