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Trademark Appeal Case

雪室仕込みの品質表示性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−8107(T2019−8107/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,「雪室仕込み」の文字を横書きしてなり,第29類「食肉,冷凍野菜,乳製品,冷凍果実,かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,加工野菜及び加工果実,豆」,第30類「米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,コーヒー,ココア,茶,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼き肉のたれ,みそ,コーヒー豆,食用粉類」,第31類「野菜,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,果実,麦芽,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽」及び第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」を指定商品として,平成30年2月7日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は,「本願商標は,『雪室仕込み』の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ,その構成中の『雪室』の文字は『雪を利用して保存・熟成等をする所』の意味を有する語であり,また,『仕込み』の文字は『酒や味噌・醤油などの醸造で,原料を混ぜて桶などにつめること。』の意味を有する語として一般に使用されている。そして,食品業界においては,雪室を使用した食品の保存・熟成等が広く行われている実情が認められる。そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,本願商標に接する取引者,需要者は,『雪室を使用して食品を保存・熟成等の仕込みをした商品』程の意味合いを認識するにとどまるから,本願商標は,単にその商品の品質を表したものであって,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,その指定商品中,上記意味合いに照応する商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知及びそれに対する請求人の対応

当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和元年11月18日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。

しかしながら,請求人は,上記証拠調べ通知に対し,何ら意見を述べていない。

第4 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

(1)商標法第3条第1項第3号について

商標法第3条第1項第3号が,「その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,形状(包装の形状を含む。),生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴,数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは,このような商標は,指定商品との関係で,その商品の産地,販売地,品質,形状その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される。そうすると,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには,審決の時点において,本願商標が,その指定商品との関係で,その商品の産地,販売地,品質,形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標の指定商品の取引者及び需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に,将来を含め,商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号,平成27年10月21日判決参照)。

(2)本願商標について

ア 本願商標は,上記第1のとおり,「雪室仕込み」の文字を横書きしてなるところ,その構成文字は,標準的な明朝体の書体で表したものであるから,本願商標は,「雪室仕込み」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章であるといえる。

イ 本願商標の構成中の「雪室」の文字は,「大量の雪を入れて温度を低く保つようにしたむろ。」の意味を有する語として,「仕込み」の文字は,「酒,みそ,しょうゆなどの原料を調合して,醸造するように桶(おけ)などにつめこんでおくこと。また,鮨(すし)などを,味が出るように漬けておくこと。ならすこと。」及び「(場所などを示す名詞に付いて接尾語的に用いる。多く『じこみ』の形をとる)その場所で身につけたこと,得たこと,作られたこと,また,そのものの意を表す。」の意味を有する語として,いずれも国語辞典に載録された語である(別掲1)。

そうすると,本願商標は,「雪室」及び「仕込み」の2語からなる結合商標として理解されるものであり,その言語構成及び上記した「雪室」及び「仕込み」の文字の語義からすれば,全体として,「大量の雪を入れて温度を低く保つようにしたむろ(雪室)で作られたこと」の意味合いが容易に理解されるものである。

(3)指定商品との関係における,「雪室」の利用状況及び「雪室仕込み」,「雪室」,「仕込み」の各文字の使用状況について

当審における職権調査によれば,以下の事実が認められる。

ア 「雪室」の利用状況

本願の指定商品と関係の深い飲食料品等の分野においては,雪室の機能や特性が注目され,雪室に様々な飲食料品(酒,野菜,果物,肉,米,そば,漬物,みそ,珈琲等)や果樹,花き等を相当の期間保存することで,熟成,鮮度保持,食味向上など,商品の付加価値を高めることが一般に行われている(別掲2(1)及び(2))。

