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Trademark Appeal Case

造語の称呼・観念類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900363(T2019−900363/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6188976号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6188976号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示したとおり、「PITACO」の欧文字及び「ピタコ」の片仮名を上下二段に横書きした構成からなり、平成30年11月2日に登録出願、第25類「被服,履物」を指定商品として、令和元年9月6日に登録査定され、同年10月11日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は、以下の6件の商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)。

1 登録第6110748号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様 別掲2のとおり

指定商品 「靴下」を含む第25類に属する商標登録原簿に記載の商品

登録出願日 平成30年2月15日

設定登録日 平成30年12月28日

2 登録第6047709号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様 別掲3のとおり

指定商品 「靴下」を含む第25類並びに第1類及び第3類に属する商標登録原簿に記載の商品

登録出願日 平成29年9月5日

設定登録日 平成30年6月1日

3 登録第6158741号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の態様 別掲4のとおり

指定商品 「ソックス」を含む第25類に属する商標登録原簿に記載の商品

登録出願日 平成30年6月26日

設定登録日 令和元年7月5日

4 登録第6167933号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の態様 別掲5のとおり

指定商品 第25類「靴下」

登録出願日 平成30年7月19日

設定登録日 令和元年8月2日

5 登録第6167934号商標(以下「引用商標5」という。)

商標の態様 別掲6のとおり

指定商品 第25類「靴下」

登録出願日 平成30年7月19日

設定登録日 令和元年8月2日

6 登録第6174231号商標(以下「引用商標6」という。)

商標の態様 別掲7のとおり

指定商品 第25類「靴下」

登録出願日 平成30年8月17日

設定登録日 令和元年8月23日

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、本件商標登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)商標の類否

ア 外観

本件商標は、「PITACO」の欧文字及び「ピタコ」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、該文字は、辞書等には掲載されていない造語であるから、需要者等は見慣れない欧文字よりも、簡潔に表された片仮名「ピタコ」に自然と注意を向ける。

本件商標の下段の構成文字「ピタコ」は、引用商標1ないし3の文字部分又は引用商標4ないし6の要部である「ココピタ」の構成文字を全て含むため、引用商標1ないし3又は「ココピタ」の語の著名性を考慮すれば、語順が異なるが、時と処を異にして離隔的に観察した場合には、両者は外観上相紛れる可能性が高い。

イ 称呼

本件商標は、上段及び下段より「ピタコ」の称呼が生じる。

一方、引用商標1ないし3からは、その構成全体に相応した「ココピタ」の称呼が生じる。また、引用商標4ないし6は、二段目の「脱げない」の文字が、指定商品「靴下」に関し、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、出所識別標識としては機能しないため、「ココピタ」のみの称呼が生じ得る。

本件商標から生じる「ピタコ」の称呼と引用商標から生じる「ココピタ」の称呼を比較するに、本件商標の構成音「ピ」「タ」「コ」の3音は、引用商標の構成音「コ」「ピ」「タ」と共通し、一連に称呼した場合に、語調、語感が類似し、両者は称呼上相紛れる可能性が高い。

ウ 観念

本件商標は、造語である。証拠(甲8)によると、「脱げにくく」、「見えにくい」靴下に使用されているから、本件商標構成中「ピタ」の語は、消費者、需要者に対して「ぴたり」の語に通じる「すきまなく密着しているさま」「足に密着しているさま」等の観念を生じさせる。

引用商標についても、「ココピタ」の語は特定の意味を有さない造語である。証拠(甲9、13)によれば、引用商標は「脱げにくい」靴下に使用されているから、「ピタ」の語からは「すきまなく密着しているさま」「足に密着しているさま」等の観念を生じさせる。

「コ」又は「ココ」の語からは特定の観念は生じない。

そうすると、両商標の「ピタ」の語からは「足に密着するさま」という共通の観念を生じ得ると考えられ、本件商標と引用商標は観念において同一(又は類似)であるといえる。

(2)指定商品の類否

本件商標の指定商品のうち和服以外の指定商品は、引用商標1及び2の指定商品と重複する。本件商標の指定商品「被服」のうち靴下に係る商品については、引用商標3ないし6の指定商品と重複する。よって、本件商標は引用商標の指定商品と類似の商品を含んでいる。

(3)小括

以上のとおり、本件商標と引用商標とは、その取引実情を考慮すれば、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛らわしい類似商標であり、その指定商品も同一又は類似している。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)引用商標1ないし3の取引の実情

