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Trademark Appeal Case

著名商標の類否と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900099(T2017−900099/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5905601号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5905601号商標(以下「本件商標」という。)は,「VISA−Method Lighting」の欧文字を標準文字で表してなり,第11類「照明装置」を指定商品として,平成28年10月6日に登録出願され,同年11月25日に登録査定,同年12月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標及び申立人商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第200499号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲1(1)のとおりの構成からなり,昭和57年8月31日に登録出願,第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同62年12月18日に設定登録され,その後,平成20年8月20日に,指定商品を第11類「電球類及び照明用器具」を含む第7類ないし第12類,第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ,さらに,商標登録の取消し審判により,同30年12月21日に,その指定商品中の第9類「電子応用機械器具及びその部品」について取り消すべき旨の審決が確定し,同31年1月16日に確定審決の登録がされたものである。

2 登録第3200011号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲1(2)のとおりの構成からなり,商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し,平成4年9月29日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務とし,特例商標として,同8年9月30日に設定登録されたものである。

3 登録第3253066号商標(以下「引用商標3」という。)は,「ビザ」の文字を横書きしてなり,商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し,平成4年9月29日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務とし,特例商標として,同9年1月31日に設定登録されたものである。

4 登録第3253068号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲1(3)のとおりの構成からなり,平成4年9月30日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同9年1月31日に設定登録されたものである。

5 登録第3253069号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲1(4)のとおりの構成からなり,商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し,平成4年9月30日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務とし,特例商標として,同9年1月31日に設定登録されたものである。

6 登録第4774456号商標(以下「引用商標6」という。)は,別掲1(5)のとおりの構成からなり,平成15年8月1日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同16年5月28日に設定登録されたものである。

7 登録第4993862号商標(以下「引用商標7」という。)は,別掲1(6)のとおりの構成からなり,平成17年3月9日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同18年10月6日に設定登録されたものである。

(引用商標2ないし引用商標4及び引用商標7並びに「VISA」又は「Visa」の文字からなる標章をあわせて,以下「申立人商標」という場合がある。)

第3 登録異議申立ての理由

申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。

1 引用商標の著名性について

申立人は,クレジットカード会社として1958年,米国のバンク・オブ・アメリカがBANK AMERICARDを設立したことに端を発し,その後,1976年に査証になぞらえて,国際的な意味を持たせた現在の名称に変更し,世界及び日本において活発な企業活動を行っている。

引用商標2ないし引用商標7に係るクレジットカード等は,世界レベルで加盟店が非常に幅広く,日本でも主要クレジット会社としてのブランドイメージが確立されている。申立人は,日本法人を設立し,長年にわたり,日本のカード発行会社,加盟店,消費者等に多彩なサービスを提供している(甲9〜甲15)。

したがって,引用商標は,本件商標の登録出願時において,申立人の業務に係る役務,商品を表示するものとして,既に我が国において著名であった。

2 本件商標と引用商標の類否について

本件商標は,「VISA−Method Lighting」の文字からなり,その指定商品が「照明装置」であることから,かかる指定商品との関係で,照明,あるいは装置を意味する「Lighting」の文字部分は識別性を有さず,また,「Method」の文字部分は,「方式」などを意味する語として容易に理解することができ,かかる文字部分も,指定商品との関係で相対的に弱いと考えられ,その意味内容から,かかる語の前に位置する語である「VISA」を受け,全体の意味として「VISAの方式」といった内容として認識できる。

したがって,本件商標の要部は,「VISA」部分であり,「ビザ」又は「ヴィザ」の称呼が生ずる。

一方,引用商標1は,「eLeCTRON VISA」の文字からなり,「eLeCTRON」部分は,英語で電子を意味する「エレクトロン」であると容易に認識されると考えられ,指定商品との関係で当該部分は識別力が弱いと考えられる。したがって,引用商標1の要部は「VISA」部分であり,その文字に応じて,「ヴィーザ」,「ビザ」,「ヴィザ」の称呼が生ずる。

