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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−8749(T2019−8749/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第3類「キットになった化粧品,化粧品,ヘアーローション,染毛剤,毛髪用着色剤,毛髪用ウエーブ剤,ヘアスプレー,ヘアーコンディショナー,毛髪を直毛にするための用剤」を指定商品として、平成29年3月16日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続している。

(1)登録第2723955号商標(以下「引用商標1」という。)は、「スウィート」の片仮名を横書きしてなり、昭和62年1月7日登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成10年2月6日に設定登録、その後、平成19年8月28日に商標権の存続期間の更新登録、その後、平成20年4月9日に指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換登録、その後、平成29年11月14日に第3類について商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

(2)登録第4651748号商標(以下「引用商標2」という。)は、「SWEET」の欧文字及び「スウィート」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成14年6月6日登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」を指定商品として、平成15年3月7日に設定登録、その後、平成24年11月20日に存続期間の更新登録がされたものである。

以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本願商標について

本願商標は、別掲のとおり、最上段に王冠を象った図形からなる部分(以下「上段図形部分」という。)を配し、その下にやや間隔を空けて、顕著に大きく筆記体風の文字で、右端の文字の書体のみを左側に傾けた斜体とし、かつ、文字の一部の端部に渦巻き状のデザインを施した「Sweet」の欧文字(文字の一部の端部を渦巻き状に表すデザインを含む各種のレタリング文字が、一般に使用されていることから、「Sweet」の欧文字が表されたものと無理なく理解されるものである。)を横書きし(以下「中段文字部分」という。)、さらにその下に、中段文字部分に比して小さく、ブロック体の書体で「professional」の欧文字を横書き(以下「下段文字部分」という。)してなる結合商標である。

そして、本願商標の中段文字部分は、上記のとおり、上段図形部分とはやや間隔を空けて配されているとともに、下段文字部分とも段を分けて配されているから、視覚上、上段図形部分及び下段文字部分とは明確に分離されて認識されるものである。そして、中段文字部分の各構成文字は、下段文字部分の各構成文字よりも顕著に大きく太く書されているとともに、中段文字部分の占める範囲は、上段図形部分の占める範囲よりも、上下方向にやや大きく、左右方向に略3倍程度大きく表されているから、本願商標において中段文字部分は、看者に対し、ひときわ目立つ印象を与えるといえる。

他方、本願商標の中段文字部分の「Sweet」の欧文字は、「甘い」の意味を有する英単語として一般に知られている語である(ジーニアス英和大辞典初版(大修館書店発行)(甲第1号証))から、その構成文字に相応して、「スウィート」又は「スイート」の称呼、及び「甘い」の観念を生ずるものである。

また、本願商標の下段文字部分の「professional」の欧文字は、「専門家」の意味を有する英単語(ランダムハウス英和大辞典第2版(株式会社小学館発行))として一般に知られている語であって、化粧品などの本願商標の指定商品を取り扱う業界においては、美容室、理容店等における専門家が取り扱う商品であることを認識させるといえるものである。そうすると、下段文字部分は、本願商標の指定商品との関係では、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いといえる。

そして、本願商標の中段文字部分と図形部分とが、観念的に密接な関連性を有しているとは考え難いし、一連一体として何かしらの称呼を生じるともいえないことから、両者に称呼及び観念上のつながりはなく、それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。

そうすると、本願商標の構成中、中段文字部分の「Sweet」の欧文字は、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができるから、この部分を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。

したがって、本願商標は、その要部の一である中段文字部分の「Sweet」の文字に相応して、「スウィート」又は「スイート」の称呼が生じ、「甘い」の観念が生じる。

イ 引用商標について

(ア)引用商標1について

引用商標1は、上記2(1)のとおり、「スウィート」の片仮名を横書きしてなるものであるから、これより、「スウィート」の称呼が生じる。

そして、「スウィート」が「sweet」に対応する語であり(広辞苑第七版株式会社岩波書店発行)、「sweet」の称呼としてわが国において親しまれていることに照らせば、引用商標1は、「sweet」の表音といえる。

