Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−6952(T2019−6952/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第14類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成30年1月24日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における令和元年5月28日受付けの手続補正書により、第14類「カフスボタン」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
1 商標法第4条第1項第16号について
本願商標は、その構成中に「CUFFLINKS」の文字を有してなるので、これをその指定商品中「カフスボタン」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号について
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続している。
(1)登録第5380687号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成19年8月15日登録出願、第14類「身飾品,時計,貴金属,キーホルダー,宝石箱,宝玉及びその模造品」を指定商品として、同23年1月7日に設定登録されたものである。
(2)登録第5382120号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成19年7月5日登録出願、第35類「身飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同23年1月7日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。
第3 当審においてした審尋
審判長は、請求人に対し、令和2年3月16日付け審尋において、「CUFF LINKS」又は「CUFFLINKS」の綴りからなる欧文字が、少なくとも本願商標の指定商品を取り扱う分野において、「カフスボタン」の意味をもつ英単語として認識されていることを示す別掲4のとおりの事実を通知した上で、本願商標の構成中、本願文字部分(後記第5の2(1)ア参照。)のうち、「WORLD」の欧文字を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許される旨の見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第4 審尋に対する請求人の回答の要点
上記第3の審尋に対し、請求人は、令和2年4月13日受付けの回答書を提出し、要旨、以下のように主張した。
1 本願図形部分(後記第5の2(1)ア参照。)については、シャツの袖口に白抜きの2つのカフスボタン穴を模した図形の上に、黒色の「WC」のモノグラムを配したものと認定されるべきである。そして、黒色の「『WC』のモノグラム」の「WC」の文字からは、「WC」の文字の称呼「ダブリューシー」を生じ、その右側の「WORLD CUFFLINKS」の文字のそれぞれの頭文字「W」と「C」の頭文字の観念を生じる。
2 本願図形部分と本願文字部分の間隔が、本願文字部分の「WORLD」と「CUFFLINKS」の間隔よりも狭く、かつ、黒色の「『WC』のモノグラム」と「WORLD CUFFLINKS」が並べられて、デザイン的にも統一性があり、その構成全体の外観上の一体不可分性は、決して弱いものということはできない。
3 本願文字部分から「WORLD」の欧文字を要部として抽出することはできない。
第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第16号該当性について
本願の指定商品について、前記第1のとおり補正された結果、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、商品の品質の誤認を生ずるおそれはなくなった。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、解消した。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標について
ア 本願商標は、別掲1のとおり、セリフ体で黒の「WORLD CUFFLINKS」の欧文字(以下「本願文字部分」という。)を横書きし、その左側に、図形(以下「本願図形部分」という。)を配してなる結合商標である。そして、本願図形部分は、「W」と思われる欧文字を黒色で表し、その上端に接するように、灰色の縁取りをした白抜きの欧文字をモチーフにしたと思われる図形を配し、さらに、それらの右半分の一部を隠すように、やや太い線幅をもつ略半円周状の黒色の図形(以下、当該「やや太い線幅をもつ略半円周状の黒色の図形」を「略半円周状図形」という。)を配してなるものである。
イ 本願文字部分と本願図形部分は、重なること無く間隔を空けて配置されていることに加え、両者は、それぞれを構成する線の太さが異なり、看者に対して明らかに外観上異なった印象を与えるものであるから、本願文字部分と本願図形部分とは、視覚的に明確に分離して認識されるというのが相当である。
そして、本願図形部分は、その態様から特定の称呼や観念が生じるものではないから、本願商標の文字部分と図形部分とが、観念的に密接な関連性を有しているとは考え難いし、一連一体となった何かしらの称呼が生じるともいえない。
ウ 本願文字部分は、「WORLD」の欧文字と「CUFFLINKS」の欧文字とが、半文字分ほどの空白を介して結合されてなるものである。
そして、「WORLD」の欧文字は、「ワールド」と称呼し「世界」の意味をもつ、一般に親しまれている英単語である。