また,引用商標2ないし引用商標7は,「VISA」又は「ビザ」の文字からなり,その文字に相応して,同じく「ビザ」,「ヴィザ」の称呼が生ずる。

したがって,本件商標と引用商標は,称呼が共通するものであることから,本件商標は引用商標に称呼上類似するものである。

また,外観において,本件商標の要部は,「VISA」部分であるのに対し,引用商標の要部も「VISA」であると考えられるので,本件商標と引用各商標は外観においても類似する。

また,観念について比較すると,本件商標の要部は,「VISA」部分であるところ,「VISA」は,申立人に係る役務及び商品を示す商標として著名に至っている商標「VISA」を示すものであることから,本件商標と引用商標は申立人に係る役務及び商品を示す商標を容易に観念することができ,両商標は,観念においても類似するといえる。

以上のことから,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念のいずれにおいても類似する。

3 商標法第4条第1項第11号該当性について

上記2のとおり,本件商標は,引用商標1に類似し,その商品と同一又は類似の商品に使用するものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 商標法第4条第1項第15号について

申立人の業務に係る商品を表示するものとして著名な引用商標と同一又は類似する本件商標がその指定商品に使用された場合,取引者,需要者をして,その商品が申立人の提供にかかわるものであるかのごとく,あるいは,申立人と何等かの経済的・組織的関連があるかのごとく認識され,出所混同を生じさせるおそれがある。

「クレジットカ―ド利用者に代わってする支払代金の清算」等のクレジットカード決済に係る役務は,クレジットカ―ド利用者である需要者の範囲に相応して実に多くの商品及び役務と密接に関連しているといえる。即ち,電子商取引が非常に発達した今日において,さまざまな層の需要者は,例えば,照明器具・装置を購入する際,支払をクレジットカード等の電子決済手続によって行う場合が多く,その際,日本はもとより国際的にも非常に高い評価を得ているクレジットカードの国際ブランドともなっている申立人の使用に係る引用商標を冠したクレジットカードを使用することが大いに考えられる。また電子決済手続において,申立人の使用に係る引用商標がパソコン等の電子決済手続画面において表示されることが多いことから,引用商標は,電子商取引において対象となるあらゆる商品及び役務との間で,関連性を有することになる。

以上より,本件商標がその指定商品「照明用器具」に使用された場合,取引者,需要者をして申立人の著名商標「VISA」と出所混同を生じさせるおそれがある。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 取消理由の通知

当審において,商標権者に対し,「本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当する。」旨の取消理由を令和2年1月27日付けで通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 商標権者の意見

前記第4の取消理由に対し,商標権者は,何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断

1 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)申立人商標の周知,著名性について

申立人の提出に係る証拠及び同人の主張並びに職権による調査(別掲2)によれば,以下のとおりである。

申立人は,クレジットカード会社として1958年(昭和33年),米国のバンク・オブ・アメリカがBankAmericardを発行したことに端を発し,その後,1976年(昭和51年)に査証になぞらえて,国際的な意味を持たせた「Visa」の名称に変更し,世界及び日本において活発な企業活動を行っている。また,申立人は,日本法人を設立し,長年にわたり,日本のカード発行会社,加盟店,消費者等に多彩な決済サービスを提供している(甲10,甲11,甲15,別掲2(1)ア・ウ)。

申立人の業務に係るクレジットカード等は,世界レベルで利用可能な国が非常に幅広く,2015年(平成27年)には約50%以上のシェアを持つ第1位の国際ブランドであり,日本でも1980年(昭和55年)に最初のVISAブランドのクレジットカードが発行されて以降,多数のカード発行会社によって,VISAブランドのカードが発行され,2014年(平成26年)における調査ではクレジットカード利用者の約75%の者が使用するという結果が出るなど,我が国における主要クレジット会社としてのブランドイメージが確立されている(別掲2(1)ア〜キ)。

また,TVのCMや東京・札幌及び京都といった主要な観光地でのイベントなどを通じて,引用商標2又は引用商標4とともに申立人の提供する役務について,需要者へのアピールを行っており(甲11,別掲2(1)ク),当該イベントの概要を紹介する新聞記事が「VISA」や「ビザ」の文字が表示された見出しとともに掲載されている(甲15)。

