sokuhyo

Trademark Appeal Case

色彩商標の使用による識別力獲得

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−387(T2017−387/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲第1のとおりの構成からなり、第30類「菓子(栄養補給用)」を指定商品とし、平成27年4月1日に色彩のみからなる商標として登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「商品の包装、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務の広告の装飾等に使用される色彩は、様々な色彩を組み合わせたものも含め、多くの場合、それらの魅力向上等のために選択されるものであって、商品又は役務の出所を表示し、自他商品又は自他役務を識別するための標識として認識し得ないものであるところ、本願の指定商品である『菓子(栄養補給用)』を含め、商品『菓子』を取り扱う業界においては、別掲第2のとおり、本願商標の黄色又はその同系色の色彩が、一般に広く使用されている実情が認められる。また、出願人が提出した証拠によれば、本願商標と同一視し得る色彩が商品の包装に使用されたり、商品に関する広告の背景色等として使用されていることは把握できるものの、いずれも『Calorie Mate』又は『カロリーメイト』の文字が需要者の注意を惹くように目立つ位置で使用されており、こうした使用態様からは、出願商標部分のみで独立して識別力を有するに至っているということはできない。そうすると、本願商標と同一視し得る色彩が、『カロリーメイト』と称する商品の販売開始(1983年)から使用されている点や、その商品のシェア及び広告宣伝の様子を踏まえてもなお、本願商標が使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っているということはできない。したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できることができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審においてした証拠調べ

審判長は、請求人に対し、平成29年12月22日付けで、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲第3に示す事実を発見したことから、その事実を通知し、期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。

第4 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要旨)

1 本願商標の使用態様について

(1)本願色彩商標は、請求書(平成29年2月13日付け手続補正書(方式))で述べたように、請求人に係る栄養調整食品「カロリーメイト」の商標(ブランドカラー)として採択し、商品の販売を開始した1983年より35年にわたり、色彩を一切変えることなく、一貫して使用してきたものである。

「カロリーメイト」は、「バランス栄養食」、「栄養調整食品」という、これまでになかったジャンルの画期的な商品であったため、今までの食品とはかなり異なった斬新なパッケージを採用した(甲30)。パッケージデザインには、著名なアートディレクターの一人である細谷巌氏を擁し(甲34)、請求人は、本願商標を「カロリーメイト」商品の商標(ブランドカラー)として採択し、パッケージや広告宣伝活動を行ってきた。

そして、本願商標を用いたパッケージや宣伝広告の斬新さが、我が国における「栄養調整食品」市場を築き、「カロリーメイト」がトップブランドとして市場を牽引してきた重要な要素の一つとなっている。このことは、本願商標を用いた「カロリーメイト」が、「グッドデザイン賞」の「ロングライフデザイン賞」を受賞し(甲34)、この商品パッケージについて、「カロリーメイトのことを聞かれたら、多くの人が“黄色いパッケージ”を思い浮かべる」、「新商品が毎年次々に出る店頭でも、32年間常に目立ち続けている」と評されている(甲35)等の第三者からの評価から明らかである。

(2)請求人は、本願商標を35年にわたり一貫して使用しているが、請求人による本願商標の使用は、証拠調べ通知書で挙げられたパッケージにおける「黄色」の使用例とは異なるものである。すなわち、請求人は、「カロリーメイト」のシリーズ商品について、一貫して本願商標を使用しているが、証拠調べ通知書で挙げられた使用例は、(i)包装された菓子の味やフレイバーを表す品質表示として使用されているもの、及び、(ii)パッケージに表された他の文字や写真等、他の要素が分かりやすいように、背景色として使用されているものであり、シリーズ商品について一貫して「黄色」を使用している事例は見当たらない。

ア 証拠調べ通知書1(1)で示されている「おからだから」は、「チーズケーキ味」であることから、その味を認識させる「黄色」が使用されている一方、同シリーズの「メープル味」のパッケージは、メープルシロップを認識される「赤茶色」が使用されている(甲61)。

イ 証拠調べ通知書1(2)で示されている「バランスパワー チーズ」は、「チーズ味」であることから、その味を認識させる「黄色」が使用されている一方、同シリーズの「アーモンドカカオ味」のパッケージには、「カカオ」を認識させる「濃い茶色」(甲62)、「アップル味」のパッケージには、りんごを認識させる「赤色」(甲63)、「ブルーベリー味」のパッケージには、ブルーベリーを認識させる「紫色」が使用されている(甲64)。

ウ 証拠調べ通知書1(3)で示されている「バランスパワープラス チーズ」は、「チーズ味」であることから、その味を認識させる「黄色」が使用されている一方、同シリーズの「ハイカカオ味」のパッケージには、「カカオ」を認識させる「濃い茶色」が使用されている(甲65)。

エ 証拠調べ通知書1(11)で示されている「明治メイバランスソフトJelly」の「バナナヨーグルト味」及び「パインヨーグルト味」は、それぞれ「バナナ」と「パイン」を認識させる「黄色」、「濃い黄色」が使用されている一方、同シリーズでは、「ぶどう味」は「紫色」、「ピーチ味」は「桃色」、「ストロベリー味」は「赤色」、「マスカット味」は「黄緑色」と、それぞれの味を認識させる色彩が使用されている(甲66)。

オ 証拠調べ通知書1(17)で示されている「ぷるんと蒟蒻ゼリースタンディング0kcal グレープフルーツ」、同1(18)で示されている「ぷるんと蒟蒻ゼリースタンディング 温州みかん」は、それぞれ「グレープフルーツ味」、「みかん味」を認識させる「明るい黄色」、「赤みかかった黄色」が使用されている一方、同シリーズでは、「グレープ味」は「紫色」(甲67)、「マスカット味」は「黄緑色」(甲68)、「アップル味」は「赤色」(甲69)と、それぞれの味を認識させる色彩が使用されている。

カ 証拠調べ通知書1(12)で示されている「一日分のビタミンゼリー グレープフルーツ味」、同1(13)で示されている「ビタミンレモンゼリー」のように、他の味のシリーズ商品が存在しない場合であっても、「グレープフルーツ味」や「レモン味」を認識させるように、「黄色」が使用されている。