イ 「雪室仕込み」の文字又は「雪室」,「仕込み」の文字の組合せの使用状況

「雪室仕込み」の文字又は「雪室」,「仕込み」の文字の組合せは,本願の指定商品と関係の深い飲食料品(りんご,じゃがいも,酒,米,そば,漬物,みそ)及び果樹との関係において,例えば,「県内有数の豪雪地である町の農林産物保管庫『雪室』でじっくり熟成した。ジャガイモは甘みを増し,リンゴはみずみずしい。『雪室仕込み』のおいしさを広く知ってもらおうと,・・・販売を始めた。」,「山形県飯豊町のいいで雪室研究所が同町松原に建設していた雪室が完成し・・・雪室を利用することで,農産物や加工品の時期をずらした出荷が可能となる上,酒などは『雪室仕込み』のような付加価値を加えることも期待できるという。」,「米沢市 雪室に貯蔵の日本酒やソバを搬出 日本酒,熟成されまろやか・・・雪室仕込みの日本酒とソバは,二十五日の試飲,試食会で関係者らに振る舞われる。・・・同社は雪室仕込みに本格的に取り組み・・・山形おきたま農協などが試験用にコメやソバなどを入れていた。」,「昨年から『夏の雪室まつり』が開催され,雪室仕込みのじゃがいもの試食・販売や雪室見学が行われ好評を得ています。」,「七ヶ宿産こだわりの農産物が雪室でさらに熟成しています。鮮度が保たれ,甘みが増すこともあると言われている雪室。・・・果樹/・・・雪室で鮮度を保ち,長期間の出荷が可能になりました。」,「宮城県内唯一の雪室で鮮度が保たれ,町内の直売所には雪室仕込みの新鮮でおいしい農林産物が並んでいます。」,「新潟の郷土漬物の山海漬とハリハリ漬(切干漬)。雪深い新潟の天然の冷蔵庫『雪室(ゆきむろ)』で低温熟成することでまろやかに仕上げた酒粕や醤油を使用した雪室仕込みの新商品です。」,「雪室とは,雪が多いからこそできる天然の冷蔵庫のようなものです。毎年,地元の酒蔵さんのお酒やお米などと一緒に,この中へ味噌を仕込み入れます。」のように,その飲食料品や果樹,花き等が,熟成,鮮度保持,食味向上など,商品の付加価値を高める目的により雪室で保存された商品であることを表示記述する語として,普通に使用されている実情がある(別掲2(1))。

ウ 「仕込み」の文字の使用状況

「仕込み」の文字は,本願の指定商品と関係の深い飲食料品(酢,しょうゆ,漬物,米,酒,乾めん)との関係において,例えば,「木桶仕込みの酢やしょうゆなどをそろえる。・・・木桶で醸した酢やしょうゆは,金属タンクで造られるものに比べて風味が豊かで味もまろやか。」,「赤カブ:杉だる仕込み,おいしく・・・杉だる仕込みにこだわっている。木製のたるは微量の酸素を透過させ,乳酸菌や酵母菌の活動を促すという。」,「雪や井戸水の冷熱を利用したコメの倉庫を一億七千万円かけて建設。・・・この『雪蔵仕込み』には雪を使うことで米の品質の低下を抑えるメリットもある。」,「木槽仕込み芋焼酎完成 香りよくまろやか・・・焼酎の仕込みにはほうろうタンクやかめが使われるが,同社では,保温性や保湿性が高く発酵が穏やかに進むという特性を持つ木槽を使い,より良い酒質の焼酎を完成させた。」,「・・・地場産のソバを雪室で貯蔵した『雪蔵仕込み』の乾めん。豪雪を逆手にとった雪室で玄ソバを保管し,『低温で熟成された,しっとりした風味』が特徴だ。」,「木桶仕込みの醤油」,「焼酎を知る/かめ壺仕込みって何?・・・かめ壺で仕込む焼酎はまろやか!」,「洞窟仕込み焼酎・・・静かな洞窟の中は・・・焼酎の貯蔵には最適な環境です。これにより,芋本来の甘味や芳醇な香りに加え,女性にも飲みやすい柔らかい飲み口を実現しました。」のように,「木桶」,「杉だる」,「雪蔵」,「木槽」,「かめ壺」,「洞窟」等どの場所などを示す名詞に付いて接尾語的に,その飲食料品が,熟成,食味向上等の目的によりその場所で保存された商品であることを表示記述する際に,普通に使用されている実情がある(別掲2(3))。

(4)上記(2)及び(3)のとおり,本願商標は,その言語構成,「雪室」及び「仕込み」の文字の語義並びに本願の指定商品と関係の深い飲食料品等の分野における「雪室」の利用状況及び「雪室仕込み」,「雪室」,「仕込み」の各文字の使用状況などを勘案すれば,その指定商品の取引者及び需要者によって,「雪室で保存し,熟成,食味向上,鮮度保持等されたもの」程の意味合いを表す語として認識されるものであると認められる。