そして,申立人の業務に係るクレジットカードや当該カードが利用できる加盟店の店頭や会計場所又は販売サイトの会計ページには,引用商標2,引用商標4又は引用商標7及び「VISA」又は「Visa」の文字が表示され,申立人の提供する役務が利用できることが需要者にアピールされ(別掲2(1)キ・ケ),また,クレジットカードを紹介するウェブサイト(別掲2(1)エ〜キ)においても,引用商標2ないし引用商標4又は引用商標7及び「VISA」の文字が,申立人の提供する役務を表示する標章として使用されている。

以上のことよりすれば,申立人商標は,申立人の業務に係る役務「クレジットカード利用者に変わってする支払代金の精算」について使用され,本件商標の登録出願日(平成29年11月3日)には既に,申立人の業務に係る上記役務を表示する標章として我が国の需要者の間に広く認識されていたことが認められる。

したがって,申立人商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る役務「クレジットカード利用者に変わってする支払代金の精算」を表示するものとして,既に我が国において周知,著名であった。

(2)申立人商標の独創性について

申立人商標を構成する「VISA」,「Visa」又は「ビザ」の文字は,「査証」を意味する既成の語であるから,独創性は高いものではない。

(3)本件商標と申立人商標との類似性について

ア 本件商標について

本件商標は「VISA−Method Lighting」(標準文字)であるところ,「VISA」と「Method」の語はハイフン(−)で結合されているものの,視覚上「VISA」,「Method」及び「Lighting」の3つの語からなる結合商標と看取できるものである。

本件商標の各構成部分のうち「VISA」の文字部分は「査証」を意味する英単語であり,その片仮名表記である「ビザ」の語が日本語の辞書に掲載されている(別掲2(2))など,我が国において広く知られていると認められるとしても,「VISA」の文字は,上記(1)のとおり,申立人の業務に係る役務「クレジットカード利用者に変わってする支払代金の精算」を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている申立人商標の構成文字「VISA」とそのつづりを同じくするものであることから,「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念をも想起させるといえるものである。

そして,本件商標構成中の「Method」の文字は,「VISA」の文字とハイフンで結合されているものの,「Method」の文字は「方式」を意味する英単語であり,その片仮名表記である「メソッド」の語が日本語の辞書に掲載されている(別掲2(2))など,我が国において広く知られている語と認められ,他の語に付して「○○方式」程の意を想起させる,社会に広く浸透した一般的な用語であるから,さほど強い識別機能を有しないというべきである。

また,「Lighting」の文字は,「照明」を意味する英単語であり,その片仮名表記である「ライティング」の語も日本語の辞書に掲載されている(別掲2(2))など,我が国において広く知られている単語と認められ,本件商標の指定商品「照明器具」との関係からすれば,識別機能が無いといえるものである。

以上のことからすれば,本件商標を構成する「VISA」,「Method」及び「Lighting」の各文字は,その識別力に大きな差があり,構成中の「VISA」の文字部分が,需要者に対して,出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部であるというべきであるから,本件商標については,当該文字部分を抽出し,他人の商標と比較することが許されるものといえる。

そうすると,本件商標の要部である「VISA」の文字部分から「ビザ」の称呼及び「査証」観念を生ずる他にも,上記(1)の申立人商標の周知,著名性より「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念をも生ずるものである。

イ 申立人商標について

引用商標2は,別掲1(2)のとおり,「VISA」の文字をややデザイン化して横書きした構成からなるところ,その構成文字に相応して「ビザ」の称呼を生じ,「査証」又は「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念を生ずるものである。

引用商標3は,上記2(3)のとおり,「ビザ」の文字を横書きした構成からなるところ,その構成文字に相応して「ビザ」の称呼を生じ,「査証」又は「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念を生ずるものである。

引用商標4は,別掲1(3)のとおり,濃い青色とオレンジ色の帯状図形の間に,濃い青色で表した引用商標1と同じ構成の文字を配した構成からなるところ,帯状図形と文字とは視覚的に分離して看取でき,帯状図形が特定の観念を有するものとは認められないものであり,両者に観念上のつながりがあるというような両者を一体不可分のものとのみ認識しなければならない事情もないことから,その構成中の「VISA」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすといえる。そうすると,引用商標4は,その構成中の「VISA」の文字部分に相応して「ビザ」の称呼を生じ,「査証」又は「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念を生ずるものである。