次に、「CUFFLINKS」の欧文字についてみると、別掲4の事実によれば、「CUFF LINKS」又は「CUFFLINKS」の綴りからなる欧文字が、少なくとも本願商標の指定商品を取り扱う分野において、「カフスボタン」の意味をもつ英単語として一般に認識されていることが認められるから、「CUFFLINKS」からなる欧文字は、本願商標の指定商品である「カフスボタン」との関係では、商品の普通名称を表すものとして自他識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものといえる。
エ 以上からすると、本願文字部分は、本願図形部分とは分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、また、本願文字部分のうち、「CUFFLINKS」の欧文字は、自他識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものであるから、本願文字部分の「WORLD」が、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというのが相当である。
そうすると、本願商標の構成中、本願文字部分のうち、「WORLD」の欧文字を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その要部の一である「WORLD」の欧文字に相応して、「ワールド」の称呼が生じ、「世界」の観念が生じる。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は、別掲2のとおり、「WORLD」の欧文字を青色で横書きしてなるところ、これより、「ワールド」の称呼及び「世界」の観念が生じる。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲3のとおり、「WORLD」の欧文字を青色で横書きしてなる文字部分と当該文字部分の左側に配された図形部分とからなる結合商標であり、図形部分は、青で塗りつぶされた楕円から、やや太い2本の斜線状の図形を欠いた形状よりなるものである。
そして、引用商標2の文字部分と図形部分は、重なること無く間隔を空けて配置されているものであって、視覚的に明確に分離して認識できるものであり、図形部分からは特定の称呼や観念が生じるものではないから、両者が観念的に密接な関連性を有しているとは考え難いし、一連一体となった何かしらの称呼が生じるともいえないから、その文字部分と図形部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえない。
そうすると、引用商標2の構成中、その文字部分である「WORLD」の欧文字を要部として抽出し、本願商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標2は、その要部の一である「WORLD」の欧文字に相応して、「ワールド」の称呼が生じ、「世界」の観念が生じる。
(3)本願商標と引用商標の類否について
ア 引用商標1について
(ア)本願商標の要部の一である「WORLD」の欧文字と引用商標1とを対比する。
外観については、両者は、その構成文字の書体及び色を異にするとしても、つづり字を大文字小文字も含めて同一にするものであるから、両者における書体及び色の相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえない。
次に、称呼及び観念については、両者は「ワールド」の称呼を同一にし、「世界」の観念も同一にするものである。
以上のとおり、本願商標の要部の一と引用商標1とは、称呼及び観念を同一にするものであって、外観における差異についても、称呼及び観念の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、本願商標と引用商標1とは互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(イ)本願商標の指定商品である第14類「カフスボタン」は、引用商標1の指定商品の一である第14類「身飾品」に含まれるものである。そうすると、これらの商品は互いに生産・販売・流通経路を共通にする場合も少なくないものであるから、本願商標の指定商品は引用商標1の指定商品と類似するものである。
(ウ)以上によれば、本願商標は、引用商標1と類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標1の指定商品と類似する商品である。
イ 引用商標2について
(ア)本願商標の要部の一である「WORLD」の欧文字と引用商標2の要部の一である「WORLD」の欧文字とを対比する。
外観については、両者は、その構成文字の書体及び色を異にするとしても、つづり字を大文字小文字も含めて同一にするものであるから、両者における書体及び色の相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえない。
次に、称呼及び観念については、両者は「ワールド」の称呼を同一にし、「世界」の観念も同一にするものである。
以上のとおり、本願商標の要部の一と引用商標2の要部の一とは、称呼及び観念を同一にするものであって、外観における差異についても、称呼及び観念の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、本願商標と引用商標2とは互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(イ)本願商標の指定商品である第14類「カフスボタン」は、引用商標2の指定役務の一である「身飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品の「身飾品」に含まれるものである。そして、商品の販売と、その商品を取り扱う小売等役務の提供とが同一の者によって行われることは、商取引上、しばしば見受けられるものであり、そのような場合、該商品の販売場所や需要者の範囲が、該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも、少なからずあるとみるのが相当であるから、本願商標の指定商品及び引用商標2の上記指定役務は、それらに同一又は類似する商標が使用された場合、その出所について混同を生ずるおそれのある、互いに類似するものというべきである。
