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Trademark Appeal Case

商標の類似性と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2018−890002(T2018−890002/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5721486号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成26年7月24日に登録出願され,第12類「電動式乗物,オート三輪車,キャンピングカー用トレーラー,自転車,電動自転車,電気機関車,モペット,航空機,エアクッション艇,ランチ,船舶,ヨット,航空用機械器具,水陸両用飛行機,遠隔操作式乗物(おもちゃを除く。),船舶用スクリュー(推進器),ボート,鉄道車輌,自動車,二輪自動車」を指定商品として,同年11月13日に登録査定,同月28日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する商標は,次のとおりの登録商標(以下,これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)であり,いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第1371800号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,昭和46年6月28日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同54年2月22日に設定登録され,その後,平成21年2月12日に指定商品を第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。

2 登録第1371801号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,昭和46年6月28日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同54年2月22日に設定登録され,その後,平成21年2月12日に指定商品を第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。

3 登録第4064176号商標(以下「引用商標3」という。)は,「LAND ROVER」の欧文字を横書きしてなり,平成8年5月10日に登録出願,第14類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同9年10月3日に設定登録されたものである。

4 登録第4085102号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲4のとおりの構成からなり,平成8年5月9日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同9年11月21日に設定登録されたものである。

5 登録第4085104号商標(以下「引用商標5」という。)は,「LAND ROVER」の欧文字を横書きしてなり,平成8年5月10日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同9年11月21日に設定登録されたものである。

6 登録第4233269号商標(以下「引用商標6」という。)は,別掲4のとおりの構成からなり,平成8年5月9日に登録出願,第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同11年1月22日に設定登録されたものである。

7 登録第4263749号商標(以下「引用商標7」という。)は,「LAND ROVER」の欧文字を標準文字で表してなり,平成9年9月19日に登録出願,第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同11年4月16日に設定登録されたものである。

8 登録第4675541号商標(以下「引用商標8」という。)は,「LAND ROVER」の欧文字を標準文字で表してなり,2001年(平成13年)6月22日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成13年12月13日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同15年5月23日に設定登録されたものである。

9 登録第975507号商標(以下「引用商標9」という。)は,「RANGE ROVER」の欧文字を横書きしてなり,昭和44年7月16日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同47年8月16日に設定登録され,その後,平成16年9月1日に指定商品を第6類,第9類,第12類,第19類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。

10 登録第5053024号商標(以下「引用商標10」という。)は,「RANGE ROVER」の欧文字を標準文字で表してなり,平成18年12月6日に登録出願,第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同19年6月8日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は,本件商標の登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第43号証を提出した。

1 請求人等について

請求人は,2008年(平成20年)に設立されたイギリス国の法人である。ジャガーブランドの自動車とランドローバーブランドの自動車が,アメリカ合衆国の自動車メーカーであるフォード・モーターからインドの自動車会社であるタタ・モーターズに売却されたことにより,それらを管理するために設立された。

ジャガー・ランドローバー・ジャパン株式会社は,請求人の正規ディーラーとしてジャガーブランド並びにランドローバーブランドの自動車の輸入販売,関連部品・用品の開発販売を行っており,現在,日本国内に本店を含めて45店舗存在している(甲12)。

2 自動車ブランド「ROVER」の歴史・著名性

引用商標の構成中に含まれる「ROVER」の文字は,英国最大の国営自動車メーカーであった「The Rover Group pic」(以下「ローバー社」という。)及び同社製の自動車の名称を表すものとして広く知られている(甲26)。ローバー社は,「自動車」等に商標「ROVER(ローバー)」をはじめ,小型乗用車である「ROVER MINI(ローバー・ミニ)」,1948年(昭和23年)に発表された四輪駆動車「LAND ROVER(ランド・ローバー)」,1970年(昭和45年)に発表された高級四輪駆動車「RANGE ROVER(レンジ・ローバー)」などを使用していた。

ローバー社は,自転車・三輪自転車・バイクを作っていた会社が起源である。「ROVER」の名前は,1884年(明治17年)製の三輪自転車の名に由来し,最初に乗用車の名称として「ROVER」の名前が用いられたのは1904年(明治37年)である。

ローバー社は,1906年(明治39年)本格的に乗用車の生産を始めた。1948年(昭和23年)には四輪駆動車を開発,発売し,「Land Rover」と名付けた。乗用車「Rover」は,英国王室メンバーの私用車や,英国政府の閣僚・高級官僚の公用車としても用いられ,1964年(昭和39年)には,初代ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた(甲27)。

