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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900122(T2019−900122/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6116372号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6116372号商標(以下「本件商標」という。)は、「MY LITTLE WOLF」の文字を標準文字で表してなり、平成30年5月10日に登録出願、第31類「ペットフード,ペットのごちそう,ドックフード,犬用のごちそう,キャットフード,猫用のごちそう」を指定商品として、同31年1月9日に登録査定、同月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、引用する国際登録第1432630号商標(以下「引用商標」という。)は、「WOOLF」の欧文字を横書きしてなり、第5類「Dietary supplements for animals; dietary pet supplements in the form of pet treats; fortified food substances for animals.」及び第31類「Animal foodstuffs; foodstuffs and fodder for animals; animal foodstuffs derived from vegetable matter; canned or preserved foods for animals; foodstuffs for animals containing botanical extracts.」を指定商品として、2017年(平成29年)11月14日にEuropean Unionにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2018年(平成30年)5月14日に国際商標登録出願されたものである。

なお、引用商標に係る登録出願は、現在、審査に係属している。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は「MY LITTLE WOLF」からなる商標である。一方、引用商標は「WOOLF」からなる商標である。

ア 本件商標は「WOLF」を一部に含む商標である。ここで、本件商標が指定商品において、需要者・取引者に対し自他商品の識別力を発揮する部分は「WOLF」である。

「MY LITTLE」は「WOLF」との関係で「可愛い」「小さな」「愛おしい」など「WOLF」の態様を修飾する語であり、自他商品の識別力を発揮しない部分であるからである。そこで、本件商標の「WOLF」と引用商標の「WOOLF」を比較検討すると、称呼が「ウルフ」と「ウールフ」であり、明らかに類似する称呼である。

イ また、引用商標は、その指定商品について使用している商標であり(甲4、甲5)、世界的に引用商標を付した商品が販売されており、周知な商標である(甲6)。その売上げは、年間100万ユーロ(約1.2億円)を記録し、広告宣伝費を年間6万ユーロ(約732万円)投資している。

そして、引用商標が使用される商品に本件商標を使用した場合、引用商標は周知な商標であるから、本件商標に接した需要者・取引者は「WOLF」の文字部分に着目し、商品の選択に及ぶものである。その結果、引用商標と誤認混同することは明らかである。例えば、本件商標を「動物用サプリメント」に使用した場合、引用商標の新商品、姉妹品若しくはシリーズ商品との認識を需要者・取引者が抱くおそれが高い。

ウ 以上から、本件商標は引用商標に類似し、指定商品が類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第19号該当性について

本件商標は、その出願時点において不正な目的で商標登録を受けようとするものである。

すなわち、引用商標は、本件商標の出願時点には、我が国における、引用商標の指定商品の分野においては、周知著名な商標である。その結果、本件商標の権利者が引用商標に類似する商標を採択し登録せんとすることは、引用商標の名声、評判、信頼性・ブランドカを毀損する、不正な目的の登録行為である。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するとして上記2のとおりの引用商標を挙げているが、引用商標は本件商標の登録査定時において設定登録されていないので、当審は、かかる商標法第4条第1項第11号に該当する旨の主張は同法第8条第1項に違反する旨の主張と判断し、以下検討する。

(1)商標法第8条第1項該当性について

ア 本件商標は、上記1のとおり「MY LITTLE WOLF」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は同書同大でまとまりよく一体的に表され、構成文字全体から生ずる「マイリトルウルフ」の称呼は、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものであって、さらに、構成文字全体から「私の愛おしい狼」の一連の観念を生じるものであるから、本件商標に接する取引者、需要者をして、本件商標は、その構成文字全体が一体不可分のものとして認識、把握させるものと判断するのが相当である。

また、本件商標は、その構成中のいずれかの文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又は、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認めるに足りる事情は見いだせない。

そうすると、本件商標は、その構成文字全体が一体不可分のものであって、「マイリトルウルフ」のみの称呼を生じ、「私の愛おしい狼」の観念を生じるものといわなければならない。

イ 引用商標は、上記2のとおり「WOOLF」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、辞書類に載録された既成語とは認められないものであって、特定の意味を有しない一種の造語として理解されるものであるから、その構成文字に相応した「ウールフ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

ウ そこで、本件商標と引用商標との類否を検討すると、両者は、上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、文字構成及び文字数を異にしていることから、外観上、判然と区別し得るものである。

次に、称呼においては、本件商標から生じる「マイリトルウルフ」と引用商標から生じる「ウールフ」の称呼とは、音構成及び音数において明白な差異を有するものであるから、両者は、語感や語調が異なり、称呼上、明瞭に聴別できるものである。

また、観念においては、本件商標は「私の愛おしい狼」の観念を生じるのに対し、引用商標は特定の観念を生じないものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。

その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。

エ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品が類似するとしても、本件商標は商標法第8条第1項に違反して登録されたものといえない。

(2)商標法第4条第1項第19号該当性について

ア 引用商標の周知性

申立人は、引用商標はその指定商品について使用している商標であり、世界的に引用商標を付した商品が販売されており、周知な商標である旨主張し、その証拠(甲4〜甲6)を提出するとともに、その売上げは年間100万ユーロ(約1.2億円)、広告宣伝費は年間6万ユーロ(約732万円)である旨主張している。

しかしながら、提出された証拠は、印刷日、頒布日などが確認できないパンフレットの版下と思しき書面(甲4)、撮影日、撮影場所、撮影者などが確認できない写真(甲5)及び販売代理店のリストと思われる容易に作成可能な書面(英文。甲6)であり、また、引用商標を付した商品の売上額や広告宣伝費を裏付ける証左を見いだせないばかりか、申立人が引用商標をその指定商品について我が国及び外国において使用している事実も確認できない。

そうすると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

イ 本件商標と引用商標との類否

上記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。

ウ 不正の目的

上記アのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記イのとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であることからすれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることのないものと判断するのが相当である。

そうすると、本件商標は、引用商標の名声、評判、信頼性及びブランドカを毀損するなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。

また、他に本件商標が不正の目的をもって使用をするものというべき事情は見いだせない。

エ 小括

上記アないしウのとおり、引用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって、さらに本件商標は不正の目的をもって使用をするものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものといえない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号及び同法第8条第1項のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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