(ウ)以上によれば、本願商標は、引用商標2と類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標2の指定役務と類似する商品である。
(4)小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標の指定商品又は指定役務と類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、本願図形部分について、「シャツの袖口に白抜きの2つのカフスボタン穴を模した図形の上に、黒色の『WC』のモノグラムを配し」たものである旨主張する。
請求人の上記主張では、上記2(1)アで認定したところの黒色で表された「『W』と思われる欧文字」と略半円周状図形とからなる図形を、「『WC』のモノグラム」と称しているものと解されるが、略半円周状図形は、一般に広く知られている「C」の欧文字の書体と比べ、顕著に傾いているものである上、このように傾いた略半円周状図形が、「C」の欧文字として普通に判読される範囲のレタリングであることを示す証左もない。したがって、本願商標に接した取引者、需要者が、本願図形部分から「『WC』のモノグラム」を視認できるとはいえない。
また、本願図形部分から、「シャツの袖口に白抜きの2つのカフスボタン穴を模した図形」を看取することも困難といわざるを得ない。
(2)請求人は、黒色の「『WC』のモノグラム」の「WC」の文字からは、「WC」の文字の称呼「ダブリューシー」を生じ、その右側の「WORLD CUFFLINKS」の文字のそれぞれの頭文字「W」と「C」の頭文字の観念を生じる旨主張する。
しかしながら、上記(1)で説示したとおり、本願商標に接した取引者、需要者が、本願図形部分から「『WC』のモノグラム」を視認できるとはいえないから、請求人の主張は、その前提が失当である。
(3)請求人は、本願図形部分と本願文字部分の間隔が、本願文字部分の「WORLD」と「CUFFLINKS」の間隔よりも狭く、かつ、黒色の「『WC』のモノグラム」と「WORLD CUFFLINKS」が並べられて、デザイン的にも統一性があり、その構成全体の外観上の一体不可分性は、決して弱いものということはできない旨主張する。
しかしながら、本願図形部分と本願文字部分の間隔が本願文字部分の「WORLD」と「CUFFLINKS」の間隔よりも狭いとしても、上記2(1)イの認定を左右することはない。また、黒色の「『WC』のモノグラム」についての主張は、上記(1)及び(2)で説示したとおりであるし、デザイン的に統一性があるとの主張も、上記2(1)イで認定したとおりである。
(4)請求人は、本願文字部分から「WORLD」の欧文字を要部として抽出することはできない旨主張するので、以下検討する。
ア 請求人は、「CUFFLINKS」は、英語表記であって、広く親しまれた語とはいえない旨主張する。
しかしながら、上記2(1)ウで認定したとおりである。
イ 請求人は、「WORLD」の欧文字と「CUFFLINKS」の欧文字は、半文字分ほどのスペースを有するものの、同種同大等間隔で書してなる旨、「WORLD」は、名詞「CUFFLINKS」の前にあるので、形容詞である「世界の」と解する方が自然であり、結合語「WORLD CUFFLINKS」の語の意味合いも「世界のカフスボタン」の意味を有する全体として一体の結合語とすべきである旨、「WORLD CUFFLINKS」より生ずる「ワールドカフリンクス」の称呼も無理なく一連に称呼し得る旨、「WORLD CUFFLINKS」の文字部分は、いまだ漠然とした意味合いを想起させるにとどまるものであり、これをもって直ちに商品の品質等を具体的かつ直接的に表したものと理解、認識させるとまでは言い難い旨を主張する。
しかしながら、上記2(1)ウで認定判断したとおり、「CUFFLINKS」からなる欧文字は、本願商標の指定商品である「カフスボタン」との関係では、商品の普通名称を表すものとして自他識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものである。そして、「WORLD」の欧文字が「世界の」という形容詞の意味を有し、本願文字部分より「世界のカフスボタン」程の意味合いが生じるとしても、本願文字部分は、一種の熟語を形成するような関連性をもったものとは言い難い。
そうすると、請求人の主張によって、上記2(1)エの認定判断が左右されることはないというべきである。
ウ 請求人は、黒色の「『WC』のモノグラム」は、「WORLD CUFFLINKS」の「WORLD」及び「CUFFLINKS」それぞれの語の頭文字を表している旨、「『WC』のモノグラム」自体を「W」と「C」の文字部分に分離観察されるべきとする理由がないため、「WORLD CUFFLINKS」の文字部分においても、「W」に対応する「WORLD」の欧文字と「C」に対応する「CUFFLINKS」の欧文字とを分断して観察する理由はない旨、主張する。
しかしながら、上記(1)で説示したとおり、本願商標に接した取引者、需要者が、本願図形部分から「『WC』のモノグラム」を視認できるとはいえないから、請求人の主張は、その前提が失当である。
エ よって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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