1970年(昭和45年)には,四輪駆動車「Land Rover」の発展形である高級四輪駆動車「Range Rover」が発売された。

ローバー社は,1967年(昭和42年)以降,数社と合併した後,1975年(昭和50年)に国有化され(甲28),1976年(昭和51年)には「ROVER 3500」がデビューして,1977年度(昭和52年度)のカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた(甲29)。そこでは,乗用車部門が「Austin Rover」となり,四輪駆動車部門が「Land Rover」と呼ばれた。1986年(昭和61年)に「The Rover Group pic」となり,乗用車部門を「Rover Cars」とし,本田技研工業との共同開発車である「ROVER 800」が我が国や米国でも発売された(甲26)。

なお,ローバー社は,昭和53年(1978年)に,ランド・ローバー部門を子会社として再組織(ランドローバー社)し,その後,ランドローバー社は数度の変遷を経て経営母体が変わり,平成12年(2000年)にフォードモーター社の傘下に入り,その後,インドのタタモーターの傘下となり,「Jaguar Cars Limited」と統合され,現在は,請求人がこれを経営管理している。

我が国のメディアでもROVERブランド車の話題が取り上げられ(甲30〜甲33),特に,「ローバー・ミニ」は我が国において人気となっており,全世界の販売台数の4割を占める程であった(甲33)。

このような事実から,「ROVER」の我が国での周知著名性は,審決においても認定されている(甲34)。

3 「LAND ROVER(ランド・ローバー)」,「RANGE ROVER(レンジ・ローバー)」の著名性について

(1)「LAND ROVER(ランド・ローバー)」は,1948年(昭和23年)に最初に製造されたオフロード向け車両の名称であり,販売開始から1年弱で同社の乗用車の売上を追い越すほどのヒット商品となった(甲36,甲37)。

我が国においては,現在に至るまで継続的に広告・宣伝を行っており,日本自動車輸入組合によると,2016年(平成28年)の輸入車新規登録台数(新車のみ)は3199台であり(甲13,甲14),輸入車のカテゴリにおいて,人気となっている。

また,世界においては,2015年(平成27年)4月〜2016年(平成28年)3月の世界販売台数は前年より13%増え,52万1571台となっている(甲15)。

そして,1962年(昭和37年)創刊の自動車の専門誌である「CAR GRAPHIC」において,2016年(平成28年)2月から同年6月号まで約半年間,「LAND ROVER」に関するテストリポートの特集が組まれ(甲16〜甲20),さらには2017年(平成29年)5月号において表紙で特集されるほど(甲21)に注目され,現在においても人気があり,非常に長い間,我が国の需要者の間で愛され続けている自動車であることがうかがえる。

さらに,車の専門誌のみならず,大人の男性向け情報ファッション誌として有名な「MEN’S CLUB」においては,「伝統と歴史に裏づけられた気品溢れる作りにこれらの性能(電子制御)が加わったこのクルマ」(甲22)と評されている。

「LAND ROVER」の我が国での周知著名性は,審決においても認定されている(甲23)。

(2)「RANGE ROVER」(レンジ・ローバー)は,1970年(昭和45年),オフロードの走破性に加えてセダンの快適さを追求して開発した四輪駆動車に使用された名前である。

また,「RANGE ROVER(レンジ・ローバー)」は,請求人の製造,販売に係る最上位車種として数々のモデルが発売され(甲24,甲38),世界最高峰の「SUV」の一つとして認知されている。

さらに,SUV自動車の1種である「レンジローバー イヴォーク」が出荷開始後わずか4年間で生産台数が50万台に到達した。これは,請求人の業務に係る自動車の3台のうち1台が,「レンジローバー イヴォーク」であるという計算になる(甲25)。

以上のことから,「RANGE ROVER(レンジ・ローバー)」においても,非常に長い間,我が国の需要者の間で愛され続けている自動車であることがうかがえる。

(3)上記の事情を勘案すると,ローバー社からの派生ブランドである「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」は我が国において,遅くとも本件商標の登録出願時において,「請求人又はその前身であるローバー社の業務に係る商品(乗用車)」を表すものとして取引者及び需要者の間で広く知られるに至っていたとみられ,現在も,その周知著名性は継続されている。

したがって,「ROVER」の語単独においても一定の周知著名性を獲得しているということができる。

3 本件商標と引用商標の類否について

本件商標は,中央部の「o」の文字において星をモチーフにしたと解される装飾が施されたやや図案化した態様で表されているものの「Mars Rover」の文字からなるものと容易に理解できるものである。そして,本件商標は,「Mars」の文字と「Rover」の文字との間に半角文字程度のスペースをもって表され,かつ,後半の「R」の文字が大文字で表され,残りの文字が小文字で表されているから,「Mars」の文字と「Rover」とに,視覚上,分離して認識・把握されるものである。

