sokuhyo

Trademark Appeal Case

動き商標の効能表示と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−2886(T2018−2886/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第3類及び第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成27年11月5日に動き商標として登録出願、その後、本願の指定商品については、原審における同29年4月3日付け及び当審における同30年4月9日付けの手続補正書により、最終的に、第3類「洗濯用剤及び漂白剤,せっけん類,織物の処理用及び美化用の洗濯用剤,香,香料用及び香水用油,家庭用の香水,織物用の芳香剤,香木,芳香油,精油,空気中・大気中又は織物上に煙・蒸気又は気体として放たれる薫香,空気用及び織物用の芳香剤」及び第5類「空気清浄剤,空気浄化剤,室内用空気清浄剤,織物用及び室内用の消臭剤,消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。)」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、複数の泡が緑色の雲又は煙状の物質を吸収していき、最終的には全て消滅する様子を表したと認識されるものであるところ、本願の指定商品を取り扱う業界においては、消臭や汚れの除去等を特長とする商品について、例えば、その商品の特長、用途及び効能等に関する情報の理解を容易にするなどするため、臭いや汚れ等の原因(細菌等)が分解物質によって破壊又は消滅する仕組みを表したイメージ図が普通に使用されている実情が認められることから、本願商標をその指定商品中、消臭や汚れの除去等を特長とする商品、例えば、『洗濯用剤,空気用及び織物用の芳香剤,空気清浄剤,空気浄化剤,室内用空気清浄剤,織物用及び室内用の消臭剤』に使用しても、これに接する取引者、需要者は、臭いや汚れ等の原因(細菌等)が分解物質によって破壊又は消滅する仕組みを表したものの一類型と認識するにとどまるというべきであり、そうすると、本願商標は、単に商品の効能を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ

審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、平成31年2月12日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨

請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、要旨以下のとおり、意見を申し立てた。

(1)本願商標は、通知書に列挙された動画のような動きの一類型とは同列に扱い得ないものである。後述する一般的な需要者の認識を踏まえると、消臭成分は目に見えないものであることもあいまって、本願商標が、指定商品との関係で泡が消臭成分であることなどを示唆することはあっても、需要者が商品の効能を直ちに認識することなど、あり得ない話であり、本願商標は、単なる品質等表示の一類型には該当せず、自己と他人の業務を識別するための出所識別標識となり得ることは明らかである。

(2)通知書で列挙されている動画は、3つのカテゴリーに分けられるところ、1つめのカテゴリー「商品の効能を表す文字を伴うことによってその効能が明確に認識できる映像」には、効能を表す際に、映像中に「消臭」という文字や、「尿臭」という文字を汚れに見立てて、それを消すことで、商品の効能を認識させる映像などが分類される。

これに対して、本願商標においては、文字や解説文が表されていないことから、本カテゴリーには属さないことは明らかであるし、また、本カテゴリーに属する映像を目にしている需要者であっても、文字や解説文が表されていない本願商標の動きから、本カテゴリーに属する映像より看取し得る効能と同じような効能を表したものであると直ちに認識するとは考えられない。

(3)2つめのカテゴリー「消臭や汚れ落としの対象物又は場所とともに表されている場合」には、効能を表す際に、その対象となる衣類、靴といった「物」や、トイレや部屋全体といった「場所」とともに表すことで、商品の効能を認識させる映像が分類される。

これに対して、本願商標においては、需要者が一見しただけで直ちに認識することができる使用対象となる物や場所は表されていないことから、本カテゴリーには属さないことは明らかであるし、また、本カテゴリーに属する映像を目にしている需要者であっても、商品の使用対象となる物や場所が表されていない本願商標の動きから、本カテゴリーに属する映像より看取し得る効能と同じような効能を表したものであると直ちに認識するとは考えられない。

(4)3つめのカテゴリー「動画全体をもって初めて商品の効能を認識することができる映像」には、抽象的なイメージ図のみから構成されており、消臭や汚れを落としている動きからは商品の効能や用途を直ちに認識することができないものの、動画全体を視聴した場合には、その構成や音声、文字等を総合的に勘案した結果、当該映像を消臭又は汚れを落とすイメージであると初めて認識することができるような映像が分類される。

