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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の使用要件

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2018−300647(T2018−300647/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5613197号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5613197号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「FUTZSOCKS」(2文字目の「U」にはウムラウトが付されている。以下同じ。)の欧文字を表してなり、第25類「メリヤス下着,メリヤス靴下,履物及び運動用特殊靴」を指定商品として、平成25年9月6日に設定登録されたものである。

そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年9月3日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成27年9月3日から同30年9月2日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。

以下、証拠については、「甲(乙)第○号証」を「甲(乙)○」のように省略して記載する。

1 請求の理由

本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていないものである。

よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)使用の行為主体について

答弁書の中で、乙2、乙5及び乙6から、本件商標の商標権者(以下、単に「商標権者」という。)が商品及びその包装に商標を付し、カナダへ商品を輸出すると述べている。しかし、乙5及び乙6は、株式会社アビラス(以下「アビラス社」という。)が商標権者宛てに発行した請求書であるので、アビラス社が商標を付し、商標権者宛てに商品をカナダに輸出している。よって、商品及びその包袋に商標を付し、商品を輸出している行為主体はアビラス社であるから、商標権者が商標を付しカナダへ商品を輸出しているという被請求人の主張は明らかに失当である。

同様に、答弁書の中で、乙8及び乙10から、H.G.INTERNATIONAL(以下「HG社」という。)が商標を付し、カナダに商品を輸出している旨、主張している。しかし、乙8及び乙10は、アビラス社及び昌和莫大小株式会社(以下「昌和社」という。)がHG社宛てに発行した請求書であるから、アビラス社及び昌和社が商標を商品に付し、その商品をカナダに輸出していることを示している。よって、商標の使用行為の主体はアビラス社及び昌和社であり、HG社ではないので、被請求人の主張は失当である。

(2)本件商標の使用態様について

被請求人は、「futz and futzsocks are registered trademarks. All rights reserved」(1語目の「futz」及び3語目の「futzsocks」のそれぞれの2文字目の「u」にはウムラウトが付されている。以下同じ。)及び「www.futzsocks.com」(ウムラウトは付いていない。以下同じ。)の文字の記載をもって、本件商標を使用している旨、主張する。

しかし、「futz and futzsocks are registered trademarks. All rights reserved」の表記は、単に本件商標が登録商標である旨を記載しているにすぎず、また、「www.futzsocks.com」の表記は商標権者のウェブサイトのURLを表示しているにすぎず、「futzsocks」(2文字目の「u」にはウムラウトが付されている。)又は「futzsocks」の文字を含んでいるだけで、どちらも自他商品識別機能が発揮されている態様ではない。

よって、このような表記をもって、本件商標を使用しているという被請求人の主張は失当である。

(3)使用時期について

答弁書において、被請求人は、使用権者の使用を証明するため、乙8及び乙10を提出しているが、乙8の請求書の発行日は「2014年6月9日」、乙10の請求書の発行日は「2014年6月30日」であり、要証期間より1年以上前である。

(4)輸出対象の商品について

乙8及び乙10には、商品の説明として「Men’s socks」などと記載されているが、商品コードが乙2で記載されている製品番号と一致せず、本件商標が付された商品であるか、判断できない。よって、答弁書において、乙8及び乙10を基にHG社が本件商標と社会通念上同一の商標を使用している旨の主張は明らかに失当である。

(5)使用許諾契約書について

答弁書において、被請求人は、乙7の使用許諾契約書から、HG社が、本件商標の指定商品「メリヤス靴下」についての使用権者である旨、主張する。しかし、乙7には、対象の商標や商標登録番号が記載されてなく、また、日本国内での商標の使用についての許諾した旨も一切、記載されていない。よって、乙7の使用許諾書をもって、商標権者がHG社に本件商標の使用を許諾したとはいえない。