そして,本件商標は,構成中の「Rover」の文字が,上記のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,「請求人又はその前身であるローバー社の業務に係る商品(乗用車)」を表示する商標として,我が国の取引者・需要者の間に広く知られている引用商標に係る「LAND ROVER(ランドローバー)」及び「RANGE ROVER(レンジローバー)」に共通する「ROVER」部分が取引者・需要者に強く脳裏に印象付けられるのであり,商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。

そうすると,本件商標は,その構成中の「Rover」の文字部分から「ローバー」の称呼が生じ,請求人又はその前身であるローバー社の業務に係る商品(乗用車)としての「Rover(ローバー)」としての観念が生じる。

そこで,本件商標と引用商標との類否を検討すると,外観については本件商標の構成中,出所識別標識として強く支配的な印象を与え,独立して識別機能を果たす「Rover」の文字は,引用商標に含まれる「ROVER」と同じ文字構成になるので,その点で外観上近似し,相紛らわしいものとなる。

次に称呼においては,いずれも「Rover」の文字に照応した「ローバー」の称呼を生ずるものであり,称呼上も酷似したものとなる。

さらに,観念においても,請求人又はその前身であるローバー社の業務に係る商品(乗用車)としての「Rover(ローバー)」の観念が生ずるため観念の点において両者は類似すると考えられる。

してみると,本件商標と引用商標は,外観・称呼・観念のいずれの点においても類似する商標である。

4 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は,上述のとおり,請求人の引用商標に類似する商標であって,その引用商標1,引用商標2,引用商標4,引用商標5,引用商標8及び引用商標9(以下「11号引用商標」という。)に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

5 商標法第4条第1項第15号について

本件商標及び引用商標は,商標法第4条第1項第11号等にいう「類似」の商標に当たらないとしても,いずれも「ROVER」の部分を含む点はもちろんのこと,「ROVER」の文字がそれ単体で商標に接する者の注意をひく外観構成となっている点において,外観及び称呼を共通とする。

そのため,自動車等乗物及び関連器具について「ROVER」の欧文字を有する本件商標に接した場合,取引者及び需要者にあっては,「ROVER」の部分が強く印象付けられて,同様に「ROVER」の欧文字を顕著に有する引用商標を容易に想起し,請求人の業務に係る商品であると容易に想起させると考えられる。

そうすると,本件商標からは請求人又はその前身であるローバー社の業務に係る商品(乗用車)としての「Rover(ローバー)」の観念のほか「(著名ブランドとしての)ROVER」に関連する商品との観念を生ずる場合があり,この点において観念上類似するものがあるといわざるを得ない。

(1)引用商標の独創性の程度について

引用商標の独創性の程度について,ローバー社等が英国で最初に使用開始した,1904年(明治37年)又は1948年(昭和23年)当時はもとより,我が国においても,引用商標の中で最も出願が早い引用商標9の出願当時(昭和44年7月16日),「LAND ROVER(ランドローバー)」及び「RANGE ROVER(レンジローバー)」を知る者にとっては周知・著名な商標であり,これらを知らない者にとっても,「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」が当時の我が国でなじみの少ない外国語であったことは明らかである。

したがって,引用商標は,独創性にあふれた極めて斬新なものである。

(2)商品間の関連性,取引者・需要者の共通性について

本件商標の指定商品は自動車・船舶等を中心とした,特に運搬車両に関連する商品であるのに対して,引用商標が周知著名性を獲得した商品は,自動車ないし車両に関する商品である。両者の商品関係は近似しており,さらに,世界的に著名な商標は,その商標に化体した高い信用・名声・顧客吸引力により,基幹商品から派生した多種多様な商品に至るまで,厳格な品質管理のもとにライセンスされている傾向がある。このような一般的な経営戦略を考慮すると,本件商標とその指定商品は請求人らの業務範囲に密接な関連性があるものと誤信し,ひいては商品の出所について混同を生じるおそれがあるものである。

したがって,本件商標に係る指定商品は,引用商標が周知著名性を獲得した自動車並びにそれらの部品とは,具体的な取引の実情に照らして密接な関連性を有するものであるから,本件商標と引用商標の取引者・需要者の共通性は極めて高いものである。

(3)本件商標の指定商品の需要者において普通に払われる注意力その他取引の実情について

航空機・鉄道車両の利用者及び自転車等の乗物関連の主たる需要者は一般消費者であり,特段高い注意力を持って取引にあたるわけではない。

したがって,本件商標は,その構成中に「請求人又はその前身であるローバー社の会社名,またはその自動車」を想起,連想する「ROVER」を顕著に含んでなるので,出所混同を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。