そうすると,本願商標は,その指定商品に使用されたときは,その商品が「雪室で保存し,熟成,食味向上,鮮度保持等された商品」であるという商品の品質(特徴)を表示記述するものとして一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適切でないとともに,自他商品の識別力を欠くものであるというべきである。

そして,上記(2)アのとおり,本願商標は,「雪室仕込み」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章であるといえる。

したがって,本願商標は,その商品の品質(特徴)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として,商標法第3条第1項第3号に該当する。

また,本願商標は,その指定商品中の「雪室で保存し,熟成,食味向上,鮮度保持等された商品」以外の商品について使用されたときは,これがあたかも「雪室で保存し,熟成,食味向上,鮮度保持等された商品」であるかのごとく,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるといえるものであるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。

2 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

(1)請求人は,本願商標の使用状況に照らせば,本願商標は,指定商品との関係において,自他商品識別標識としての機能を発揮するものである旨主張し,証拠として,当審において資料1ないし資料28を提出している(以下,当該証拠を,甲第1号証ないし甲第28号証と読み替える。)。

請求人は,本願商標が使用による自他商品識別力を獲得したとして,商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張しているものと解されるので,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。

(2)請求人の提出に係る証拠及びその主張によれば,次の事実が認められる。

ア 請求人について

(ア)請求人は,平成2年に,雪国の持つ地域資源を活用し,自然エネルギーの利用を推進すること等を目的として,「財団法人雪だるま財団」を設立し,平成23年に,現在の「公益財団法人雪だるま財団」に設立登記したものである(甲1,甲2)。

(イ)請求人については,「にいがたの現在・未来/センター月報 November2011 NO.457」(平成23年10月27日 財団法人新潟経済社会リサーチセンター発行)の雑誌のインタビュー記事において,「雪室を利用した食ブランドへの取り組みも活発ですね。」の項に「当財団は,現在2つの食ブランド事業に関わっています。まず2006年に地元上越市の食品関連業者による『上越・雪室仕込み』,10年には県内全域に対象を広げた『越後雪室屋』というブランドの開発に関わりました。事業では,県内食品業者の取り扱う米,味噌,蕎麦,茶,コーヒー,清酒,ワイン,精肉など,様々な食材に,雪室保存による特性を活かし,新たな付加価値をつけて販売する取り組みが行われています。」と紹介されている(甲19)。

(ウ)請求人は,平成27年12月に発足した「雪室推進プロジェクト」の事務局であり,当該プロジェクトは,雪室を中心とした雪の利活用を通じて,地域資源を見直し,雪室商品や雪下・雪室野菜を特産品に成長させ,地域の発展に貢献していくこと等を目的とし,代表,副代表,理事,事務局及びメンバーの48法人からなるものである(甲3)。

イ 「雪室仕込み」の文字の使用について

(ア)有限会社内山農産(以下「内山農産」という。)に係る商品についての使用

a 「新潟コシヒカリ農家『内山農産』スタッフブログ【チカの気ままな日記】」のウェブサイトにおいて,2009年(平成21年)6月4日付けの「豆類の種まき」の記事には,「『十五夜豆』は,『いなか味噌せつこ』や,『上越雪室仕込み・いなか味噌せつこ』の原材料となる,大切な大豆です。」の記載がある(甲28)。

b 「雪室推進プロジェクト」のウェブサイトにおいて,商品「みそ」が,「上越雪室仕込み【みそ八百】850g/有限会社 内山農産」の記載とともに紹介されている。なお,内山農産は,同ウェブサイトにおいて,「雪室推進プロジェクト」のメンバーとして記載されている(甲3)。

c 内山農産のウェブサイトにおいて,「上越雪室仕込み【みそ八百】850g」の見出しの下,商品「みそ」が,「・・・上越市安塚区の雪中貯蔵施設『雪むろ』でじっくり寝かせて熟成させました。・・・雪室の内部は低温多湿(温度0〜5°C,湿度89〜95%)の室内環境が保たれており,雪室で寝かせることで,味噌は適度にゆっくりと発酵します。」の商品説明の記載とともに,販売されている(甲9)。