(6)乙5及び乙6の請求書の信憑性

乙5及び乙6の請求書から、靴下を各種類、1足ずつしか取引しておらず、また、総額で50セント又は1ドル20セントしか商標権者に費用を請求していない。靴下は、少なくとも数十足まとめて取り引きするのが通常であり、さらに、1足10セントの靴下であれば、輸送コストを節約するためにも数百足単位で取引するはずなので、数種類の靴下を1足ずつしか取引していないのは極めて不自然である。さらに、請求金額も総額で50セント又は1ドル20セントと極めて少額であるから、乙5及び乙6の請求書は、証拠資料としての信憑性に欠く。

第3 被請求人の答弁

1 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次の2のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙10を提出している。

2(1)商標権者による使用

ア 商標権者は、カナダに住所を有する靴下等の織物製品メーカーである(乙1)。商標権者は、日本において「futzsocks」(2文字目の「u」にはウムラウトが付されている。以下同じ。)の商標(以下、この第3において「使用商標」という。)を指定商品「メリヤス靴下」(以下「『futzsocks』製品」という。)に付し、また、カナダへ輸出することにより使用している。

イ 商標使用時期・使用場所

商標権者は、日本の織物製品メーカーであるアビラス社(乙4)に「futzsocks」製品の生産を発注して生産している。乙5及び乙6は、アビラス社が商標権者宛てに発行した請求書の写しである。これらの請求書の発行日はそれぞれ、2018年(平成30年)7月19日、同月23日になっており、一般的に請求書は、商品の納品と同時かそれから1か月程度で発行されるものであるから、商標権者は、2018年(平成30年)7月に本件商標を使用していたといえる。

なお、「futzsocks」製品に付されたタグの裏面には日本製であることを表す「Made in Japan」の文字が記載されている(乙2)。

ウ 本件商標と社会通念上同一の使用商標の使用

商標権者は、「futzsocks」製品の包装であるタグの裏面には「futz and futzsocks are registered trademarks. All rights reserved」及び「www.futzsocks.com」の文字の記載が確認できる(乙2)。

本件商標と使用商標を比較すると、本件商標は、全て大文字の「FUTZSOCKS」のローマ字を太線のゴシック体風の書体で表しているものである。一方、使用商標は、全て小文字の「futzsocks」のローマ字を細い線のTimes New Roman風の書体で表しているものである。

本件商標と使用商標は、活字体による書体(ゴシック体風の書体及びTimes New Roman風の書体)の相互間の使用であり、更にローマ字の大文字と小文字の相互間の使用であるといえるので、使用商標は、本件商標を書体にのみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるといえる。

よって、本件商標と使用商標は社会通念上同一であるといえる。

エ 指定商品についての使用

アビラス社が商標権者宛てに発行した請求書には、「FZSSMSCP11」等の製品番号が記載されている(乙5及び乙6)。この製品番号の冒頭FZの2文字は、商標権者の名称「FUTZ」を表しており、商標権者の製品であることを表している。この「FZSSMSCP11」の製品番号は、「futzsocks」製品である指定商品「メリヤス靴下」のタグの裏面に記載されている製品番号の一つと一致する(乙2)。

オ よって、商標権者は、使用商標を指定商品「メリヤス靴下」及びその包装であるタグに付し(商標法第2条第3項第1号)、また、その商品をカナダへ輸出することにより(同法第2条第3項第2号)、使用商標を使用しているといえる。

(2)使用権者による使用

商標権者の「メリヤス靴下」を含む商品の使用権者であるHG社は、アビラス社に「futzsocks」製品の生産を発注してカナダに輸出している。

乙7は、商標権者とHG社間で締結した使用許諾契約書付属文書の写しである。当該使用許諾契約書付属文書において、HG社は商標権者の商品「靴下・メリヤス類」の生産を許諾されているので、同社は、「靴下・メリヤス類」に含まれる本件商標の指定商品「メリヤス靴下」についての使用権者であるといえる。

乙8は、アビラス社がHG社宛てに発行した女性用靴下の請求書の写しである。この請求書の発行日は、2014年(平成26年)6月9日になっている。

さらに、HG社は、日本の繊維製品メーカーである昌和社(乙9)に「futzsocks」製品の生産を発注してカナダに輸出している。

乙10は、昌和社がHG社宛てに発行した男性用靴下等の請求書の写しである。これらの請求書の発行日はそれぞれ、2014年(平成26年)6月30日、同年7月4日になっている。