これに対して、本願商標は、本カテゴリーに属する動きと同様に、泡と煙状の物質のみから構成されている商標であり、映像を見ただけでは、商品の効能や用途を表していると直ちに認識することはできないものである。さらに、通知書で列挙された動画には、泡が煙等を吸い込んで内破する映像もないことから、本願商標の動きそのものも非常に独創的であるといえる。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、別掲1のとおり、青色の複数の泡様の図形が暗緑色又は濃緑色の雲又は煙様の図形を吸収していき、その後、当該泡様の図形が消滅するまでの一連の変化(過程)を表してなる動き商標といえるものであって、その「商標の詳細な説明」においては、「商標登録を受けようとする商標(以下「商標」という。)は、時間の経過に伴う標章の変化の状態を示す16枚の図からなる動き商標である。本商標は、図1から図16の順に約0.125秒の間隔で変化していき、全体として約2秒間の動き商標からなる。すなわち、図1から図9にかけ、図中に表された複数の泡が、緑色の雲又は煙状の物質を吸収していき、当該物質によって満たされていく。その後、図10から図15にかけ、これらの泡が一つずつ内破を起こしていき、図16においては背景を残して消滅する。なお、各図の中央下隅に表示されている番号は、図の順番を表したものであり、商標を構成する要素ではない。」旨の記載がされているものである。そして、本願の指定商品は、第3類「洗濯用剤及び漂白剤,せっけん類,織物の処理用及び美化用の洗濯用剤,香,香料用及び香水用油,家庭用の香水,織物用の芳香剤,香木,芳香油,精油,空気中・大気中又は織物上に煙・蒸気又は気体として放たれる薫香,空気用及び織物用の芳香剤」及び第5類「空気清浄剤,空気浄化剤,室内用空気清浄剤,織物用及び室内用の消臭剤,消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。)」である。

ところで、本願の指定商品中、例えば、第3類「洗濯用剤及び漂白剤」や第5類「空気清浄剤,空気浄化剤,室内用空気清浄剤,織物用及び室内用の消臭剤,消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。)」については、その商品の効能などとして、「消臭」をうたう商品が含まれているところ、その効能に係る「臭気」は、本質的に視認し得ないものであるため、これらの商品を取り扱う業界においては、商品の宣伝などをするに当たり、その商品の使用による「消臭」という効能がどのようにして発揮されるかといった一連の過程を視覚化したイメージ(動画を含む。)を作成、使用することが一般に広く行われており、また、そのようなイメージにおいては、総じて商品の使用前の不快な印象を暗色系の雲若しくは煙様の図形又はとげのある図形等で表す一方、商品の使用後の快適な印象を透明又は白色若しくは明るい青色の図形や背景等で表すことがしばしば見受けられ、さらに、そのイメージと同時又はその前後において、そのイメージに即した商品のより具体的な効能を表した字幕や絵図等を付加することも少なからず行われている(別掲2)。

そうすると、上記のとおりの構成態様をもって表された動きの商標である本願商標を、第3類「洗濯用剤及び漂白剤」や第5類「空気清浄剤,空気浄化剤,室内用空気清浄剤,織物用及び室内用の消臭剤,消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。)」を含むその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、別掲2に示した例との比較における差異を考慮してもなお、当該商品の宣伝などにおいて一般に広く行われている商品の効能に係る一連の過程を視覚化したイメージの一類型を表示してなるものと看取、理解するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

したがって、本願商標は、その指定商品との関係においては、商品の効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標について、商品の効能を表す「消臭」などという文字や解説文が表されていないこと、商品の効能に係る対象物や場所が表されていないことから、需要者が商品の効能を表したものであると直ちに認識するとは考えられない旨主張する。

しかしながら、本願の指定商品中、商品の効能などとして、「消臭」をうたう商品を取り扱う業界においては、商品の宣伝などをするに当たり、その商品の「消臭」という効能に係る一連の過程を、おおむね共通するイメージ(動画を含む。)により表すことが一般に広く行われているという実情があり、そのような実情においては、そのイメージに即した商品の効能をより具体的に表すべく、「消臭」の文字や対象物を表した絵図などが付加される場合があるというべきこと、上記(1)のとおりであるから、本願商標の構成態様において、「消臭」の文字などが含まれていないとしても、そのことにより、本願商標に接する取引者、需要者がそれを商品の効能を表示したものと認識することはないとはいえない。

したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。

イ 請求人は、別掲2に示された例は、その動画全体を視聴した場合に初めて、その構成、音声、文字などにより、その動画が消臭又は汚れを落とすイメージであることを認識できるものであるところ、本願商標は、泡と煙状の物質のみから構成されている商標であって、その映像を見ただけでは、直ちに商品の効能や用途を表したものと認識できないものであり、さらに、当該例には、本願商標の構成中にある泡が煙などを吸い込んで内破する映像もないことから、本願商標の動きそのものも非常に独創的である旨主張する。

しかしながら、本願商標は、上記(1)のとおり、青色の複数の泡様の図形が暗緑色又は濃緑色の雲又は煙様の図形を吸収していき、その後、当該泡様の図形が消滅するまでの一連の変化(過程)を表してなる動き商標といえるものであるところ、その構成態様の全体は、別掲2に示した例において、商品の「消臭」という効能に係る一連の過程を表したイメージと取引者、需要者に認識される部分と比較した場合、当該イメージ表現の細部や商品の効能をより具体的に表すために付加された「消臭」の文字や対象物を表した絵図などの有無といった差異はあるものの、商品の使用前の不快な印象から商品の使用後の快適な印象に至るまでの一連の過程を視覚化したイメージという本質において共通するものであり、これが当該差異により覆されることはないというべきである。

したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、その指定商品について使用するときは、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。