Trademark Appeal Case
略語の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−6527(T2019−6527/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「知財DD」の文字を標準文字で表してなり、第35類「工業所有権・著作権等の知的所有権に関する事業調査・分析又はこれらに関する情報の提供,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する市場調査・分析又はこれらに関する情報の提供,工業所有権・著作権等の知的所有権の実施に関する経営の診断若しくは事業の管理又はこれらに関する指導・助言,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する書類の複製」、第36類「工業所有権・著作権等の知的所有権に関する財産的価値の評価,工業所有権・著作権等の知的所有権の財産的価値の評価に関する助言・指導又は情報の提供,知的財産資産の財務評価,知的財産資産の財務評価に関する助言・指導又は情報の提供」及び第45類「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務,工業所有権に関する外国への手続の代理又は媒介,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する助言又は指導,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する情報の提供,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する技術的価値の評価,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する鑑定,工業所有権・著作権等の知的所有権の管理,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する価値の証明並びに発明・考案・創作等の時期の証明,工業所有権等の知的所有権の先行調査及び分析,工業所有権のライセンスの契約の代理又は媒介,訴訟事件その他に関する法律事務(弁理士業務の範囲に属するものに限る。),著作権の利用に関する契約の代理又は媒介」を指定役務として、平成29年11月22日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『知財DD』の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、構成中の『知財』の文字は、『知的創作活動の成果に対する財産権。特許権などの産業財産権や著作権などから成る。知的所有権。無体財産権。』を意味する『知的財産権』の略称であり、また、『DD』の文字は、本願に係る指定役務との関係からすると、『デューデリジェンス(Due Diligence)』を理解させ、『資産や買収対象企業の価値、収益力、リスクなどを詳細かつ多角的に調査し評価すること。』を意味するものである。そして、前記「知財」の文字と「DD」の文字を結合してなる『知財DD』からは、『知的財産デューデリジェンス』を認識させるものであり、『出資者側において、対象会社の知的財産活動についてのリスク評価及び価値評価のための調査と検証を行うこと。』程の意味合いで使用されている。そうすると、本願商標をその指定役務中、例えば『工業所有権・著作権等の知的所有権に関する事業調査・分析又はこれらに関する情報の提供,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する市場調査・分析又はこれらに関する情報の提供,市場調査又は分析,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する財産的価値の評価,工業所有権・著作権等の知的所有権の財産的価値の評価に関する助言・指導又は情報の提供,知的財産資産の財務評価,知的財産資産の財務評価に関する助言・指導又は情報の提供,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する助言又は指導,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する情報の提供,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する技術的価値の評価,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する鑑定,工業所有権・著作権等の知的所有権の管理,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する価値の証明並びに発明・考案・創作等の時期の証明,工業所有権等の知的所有権の先行調査及び分析』に使用しても、これに接する取引者、需要者は、『出資者側において、対象会社の知的財産活動についてのリスク評価及び価値評価のための調査と検証を行う役務』を認識するにすぎず、単に役務の質を表示したものと理解するものであるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和2年2月27日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
請求人は、上記3の証拠調べ通知に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「知財DD」の文字からなるところ、その構成中の「知財」の文字部分は、「知的財産の略」の意味を有する語(「デジタル大辞泉」小学館)として一般に知られており、「DD」の文字部分は、別掲1及び別掲2のとおり、M&Aや投資用不動産の取引などに関して「資産の適正評価」等の意味を有する語である「デューデリジェンス(due diligence)」の略語として使用されている実情がある。