引用商標1ないし3は、申立人の独自の滑り止め技術を施した商品を表示する標章として広く一般に知られている(甲9、15〜25)。

(2)出所の混同について

ア 当該商標と他人の表示との類似性の程度

本件商標は、その構成全ての文字が、引用商標1ないし3の構成文字「コ」「ピ」「タ」を含んでおり、また、称呼においては引用商標1ないし3の称呼と「ピタ」の音が共通し、そして、共通する「ピタ」の語の部分より「足に密着しているさま」等の共通の観念を生じる。そうとすれば、本件商標と引用商標1ないし3はその類似性の程度は高いものである。

イ 他人の表示の周知著名性及び創作性の程度

申立人の引用商標1ないし3は、脱げにくい特殊技術が施された靴下を表示する商標として全国的に周知・著名である。

また、「ココピタ」の語は、申立人が創作した造語であり、「脱げにくい」靴下をアピールするため、「密着しているさま」を連想させる「ピタ」の語をその構成要素に採用したものであるから、創作性の程度は高い。

ウ 当該商標の指定商品等と他人の業務に係る指定商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度

本件商標の指定商品は被服及び履物であって、被服には靴下が含まれ、引用商標1ないし3の指定商品は、被服(「和服」を除く。)及び/又は靴下類に係る商品であるから、本件商標に係る指定商品と、申立人の引用商標1ないし3に係る商品との関連性の程度は極めて高い。

エ 商品等の取引者及び需要者の共通性その他の取引の実情

本件商標及び引用商標1ないし3は、脱げにくいことをうたった靴下の包装に使用されているから、本件商標権者及び申立人の商品に係る取引者及び需要者は共通している。

オ 広義の混同について

申立人の商標である引用商標1ないし3は、「脱げにくい靴下」の商標として著名性を獲得しているため、本件商標に接した需要者等は、商品及び商標が類似していることも相俟って、本件商標「ピタコ」を、申立人の商標「ココピタ」に係る商品から派生した姉妹商品を表示したもの等と誤認するか、申立人の商品に使用されている脱げない特殊技術を使用した商品であると誤認することによって、本件商標権者が申立人と何らかの関係があると誤認するおそれがあるものといえる。

(3)小括

以上より、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者等は、その商品が申立人又は同人と何らかの関係を有する者若しくは申立人の許諾を受けた者の業務に係る商品などであるかのように、その商品などの出所について混同を生ずるおそれが高いといえる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 商標法第4条第1項第19号について

引用商標1ないし3が商品の包装に付された靴下は、需要者及び取引者の間に広く認識されており、本件商標と引用商標1ないし3は、外観、称呼及び観念において類似の商標である。

本件商標権者は、2018年6月に、申立人の商品表示であって、引用商標3の図形部分、並びに申立人の登録商標第6096025号(甲27)及び登録商標第6154125号(甲28)に極めて類似の商品表示を商品の売り場でディスプレイ等に使用している(甲29)。これは、大ヒットしている申立人の信用にフリーライドをする目的で、申立人の商標に類似の商標を類似の商品に使用する行為である。

つまり、本件商標権者は本件商標以外にも申立人の商標に化体した信用にフリーライドする目的で申立人の商標に類似する商標を使用しているのであるから、申立人の周知著名商標の存在を認識していることは明らかであって、本件商標の登録に際しても、申立人の周知著名な商標に類似する商標を不正の目的をもって使用しようとするものであるということは明らかである。

以上のとおり、本件商標を商標登録しようとする行為は、申立人に係る商品の人気及び信用を不当にフリーライドしようとするものである。よって、本件商標は出願時及び査定時において商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 結び

以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号の規定に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は、前記第1のとおり、「PITACO」の欧文字及び「ピタコ」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、下段の片仮名は、上段の欧文字の読みを特定したものと無理なく理解できるものであるから、該構成文字に相応して「ピタコ」の称呼を生じるものである。

そして、上記構成文字が特定の意味合いを認識させる語とはいい難いことから、これより特定の観念は生じない。

(2)引用商標

引用商標1は、別掲2のとおり、「ココピタ」の片仮名を横書きしてなるところ、その構成文字は、同じ書体で外観上まとまりよく一体的に表されており、これより生じる「ココピタ」の称呼も、格別冗長なものではなく、無理なく称呼し得るものである。

