Trademark Appeal Case
造語商標の外観称呼類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2020−900011(T2020−900011/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第6191492号商標(以下「本件商標」という。)は,「TRAUMAGEL」の欧文字を横書きしてなり,2016年(平成28年)10月14日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成29年4月13日に登録出願,第5類「傷の治療及び止血のための医療用創傷被覆材,傷の治療及び止血のための医療用薬剤,止血剤,組織接合用の生物学的な医療用接着剤,大量出血を処置するためのスプレー式医療用接着剤,薬剤」を指定商品として,令和元年5月27日に登録審決,同年10月25日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する登録第4641541号商標(以下「引用商標」という。)は,「TRAUMEEL」の文字を標準文字で表してなり,平成13年8月21日に登録出願,第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として,平成15年1月31日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
(2)具体的な理由
ア 本件商標と引用商標の類否について
(ア)両商標の外観
本件商標と引用商標は「TRAUMAGEL」及び「TRAUMEEL」の欧文字よりなるところ,語頭の「TRAUM」の5文字と語尾の「EL」の2文字の合計7文字においてつづり字を共通にしており,看者の注意をひきにくい中間位置の「AG」と「E」の文字においてのみにしか差異を有していないので,両商標は外観において互いに相紛らわしいものである。
(イ)両商標の称呼
本件商標から生じる「トラウマゲル」又は「トラウマジェル」の称呼と,引用商標から生じる「トラウミール」又は「トラウメール」の称呼を比較すると,いずれも6音という音構成のうち,語頭音の「トラウ」と語尾音の「ル」の合計4音において共通にしており,印象に残りにくい中間音の2音においてのみしか差異を有していないので,両商標は称呼においても互いに相紛らわしいものである。
(ウ)両商標の観念
本件商標と引用商標は,いずれも辞書等に掲載のない造語であり,観念については比較することができない。
(エ)指定商品「薬剤」について
本件商標と引用商標は,いずれも指定商品に第5類「薬剤」を含んでおり,これには医療用医薬品と大衆薬が含まれるところ,医療用医薬品については販売名の類似性に起因した取り違えによる重大事故が相次いでいる。事故やヒヤリハットが実際に発生した販売名の類似例として,「アマリール」と「アルマール」,「サクシン」と「サクシゾン」,「タキソール」と「タキソテール」,「ノルバスク」と「ノルバデックス」など,語頭と語尾において共通性が見られるものの他,「オーダリングシステム等を採用している医療機関において先頭3文字が同一の医薬品」という類型例についても報告されている(甲4)。
これらの取り違え例に照らすと,本件商標と引用商標は,語頭音の「トラウ」と語尾音の「ル」の合計4音において共通にしているものであるから,取り違えを起こすほど類似する販売名となる商標といえるものである。
したがって,本件商標と引用商標とは類似するというべきである。
(オ)まとめ
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観及び称呼において相紛らわしいものであり,「薬剤」の分野における取引の実情を参酌すると,類似する商標であり,かつ,その指定商品も同一又は類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
イ むすび
本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから,商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,上記1のとおり「TRAUMAGEL」の欧文字を横書きしてなり,その構成文字に相応して「トラウマゲル」又は「トラウマジェル」の称呼を生じるものであり,当該文字は辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから,特定の意味合いを有しない一種の造語として理解され,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は,上記2(1)のとおり「TRAUMEEL」の文字を標準文字で表してなり,その構成文字に相応して「トラウミール」又は「トラウメール」の称呼を生じるものであり,当該文字は辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから,特定の意味合いを有しない一種の造語として理解され,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)外観について
本件商標と引用商標とは,上記ア及びイのとおりの構成からなるところ,両者は,語頭の「TRAU」の文字及び語尾の「L」の文字を共通にするものの,中間において,「MAGE」と「MEE」の差異を有しており,9文字及び8文字から構成されていることからすれば,中間における当該差異は小さいものとはいえず,構成文字数が異なる点においても相違するものであり,外観上,相紛れるおそれはないものである。
(イ)称呼について
本件商標から生ずる「トラウマゲル」と引用商標から生ずる「トラウミール」又は「トラウメール」の称呼とを比較するに,本件商標の「トラウマゲル」の称呼と引用商標の「トラウミール」又は「トラウメール」の称呼は,中間音において「マゲ」の音と「ミー」又は「メー」の音の差異を有し,該差異音は,明確に発音される「マゲ」と長音を伴う「ミ」又は「メ」であることから,ともに6音という比較的短い音構成においては,該差異の両称呼全体に及ぼす影響は大きく,両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には,語感,語調が相違し,称呼上,相紛れるおそれはない。
また,本件商標から生ずる「トラウマジェル」と引用商標から生ずる「トラウミール」又は「トラウメール」の称呼とを比較するに,本件商標の「トラウマジェル」の称呼と引用商標の「トラウミール」又は「トラウメール」の称呼は,中間音において「マジェ」の音と「ミー」又は「メー」の音の差異を有し,該差異音は,明確に発音される「マジェ」と長音を伴う「ミ」又は「メ」であることから,上記と同様に,両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には,語感,語調が相違し,称呼上,相紛れるおそれはない。
(ウ)観念について
本件商標と引用商標とは,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。
そうすると,本件商標と引用商標は,観念において比較することができないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれはないものであるから,十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
(エ)小括
本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,たとえ,その指定商品が同一又は類似のものであったとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
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