したがって、引用商標1からは、「甘い」の観念が生じる。

(イ)引用商標2について

引用商標2は、上記2(2)のとおり、「SWEET」の欧文字及び「スウィート」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、下段の片仮名部分は上段の欧文字部分の読み仮名を表してなるものと容易に認識できるため、引用商標2からは、その構成文字に相応して「スウィート」の称呼が、また、「甘い」の観念が生じるものである。

ウ 本願商標と引用商標の類否について

(ア)引用商標1について

a 本願商標の要部の一である「Sweet」の文字と引用商標1とを対比すると、外観においては、欧文字と片仮名という文字種を異にし、また、その書体及びデザインを異にするとしても、商標の使用においては、その構成文字を、同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり、デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者における文字種などの相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。

次に、称呼及び観念においては、両者は「スウィート」の称呼を共通にし、「甘い」の観念を同一にするものである。

以上のとおり、本願商標の要部の一と引用商標1とは、称呼を共通にするとともに観念を同一にするものであって、外観における差異についても、称呼の共通性及び観念の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、本願商標と引用商標1とは互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

b 本願商標の指定商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。

c 以上によれば、本願商標は、引用商標1と互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似する商品である。

(イ)引用商標2について

a 本願商標の要部の一である「Sweet」の文字と引用商標2とを対比すると、両者は、大文字、小文字の違いがあり、また、その書体及びデザインを異にするものであるが、つづり字を共通にするものである上、商標の使用においては、その構成文字をデザイン化することが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者における相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。

次に、称呼及び観念においては、両者は「スウィート」の称呼を共通にし、「甘い」の観念を同一にするものである。

以上のとおり、本願商標の要部の一と引用商標2とは、称呼を共通にするとともに観念を同一にするものであって、外観における差異についても、称呼の共通性及び観念の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、本願商標と引用商標2とは互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

b 本願商標の指定商品は、引用商標2の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。

c 以上のとおり、本願商標は、引用商標2と互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標2の指定商品と同一又は類似する商品である。

エ 小括

以上からすれば、本願商標と引用商標とは、互いに類似する商標であり、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品である。

よって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標の構成中、「Sweet」の文字が、指定商品との関係において、商品の品質を理解させる語であって、独立して自他商品の識別標識として機能しない旨主張し、その根拠として、化粧品等を取り扱う業界においては、「Sweet」及びその表音である「スイート」は、「甘い」ないし「かわいらしい」といった意味合いで一般的に使用されている語であることを挙げて、甲第2号証〜甲第9号証(以下、「第」と「号証」は略して表記する。)を提出する。

しかしながら、請求人が提出した証左に示された使用例は、「スイート色っぽ顔」(甲2)、「スイートメイク」(甲2・甲3・甲5・甲6・甲7・甲9)、「“サマースイート”色っぽフェイス」(甲2)、「1つのチークでヘルシー、スイート、大人顔をつくり分け」(甲3)、「スウィート アイズ」(甲4)、「スイートなピンク」(甲6)及び「スイートメイクアップセット」(甲8)などというものであって、本願商標の指定商品そのものを「Sweet」、「スイート」又は「スウィート」であるなどと表現する使用例は見当たらないし、それを措くとしても、「スイート」及び「スウィート」の語が他の語の修飾語として用いられているもの又は他の語と結合してなる使用例にとどまる。そうすると、本願商標の指定商品との関係において、「Sweet」並びにその表音である「スイート」及び「スウィート」の文字が、単独で、自他商品の識別力が非常に弱い、もしくは発揮し得ないとまではいえないというべきである。

イ 請求人は、本願商標が、王冠図形と、その下に表された「Sweet」の文字の両端を長髪又は長い髭のように看取されるため、構成全体で王冠を被った人物をもイメージさせる外観となっている旨主張する。

しかしながら、上記(1)アのとおり、中段文字部分は、上段図形部分とは視覚上、明確に分離されて認識されるものであって、容易に「Sweet」の欧文字と看取し得る態様であることからすれば、文字の一部の端部に渦巻き状のデザインを施したものだとしても、本願商標が、上段図形部分と中段文字部分とが一体となって「王冠を被った人物」をイメージさせる外観となっているとまではいえない。

ウ よって、請求人の上記主張はいずれも採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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