また、該文字は、特定の意味合いを認識させる語とはいい難いことから、引用商標1からは、特定の観念は生じないものである。

引用商標2ないし6は、別掲3ないし7のとおりの構成からなるところ、いずれも「ココピタ」の片仮名を含んでなり、該文字部分は、他の構成部分である図形、又は該文字と段を変えてこれに比して小さく書された「脱げない」の文字部分から独立して、自他商品の識別機能を有するものと認められるから、これより「ココピタ」の称呼が生じ、上記引用商標1と同様に、特定の観念は生じないものである。

その他、引用商標2ないし6を構成する図形部分から特定の称呼及び観念を生じるとはいえず、また、引用商標4ないし6を構成する「脱げない」の文字部分は、当該商標の構成及びその指定商品「靴下」との関係を踏まえれば、該文字部分のみが独立して、自他商品の識別機能を有するものと認識され、該文字部分のみに相応する称呼及び観念が生じるものとはいい難い。

したがって、引用商標からは、いずれも、「ココピタ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。

(3)本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標とは、外観においては、片仮名部分を比較しても、構成文字数、文字の太さに相違があり、外観上、相紛れるおそれはなく、両商標の全体を比較すればなおさら、欧文字及び図形の有無などの相違により、相紛れるおそれはない。また、称呼においては、「ピタコ」と「ココピタ」とでは、音数が異なる上、語調、語感が明らかに異なり、称呼上、相紛れるおそれはない。なお、引用商標4ないし6を構成する文字全体と本件商標とを比較しても、両者の称呼は、その構成文字から生じ得る称呼の音数が大きく異なること明らかであるから、相紛れるおそれはない。

また、観念においては、両商標はともに特定の観念は生じないものであるから、比較することはできない。

そうすると、両商標は、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがなく、その外観、観念及び称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考察すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標である。

したがって、本件商標は、両商標の指定商品の類否について言及するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 引用商標1ないし3の周知性について

申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(1)申立人は、脱げにくさを実現した浅履きタイプの靴下の販売を2015年6月下旬より開始したことが窺える(甲12)。

しかし、この時点では、当該商品に、引用商標1ないし3は使用されていない。

(2)申立人は、2017年9月5日の展示会、商品説明会において、引用商標1、2又は3を靴下の包装に付したものを展示して発表した(甲13、14)。

(3)その後、引用商標1ないし3は、申立人が製造販売する商品「靴下」に使用されている(甲9、他)。

(4)引用商標1、2又は3を商品の包装に付した商品の販売店舗数は、2019年1月〜2019年6月実績で、上記引用商標の使用を開始する前の期(2017年1月〜2017年6月実績)の11倍以上となった(甲15、申立人の主張)。

しかし、上記販売店舗数(甲15)を裏付ける具体的、客観的な証拠の提出はなく、また、引用商標1、2又は3を使用した商品の販売額、販売量等の販売実績は確認することができない。

(5)本件商標の商標登録出願時より前の2018年3月から同登録査定時頃の2019年9月までの間に、テレビ、新聞、雑誌等の他、SNSなど様々なメディアで、引用商標1ないし3を付した申立人の業務に係る商品が取り上げられるようになったことが窺える(甲16〜23、申立人の主張)。

しかし、上記新聞、雑誌等で引用商標1ないし3やこれに係る商品がどのように取り上げられたのか具体的な内容が不明であり、また、インターネットのウェブサイトで取り上げられたとしても、ウェブサイトはアクセスした者しか見る機会のないものであり、そのアクセス数等も不明である。

(6)申立人に係る引用商標1又は2を使用した商品のテレビCMの放映が行われたとされる(甲24)ほか、商品の販売場所におけるディスプレイにも引用商標1ないし3を使用し商品を販売したことが窺える(甲10、25)。

しかし、上記テレビCMの放映時期、放映回数等は証拠上明らかでない。

(7)前記(1)ないし(6)のことを踏まえれば、引用商標1ないし3は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして商品「靴下」に係る需要者の間にある程度認識されているものといい得るものの、当該商品の販売実績、市場シェア、宣伝広告費用等の事実を裏付ける具体的、客観的な証左は見いだせず、それらが明らかではないから、上記いずれの引用商標も、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

前記2のとおり、引用商標1ないし3は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできず、また、前記1(3)のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者が、引用商標1ないし3を連想又は想起するものということはできない。

してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標1ないし3を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第19号該当性について

引用商標1ないし3は、前記2のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものであり、かつ、前記1(3)のとおり、本件商標とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものである。

また、申立人が提出した証拠からは、本件商標が、引用商標の顧客吸引力や信頼にただ乗りし、不正の利益を得ることや他人に損害を与えること等、不正の目的をもって使用をするものであると認めるに足りる具体的な証左は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

5 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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