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Trademark Appeal Case

登録商標と使用商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第31583号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2255265号商標の登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2255265号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「MOSAIQE」の文字(「I」の文字の上部にウムラウト記号「 ̈」が付されているが、該記号は省略する。以下、「MOSAIQE」又は「MOSAI」の表記において同じ。)を横書きしてなり、昭和63年4月20日に登録出願され、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成2年8月30日に設定登録され、その後、同12年4月4日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続するものである。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第5号証を提出している。

1 本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存在しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

なお、請求人が調査したところ、被請求人は商品「履物」について「モザイク」又は「MOSAIQUE」を使用している。しかしながら、その使用態様は本件商標と外観を異にし、かつ、称呼を異にするものである。よって、その使用によって本件取消を免れることはできない。

2 被請求人の答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標に関し、登録商標そのままであるところの「MOSAIQE」の態様での使用を立証すること無く、つまり、半ばいわゆる不使用であることを認めつつ、請求人が示した「モザイク」、「MOSAIQUE」の態様で使用していることを以って、本件審判請求は成り立たないと主張している。

しかしながら、上記「MOSAIQE」と「モザイク/MOSAIQUE」とは、その外観において相違し、かつ、観念、称呼において明らかに相違しているものであると認められる。つまり、その欧文字同士を比較した場合において、両者は「U」の有無で外観(構成文字)が相違し、且つ、その称呼についても前者は「モザイケ」、後者は「モザイク」である。さらに、「MOSAIQE」は格別の観念を生じさせることが無いいわゆる造語であるのに対して、「MOSAIQUE」は周知のように格別の意味合いを生じさせる外来語である。

要するに、「MOSAIQE」と「モザイク/MOSAIQUE」は同一性の範疇に属するものであるとは認められない。したがって、前記「モザイク/MOSAIQUE」により、本件「MOSAIQE」の不使用を免れることはできないと確信するものである。

ちなみに、上記請求人の主張は、「登録商標『アスティーム』と使用商標『アステーム』とは、構成文字を異にし、社会通念上、同一の範囲のものとは認められない。」、となした昭和56年審判第10360号審決(昭和62年11月24日審決)によっても十分に理解されるものである。

以上説明したように、被請求人の主張はことごとく理由が無い。

第3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べている。

1 請求人の証拠が示すとおり、被請求人は「履物」について「モザイク」又は「mosaiQue」を使用している。

2 本件商標の「MOSAIQE」における「MOSAI」は「モザイ」と自然に称し「Q」が「ク」と発音するのが通例であることから本件商標は「U」がなくても「モザイク」と自然に称呼するものと思料する。

また、本件商標の構成が7字と比較的長いため、かつ「U」は頭から(前から)7字目にあり「QU」も「ク」と発音するから「U」があるか否かで称呼が異なることはなく本件商標の自然称呼は「モザイク」である。

したがって、本件商標は観念も「モザイク」でありその他の観念は生じない。また、外観においても前述の如く商標の構成が7字と比較的長いこと、「QU」も「Q」も「ク」と発音することが出来ることから「U」があるか否かで外観、形態の同一性が害されることはない。してみると、取引市場において、本件商標と被請求人が使用している商標とは、ほとんど同一の商標であると認識されるものである。

3 パリ条約第5条C(2)にも「登録された際の形態における商標の識別性に影響を与えること無く構成部分に変更を加えてその商標を使用する場合には、その商標の登録の効力は失われず、またその商標に対して与えられる保護は縮減されない。」とある。してみると本件商標と被請求人の使用商標は社会通念上同一の商標として認められる商標である。

4 以上の次第であるから、被請求人は本件商標を使用しているものであり、本件審判請求は成立しない。

第4 当審の判断

被請求人は、請求人の提出に係る証拠をもって、本件商標をその指定商品に使用している旨主張しているので、該証拠について検討する。

甲第2ないし5号証は、いずれも女性雑誌の写しと認められるところ、その記事中に女性用靴が写真とともに紹介されており、写真の靴には中敷き部分に「mosaique」又は「MOSAIQUE」(「O」の文字がやや図案化されている。)の文字が付されているほか、説明文中に「モザイク/モード・エ・ジャコモ」の文字が記載されていることが認められる。

ところで、本件商標は別掲のとおりの構成からなるところ、これを構成する綴り字は英和辞典、仏和辞典、独和辞典等には見られないものであり、一見して直ちに称呼することは困難であるが、敢えて称呼するとすれば「モザイケ」の如くに称呼されるものといえる。

この点に関し、被請求人は、本件商標の語尾部分に「U」の文字がなくても「Q」の文字は「ク」と発音するのが通例であると主張しているが、本件商標中の「QE」の文字部分は「E」の文字があることにより、「ク」よりも「ケ」と発音されるとみるのが自然であるから、被請求人の主張は採用できない。

他方、上記使用に係る「mosaique」又は「MOSAIQUE」の綴り字は、仏和辞典に見出せるものであり(ただし、その構成中の「i」の文字の上部にウムラウト記号が付されている。)、「モザイク」と無理なく称呼し得るものである。

してみれば、本件商標と上記使用に係る「mosaique」又は「MOSAIQUE」の標章とは、その綴り字を異にすること、及び前者には「I」の文字部分にウムラウト記号が付されているのに対し後者には該記号がないことにより、外観が相違するばかりでなく、その称呼も異にするものであるから、社会通念上同一のものということはできない。

この点に関し、被請求人はパリ条約第5条C(2)の規定を引用して主張するところがあるも、上記のように、本件商標は上記使用に係る標章とは外観、称呼を異にするものであって、商標の識別性に影響を与える変更に相当するものというべきであるから、被請求人の主張は採用できない。

また、上記使用に係る「モザイク/モード・エ・ジャコモ」中の「モザイク」の標章にしても、これから生ずる称呼は、本件商標から生ずる上記称呼と同一ではなく、本件商標を構成する欧文字を片仮名に変更したものとはいえないから、本件商標と社会通念上同一のものということはできない。

そうすると、上記証拠によっては、「mosaique」、「MOSAIQUE」又は「モザイク/モード・エ・ジャコモ」の標章が女性用靴について使用されていることが認められるとしても、本件商標が使用されていると認めることはできない。

その他、本件商標がその指定商品について使用されていることを示す証拠はない。また、被請求人は本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。

したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ないから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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