Trademark Appeal Case
製法表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−16711(T2018−16711/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「みそ」を指定商品として、平成29年6月15日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『天地返し仕込』の文字を普通に用いられる方法の域を脱しない方法で縦書きしてなるところ、その構成中の『天地返し』の文字は、味噌作りの製造工程において、熟成中の味噌を上下入れ替えるなどひっくり返して生産する一方法を認識させる語であって、『混ぜることによって、熟成を均等にする方法』などの意味を表示するものとして、実際に使用されている実情があり、また、『仕込』の文字は、『酒や味噌・醤油などの醸造で、原料を混ぜて桶などにつめること。』の意味(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を有する語であるから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、『味噌作りの製造工程において、熟成中の味噌を上下入れ替えるなどひっくり返す方法で仕込み(原料を混ぜて桶などにつめた)をされた味噌』であることを認識するにとどまり、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲1のとおり、「天地返し仕込」の文字を同書、同大、等間隔で縦書きしてなるところ、これは普通に用いられる方法の域をでない方法で書してなるものである。
そして、本願商標の構成中、「天地返し」の文字は、本願の指定商品である味噌を取り扱う業界において、「上下を入れ替える、ひっくり返す」ほどの意味合いで、味噌の製造工程中の一工程を示すものとして使用されており、また、上記工程を行ったことを表示した味噌が販売されている実情がある(別掲2、別掲3)。
さらに、本願商標の構成中、「仕込」の文字は、「酒や味噌・醤油などの醸造で、原料を混ぜて桶などにつめること。」(「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店))などを意味する親しまれた語であるから、これらを結合してなる本願商標は、その構成文字全体から「上下を入れ替える、ひっくり返すなどの天地返しをして仕込んだ」ほどの意味合いを理解させるものである。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者をして、その商品が「天地返しをして仕込んだ商品」であること、すなわち、商品の品質を表したものと認識されるとみるのが相当であるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、その指定商品「みそ」との関係では「天地返しをして仕込んだ味噌」という意味合いになるが、天地返しは味噌の仕込作業工程を終えた後の熟成中の味噌に対して行われる作業工程であって、天地返しをして仕込むという工程は存在しないから、本願商標は、味噌の製造方法を表したものということはできず、商標法第3条第1項第3号に該当するものではないし、味噌の業界、あるいは一般取引者、需要者は、本願商標をみても、この言葉どおり天地返しをして仕込んだ味噌、即ち、それが味噌の製法と認識しないことは明らかである旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品の需要者は一般の消費者であり、これらの者は、必ずしも味噌の製造工程を詳細に理解しているとはいえないから、仮に、請求人の主張するように、味噌の製造工程に天地返しをして仕込むという工程は存在しないとしても、上記(1)のとおり、「天地返し」及び「仕込み」の文字から、それぞれの意味を理解し、本願商標全体として「天地返しをして、原料を混ぜて桶などにつめた」ほどの意味合いで、商品の品質を表したものと認識するというべきである。
また、請求人は、味噌の業界、あるいは一般取引者、需要者は、本願商標の構成文字を厳密に味噌の製造工程に当てはめるから、本願商標を味噌の製法とは認識しないと主張するが、その主張を裏付ける証拠は見いだせない。
よって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
イ 請求人は、過去の登録例及び審決例を挙げ、本件と同様なケースにおいて、様々な意味を有する言葉が結合したものと認識し得たとしても、特定の意味合いを理解、把握しないまま、実際には存在しない製造方法を表す一種の造語として取引に当たるとみるのがより自然といえると認定された例や、2以上の言葉が結合したと認識し得たとしても、その言葉の位置が前後することにより、生じる観念が異なると認定された例が存在する旨主張する。
しかしながら、請求人が引用する過去の登録例及び審決例の商標は、それぞれ、その構成態様を異にすることから事案を異にするばかりでなく、商標が自他商品識別標識としての機能を有するか否かは、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、他の登録例及び審決例に本件の判断が拘束されるものではない。また、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者をして、「天地返しをして仕込んだ商品」との意味合いで、商品の品質を表示するものと認識させるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとはいえないことは、上記(1)で述べたとおりであるから、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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