Trademark Appeal Case
物質名結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−6125(T2019−6125/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「等方性高密度炭素」の文字を標準文字で表してなり,第10類及び第21類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成29年12月28日に登録出願されたものである。
その後,指定商品については,原審における平成30年10月22日提出の手続補正書により,第10類「業務用美容マッサージ器,業務用美顔マッサージ器,業務用電気マッサージ器,業務用高周波美容マッサージ器,振動マッサージ器,治療用マッサージ器,家庭用電気マッサージ器,家庭用電気式美容マッサージ器,家庭用電気式美顔マッサージ器,家庭用美容マッサージ器,家庭用高周波マッサージ器,家庭用温熱マッサージ器,医療用機械器具,耳かき」及び第21類「デンタルフロス,手動式美容用ローラー,歯茎マッサージ具,化粧用具,鍋類,食器類,水筒,調理器具(電気式のものを除く。)」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,『等方性高密度炭素』の文字を標準文字で表示してなるところ,その構成中『等方性』の文字は『物質の物理的性質が方向によって異ならないこと。』の意味を有し(株式会社岩波書店『広辞苑第六版』),『高密度』の文字は『密度が高い』ほどの意味合いを有し,『炭素』の文字は『非金属元素の一種。』の意味を有する語として(株式会社岩波書店『広辞苑第六版』),いずれも親しまれて使用されている語である。そして,本願の指定商品を含む多くの産業分野において,等方性の性質を有する黒鉛等の炭素製品や高密度の炭素製品が各種製造,販売されている実情が認められる(別掲1(1)〜(4))。また,本願の指定商品を取り扱う業界において,炭素(カーボン)製の商品が製造,販売されている実情が認められる(別掲1(5)及び(6))。以上のとおり,『等方性』,『高密度』及び『炭素』の各語の意味,等方性の性質を有する炭素製品や高密度の炭素製品が各種製造,販売されている実情及び炭素製品が本願の指定商品を取り扱う業界において製造,販売されている実情等を考慮すれば,本願商標は,全体として『等方性の密度の高い炭素』ほどの意味合いが生じるというのが相当である。そうすると,本願商標をその指定商品中の『等方性の密度の高い炭素製品』,例えば『等方性の密度の高い炭素製の医療用機械器具,等方性の密度の高い炭素製の鍋類』に使用するときには,これに接する取引者,需要者は,商品の品質,原材料を普通に用いられる方法で表示したものとして認識する。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,上記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲2及び3に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和2年3月24日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は,上記3の証拠調べ通知に対し,指定した期間内に何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,「等方性高密度炭素」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,原審説示のとおり,「等方性」(物質の物理的性質が方向によって異ならないこと。),「高密度」(密度が高い。)及び「炭素」(非金属元素の一種。)の文字を組み合わせた語であり,全体として「等方性の密度の高い炭素」ほどの意味合いを認識させるものである。
そして,実際に「等方性高密度炭素」又は「等方性高密度炭素材」の文字が,素材(材料)の名称としてさまざまな産業分野で使用されている実情にある(別掲2)。
さらに,本願の指定商品(例えば「鍋類,調理器具」)の分野において,「炭素」(英語訳「Carbon」(カーボン))が素材(材料)として使用されている事実(別掲3)が見受けられることからすると,本願商標をその指定商品中の「等方性の密度の高い炭素製品」に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,商品の品質,原材料を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまるといわざるを得ない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標「等方性高密度炭素」は,学術用語でもなく,請求人の代表者が案出した特別な意味を持たない完全なる造語であり,これまでも長く使用してきたが,普通名称化することも希釈化することもなく,炭素業界で認知されている「等方性黒鉛」という語とも相紛れることなく,請求人の識別標識として問題なく使用を継続するために商標権を取得しようとするものであり,商品の出所識別標識として十分に機能する旨主張する。
しかしながら,本願商標を構成する「等方性」,「高密度」及び「炭素」の各単語の有する意味,「等方性高密度炭素」の文字の素材名としての使用例及び本願の指定商品の分野において炭素が素材(材料)として使用されている事実等を総合的に勘案すれば,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者及び需要者は,「等方性の密度の高い炭素」ほどの意味合いを認識するのが自然であり,本願商標は,商品の品質,原材料を表示するものとして,自他商品の識別力を欠くというべきである。
イ 請求人は,過去の商標の登録例によれば,本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は,当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて,個別具体的に検討,判断されるべきものであって,請求人主張に係る過去の登録例が存在するからといって,上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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