(4)小括

上記のとおり,引用商標は,請求人の業務にかかる商品であることを表す周知著名な商標であり,かかる周知著名性は,請求人又はその前身となった各企業による永年の企業活動によって獲得したものである。かかる点から,本件商標と引用商標は,高い類似性を有することに加えて,引用商標が独創的であること,本件商標の指定商品が,引用商標が周知著名性を獲得した商品と強い関連性を有する点に鑑みれば,本件商標をその指定商品に使用した場合には,その商品が,恰も請求人が取り扱う業務に係る商品であるかの如く認識され,その出所について混同を生ずるおそれがあることは明白である。

以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

6 結語

以上の理由により,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し,同法第46条第1項第1号により無効にされるべきものである。

第4 被請求人の主張

被請求人は,請求人の上記主張に対し,何ら答弁していない。

第5 当審の判断

1 請求人が新たに引用した商標について

請求人が令和元年8月29日付け上申書において新たに引用した登録第1232422号商標(甲43)は,新たな主要事実(直接証拠)を追加するものであって,請求の要旨を変更するものであるから,商標法第56条で準用する特許法第131条の2第1項により,本件の判断の対象としない。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

ア 本件商標は,別掲1のとおり,ややデザイン化した態様からなるものの,「MarsRover」の文字を横書きしたものと容易に看取されるものである。

イ 本件商標は,その構成中の「M」と「R」の文字が大文字で書され,その他の文字は小文字で書されていることから「Mars」と「Rover」の2語からなるものと看取できるものの,構成各文字は外観上まとまりよく一体に表されており,本件商標全体から生じる「マーズローバー」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

ウ 本件商標の構成中の「Mars」の文字が「火星」の意味を,「Rover」の文字が「探査車」等の意味を有するものとしても,両文字が我が国において親しまれた英語ということはできず,しかも,いずれかの文字部分のみが本件商標の指定商品を取り扱う業界において,自他商品の識別機能を有しないとはいえないから,本件商標は,その構成全体をもって,特定の意味合いを有しない一体不可分の造語を表したものとして認識されるものというのが相当である。

エ 以上よりすると,本件商標は,全体として一体不可分のものであるといえるから,その構成全体の文字に相応して「マーズローバー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないというのが相当である。

(2)11号引用商標について

請求人が本号に該当するとした11号引用商標について検討する。

ア 引用商標1は,別掲2のとおり,横長の2重に表された楕円形の輪郭内に「LAND」及び「ROVER」の欧文字を上下二段に表し,両文字部分の中央部を貫くように表された「Z」字状の線図形が前者の語尾と後者の語頭を連結してなるものである。

そして,引用商標1は,両文字部分が同書,同大で表され,両文字部分を連結する「Z」字状の線図形を有することにより,両文字部分が一連の語を表記してなるものと看取されるものである。

また,引用商標1は,その構成中の楕円形の輪郭及び「Z」字状の線図形からは自他商品識別標識としての称呼,観念が生じるものとは認められない。

さらに,引用商標1は,その構成中の「LAND」の文字が「陸,陸地」の意味を,「ROVER」の文字が「探査車」等の意味を有するものとしても,「ROVER」の文字が我が国において親しまれた英語ということはできず,しかも,いずれかの文字部分のみが本件商標の指定商品を取り扱う業界において,自他商品の識別機能を有しないとはいえないから,本件商標は,その構成全体をもって,特定の意味合いを有しない一体不可分の造語を表したものとして認識されるものというのが相当である。

そうすると,引用商標1は,両文字部分に相応して「ランドローバー」の称呼を生じ,特定の観念を生じない。

イ 引用商標2は,別掲3のとおり,「LAND」及び「ROVER」の文字を上下二段に表し,両文字部分を「Z」字状の線図形により前者の語尾と後者の語頭を連結してなるものである。

そして,引用商標2は,両文字部分が同書,同大で表され,両文字部分は「Z」字状の線図形を有することにより,両文字部分が一連の語を表記してなるものと看取されるものである。

また,引用商標2は,その構成中の「Z」字状の線図形からは自他商品識別標識としての称呼,観念が生じるものとは認められない。

そうすると,引用商標2は,その構成全体に相応して,上記アと同様に,「ランドローバー」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。

ウ 引用商標4は,別掲4のとおり,黒色楕円形内に配した白抜きの楕円形の輪郭内に白抜きで,「LAND」及び「ROVER」の欧文字を上下二段に表し,「LAND」の後に1文字分の幅の横線及び当該横線の右端から左斜め下方向にやや細い線で斜線を引いた線図形並びに「ROVER」の前に1文字分の幅の横線及び当該横線の左端から右斜め上方向にやや細い線で斜線を引いた線図形を同じく白抜きで配してなるものである。