(イ)株式会社上越フルーツ(以下「上越フルーツ」という。)に係る商品についての使用

a 上越フルーツに係る商品「じゃがいも」に添付するラベルシール案(甲5,甲6)には,「雪室仕込み/じゃが芋/上越フルーツ」及び「越後/雪室屋」の文字並びに「雪の冷気を使った貯蔵庫『雪室』の中で寝かせることで,野菜本来の味を最大限引き出しました。」の文章の記載があり,同社の商品写真(甲7)には,「雪室仕込み/じゃが芋」及び「越後/雪室屋」等の文字並びに「雪のちからで冷やす天然の冷蔵庫『雪室』の中で寝かせることで野菜本来の味を引き出しました。」の文章が記載されたラベルシールが包装に添付されたじゃがいもの画像が掲載されている。

b 上越フルーツのウェブサイトにおいて,2018年(平成30年)7月20日付けの記事として,「弊社では数年前より『雪室(ゆきむろ)』を使った野菜や果物の熟成を行っています。鮮度が大切な野菜や果物ですが,雪の力で美味しくなったりマイルドになったり臭みが弱くなったりする効果があります。先日,そんな雪室仕込み野菜の特徴を活かした料理を教える野菜ソムリエの・・・」の記載がある(甲8)。

c 平成30年8月18日及び同月19日に開催されたイベント「雪室サマーフェスタ in 上越妙高」(「雪室推進プロジェクト」主催)に関するウェブサイトにおいて,上記のイベント開催の2日間,上越フルーツが「雪室仕込野菜,雪室りんご・みかんジュースなど」を販売する旨紹介されている(甲4)。なお,上越フルーツは,「雪室推進プロジェクト」のウェブサイトにおいて,「雪室推進プロジェクト」の副代表として記載されている(甲3)。

d 「上越フルーツ/楽天市場店」のウェブサイトにおいて,「雪室仕込みじゃが芋/『雪室』でじゃが芋を貯蔵する事でコクが生まれ糖度は約2倍の美味しさに」の見出しの下,「・・・北海道産他 雪室仕込みじゃが芋(LM〜2L)10kg 上越フルーツ」の記載とともに,商品「じゃがいも」が販売されている(甲20)。

(ウ)雪室を使った食品のブランド事業に関する使用

a 平成18年12月に発行とされる「新潟日報」において,「保存や熟成に冷熱活用/雪室ブランド旗揚げ/酒,ワイン,そば・・・全国へ」の見出しの下,「上越市内の企業など16事業所が,保存や熟成に雪室を使った食品の統一ブランド『上越・雪室仕込み』を4日,立ち上げた。」の記載とともに,「新ブランド『上越・雪室仕込み』のロゴマーク」の記載の上に,上越雪室仕込みロゴマークが記載されている(甲14)。

b 「朝日新聞」(平成18年12月6日発行)において,「『上越・雪室仕込み』発信/推進協が発足/地域のブランドに」の見出しの下,「雪をキーワードにした新しい地域ブランドの創出を目指す地域ブランド『上越・雪室仕込み』推進協議会・・・が4日発足した。・・・上越市,上越青年会議所,雪だるま財団,上越観光コンベンション協会も活動に加わる。」の記載がある(甲15)。

c 「地域の応援団/上越タイムス/糸魚川タイムス」のウェブサイトにおいて,「『雪室仕込み』ブランド化/共通ロゴマークお披露目/2006年12月6日・・・」の見出しの下,「雪をキーワードにした新しい地域ブランドの創出を目指す地域ブランド『上越・雪室仕込み』推進協議会・・・が4日発足した。・・・上越市,上越青年会議所,雪だるま財団,上越観光コンベンション協会も活動に加わる。」の記載がある(甲17)。

d 「ふるさと上越ネットワーク会報/NO24 2007.12」において,「新地域ブランド『上越・雪室仕込み』創出事業のとりくみ/社団法人上越青年会議所 星野明光」の見出しの下,「・・・上越地域には,一定期間雪の上に食材をさらしたり,食材や加工品を雪室や雪中で貯蔵・熟成させることにより品質や食味を向上させた付加価値の高い商品づくりを実践している事業所が複数あること知り,こうした事業所のネットワーク化を図ることにより新たな地域ブランドを創出する事業を立案しました。これが新地域ブランド『上越・雪室仕込み』創出事業です。・・・本事業は,本年より(社)上越青年会議所,上越市,(財)雪だるま財団,そして事業所の皆様で構成する 地域ブランド『上越・雪室仕込み』推進協議会に運営母体を移し,活動を継続しています。」の記載がある(甲11)。

