Trademark Appeal Case
要部抽出と称呼の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−6121(T2019−6121/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、「ThinQ」の欧文字で表してなり、第7類ないし第11類、第14類、第20類、第35類、第37類ないし第42類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成30年2月28日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同年11月14日付け及び同31年2月4日付け手続補正書、そして、当審における令和1年5月10日付け手続補正書により、別掲2のとおりの役務となったものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、拒絶の理由に引用した登録第5970650号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成28年9月16日登録出願、別掲4のとおりの役務を指定役務として、同29年8月10日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、そのためには、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し、図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合、取引の実際において、一部の構成部分のみによって称呼、観念されることも少なくないといえる。このことから、結合商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などは、当該構成部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。
上記の観点から、本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標について
本願商標は、上記1のとおり、「ThinQ」の文字からなるところ、該文字は、一般的な英語の辞書に載録のないものであって、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、一種の造語として理解されるものである。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して「シンキュー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)引用商標について
引用商標は、別掲3のとおり、青色の正方形の内部に、白抜きで表した「○」と「×」の形状を表した図形及び、それらの下に、両端上がりの弧線を配した図形(以下「図形部分」という。)と、該図形部分の右横に、薄い灰色で小さく表した「LOGOSWARE」及び濃い灰色で大きく表した「THiNQ」の欧文字を上下二段に横書きした構成からなるものであり、図形部分と文字部分とは、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいい難いものである。
そして、本願商標の図形部分は、我が国において特定の事物を表したもの又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、該図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、引用商標の文字部分中、「LOGOSWARE」の文字は、薄い灰色で表されているのに対し、「THiNQ」の文字は「LOGOSWARE」の文字よりも濃い灰色で、かつ、太字により力強く表されていることからすると、当該「THiNQ」の文字部分が、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であるから、引用商標は、その構成中の「THiNQ」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを本願商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものである。
そして、引用商標の構成中、「LOGOSWARE」及び「THiNQ」の文字は、一般的な英語の辞書に載録のないものであって、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、一種の造語として理解されるものである。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「ロゴスウェアシンキュー」の称呼のほか、構成中の「THiNQ」の欧文字に相応して「シンキュー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(4)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、それぞれ上記(2)及び(3)のとおりの構成からなるところ、その全体の構成においては、両商標は差異を有するものであるが、本願商標と引用商標の要部である「THiNQ」の文字部分とを比較すると、これらは、書体、色の相違及び大文字と小文字の差異はあるものの、そのつづりを共通にするものであるから、外観上、近似するものである。
次に、称呼においては、両商標は、共に「シンキュー」であるから称呼上、同一である。
そして、観念においては、両商標は特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができないものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できず、全体の外観において相違するものの、本願商標と引用商標の要部である「THiNQ」の欧文字部分とは、外観上、近似するものであって、「シンキュー」の称呼を同一にするものであるから、外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、全体的に考察すれば、両商標は互いに相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(5)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定役務中、第42類「コンピュータソフトウエアの開発,ウェブサイトの作成と保守(他人のためのもの),コンピュータソフトウェアのインストール,コンピュータプログラムの変換及びコンピュータデータの変換(媒体からの変換でないもの),コンピュータの貸与,コンピュータデータの回復,コンピュータソフトウェアの貸与,コンピュータソフトウェアの設計,コンピュータソフトウェアの保守,コンピュータシステムの分析,コンピュータプログラミング及びコンピュータソフトウェアの設計・作成及び保守,ホームモニタリング・コントロール・オートメーションシステムに用いる電子計算機用プログラムの提供,使用者がホームモニタリング・コントロール・オートメーションシステムに遠隔で接触・利用できる電子計算機用プログラムの提供,データ及び書類の電子データへの変換,コンピュータシステムの設計,コンピュータプログラムの複製,コンピュータソフトウェアの最新化・最適化,コンピュータプログラムの貸与及び変換,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),クラウドコンピューティング,電子計算機用プログラムの提供に関する情報の提供,コンピュータサイトのホスティング(ウェブサイト),ウェブサイトにおけるサーバの記憶領域の貸与」と引用商標の指定役務(上記2(別掲4))とは、提供の手段や目的、需要者の範囲などが一致するものであるから、これらに同一又は類似の商標が使用された場合には、その出所について混同を生ずるおそれがあり、これらは類似の役務というべきである。
(6)小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、引用商標の指定役務と同一又は類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)請求人の主張について
請求人は、本願商標が登録されるべき理由として、引用商標の審査において、「先願に係る他人の登録商標」が示され、その後、引用商標が登録になったことについて、「引用商標が一体のものと判断されて商標『THINK』及び『th!ink』と非類似として登録を許された以上、本願商標との関係でも一体のものであると判断されてこの商標とも非類似とされなければならない」旨述べている。
しかしながら、商標の類否の判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、引用商標の審査において引用された商標は、いずれも本願商標とは、その構成態様が異なり、事案を異にするものである。
また、引用商標の構成中の「THiNQ」の欧文字と、上記した引用商標の審査において引用された商標を比較した場合であっても、その文字構成及び生ずる称呼が異なる上、該引用された商標からは英語の「think」に相応した観念が生ずるものであって、この点からみても、両商標は非類似の商標であると判断することができるから、必ずしも、引用商標が一体のものとして判断された事案とみることはできない。
してみれば、その審査事例の存在によって、本件の判断が左右されることはないというべきである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(8)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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