そして,両文字部分の前後に配された図形が両文字部分を連結するような印象を与えることから両文字部分が一連の語を表記してなるものと看取されるものである。

また,引用商標4は,その構成中の楕円形の輪郭及び両文字部分の前後に配された線図形からは自他商品識別標識としての称呼,観念が生じるものとは認められない。

そうすると,引用商標4は,構成全体に相応して,上記アと同様に,「ランドローバー」の称呼を生じ,特定の観念を生じない。

エ 引用商標5及び引用商標8は,「LAND ROVER」の文字を横書きしてなるところ,「LAND」の文字と「ROVER」との文字の間に一文字ほどの空間があるとしても,これらの構成文字は同書,同大で一連に表されているため,全体として一連の語を表記してなるものと容易に理解することができるから,その構成文字に相応して,上記アないしウと同様に,「ランドローバー」の称呼を生じ,特定の観念を生じない。

オ 引用商標9は,「RANGE ROVER」の文字を横書きしてなるところ,「RANGE」の文字と「ROVER」との文字の間に一文字ほどの空間があるとしても,これらの構成文字は同書,同大で一連に表されているため,全体として一連の語を表記してなるものと容易に理解することができるものである。

そして,引用商標9は,その構成中の「RANGE」の文字が「種類,範囲」の意味を,「ROVER」の文字が「探査車」等の意味を有するものとしても,両文字が我が国において親しまれた英語ということはできず,しかも,いずれかの文字部分のみが本件商標の指定商品を取り扱う業界において,自他商品の識別機能を有しないとはいえないから,本件商標は,その構成全体をもって,特定の意味合いを有しない一体不可分の造語を表したものとして認識されるものというのが相当である。

そうすると,引用商標9は,その構成文字に相応して,「レンジローバー」の称呼を生じ,特定の観念を生じない。

(3)本件商標と11号引用商標の類否について

本件商標と11号引用商標の外観を比較すると,両商標は,構成中の後半に「Rover」の文字と,つづりを同じくする「ROVER」の文字を有する点で共通するものの,構成中前半の文字が相違するから,明瞭に区別し得る。

また,称呼については,本件商標から生じる「マーズローバー」の称呼と,11号引用商標から生じる「ランドローバー」又は「レンジローバー」の称呼とは,後半において「ローバー」の音を共通にするものの,前半の3音が明らかに相違するから,その音構成の差異により,明確に聴別し得るものである。

さらに,観念においては,本件商標及び引用商標からは特定の観念を生じるとはいえないため,比較することができない。

そうすると,本件商標と引用商標とは,観念上比較することができないとしても,その外観及び称呼において相違し,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合してみても,両商標は,互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

(4)小括

以上のとおり,本件商標と11号引用商標とは,非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と11号引用商標の指定商品とが同一又は類似の商品であるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)請求人の引用商標の著名性について

請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば,以下の事実を認めることができる。

ア 辞典

(ア)英和商品名辞典(1990年(平成2年),株式会社研究社発行)の「Rover」の項(甲26)には,「英国最大の国営自動車メーカー(The Rover Group plc),同社製の乗用車,自転車,三輪自転車,バイクを造っていた会社が起源で,同社は1904年に乗用車を開発,Roverはもともと1884年製の三輪自転車の名,1906年にその会社はRover Co.となった,同社は1967年にLeyland Motor Corp.と合併,その後Jaguar Rover Triumph(British Leyland Motor Corp.の一部門)となった.1970年代には業績が悪化し,1975年に国有化され,British Leyland Ltd.となった,1977年にBL plcと社名変更,1986年より現在名に.現在同社はAustin RoverとLand Roverの二部門からなり,Rover名の乗用車は前者で生産されている.・・・」との記載及び「Land−Rover」の項(甲37)には,「英国最大の自動車メーカー The Rover Group plcのLand Rover部門製の汎用四輪駆動乗用車.Jeepに似ているが,より大型.1948年にもともとのメーカーRover Co.によって製造された最初の同車は,農夫達がその土地(land)をどこまでもくまなく行く(rove)ことのできる,廉価で頑丈な乗り物を意図して設計され,・・・」との記載がある。

(イ)英和ブランド名辞典(2011年(平成23年)8月31日,株式会社研究社発行)の「Land−Rover」の項(甲36)には,「インドの自動車メーカーTata Motors傘下のJaguar Land Rover製の汎用四輪駆動乗用車.Jeepに似ているが,より大型.1948年にもともとの英国のメーカーRover Co.によって製造された最初の同車は,農夫達がその土地(land)をどこまでもくまなく行く(rove)ことのできる,廉価で頑丈な乗り物を意図して設計された.」との記載がある。

イ 雑誌・新聞・インターネット等

(ア)1991年(平成3年)9月13日付け朝日新聞には,「英・ローバーグループの小型車発表」の見出しの下,「ローバージャパン(本社・東京)は12日,英国の自動車メーカー,ローバーグループの小型乗用車『ローバー100シリーズ』を来年(92年)1月1日から国内で発売すると発表した。同シリーズは走りを重視した若者向けの『114GTi』と5ドアの『114GS』の2車種。・・・」との記載がある(甲30)。