(3)上記(2)の他者の例に対し、請求人の「カロリーメイト」は、「プレーン」、「チーズ味」、「フルーツ味」等、シリーズ内で異なる味のものがあるが、味は文字の色で区別することとし、パッケージの色彩については、一貫して、本願商標を用いている(甲70)。これは、本願商標は、単なる商品の品質を理解させるものや、他の文字や写真を目立たせるような装飾として使用している単なる色彩ではなく、請求人が、「カロリーメイト」の発売時に、本願商標を「カロリーメイト」の商標(ブランドカラー)として採択したからにほかならない。そして、現在もなお、請求人は、「カロリーメイト」の商標(ブランドカラー)として、一貫して本願商標を使用しているのである。

(4)請求人は、「黄色」の色彩が、本願の指定商品と同種又は類似する商品の分野で、商品パッケージの色彩として使用されていることは承知している。そして、請求人は、本願商標が登録された場合に、上述したような商品の味を理解させるような品質表示的な使用や、パッケージに表された他の文字や写真等、他の要素が分かりやすいように背景色として使用されているものにまで権利を行使するつもりもないし、商標法26条において、商標権の効力が及ばないことは十分に理解している。

他方、昨今の模倣品の多くは、色彩が識別標識として機能していることにあやかり、商品名を変えつつ、パッケージの色彩やデザインを酷似させるなど、手口が巧妙化してきており、伝統的な商標では、このような模倣品を排除するのが難しく、色彩のみからなる商標を始めとする新しいタイプの商標における保護が必須であると思料する。

このような状況下において、先に提出した意見書や手続補正書(方式)で述べたように、既に、「カロリーメイト」の文字がなく、本願商標のみで「カロリーメイト」であることが認識されるに至っている現状において、商品名のみを変えつつ「カロリーメイト」のパッケージ等にフリーライドしたり、模倣したりするような色彩の使用が第三者によってなされた場合に、何ら対応措置が取れないことに、請求人は強い懸念を抱いているところである。このような本願商標を取り巻く状況も、登録性の判断においては、十分に考慮されるべきである。

2 証拠調べ通知書により通知された使用例について

(1)本願の指定商品「菓子(栄養補給用)」と類似の商品について

ア 「カロリーメイト」に代表される「栄養調整食品」と「一般的な菓子」とは、用途や販売場所が異なる非類似の商品である。

すなわち、「一般的な菓子」とは、「常食のほかに食する嗜好品」(甲71)をいう一方、「カロリーメイト」に代表される「栄養調整食品」とは、「バランスよく栄養を手軽に取る」商品であり、食事の代わりに取る食品である。そのため、「栄養調整食品」は、これらを取り扱うスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアにおいて、「サプリメント」と隣接した売り場、あるいは、パンやサンドイッチ等、手軽に食べることができる簡単な食事と隣接した売り場で販売されている。

また、ドラッグストアのオンラインショップにおいても、「栄養調整食品」は、「菓子」のカテゴリーではなく、「バランス栄養食品・栄養調整食品」、「栄養補助食品」、「バランス栄養食」のカテゴリーの商品として販売されている。このことは、証拠調べ通知書1において、本願の指定商品「菓子(栄養補給用)」と同種商品が販売されているサイトとして掲載されている中で、例えば、「<ケンコーコムの『バランス栄養食品・栄養調整食品』>」、「<LOHACOの『栄養補助食品』>」、「<マツモトキヨシの『バランス栄養食』>」のカテゴリーで販売されていると記載されていることからも明らかであり、特許庁においても認める事実と思料する。

このように、「栄養調整食品」と「一般的な菓子」とは、その目的や用途、販売場所において共通性を見いだせない。

イ 需要者の範囲については、「栄養調整食品」も「一般的な菓子」も一般に親しまれた食品である以上、需要者が大きく異なるものではないが、飲食料品の需要者は、酒類やよほど特殊な嗜好品の需要者を除けば、全て共通性を否定できないことからすれば、需要者の共通性について、これのみを重要視することは適切ではなく、両商品の目的や用途、販売場所の相違から、「栄養調整食品」と「一般的な菓子」との需要者は異なるものである。

そうとすると、「栄養調整食品」と「一般的な菓子」とは、用途、販売場所、需要者等からみて別異のものといわざるを得ない。

ちなみに、「菓子,パン(類似群30A01)」の分野においては、「サンドイッチ」と「スナック菓子,せんべい」(不服2015−8262:甲72)、「ピザ」と「スナック菓子」(不服2013−9372:甲73)について、両者は、需要者の範囲のみを重要視することは適切ではなく、商品の種類、性質、用途の相違から、食事用の商品と菓子を求める需要者とは商品購入の目的が異なるなどとして、非類似と判断されている。

ウ 上記ア及びイによれば、「栄養調整食品」と「一般的な菓子」とは、非類似の商品と扱われるべきであり、本願商標が、商標法第3条第2項の要件を具備するか否かの判断に際し、「一般的な菓子」における本願商標と近似した色彩の使用例は考慮すべきではない。

(2)本願の指定商品「菓子(栄養補給用)」と同種商品と指摘されたものについて

証拠調べ通知書1において、本願の指定商品「菓子(栄養補給用)」と同種商品と指摘されたものを仔細に検討したところ、請求人に係る商品「カロリーメイト」とは同種とはいえない商品が多数挙げられている。

すなわち、意見書及び手続補正書(方式)で詳述したように、「カロリーメイト」は、「必要な栄養素が入って消化吸収もよく、かさばらないようコンパクトなもの」をコンセプトに発売された商品であって、食事の代わりとなる商品であるのに対し、証拠調べ通知書1において挙げられた商品には、カルシウムや鉄分、ブタミン、EPA等、特定の成分や栄養素のみを付加したもの(例示(4)、(7)、(10)、(12)、(13)、(14)、(15)、(17)、(18)、(19)、(22)、(23)、(24))や、飴のように、もはや食事の代わりとはいえない商品(例示(14)、(15))も混在しており、これらの全てが同種商品とはいえない。本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かの判断に際し、このような同種とはいえない商品における本願商標と近似する色彩の使用は、考慮すべきではない。