e 平成21年5月9日に発行とされる「新潟日報」において,「雪室生かしブランドに」の見出しの下,「『日本一の雪氷熱利用施設数』などが評価され4月,経済産業省の新エネ百選に選ばれた上越市で『上越・雪室仕込み』という地域ブランドが2006年に誕生した。」の記載がある(甲18)。

f 「新潟県県民だより にいがた 平成24年2012冬号」(平成24年1月8日発行 通巻117号 新潟県広報広聴課発行・編集)において,「上越地域版/上越市・妙高市のみなさんへ」の見出しの下,「雪室保存を食品ブランドへ」の項には,「『米』『そば』『味噌』『コーヒー』『酒』『ワイン』『お茶』・・・雪室でゆっくり,じっくり育まれた食材は確かなおいしさとともに,環境にやさしいイメージも商品の魅力となっています。商品を通じて・・・特産品としてブランド化に取り組んでいるグループがあります。」の下に,「[上越・雪室仕込み]/・平成18年発足・上越地域15の事業所と上越市,(社)上越青年会議所,(公財)雪だるま財団が参画(平成23年11月末現在)」の記載,円図形内に「上越/雪室/仕込み」の文字を有するロゴマーク(以下「上越雪室仕込みロゴマーク」という。)の記載の下に「『上越雪室仕込み』ブランドマーク」の記載があり,問合せ先として「地域ブランド『上越・雪室仕込み』推進協議会事務局」の記載がある(甲12)。

(3)判断

ア 上記(2)の認定事実によれば,(a)請求人は,平成18年12月に発足した,新潟県上越市の食品関連業者による雪室を使った食品のブランド事業に参画しており,当該事業の発足について取り上げた上越地域向けの会報,広報誌,新聞記事の記載を総合すれば,当該事業の名称又は標章として,「上越・雪室仕込み」の文字又は上越雪室仕込みロゴマークが使用されていること,(b)請求人が事務局である「雪室推進プロジェクト」の副代表又はメンバー(上越フルーツ及び内山農産)が,それぞれ,自己の取扱う商品(「じゃがいも」又は「みそ」)に関して,「雪室仕込み」又は「上越雪室仕込み」の文字を使用していることが認められる。

しかしながら,当合議体は,本願商標は未だ使用による自他商品識別力を獲得するまでに至っていないと判断する。その理由は,以下に述べるとおりである。

なお,上記(a)及び(b)における「上越・雪室仕込み」の文字,上越雪室仕込みロゴマーク,「雪室仕込み」の文字及び「上越雪室仕込み」の文字をまとめて「使用標章」という場合がある。

イ 使用標章について

(ア)内山農産に係る「上越雪室仕込み」の文字の使用及び上越フルーツに係る「雪室仕込み」の文字の使用について

上記(2)イ(ア)によれば,内山農産が「上越雪室仕込み」の文字を使用した商品に関するウェブサイトにおいては,当該商品が請求人の業務に係るものであることの説明は一切ない。

そうすると,たとえ,内山農産が,請求人が事務局である「雪室推進プロジェクト」のメンバーであるとしても,同ウェブサイトにおいて,「上越雪室仕込み」の文字に接した需要者は,商品の出所が請求人であることを認識することができない。

また,内山農産の使用に係る上記「上越雪室仕込み」の文字は,まとまりよく一体的に表されており,その構成中の「雪室仕込み」の文字のみが,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえないから,当該「上越雪室仕込み」の文字は,本願商標と同一のものと認めることはできず,当該文字の使用をもって,本願商標が使用されたものと認めることもできない。

さらに,上記(2)イ(イ)によれば,上越フルーツが「雪室仕込み」の文字を使用した商品に関するウェブサイトや商品の包装においても,当該商品が請求人の業務に係るものであることの説明は一切ない。

そうすると,たとえ,上越フルーツが,請求人が事務局である「雪室推進プロジェクト」の副代表であるとしても,同ウェブサイトや商品の包装において,「雪室仕込み」の文字に接した需要者は,商品の出所が請求人であることを認識することができない。