(イ)1991年(平成3年)10月3日付け朝日新聞には,「英ローバーへ支援を拡大 本田技研」の見出しの下,「本田技研工業は2日,資本提携している英国ローバーグループへの支援を強化するための覚書に調印したと発表した。ローバーの新車開発を全面的に手助けするとともに,生産や資材調達での相互協力関係を強化する。・・・」との記載がある(甲31)。

(ウ)1990年(平成2年)10月20日付け東京読売新聞には,「歴史的モデルスポーツ版の自動車『ミニクーパー』を発売/ローバージャパン」の見出しの下,「ローバージャパンは,英国ローバーグループ製の『ローバーミニクーパー1・3』を,十一月二十二日から,全国で六百台限定発売する。・・・」との記載がある(甲32)。

(エ)1998年(平成10年)10月1日付け東京読売新聞には,「[Theブランド]ローバー 伝統が支える快適空間」の見出しの下,「百年余りの伝統を誇る自動車王国イギリス。その歴史を飾る名車の数々が,7日から横浜市の『パシフィコ横浜』で始まる『ブリティッシュ・モーターショー』に勢ぞろいする。中でも,英国最大の自動車メーカー,ローバーグループの『ローバー』は,気品に満ちた“ブリティッシュ・サルーン”の神髄とも言える。・・・」との記載がある(甲33)。

(オ)「CAR GRAPHIC」誌において,2016年(平成28年)2月号から同年5月号には「Land Rover(ランドローバー)」に関するテストリポートの特集が組まれ(甲16〜甲19),同年6月号には「RENGE ROVER(レンジローバー)」に関するテストリポートの記事が「RENGE ROVER」の文字が表示された自動車の写真と共に掲載され(甲20),さらには2017年(平成29年)5月号においても「Land Rover(ランドローバー)」の特集記事が掲載されている(甲21)。

(カ)「MEN’S CLUB」誌(2014年4月号:甲22)には,「RENGE ROVER」についての記事が,「RENGE ROVER」の文字が表示された自動車の写真とともに掲載されている(甲22)。

(キ)「OPENERS」のウェブサイトにおける2015年(平成27年)1月21日付けの記事において,「ランドローバーの65年 Land Rover」の見出しの下,「前身のローバーモーターが1948年に生み出した1台の四輪駆動車。・・・それを称して『ランドローバー』すなわち,大地を自在に走りまわるという意味がそのクルマには込められた。・・・」との記載がある(甲41)。

(ク)「emerging media Response.byiid」のウェブサイトにおける2015年(平成27年)3月12日付けの記事において,「ランドローバー人気の秘密を探る・・・伝統と技術が生み出す『最高の走破性能』とは」の見出しの下,「・・・その歴史は第二次世界大戦後の1948年よりスタートした。・・・そんなランドローバーに大きなターニングポイントが訪れたのが1970年。それまで培ったオフロード性能に加え,乗用車的なラグジュアリーさと快適性を加えた『レンジローバー』が誕生した。」との記載とともに「RENGE ROVER」の文字が表示された自動車の写真が掲載されている(甲39)。

(ケ)請求人のウェブサイトにおいて,「レンジローバー:歴史」の見出しの下,「1970年の初代モデル誕生以来,絶え間なく進化してきたレンジローバー。・・・ここではラグジュアリーSUVを牽引してきた,レンジローバーファミリーの歴史をご紹介します。・・・」との記載があり,「1969年−プロトタイプのレンジローバーVELAR」から「2017年−新型レンジローバーVELARの紹介」までの歴代のモデルが紹介する記事が「RENGE ROVER」の文字が表示された自動車の写真とともに掲載され,併せて引用商標4が表示されている(甲24,甲38)。

(コ)「AUTO PROVE」のウェブサイトにおける2016年(平成28年)3月16日付けの記事において,「ランドローバー『レンジローバー・イヴォーク』が史上最速で生産台数50万台を達成」の見出しの下,「ジャガー・ランドローバー・ジャパンは2016年3月15日ラグジュアリー・コンパクトSUVの『RANGE ROVER EVOQUE(レンジローバー・イヴォーク)』の生産台数が,英国ヘイルウッド工場での出荷開始後わずか4年間で50万台に到達したことを発表した。」との記載がある(甲25)。