3 本願商標と証拠調べ通知で挙げられた「黄色」の色彩の違いについて

証拠調べ通知書で挙げられた使用例は、明るい黄色、茶色がかった黄色、レモンイエロー等、様々な色調の「黄色」が含まれている。

ところで、色彩のみからなる商標においては、出願時に、色彩を特定するための色彩名のほか、三原色(RGP)の配合率、色彩見本帳の番号等を明記し、色彩について具体的かつ明確な説明が必要であり、また、出願商標と使用商標の同一性について、商標審査基準や商標審査便覧では、色相、彩度、明度が同じであることを必要とする等、極めて厳しい要件が求められている。これは、色彩は、本来、商品等の美観を高めるためなどに使用されるものであり、色彩のみからなる商標の登録に当たっては、出願商標と同一色を永年にわたって大々的に使用してきたことにより、顕著性を獲得することが必要であるからと思料する。そして、このような高い顕著性を有する色彩の指標力は、極めて高いものであり、同じ基調の色彩であったとしても、他の色とは明確に区別し得るものと解するべきである。

そうとすると、例えば、証拠調べ通知書で挙げられた1(1)のような明るい黄色、同1(2)及び(3)のような茶色がかった黄色、同1(5)及び(8)のようなレモンイエローは、本願商標とは明らかに色相、彩度、明度が異なることから、区別し得るものであり、このような例示をもって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かの判断の材料にすべきではない。

4 本願の指定商品と同種の後発品の存在について

上述したように、請求人に係る「カロリーメイト」は、「栄養調整食品」市場を開拓した商品である上、「栄養調整食品」について「黄色」の商品パッケージ等を最初に使用した商品である。市場において、先行する商品が優れている場合、その特徴を模倣した後発品や模倣品が数多く市場に出回ることは、一般の取引実情として周知である。

本願商標を使用する「カロリーメイト」についても、商品パッケージや商品の形状等を模倣した類似品や模倣品が出回っていることは、請求人も承知しているところである。そして、請求人は、実際に、後述する甲第74号証ないし甲第77号証の商品について、不正競争防止法に基づく警告等を検討してきた。

他方、これらの類似品や模倣品は、取引者や需要者をして、あくまで「カロリーメイト」の類似品、模倣品として認識されている(甲74〜甲77)。そして、このような類似品や模倣品が、あくまでも先行商標の類似品又は模倣品であると認識され、市場において先行商品と類似品や模倣品との区別が認識されている限り、先行商標の自他商品識別力は、類似品や模倣品の存在によって失われることはないというべきであり、この点については、包装容器の立体的形状の識別力が争われた裁判例においても肯定されている(平成22年(行ケ)第10169号:甲78)。

上述した取引者や需要者における認識に基づけば、「カロリーメイト」の類似品や模倣品が存在してもなお、本願商標の色彩は、請求人に係る「カロリーメイト」の商標(ブランドカラー)として、取引者や需要者に認識されているといわざるを得ない。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第6号該当性について

(1)本願商標は、前記第1のとおり、色彩のみからなる商標であって、黄色(DICカラーガイド:165)のみからなるものであり、第30類「菓子(栄養補給用)」を指定商品とするものである。

ところで、色彩は、商品そのものやその包装等において、商品の魅力向上等に資する装飾等として、一般に広く使用されているものであるから、例えば、文字や図形等と組み合わせるなど、具体的な形態を伴う場合はともかく、そのような形態を伴わない場合には、これに接する者は、通常、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

そして、本願の指定商品である「菓子(栄養補給用)」は、「栄養補給用」としてその用途を限定しているものの、その表示によれば、「常食のほかに食する嗜好品」(甲71)である菓子の範ちゅうに属するものといえるところ、例えば、「栄養調整食品」や「栄養補助食品」などと称されるものを含め、「菓子」を取り扱う業界においても、商品の包装における装飾等として、黄色ないし本願商標を構成する色彩に近似する色彩が使用されている(別掲の第3に示す例参照)。

そうすると、本願商標は、上記のとおり、黄色(DICカラーガイド:165)の色彩のみからなる商標であるから、これを本願の指定商品について使用しても、これに接する需要者は、その商品又は商品の包装等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標である。

(2)請求人は、本願商標の色彩「黄色」について、1983年の発売以来、35年にわたり、商品「カロリーメイト」のパッケージの色彩として一貫して使用しているところ、当該商品の販売個数は36億7,000万個と莫大なものであり、また、当該商品の宣伝広告においては、需要者にその「黄色」を強く印象付けるように活動を行ってきたことから、本願商標は、請求人の出所に係る商品の識別標識として、需要者に認識され、浸透している旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第78号証(枝番号を含む。)を提出している。

そこで、上記請求人の主張及び同人提出に係る甲各号証について、以下検討する。

ア 請求人が本願商標についての需要者の評価等とするものについて

(ア)甲第1号証は、2009年2月27日付け「日本食糧新聞」であり、「食品ヒット大賞特集:ロングセラー賞=『カロリーメイト』大塚製薬」の見出しの下、「大塚製薬が展開する『カロリーメイト』は、食事が摂れないとき、忙しいときなど、いつでもどこでも手軽に栄養を補給できる“バランス栄養食”をキャッチコピーとし、83年4月に登場した。・・・黄色のパッケージと英語表記のデザイン、現在でも通じるそのユニークさ・先進性は当時では異彩を放っていた。・・・バランス栄養食といえば『カロリーメイト』という地位を築くとともに、栄養調整食品市場でトップブランドに成長してきた。」の記載がある。