また、別掲3及び別掲4のとおり、資産の評価に関して「知財デューデリジェンス」、「知的財産デューデリジェンス」をはじめとした「〇〇デューデリジェンス」や「知財DD」の文字が使用されている実情が見受けられる。
以上の実情からすると、本願商標の構成中の「知財」及び「DD」の文字は、資産の評価に関する本願の指定役務と深い関係があるものといえる。
そうすると、本願商標は、その指定役務との関係において、構成中の「知財」の文字部分が「知的財産」の意味を、「DD」の文字部分が「資産の適正評価」の意味を有する語として認識されるとみるのが相当であるから、本願商標は、構成文字全体として「知的財産に関する資産の適正評価」程の意味合いを容易に認識させるものである。
してみれば、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「知的財産に関する資産の適正評価」、「知的財産に関する資産の適正評価に関する助言・情報の提供」というような、評価や助言の対象(内容)や提供される情報の内容、すなわち、役務の質を表したものと理解するにとどまるというべきであるから、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するものであり、自他役務の識別標識としては認識されないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「本願商標は、『知財DD』の文字よりなるところ、そもそも、僅か4文字という極めて簡潔な文字構成からなるものであるから、全体をもって一体不可分のものとして把握、認識されるのが普通であり、これを殊更に『知財』と『DD』に分けて観察するのが普通の需要者の観察方法であるとは考えられない。・・・『知財』と『DD』に分けて観察するとしても、『DD』のような欧文字2文字は、種々の言葉の略称として用いられ得るものであり、直ちに、特定の意味合いを看取し得るものではない。・・・弁理士の業務との関係で、欧文字2文字の『DD』が、記号や符号などでなく、資産や買収対象企業の調査業務に関連する意味合いを特定して、看者が認識するとは考え難い。・・・したがって、本願商標は、その構成文字の『知財DD』より看取される意味合いからみると、商標法第3条第1項第3号にも、また、同法第4条第1項第16号にも該当しない。」旨主張する。
しかしながら、本願商標は、その構成中の「知財」の文字と「DD」の文字が、それぞれ漢字と欧文字という文字種の差異があることから、「知財」及び「DD」の文字を組み合わせたものと容易に認識されるものであって、上記(1)のとおり、「知財」の文字部分は、「知的財産の略」を意味する語として一般に知られており、「DD」の文字部分は、請求人の主張するように多数の意味を有する略語であるとしても、別掲2のとおり、本願の指定役務と関係の深い分野において、「DD」の文字が、「資産の適正評価」等の意味を有する語である「デューデリジェンス(due diligence)」の略語として多数使用されている実情があり、さらに、資産の評価に関して「知財デューデリジェンス」、「知的財産デューデリジェンス」をはじめとした「〇〇デューデリジェンス」や「知財DD」の文字が使用されている実情があることからすれば、本願の指定役務について使用する商標において「知財」の文字と組み合わせた「DD」の文字は、「資産の適正評価」等の意味を有する語である「デューデリジェンス(due diligence)」の略語として認識されるというべきであり、本願商標は、その構成文字全体として「知的財産に関する資産の適正評価」程の意味合いを容易に認識させるといえるものである。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「知的財産に関する資産の適正評価」、「知的財産に関する資産の適正評価に関する助言・情報の提供」というような、評価や助言の対象(内容)や提供される情報の内容、すなわち、役務の質を表したものと理解するにとどまるというべきであるから、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するものであり、自他役務の識別標識としては認識されないものというのが相当である。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も、これらと同様に自他役務の識別機能を発揮する商標として、登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標が登録要件を具備しているか否かの判断は、案件ごとに個別具体的に判断されるべきものであるところ、当該登録例は、商標の具体的構成や指定役務等において本願商標とは事案を異にするものであり、本願商標については、上記(1)のとおり判断すべきであるから、当該登録例をもって本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断が左右されるものではない。
ウ 請求人は、「本願商標は、出願人又は出願人事務所によるその使用実績を踏まえるならば、その指定役務の商取引の分野においては、当該役務の質を認識するというよりも、出願人又は出願人事務所が知財デューデリジェンスに係るサービスの第一人者として連想、想起されるというのが自然である。したがって、本願商標は、出願人又は出願人事務所によるその使用実績による周知性を踏まえるならば、商標法第3条第1項第3号にも、また、同法第4条第1項第16号にも該当しない。」旨主張し、証拠方法として資料9(枝番号を含む。)を提出している。
しかしながら、提出された証拠は、請求人が所長を務めるとする特許事務所(以下「請求人事務所」という。)のパンフレット、請求人事務所のYouTubeにおける広告、請求人事務所などの紹介記事における「知財DD」の文字の使用例であり、これらの証拠からは、請求人が「知財DD」の文字を使用していることはうかがい知ることができるものの、需要者の認識の程度を推し量ることはできないものである。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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