(サ)「MOTER CARS」のウェブサイトにおける2016年(平成28年)6月8日付けの記事において,「ジャガー・ランドローバー,2015/16年度決算で世界販売台数50万台を突破」の見出しの下,「ジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover Automotive PLC,本社:英国コベントリー・・・)は,2015/16年度(2015年4月〜2016年3月)の通期決算を発表した。・・・昨年度の世界販売台数は13%増の52万1571台となり,ジャガー・ランドローバーとして,初めて50万台を突破した。」との記載とともに引用商標4が表示されている(甲15)。

ウ その他

(ア)請求人は,2008年(平成20年)に請求人の前身となった企業(以下「請求人等」という。)がインドのタタモーターの傘下となり,ジャガーブランドとランドローバーブランドを管理するために設立されたイギリス国の法人である(請求人の主張)。

(イ)ジャガー・ランドローバー・ジャパン株式会社は,請求人の正規ディーラーとしてジャガーブランド並びにランドローバーブランドの自動車の輸入販売,関連部品・用品の開発販売を行っており,現在,日本国内に本店を含めて45店舗存在している(甲12)

(ウ)日本自動車輸入組合によると,「LAND ROVER(ランドローバー)」は,2015年(平成27年)及び2016年(平成28年)の輸入車新規登録台数及びシェアが,3245台(0.99%)及び3199台(0.92%)となっている(甲14)。

エ 上記において認定した事実によれば,以下のように判断できる。

(ア)請求人等は,1904年に乗用車を開発し,1906年より「Rover」の文字を,かつて存在した英国最大の国営自動車メーカー(The Rover Group plc)の社名の一部として又は同社の販売する自動車の車名として使用していたこと,その後,請求人等は合併等により社名が変更され社名からは「Rover」の文字の文字含まれない時もあったことが認められる。

請求人「ジャガー・ランドローバー・リミテッド」は,2008年(平成20年)にランドローバーブランドを管理するために設立されたイギリス国の法人である。

(イ)我が国においては,1990年代には「英ローバーグループ」の商品「自動車」に関連した記事が新聞等に記載された。

(ウ)その後,請求人等の製造・販売する商品「自動車」は,我が国において紹介されているものの,それらは,自動車名としての「Land Rover(ランドローバー)」及び「RANGE ROVER(レンジローバー)」の使用にとどまり,それらの商品記事が掲載された自動車専門誌(1誌)及びファッション雑誌(1誌)並びに請求人を含めたウェブサイトのわずかな証拠であり,当該雑誌の発行部数や市場規模,インターネット記事のアクセス数等といった,メディアを通じた広告宣伝の程度を具体的に示す証左は見いだせないことから,広告宣伝の規模は不明である。

また,請求人の提出に係る証拠に表された商標は,引用商標4及び「Land Rover(ランドローバー)」及び「RANGE ROVER(レンジローバー)」の文字が一連一体の態様で使用されているものであり,引用商標1ないし引用商標3,引用商標6,引用商標7及び引用商標10は使用されていることが確認できない。

(エ)請求人等に係る商品「自動車」が2015年(平成27年)の世界販売台数が50万台を超えたとしても,我が国における「Land Rover」の名称に係る商品「自動車」の2015年(平成27年)及び2016年(平成28年)の販売規模については年間約3千台程度であり,輸入車における市場比率(シェア)は約1%と多いとはいえない。

(オ)以上よりすると,「Rover」の文字は,1906年より英国最大の国営自動車メーカーの名称として使用され,1990年代頃まではその出所識別標識として認識されていたとしても,その後,請求人等の名称の一部として使用されるか又は使用されておらず,「Rover」の文字単独で本件商標の登録出願時において使用されていた事実は確認できないから,請求人等の商品「自動車」を指し示すものとして,本件商標の登録出願時に,我が国の一般の需要者の間に広く認識されていたとまでは認めることができない。

そして,請求人等の「Land Rover(ランドローバー)」及び「RANGE ROVER(レンジローバー)」の商品「自動車」が,我が国において販売されていることは認め得るとしても,広告宣伝の規模は不明であり,その市場比率(シェア)は約1%と多いとはいえないことを踏まえると,引用商標は,請求人等の商品「自動車」を指し示すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の一般の需要者の間に広く認識されていたとまでは認めることができない。

(2)本件商標と引用商標との類似性について

本件商標は,上記1(1)のとおり,ややデザイン化された態様で「MarsRover」の文字を一体的に表してなり「マーズローバー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