なお、上記受賞に関しては、甲第34号証及び甲第35号証も提出されているところ、後者は、「ブレーン 2015年2月号」と称するデジタルマガジンであって、「32年の時を経ても色褪せない存在感 大塚製薬 栄養調整食品『カロリーメイトブロック』」の見出しの下、「ブロック」の包装箱の画像とともに、「大胆なイエローとタイポグラフィだけの美しい文字組。ロングセラーのバランス栄養食『カロリーメイト』は、発売開始当時のデザインを維持しながら長きにわたり市場で支持されてきた点がグッドデザイン賞に評価された。・・・カロリーメイトのことを聞かれたら、多くの人が“黄色いパッケージ”を思い浮かべる。そのデザインは1983年の発売開始から現在まで、ほとんど変わることなく店頭に並んでいる。・・・黄色の箱と印象的なロゴタイプだけで成り立っているからゆえに、新商品が毎年次々に出る店頭でも、32年間常に目立ち続けている。」の記載がある。

(イ)甲第2号証は、データを「インテージSRI」、対象を「SM、CVS、DRUG」、期間を「2010年1月〜2014年12月」とする「栄養調整食品(固形)カテゴリーシェア」と題する棒グラフであって、当該グラフの内訳を「カロリーメイト」、「SOYJOY」、「A社C」、「A社M」及び「その他」とするものであるところ、これによれば、「カロリーメイト」は、当該期間中、約32%のシェアを維持しているとされ、「カロリーメイトはカテゴリーシェアNo.1」とされる。

(ウ)甲第3号証は、「MEMO by tdp」と称するウェブサイト上の「忙しい人の栄養補助食品カロリーメイトのパッケージデザインとはどのように作られたのか? from article 2010.04 MEMO by tdp」の見出しに係る担当者へのインタビュー記事であって、「ブロック(メープル味)」の包装箱を展開した状態の画像その他3種の「ブロック」の包装箱の画像とともに、「コンビニ、スーパーマーケット、駅の売店、黄色のパッケージを見ると無条件でカロリーメイトだと認識してしまう。・・・27年前、1983年4月にカロリーメイトの販売が開始されました。・・・『カロリーメイトは何色?』と聞かれて黄色と答えない人はいないだろう。この黄色は、工事現場のガードなどにも使われている、コンストラクションカラーから来たものだそうです。販売当初はチーズ味のみの展開だったため、地色を目立つイエロー、Calorie Mateの書体をブラックにしました。しかし、黒色と黄色だけでは食品としてのシズル感がでないと感じ、カロリーメイトの栄養成分表示などを英字に訳し、小さな字でブロック組にし、オレンジ色でイエロー地にのせました。・・・パッケージの地色を黄色にしたことにより、商品にアイテムの追加(色のバリエーション)がきても色あわせがうまくできるため、最初の段階で地色に赤色や青色を使うことはまったく考えなかったそうです。この黄色が、後発で他メーカーから販売された同じような商品との差別化を可能にし、コンセプトカラーとしての黄色での展開を難しくしたため、販売戦略的にも大きな意味を持ったそうです。」の記載がある。

(エ)甲第4号証は、「PACKAGE DESIGN」と称するブログ記事(2010年6月8日)であって、「ブロック(チーズ味)」、「ブロック(メープル味)」、「ブロック(フルーツ味)」及び「ブロック(チョコレート味)」の包装箱の画像とともに、「Calorie Mate 愛され続けているデザイン。黄色のパッケージをみると無条件でCalorie Mateだと思ってしまう。文字だけでまとめられていて、写真とかの広告的要素が一切使われていない所がCalorie Mateのかっこよさ。27年間もデザインがほとんどかわっていない。」の記載がある。

(オ)甲第5号証は、「YUICHI TOMARI DESIGN BLOG」と称するグラフィックデザイナーのブログ記事(2015年9月28日)であって、「2.記憶に残ること デザインで出来ること」の見出しの下、「コンビニで『カロリーメイトを買ってきて。』と友人に頼まれたとします。あなたはお菓子コーナーの中のカロリーメイトをどうやって見つけますか?黄色の箱を探しませんか?頭の中にある商品の色や形で判断して探すこと=デザインで商品を判断しています。これは黄色い箱に入っているという記憶が頭の中にあるからです。・・・この例えに出したカロリーメイト=黄色という記憶があるのはこの商品の特徴であり、発売からこのイメージを大切にし、変わることなく継続的に構築したブランドがなせる効果です。」の記載がある。

(カ)甲第6号証は、「hittaka@desk>今日見た広告」と称するウェブサイト(2010年11月8日)であって、「今日見た広告:荒川良々:カロリーメイト」の見出しの下、「瞬時に存在認識してもらうための絶好のアイテムの1つに『色』があります。形よりも、色のほうが、瞬間芸として強いのですね。生理的というか・・・。コカコーラならば・・・赤。ならば、ポカリスウェットは・・・青。カロリーメイトは・・・黄色。です。」の記載がある。

(キ)甲第7号証は、「仙台市災害ボランティアセンター」のウェブサイトにおける「EGAO通信(活動の様子)」に2011年6月13日に投稿された記事であって、「黄色いヤツがやってきた!!」の見出しの下、「ブロック」の包装箱の画像とともに、「今回のありがとうページは、企業様からのご提供物品紹介です。プロミス株式会社様からの提供物資です。みなさん、一度は食べたことのある・・・黄色のパッケージ! 部活動のスタミナ補給や朝食、夜食として活躍しているコレです。プロミス様にこれまでご提供いただいたカロリーメイトの累計はなんと6000個にもなります!」の記載がある。

(ク)甲第8号証は、「愛里子−アイリス− カラーリスト近藤智美 公式WEBサイト」と称するブログ記事(2016年3月9日)であって、「新製品を世に出すためには、大胆なカラーパッケージ戦略で!」の見出しの下、4種の「ブロック」の包装箱の画像とともに、「非常袋の非常食に、私は大塚製薬さんの『カロリーメイト』を入れています。ところで、このパッケージ、商品の陳列棚近くまで行かなくても、すぐに見つけられます。それは、この配色によります。黄色いパッケージと黒いロゴでおなじみですよね。・・・そうして、カロリーメイトが店頭に並んだのは1983年。チーズ味が発売されました。・・・カロリーメイトのことを聞かれたら、多くの人が『黄色いパッケージ』を思い浮かべることができますよね。そのデザインは、1983年の発売開始から現在まで、ほとんど変わることなく店頭に並んでいます。そして、『私たちの生活を築き、今後もその役割を担い続けてほしいデザイン』に贈られる『グッドデザイン・ロングライフデザイン賞2014』を、公益財団法人日本デザイン振興会より受賞しているのです。・・・黄色の箱と印象的なロゴタイプだけで成り立っている、このパッケージは、新商品が毎年次々に出る店頭でも、32年間常に目立ち続けています。パッケージの大胆な色使いも気になります。黄色を全面に打ち出し文字色は、黒や赤といった『警戒色』を全面に出した色使いです。よく工事現場で、黄色と黒の看板を見たことがあると思いますが、それによく似ています。」の記載がある。