したがって、商標権者の使用権者HG社は、2014年6月から継続して、商標権者との使用許諾契約に基づいて「futzsocks」製品を生産し、カナダに輸出していることが推測できる。

3 当審において、被請求人に対し、令和元年6月24日付け審尋により、合議体の暫定的見解を示した上で、これに対する意見を求めたが、被請求人は、何ら意見を述べていない。

また、被請求人は、請求人の弁駁に対し、何ら答弁していない。

第4 当審の判断

1 被請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。

(1)奈良県を所在地とするアビラス社は、2018年(平成30年)7月23日に、カナダを所在地とする商標権者に対し、製品番号「FZS5MSCP011」の商品「靴下」(以下「使用商品」という。)についての代金を請求した(乙6)。

(2)使用商品には、「www.futzsocks.com」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されたタグが付されている(乙2)。

(3)商標権者は、HG社に対し、2014年(平成26年)10月1日から10年間、「靴下」の生産、販売又は頒布を行う権限を付与した(乙7)。

(4)奈良県を所在地とするアビラス社は、2014年(平成26年)6月9日に、カナダを所在地とするHG社に対し、女性用靴下についての代金を請求した(乙8)。

(5)奈良県を所在地とする昌和社は、2014年(平成26年)6月30日に、カナダを所在地とするHG社に対し、男性用靴下についての代金を請求した(乙10)。

2 商標権者が使用商標の使用をしたかについて

(1)被請求人は、商標権者が使用商標を商品「メリヤス靴下」に付し(商標法第2条第3項第1号)、また、その商品をカナダへ輸出した(同法第2条第3項第2号)旨主張している。

(2)前記1で認定した事実によれば、奈良県を所在地とするアビラス社は、2018年(平成30年)7月23日に、カナダを所在地とする商標権者に対し、使用商標が付された使用商品についての代金を請求したのだから(前記1(1)及び(2))、アビラス社は、2018年(平成30年)7月頃、使用商標が付された使用商品をカナダへ輸出したものと推認できる。

そうすると、使用商品に使用商標を付したものを輸出する行為(商標法第2条第3項第2号)をした者は、商標権者ではなく、アビラス社というべきである。

また、商標権者が使用商標を商品「メリヤス靴下」に付したという証拠は、何ら提出されていない。

したがって、商標権者が使用商標を商品「メリヤス靴下」に付したということはできず、また、商標権者がその商品をカナダへ輸出したということもできない。

3 使用権者が使用商標の使用をしたかについて

(1)被請求人は、本件商標の使用権者であるHG社が、2014年(平成26年)6月から継続して、アビラス社及び昌和社に「futzsocks」製品の生産を発注してカナダに輸出している旨主張している。

(2)前記1で認定した事実によれば、商標権者が、HG社に対し、2014年(平成26年)10月1日から10年間、「靴下」の生産、販売又は頒布を行う権限を付与したことは認められるものの(前記1(3))、本件商標の使用を許諾したことは認められないから、HG社は、本件商標の使用権者とは認められない。

また、奈良県を所在地とするアビラス社は、2014年(平成26年)6月9日に、カナダを所在地とするHG社に対し、女性用靴下についての代金を請求し(前記1(4))、また、奈良県を所在地とする昌和社は、2014年(平成26年)6月30日に、カナダを所在地とするHG社に対し、男性用靴下についての代金を請求した(前記1(5))のだから、アビラス社及び昌和社は、2014年(平成26年)5月又は6月頃、女性用靴下又は男性用靴下をカナダへ輸出したものと推認できる。

しかしながら、カナダへ輸出した女性用靴下又は男性用靴下に使用商標が付されていたことを示す証拠は無く、また、該商品を輸出した2014年(平成26年)5月又は6月頃は、要証期間外であり、さらに、該商品を輸出する行為をした者は、HG社ではなく、アビラス社及び昌和社というべきである。

したがって、仮に、HG社が本件商標の使用権者であるとしても、HG社が本件商標の使用をしたと認めることはできない。

4 結論

以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、被請求人が、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したとはいえず、また、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたともいえない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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