したがって,内山農産に係る「上越雪室仕込み」の文字の使用及び上越フルーツに係る「雪室仕込み」の文字の使用は,いずれも,本願商標の自他商品識別力の獲得に寄与するということはできない。

(イ)「上越・雪室仕込み」の文字及び上越雪室仕込みロゴマークについて

上記(2)ア(イ)及びイ(ウ)によれば,請求人が関わった,新潟県上越市の食品関連業者による雪室を使った食品のブランド事業の名称又は標章として,「上越・雪室仕込み」の文字又は上越雪室仕込みロゴマークが使用されていることは把握できるものの,当該「上越・雪室仕込み」の文字及び上越雪室仕込みロゴマークが,本願の指定商品について,商品の出所が請求人であることを示す識別標識として,具体的にどのように使用されたものであるのか,明らかではない。

また,上記「上越・雪室仕込み」の文字及び上越雪室仕込みロゴマークは,いずれもまとまりよく一体的に表示されており,それらの構成中の「雪室仕込み」の文字のみが,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえないから,当該「上越・雪室仕込み」の文字及び上越雪室仕込みロゴマークは,本願商標と同一のものと認めることはできず,当該文字及びロゴマークの使用をもって,本願商標が使用されたものと認めることもできない。

ウ 本願商標の使用実績,広告宣伝等について

上記イに加えて,本願商標の使用実績(本願商標の使用に係る商品の売上高,生産数,販売数,市場占有率,販売地域)は明らかではないこと,本願商標を使用した広告宣伝の方法,期間,地域及び規模(費用)は明らかではないこと,需要者の認識度(本願商標が請求人の出所表示として指定商品の需要者に認識されているかどうか)については明らかではないこと,別掲2(1)のとおり,請求人以外の者によって本願商標と同一又は類似する「雪室仕込み」の文字が使用されていることを併せ総合的に考慮すれば,本願商標が,請求人の出所表示として,指定商品の需要者の間で全国的に認識されているものということはできない。

(4)小括

以上のとおり,本願商標は,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできない。

したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。

3 請求人の主張について

(1)請求人は,請求人に係る本願商標の使用開始時期は,請求人以外の者に係る本願商標の使用開始時期よりもはるかに昔であるから,本願商標は請求人の出所を表示する商標として,登録されるべき旨主張する。

しかしながら,請求人がその開発に関わった雪室を使った食品のブランドの名称又は標章として使用される「上越・雪室仕込み」の文字又は上越雪室仕込みロゴマークは,本願商標と同一のものと認めることができないことは上記したとおりであるところ,仮に,本願商標が,上記ブランドの発足時期である平成18年12月に使用を開始されたものと解するとしても,別掲2(1)ア(ウ)のとおり,それ以前の平成16年6月15日付けの新聞記事において,請求人以外の者に係る商品について,本願商標と同一又は類似する「雪室仕込み」の文字が使用されている事実が認められるから,上記主張は,その前提において,事実と異なるものであり,採用することはできない。

(2)請求人は,本願商標は,「雪室」と「仕込み」の文字に分離して,意味内容を判断されること自体,極めて不自然であって,まとまりのある一つの造語商標と認定されるべきである旨主張する。

しかしながら,本願商標を構成する「雪室仕込み」の文字は,仮にそれ自体造語であるとしても,それを構成する「雪室」及び「仕込み」の文字の語義並びに本願の指定商品と関係の深い飲食料品等の分野における「雪室」の利用状況及び「雪室仕込み」,「雪室」,「仕込み」の各文字の使用状況などを勘案すれば,その指定商品の取引者及び需要者によって,「雪室で保存し,熟成,食味向上,鮮度保持等されたもの」程の意味合いを表す語として認識されるものであるから,本願商標が指定商品に使用されたときには,商品の品質(特徴)を表示するものとして,一般に認識されるというのが相当であって,自他商品の識別力を欠くというべきである。

(3)請求人は,過去の商標の登録例によれば,本願商標も登録されるべきである旨主張する。

しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は,当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて,個別具体的に検討・判断されるべきものであって,請求人主張に係る各商標の登録例が存在するからといって,上記1で説示したとおり,本願商標が同法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当することを否定することはできず,また,本願商標についての同法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の判断が,これらの各商標の登録例によって左右されるものでもない。

(4)したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。

4 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し,かつ,同法第3条第2項に規定する要件を具備するものではないから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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