(ケ)甲第9号証は、請求人がスポンサーとなっている「TABI LABO」と称するウェブサイト(2015年6月5日)であって、「カロリーメイトについて知らない『8つの秘密』。今すぐ、誰かに教えたい!」の見出しの下、「01.開発当初のイメージは、宇宙食?」、「02.独特の形状のモデルは、スコットランドのお菓子にアリ」、「03.名前は『カロリーメイト』だけど、『カロリー』だけじゃない!」、「04.カロリーメイトの“穴”にはちゃ〜んと、理由がある!」、「05.オロナミンCは赤、ポカリスエットが青、そして、カロリーメイトは黄色!」、「06.店頭でよく見かける『カゴ販売』広めたのはカロリーメイト」、「07.カロリー計算しやすいから、女子ウケがいい?」及び「08.意外?『プレーン味』の発売は2014年」の各小見出しに係る記載があり、そのうち、「05.オロナミンCは赤、ポカリスエットが青、そして、カロリーメイトは黄色!」の小見出しの下には、「カロリーメイトの発売元は、大塚製薬。そのほかにオロナミンCやポカリスエットで知られる同社ですが、興味深いのはそれぞれのイメージカラー。オロナミンCは赤、ポカリスエットが青、カロリーメイトは黄色と、どの商品も明確なカラーで打ち出されています。ちなみにパッケージにびっしりとプリントされた英字は、含まれている栄養成分の説明。『バランス栄養』という製品コンセプトを打ち出したデザインで、発売以来ほとんど変わっていないんだって。」の記載がある。

(コ)甲第10号証は、「ANTENNA DESIGN」と称するウェブサイト(時期不明)であって、「トヨタのカロリーメイト ME.WE」の見出しの下、「2013年に欧州トヨタから発表されたコンセプトカー ME.WE。重量750kgの電気自動車だそうです。・・・あくまでコンセプトカーなので、発売されるかどうかわかりませんし、発売されたとしても別物になっているかもしれません。黄色バージョンはまるでカロリーメイトのようです。」の記載がある。

(サ)甲第11号証ないし甲第20号証の12は、それぞれ、文字が何ら記載されていない黄色のパッケージの菓子のような食物が登場する映画「耳をすませば」(1995年、スタジオジブリ)において登場する「主人公である少女が勉強部屋で小説を執筆中に、机から黄色い箱を取り出し、バー状の菓子を頬張るシーン」とされるスクリーンショット(甲11)と、当該菓子を「カロリーメイト」と述べているブログ記事等(甲12〜甲20の12)であるところ、甲第11号証及び甲第12号証に掲載されている画像によれば、主人公とされる少女が黄色の包装箱から棒状のものを取り出し、口に入れる様子が描かれている。

イ 本願商標の色彩の使用実績及び宣伝活動について

(ア)商品パッケージについての使用

請求人は、1983年4月に、「カロリーメイト」と称する商品(以下「本件商品」という場合がある。)を発売した(甲3、甲27)。当該商品は、発売当初、「ブロック(チーズ味)」と「缶(ミルク味)」の2種であり、前者は、黄色地の包装箱の正面に黒色の「CalorieMate」の文字が大書されているほか、その側面や裏面にも、「CalorieMate」の文字又は「カロリーメイト」の文字が表示されていることがうかがえ(甲3、甲27、甲28)、後者は、黄色地の缶の側面部に黒色の「CalorieMate」の文字が大書されている(甲28)。

その後、本件商品は、「缶(コーヒー味)」(1983年11月発売)、「ブロック(フルーツ味)」(1984年4月発売)、「ブロック(チョコレート味)」(1993年10月発売)、「ブロック2本入り登場」(1996年7月)、「ブロック(ベジタブル味)」(2000年9月発売、2007年販売終了)、「缶(ココア味、カフェオレ味)」(2000年9月発売)、「カロリーメイトスティック登場 スティック(ライトシナモン味)」(2001年6月発売、2004年販売終了)、「カロリーメイトゼリー登場 ゼリー(アップル味)」(2002年9月発売)、「缶(コーンスープ味)」(2005年6月発売)、「ブロック(ポテト味)」(2007年4月発売、2014年販売終了)、「ブロック(メープル味)」(2009年9月発売)、「ブロック(プレーン味)」(2014年9月発売)のように、商品の風味、形態、容量の追加、変更等がされながら、継続的に販売されていることがうかがえるところ、そのうち、「ブロック」の形態のものについては、「2本入り」のものを含め、風味ごとに文字の色は異なる場合があるものの、黄色地の包装箱の正面に「CalorieMate」の文字が大書されている点は共通であり、その側面や裏面にも、「CalorieMate」の文字又は「カロリーメイト」の文字が表示されていることがうかがえる(甲3、甲4、甲7〜甲9、甲26、甲32〜甲35、甲37、甲38、甲41の1、甲41の8〜甲41の10、甲41の14〜甲41の17、甲41の19、甲59、甲60、甲70)。また、「缶」の形態のものについても、風味ごとに文字の色は異なるものの、黄色地の缶の側面部に「CalorieMate」の文字が大書されている点は共通である(甲41の3、甲41の6、甲41の9〜甲41の12、甲41の14〜甲41の16)。さらに、「ゼリー」の形態のものについては、銀色の小袋様の容器の正面中央に黒色の「CalorieMate」の文字が大書されており、その文字の上下に黄色等の彩色部分が配されている(甲27、甲41の6、甲41の18)。