引用商標は,上記第2のとおり,横長の2重に表された楕円形の輪郭内に「LAND」及び「ROVER」の欧文字を上下二段に表し,両文字部分の中央部を貫くように表された「Z」字状の線図形が前者の語尾と後者の語頭を連結してなるもの(引用商標1),「LAND」及び「ROVER」の文字を上下二段に表し,両文字部分を「Z」字状の線図形により前者の語尾と後者の語頭を連結してなるもの(引用商標2),黒色楕円形内に配した白抜きの楕円形の輪郭内に,白抜きで「LAND」及び「ROVER」の欧文字を上下二段に表し,「LAND」の後に1文字分の幅の横線及び当該横線の右端から左斜め下方向にやや細い線で斜線を引いた線図形並びに「ROVER」の前に1文字分の幅の横線及び当該横線の左端から右斜め上方向にやや細い線で斜線を引いた線図形を同じく白抜きで配してなるもの(引用商標4及び引用商標6),「LAND ROVER」又は「RANGE ROVER」の欧文字を標準文字やゴシック体で表してなるもの(引用商標3,引用商標5,引用商標7ないし引用商標10)であり,それぞれの態様から上記1(2)のとおり,「ランドローバー」又は「レンジローバー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

してみれば,上記1(3)のとおり,本件商標と引用商標とは,観念上比較することができないとしても,その外観及び称呼において相違し,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合してみても,本件商標は引用商標のいずれとも相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり,本件商標と引用商標との類似性は低い。

(3)引用商標の独創性について

引用商標は,ローバー社が英国で最初に使用開始した1948年(昭和23年)当時はもとより,我が国においても,引用商標2及び引用商標3並びに引用商標9の登録出願当時(昭和46年6月28日,同44年7月16日)に,「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」の文字が当時の我が国でなじみの少ない外国語であったと推認できる。

そうすると,引用商標は,独創性があるといえる。

(4)商品の関連性,需要者の共通性について

本件商標の指定商品中には,請求人が引用商標の著名性を主張する商品「自動車」が含まれているから,商品の関連性は高く,その需要者を共通にするものといえる。

(5)出所の混同のおそれについて

上記(1)ないし(4)によれば,引用商標は,請求人の業務に係る自動車を表示するものとして,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができず,独創性があるといえるものの,本件商標と引用商標とは,互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であり,類似性は低い。

してみると,本件商標に係る指定商品と請求人の取扱いに係る商品の関連性が高く,その需要者の範囲を共通にするものであるとしても,本件商標に接する取引者・需要者が,引用商標を想起又は連想することはないというべきであるから,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,該商品が請求人又はこれと組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認めることはできない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(6)請求人の主張について

請求人は,本件商標は引用商標に共通する「ROVER」の文字を含むものであって当該文字は,請求人又はその前身であるローバー社の業務に使用されてきた自動車のブランドを表すものとして周知著名なものになっている取引の実情にかんがみれば,「ROVER」の文字が,出所識別標識として支配的な印象を有する文字として,特に着目され,「ローバー」の称呼とともに,「請求人の自動車ブランドである『LAND ROVER』及び『RANGE ROVER』,又は,その前身であるローバー社の業務に係る『ROVER』ブランドの血統を正しく引き継ぐ商品(乗用車関連商品)」を想起,連想し,請求人やその前身のローバー社等と,何らの経済的,組織的関係を有しない本件商標の所有者が,「LAND ROVER」,「RANGE ROVER」などと同様に,伝統のブランド「ROVER」を一部に含み,「●●Rover」のような構成に係る本件商標を「自動車及びその部品並びに附属品」等に使用した場合,これに接する需要者は,恰も,その商品が,ローバー社の業務に係る「ROVER」ブランドの血統を正しく引き継いだ商品,あるいは,「LAND ROVER」,「RANGE ROVER」の派生ブランドであるかの如く,混同を生じさせるおそれがある旨を主張する。

しかしながら,上記3(1)エ(オ)のとおり,「ROVER」の文字は,過去に請求人等の名称の一部及びその取り扱いに係る自動車の名称として使用されていたとしても,「ROVER」の文字単独で本件商標の登録出願時において使用されていた事実は確認できず,請求人の業務に係る商品「自動車」を表すものとして知られている事実を認めるに足りる証拠はないことから,請求人の業務に係る商品「自動車」を指し示すものとして,本件商標の登録出願時に,我が国の一般の需要者の間に広く認識されていたことを認めることはできない。むしろ「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」の商標を付した自動車が,その取り扱いに係る会社が数度の変遷を経ていることからすれば,存在しないローバー社の取り扱いに係る自動車であると認識されるのではなく,請求人の取り扱いに係る「LAND ROVER」,「RANGE ROVER」という名称の自動車として理解されるというのが相当であり,これらの商標は,その全体をもって把握されるものといえるから,商標の構成中に「Rover」の文字を含む本件商標をその指定商品に使用したとしても,需要者をして,当該「Rover」の文字が注目され,その商品が請求人又はこれと組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,想起,連想するとはいえない。

したがって,上記主張は採用できない。

4 むすび

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものでなく,その登録は,同条第1項の規定に違反してされたものではないから,同法第46条第1項により,無効とすることはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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