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Trademark Appeal Case

記述的商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−6827(T2019−6827/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「今診てもらえる病院・診療所検索」の文字を標準文字で表してなり、第44類「医師・クリニック・薬局等医療に関する情報の提供、栄養の指導、健康・医療・介護・社会福祉に関する相談及び情報の提供」を指定役務として、平成29年12月19日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『今診てもらえる病院・診療所検索』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『今』は『現在。』の意味を有し、『診』は『病状をしらべる。』の意味を有し、『病院』及び『診療所』は『医師又は歯科医師が診察・診療を行う施設』と認められ、『検索』は『文書やデータの中から、必要な事項をさがし出すこと。』の意味を有するものであるから、これよりは、『現在病状をしらべてもらえる、医師又は歯科医師が診察・診療を行う施設をさがし出すこと』程の意味合い、つまり『今診てもらえる病院・診療所の検索』程の意味合いを認識させる。そして『今診てもらえる』の文字は、本願指定役務に関する分野において使用されている実情がある。そうすると、本願商標は、これを本願指定役務中『今診てもらえる病院・診療所の検索による医師・クリニック・薬局等医療に関する情報の提供又は今診てもらえる病院・診療所の検索による健康・医療・介護・社会福祉に関する情報の提供』の役務に使用しても、前記役務であることを認識させるにとどまり、単に役務の質を表示するにすぎない。よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和2年2月10日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 証拠調べの結果に対する請求人の意見の要点

請求人は、上記3の証拠調べ通知に対して、以下のとおり意見を述べた。

(1)本願商標は、「今」、「診てもらえる」、「病院」、「診療所」、「検索」等の各文字を抜き出して判断するものではなく、「今診てもらえる病院・診療所検索」一体で判断されるものであり、これらの文字を組み合わせることによって識別力が発生する、全体として一種の造語である。

(2)証拠調べ通知書に挙げられた1から8の例が、病院や診療所等の情報を提供する役務の質や提供の方法等として各ウェブサイトにおいて使用されているとしても、2以外の例に関しては、本願商標と文字構成が同一ではなく、本願商標とは大きく相違するものである。

(3)証拠調べ通知書に挙げられた2の例は、インターネット上の膨大な数のウェブサイトの中の1件のサイトに掲載されるにとどまるものであり、この1つの例をもって、本願指定役務の業界において役務の質を表示するものとして一般に理解、認識され、あるいは、取引者、需要者間において、取引上普通に使用されているということはできない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、「今診てもらえる病院・診療所検索」の文字を表してなるところ、その構成中、「今」の文字は、「現在」の意味を、「診てもらえる」の文字は、「診察してもらえる」の意味を、「病院」の文字は、「病人を診察・治療する施設。」の意味を、「診療所」の文字は、「医師または歯科医師が開設する診察・治療の設備を備えた施設。」の意味を、「検索」の文字は、「文書やデータの中から、必要な事項をさがし出すこと。」の意味を有する語(それぞれ「広辞苑第7版」岩波書店、「大辞林第3版」三省堂参照。なお、「診てもらえる」の文字は、「診る」の項を参照。)として一般に知られているものである。

そして、別掲のとおり、本願の指定役務に含まれる「医療に関する情報の提供」の役務に関連した分野において、病院等の医療機関等に関する情報を検索することができるウェブサイトが存在し、当該ウェブサイトにおいて、例えば、別掲1では、「『今診てもらえる病院・診療所』・・・医療機関が検索できます。」、別掲3では、「今診てもらえる診療所を探す・・・検索したい地域をお選びください。」、別掲4では、「今診てもらえる救急医療機関を検索できる」などのように、医療機関等に関して「現在、診察してもらえる」程の意味合いで「今診てもらえる」の文字が多数使用されており、当該医療機関等に関する情報を提供する方法として「検索」することも可能である実情がある。

さらに、別掲2では、本願商標と同一の構成文字からなる「今診てもらえる病院・診療所検索」の文字の使用例がある。

そうすると、本願商標の構成中、「今診てもらえる病院・診療所」の文字は、その指定役務との関係において、提供する情報の対象物を表し、同「検索」の文字は、情報を提供する方法を表すにすぎないものであって、本願商標の全体からは、「現在、診察してもらえる病院、診療所の検索」程の意味合いを理解させるにとどまるといわざるを得ない。

してみれば、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、提供される情報の対象物とその提供の方法を理解するにとどまり、これを、自他役務の識別標識として認識することはないというべきである。

また、本願商標は、標準文字で表されたものであるから、結局、本願商標は、役務の質、提供の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

請求人は、原審の拒絶査定及び当審における証拠調べ通知において示した使用例について、本願商標と構成文字が同一ではないものがほとんどであり、同一の構成文字からなるものは1例のみであるから、本願指定役務の分野において取引上普通に使用されている実情があるとはいえない旨主張し、「『今診てもらえる病院・診療所検索』は、一連の造語であり、取引上普通に用いられている事実がない以上、取引者・需要者が『今診てもらえる病院・診療所検索』を見て役務の質の表示であると認識するものではなく、識別標識として機能し得る商標である。」旨主張する。

しかしながら、原審の拒絶査定及び当審における証拠調べ通知書において示した証拠は、「今診てもらえる病院・診療所検索」の文字の使用例を示したものではなく、本願指定役務と関係の深い医療機関等に関する情報を検索することができるウェブサイトにおいて、「今診てもらえる」の文字や「検索」の文字が、一般的に採択し得る語句であることの一例を示したものであるから、本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性を判断する上で考慮すべき実情といえるものである。

また、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が本願指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の取引者,需要者によって本願商標が本願指定役務に使用された場合に、将来を含め、役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10152号)ところ、上記(1)のとおり、本願商標は、その構成文字全体から、「現在、診察してもらえる病院、診療所の検索」程の意味合いを容易に認識させるものであり、これを本願の指定役務に使用しても、単に役務の質、提供の方法を普通に用いられる方法で表示するものであって、自他役務の識別標識としては認識し得ないものというのが相当であるから、「今診てもらえる病院・診療所検索」の文字が普通に用いられていた実情がないとしても、そのことが、商標法第3条第1項第3号該当性の判断を左右するものではない。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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