(イ)宣伝広告活動における使用

a テレビコマーシャル

請求人が継続的に全国で放映してきたとする「カロリーメイト」のテレビコマーシャル(甲39)によれば、例えば、画面の背景色や登場人物の着衣等の一部において「黄色」が用いられていることは見受けられるものの、そのコマーシャルにおいては、総じて本件商品の包装(箱、缶、小袋様の容器)の映像が映し出されるほか、「CalorieMate」の文字若しくは「カロリーメイト」の文字又は「大塚製薬」の文字が映し出され、「カロリーメイト」の音声が流れる場合もある。

また、「カロリーメイト」のテレビコマーシャルに係る証拠として提出された甲第37号証及び甲第38号証からは、そのコマーシャル全体の具体的内容が明らかとはいえないが、少なくともコマーシャルの一部において本件商品の包装箱が顕著に映し出される様子はうかがえる。

なお、上記テレビコマーシャルについては、請求人が2007年からロングランシリーズになったとする「イエローマン」というキャラクターが登場するものを含め、その放映の具体的な時期(期間)、地域等を裏付ける証拠の提出はない。

b 雑誌等

請求人が雑誌や新聞といった媒体で広範に行った「カロリーメイト」の宣伝広告とするもの(甲41の1〜甲41の19)によれば、広告面の背景色として「黄色」が用いられる場合があるものの、必ずしも一貫して多用されているものではなく、また、その多くに本件商品の包装(箱、缶、小袋様の容器)の画像が表示されているほか、「CalorieMate」の文字若しくは「カロリーメイト」の文字又は「大塚製薬」の文字若しくは「Otsuka」の文字が表示されている。

なお、上記宣伝広告については、それが掲載された時期、媒体等を裏付ける証拠の提出はない。

c 店頭広告

請求人が販売店において本願商標を効果的に用いた陳列方法により「カロリーメイト」の宣伝活動を行っているとするもの(甲42〜甲51)によれば、請求人が納品の際に一緒に配荷するとする専用の陳列台やディスプレイ等においては、その彩色として「黄色」が用いられていることはうかがえるものの、それらには同時に視認し得るように「CalorieMate」の文字又は「カロリーメイト」の文字が表示されている(甲42〜甲46)。

また、店内POPとされるものについても、背景色と視認される態様をもって「黄色」が用いられていることはうかがえるものの、総じて本件商品の包装箱が表示されているほか、「CalorieMate」の文字若しくは「カロリーメイト」の文字又は「大塚製薬」の文字若しくは「Otsuka」の文字が表示されている(甲47の1〜甲47の10)。

さらに、請求人が販売店において実施したとする「ディスプレイコンテスト」に係るもの(甲48〜甲50)によれば、2009年(9月〜11月)、2014年(1月〜2月、9月〜11月)に行われたコンテストに関し、販売店において上記陳列台、ディスプレイ、POP等を用いた本件商品の陳列がされている様子はうかがえるものの、少なくとも同時に視認し得る範囲には「CalorieMate」の文字又は「カロリーメイト」の文字が表示されている。

なお、甲第51号証には、2016年8月に、東京ビッグサイト周辺のコンビニエンスストアにおいて、商品の陳列台に本件商品が陳列されている様子が写っている。

d イベント、商品サンプリングによる広告

請求人が注力してきた宣伝広告活動とする各種イベント参加や商品サンプリングに係るもの(甲52〜甲57)によれば、「CalorieMate」の文字又は「カロリーメイト」の文字が表示された黄色地のポスターや陳列台とともに本件商品が展示等されていたり(甲52〜甲54)、大阪の梅田や心斎橋とされる場所において黄色の上着を着た者が写っている様子(甲55)はうかがえるが、それらの具体的な撮影時期及び撮影場所並びにイベントの詳細を裏付ける証拠の提出はない。

また、請求人は、2007年4月16日に、東京の大手町の東京サンケイビルで、本件商品のうちの「ブロック(ポテト味)」の発売を記念したイベントを実施し、当該イベントにおいて黄色のテントが設置され、黄色の衣装を着た者によるサンプリングが行われたことはうかがえるものの、当該イベントの具体的な様子は明らかでなく、訪問者数等も明らかでない(甲56)。

さらに、請求人は、2017年1月7日から9日までの間、大阪の阪急梅田駅において、「受験応援STATION」と称するイベントを開催し、当該イベントにおいて「受験応援STATION」の文字又は「CalorieMate」の文字が表示された黄色地の壁面及び床面等からなるブース様のものが設置されたことはうかがえるものの、当該イベントの訪問者数等は明らかでない(甲57)。

e インターネットによる広告

請求人が本願商標を大々的に使用した自己のホームページとするもの(甲58)や本願商標を強調したウェブサイトとするもの(甲59、甲60)によれば、前者においては、2013年9月の「大塚製薬のカロリーメイト公式サイト」とされるものとして、黄色の背景色上に「CalorieMate」の文字が大書されている画面が表示されており、後者においては、本件商品のプレゼントキャンペーンに係るウェブサイトであって、当該プレゼント対象となる本件商品の画像とともに、背景色や文字の装飾色等として黄色が用いられている画面が表示されている。

ウ 小括

上記ア及びイによれば、請求人が1983年4月に発売した本件商品については、その発売当初から継続して、商品の包装(箱、缶、小袋様の容器)に黄色が用いられているところ、当該黄色は、本願商標と同一視し得る色彩といえるが、その使用態様は、当該包装に常に表示され、かつ、視覚的に強く印象付けられる「CalorieMate」の文字又は「カロリーメイト」の文字との関係に照らせば、その包装の地色又は装飾などとして看取、把握されるものとみるのが相当である。

また、請求人が行ってきたとする本件商品に係る広告宣伝活動については、そのほとんどが活動の具体的な時期(期間)、地域、内容等が不明である上、当該活動において用いられている黄色の態様についてみても、専ら同時に用いられ、かつ、視覚的に強く印象付けられる「CalorieMate」の文字若しくは「カロリーメイト」の文字又は「大塚製薬」の文字若しくは「Otsuka」の文字の表示との関係に照らせば、その活動における背景色又は装飾などとして看取、把握されるものとみるのが相当である。

さらに、本件商品に言及しているいくつかのブログ記事やウェブサイトにおいても、例えば、「『カロリーメイトは何色?』と聞かれて黄色と答えない人はいないだろう。」、「カロリーメイト=黄色という記憶があるのはこの商品の特徴であり」、「カロリーメイトは・・・黄色。です」、「カロリーメイトのことを聞かれたら、多くの人が『黄色いパッケージ』を思い浮かべることができますよね。」のように、「カロリーメイト」という商品(名)を前提としたときに「黄色」を想起する文脈での記載が少なからずあることからすれば、当該記事等をもって、本願商標の色彩(黄色)が単独で商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別するための標識として機能しているとはいい難い。

加えて、特定の映画のシーンに登場する黄色の包装箱について、それを「カロリーメイト」と記述する場合があるとしても、本願の指定商品である「菓子(栄養補給用)」の取引者、需要者が広範に及ぶものであることを鑑みれば、その記述は、限定的なものとみるのが相当であり、これをもって、その取引者、需要者における通常の認識とすることは妥当でない。

その他、請求人が提出した甲各号証を総合してみても、取引者、需要者が、本願商標を構成する黄色と同じ色彩と認識され得る黄色のみをもって、商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別するための標識として認識していると認めるに足る事実は見いだせない。

してみれば、請求人の製造、販売する商品「CalorieMate(カロリーメイト)」が、35年以上にわたり、継続して多数販売され、2010年から2014年までの間に「栄養調整商品(固形)カテゴリー」において約32%のシェアを維持しているものであるとしても、当該商品に係る包装や広告宣伝活動について用いられている本願商標を構成する黄色と同じ色彩と認識され得る黄色のみをもって、取引者、需要者が、専ら請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められない。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、本願商標の色彩(黄色)について、「栄養調整食品」市場の代表的商品、トップブランド商品である「カロリーメイト」の商標(ブランドカラー)として採択し、商品の販売を開始した1983年から35年にわたり、色彩を一切変えることなく、そのパッケージや広告宣伝活動について一貫して使用してきた結果、需要者に広く浸透しており、今や「カロリーメイト」の文字がなく、「黄色」の色彩のみで、「カロリーメイト」であることが認識されるに至っている旨主張する。

しかしながら、本願商標と同じ色彩と認識され得る黄色は、請求人の製造、販売に係る「CalorieMate(カロリーメイト)」と称する商品について、長年にわたり、継続して使用されているとはいえるものの、その使用態様は、商品の包装の地色若しくは装飾又は広告宣伝活動における背景色又は装飾などとして看取、把握されるものであり、当該商品の販売期間やシェア等を考慮してもなお、その色彩(黄色)のみをもって、取引者、需要者が、専ら請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められないこと、上記1(2)のとおりである。

なお、請求人は、本件審判において、本願商標についての需要者における認識を更に客観的に示すためにアンケート調査を実施する予定である旨述べていたため、当審においては、当該調査の結果を示すよう促したが、請求人からその結果に係る証拠の提出はなかった。

したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。

(2)請求人は、菓子等を始めとする食品分野においては、同一ブランド商品において、味(フレーバー)の異なる商品アイテムを展開することが多々あり、その際に、味の種類ごとにパッケージの色彩(背景色)を変えることが一般的である一方、「カロリーメイト」については、チーズ、フルーツ、チョコレート、メープル、プレーン等と、様々な味わいの商品アイテムを揃えているが、異なる味の商品アイテムであっても、一貫して本願商標の「黄色」を使用してきているところ、証拠調べ通知書で挙げられた使用例も「包装された菓子の味やフレイバーを表す品質表示として使用されているもの」及び「パッケージに表された他の文字や写真等、他の要素が分かりやすいように、背景色として使用されているもの」であり、本願商標のように、「カロリーメイト」の商標(ブランドカラー)として採択し、シリーズ商品について一貫して「黄色」を使用している事例は見当たらない旨主張する。

しかしながら、請求人において、本願商標を構成する黄色を「カロリーメイト」の商標(ブランドカラー)として採択する意図を有していたとしても、取引者、需要者において、当該黄色をその意図どおりのものとして認識するとは必ずしもいえず、また、当該「カロリーメイト」について用いられている黄色については、上記1(2)のとおり、その使用態様に照らせば、取引者、需要者をして、商品の包装の地色又は装飾などとして看取、把握されるものであるから、たとえ、証拠調べ通知書において挙げた使用例と比較したときに、色彩の使用の仕方の細部において差異があるとしても、本願商標が、当該使用例とは全く別異のものとして認識されることはないというべきである。

したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。

(3)請求人は、本願商標の登録性の判断においては、「カロリーメイト」の文字がなく、本願商標のみで「カロリーメイト」であることが認識されるに至っている現状において、商品名のみを変えつつ「カロリーメイト」のパッケージ等にフリーライドしたり、模倣したりするような色彩の使用が第三者によってなされた場合に、何ら対応措置が取れないといった状況も考慮されるべきである旨主張する。

しかしながら、本願商標を登録することができるか否かは、その商標の構成態様や指定商品に係る取引の実情等を勘案しつつ、その商標を指定商品に使用した場合における取引者、需要者の認識を推し量った上で判断すべきところ、本願商標は、上記1(1)のとおり、本来、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるし、また、上記1(2)のとおり、使用の実績を勘案しても、本願商標を構成する黄色のみをもって、請求人の業務に係る商品(カロリーメイト)であることを認識することができるに至っているとは認められないものである。

また、請求人は、黄色のパッケージの商品について、取引者、需要者が「カロリーメイト」の類似品や模倣品として認識している(甲74〜甲77)ことからすれば、そのような類似品などが存在してもなお、本願商標の色彩が、請求人に係る「カロリーメイト」の商標(ブランドカラー)として、取引者、需要者に認識されているといわざるを得ないと主張するが、甲第74号証ないし甲第77号証は、黄色を地色とする包装箱に「CALORIE BALANCE」の文字や「カロリーバランス チーズ味」の文字等の表示がある同一の商品について、4者が、それぞれのブログにおいて「カロリーメイトそっくり」、「カロリーメイトのソックリさん」、「カロリーメイトもどき」及び「カロリーメイトの類似品」と述べているにすぎず、これらをもって、取引者、需要者が、通常、本願商標を構成する色彩(黄色)を請求人に係る「カロリーメイト」の商標(ブランドカラー)として認識しているとはいえない。

したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。

(4)請求人は、(i)「カロリーメイト」に代表される「栄養調整食品」とは、「バランスよく栄養を手軽に取る」商品であり、食事の代わりに取る食品であるため、これらを取り扱うスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアにおいて、「サプリメント」と隣接した売り場又はパンやサンドイッチ等、手軽に食べることができる簡単な食事と隣接した売り場で販売されているものであるから、「常食のほかに食する嗜好品」(甲71)である「一般的な菓子」とは、用途や販売場所が異なる非類似の商品であること、(ii)両商品が一般に親しまれた食品である以上、需要者が大きく異なるものではないが、飲食料品の需要者は、酒類やよほど特殊な嗜好品の需要者を除けば、全て共通性を否定できないことからすれば、需要者の共通性について、これのみを重要視することは適切ではないこと、(iii)両商品の目的や用途、販売場所の相違から、「栄養調整食品」の需要者と「一般的な菓子」の需要者とは異なるものであり、両商品は、用途、販売場所、需要者等からみて別異のものといわざるを得ないことからすれば、本願商標が、その使用により、取引者、需要者をして、専ら請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かを判断するに際し、「一般的な菓子」における本願商標と近似した色彩の使用例は考慮すべきではない旨主張する。

しかしながら、本願の指定商品は、第30類「菓子(栄養補給用)」であって、「栄養補給用」としてその用途を限定しているものの、菓子の範ちゅうに属するものであることは明らかであるし、また、請求人が主張する「栄養調整食品」とは、例えば、「厚生労働省」、「日本医師会」及び「(独)国立健康・栄養研究所」の連名による「健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて」(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/pamph_healthfood.pdf)によれば、国が制度化している「特定用途食品」や「保健機能食品」以外のいわゆる健康食品と呼ばれているものの1種とはされているものの、具体的にどのような食品が該当するかは不明とされていることからすると、その範囲を特定することは困難であるから、本願の指定商品を含む商品「菓子」と「栄養調整食品」とが別異のものと断定することはできない。

そうすると、本願商標の登録の可否を判断するに当たって考慮すべき取引の実情とは、商品「菓子」に係るもの並びに、実際の取引の場において、「栄養調整食品」及びそれに類するものと推察されるもの(「バランス栄養食品」、「栄養補助食品」、「バランス栄養食」)の表示がされているものの双方に係るものというべきであり、前者をその対象から外すことは適切でない。

したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。

(5)請求人は、「カロリーメイト」が「必要な栄養素が入って消化吸収もよく、かさばらないようコンパクトなもの」をコンセプトに発売された商品であって、食事の代わりとなる商品であるのに対し、証拠調べ通知書1において挙げられた商品には、カルシウムや鉄分、ブタミン、EPA等、特定の成分や栄養素のみを付加したもの(例示(4)、(7)、(10)、(12)、(13)、(14)、(15)、(17)、(18)、(19)、(22)、(23)、(24))や、飴のように、もはや食事の代わりとはいえない商品(例示(14)、(15))も混在しており、これらの全てが同種商品とはいえないことから、本願商標が、その使用により、取引者、需要者をして、専ら請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かを判断するに際し、このような同種とはいえない商品における本願商標と近似した色彩の使用例は考慮すべきではない旨主張する。

しかしながら、たとえ、請求人が主張する「カロリーメイト」が「必要な栄養素が入って消化吸収もよく、かさばらないようコンパクトなもの」をコンセプトに発売された商品であって、食事の代わりとなる商品であるとしても、それは、上記(4)における請求人の主張によれば、「栄養調整食品」とされるものであるから、証拠調べ通知書において「同種商品」として挙げたもの(「栄養調整食品」及びそれに類するものと推察されるもの(「バランス栄養食品」、「栄養補助食品」、「バランス栄養食」)の表示をもって取引されているもの)が、当該「カロリーメイト」と商品の成分等において差異があるものであるとしても、「同種商品」として考慮すべき対象に含めるべきである。

したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。

(6)請求人は、色彩のみからなる商標について、出願時にその色彩についての具体的かつ明確な説明が求められていること及び出願商標と使用商標との同一性に関して色相、彩度、明度が同じであるといった厳しい要件が求められていることからすると、その登録に当たっては、高い顕著性を獲得することが必要であり、このような高い顕著性を有する色彩の指標力は、極めて高く、同じ基調の色彩であったとしても、他の色とは明確に区別し得るものと解すべきであるところ、例えば、証拠調べ通知書1で挙げられた(1)のような明るい黄色、同1(2)及び(3)のような茶色がかった黄色、同1(5)及び(8)のようなレモンイエローは、本願商標とは明らかに色相、彩度、明度が異なり、区別し得るものであるから、これらを本願商標の登録の可否の判断において考慮すべき対象に含めるべきではない旨主張する。

しかしながら、証拠調べ通知書において挙げた使用例において、仮に、その使用例に係る色彩の色相等が、本願商標を構成する色彩のそれと異なるものであるとしても、その使用例に係る色彩は、視覚上、黄色ないし本願商標を構成する色彩に近似する色彩と認識され得るものといえ、本願の指定商品「菓子(栄養補給用)」及び請求人の主張に係る「栄養調整食品」(それに類するものと推察される「バランス栄養食品」、「栄養補助食品」、「バランス栄養食」を含む。)の取引者、需要者により、本願商標を構成する色彩と明確に区別し得るほどに別異のものとして認識されることはないとみるのが相当であるから、本願商標の登録の可否の判断において考慮すべき対象に含めるべきである。

したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。

3 まとめ

以上によれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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