引用商標7は,別掲1(6)のとおり,「V」の文字の左上部にオレンジ色を配しその他を濃い青色で表した引用商標2と同じ構成の文字を配した構成からなるところ,その構成文字に相応して「ビザ」の称呼を生じ,「査証」又は「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念を生ずるものである。

その他,申立人の業務に係る役務について使用されている標章「VISA」又は「Visa」の文字からは,その構成文字に相応して「ビザ」の称呼を生じ,「査証」又は「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念を生ずるものである。

ウ そうすると,本件商標の要部である「VISA」の文字部分と,「VISA」又は「Visa」の文字を構成文字とする申立人商標とは,書体が相違するとしても,そのつづりを同じくするものであって,外観が近似し,「ビザ」の称呼及び「査証」又は「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念を共通にするものである。

また,「ビザ」の文字を構成文字とする申立人商標とは,外観において相違するとしても,英単語とその片仮名表記であり,「ビザ」の称呼及び「査証」又は「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念を共通にするものであるから,両商標の類似性の程度は高いものといえる。

(4)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る役務との関連性並びに商品及び役務の需要者の共通性について

ア 本件商標の指定商品「照明器具」は,主に電気製品販売店や電気製品売場で一般の需要者向けに販売されるものである。

イ 申立人の業務に係る役務「クレジットカード利用者に変わってする支払代金の精算」は,消費者の信用をもとにクレジットカード会社が提供する役務であって,その提供者はクレジットカ―ド会社であること,提供を受けるためには入会のための審査を通過する等一定の制限があり,需要者もある程度限定されることなどから本件商標の指定商品とは自ずと性質,性格が異なるものである。

しかしながら,「クレジットカ―ド利用者に代わってする支払代金の清算」の需要者,すなわち,クレジットカ―ドの利用者は,一般の需要者であって,商品及び役務の購入に際してクレジットカードを使用するものであるから,当該,「クレジットカ―ド利用者に代わってする支払代金の清算」は,販売対象となるあらゆる商品及び役務との間で,一定程度の関連性を有し,需要者も同じくするといえるものである。

ウ そうすると,本件商標の指定商品と申立人の業務に係る役務においても,一定程度の関連性を有し,需要者を共通にするといえるものである。

そして,両者の需要者が一般の消費者であることからすれば,取引の際に払われる注意力はさほど高いとはいえない。

(5)混同を生ずるおそれについて

上記(1)ないし(4)のとおり,申立人商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されていたものであり,その独創性は低いとしても,本件商標と申立人商標との類似性の程度が極めて高いこと,本件商標の指定商品と申立人の業務に係る役務とは,一定程度の関連性があり,その需要者を共通にすること,取引の際に払われる需要者の注意力はさほど高いとはいえないことからすると,本件商標は,これをその指定商品に使用した場合には,これに接する需要者は,申立人商標を連想,想起して,当該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標というべきである。

(6)小括

したがって,本件商標は,他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は,上記1(3)アのとおり,構成中の「VISA」の文字部分が,需要者に対して,出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部であるというべきであるから,本件商標については,当該文字部分を抽出し,他人の商標と比較することが許されるものといえる。

してみれば,本件商標に接した需要者は,商標中の要部である「VISA」の文字部分に着目し,当該文字部分より生ずる称呼,観念をもって取引に当たる場合も決して少なくないものというのが相当であるから,本件商標は,当該文字部分に相応した「ビザ」の称呼並びに「査証」及び「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念をも生ずるものと判断するのが相当である。

(2)引用商標1について

引用商標1は,別掲1(1)のとおり,ややデザイン化された態様で表された「eLeCTRON」の文字と「VISA」の文字とを二段に書してなるところ,構成中の「eLeCTRON」の文字部分は,「電子」を意味する英語「electron」と,また「VISA」の文字部分は「ビザ,査証」を意味する英語として理解されるものであり,構成文字全体として特定の語義を生ずるものではない。

そうすると,デザインの種類が異なる文字で構成され,二段に表示されていることから視覚上分離して観察される「eLeCTRON」の文字と「VISA」の文字部分とを,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず,その構成中の「eLeCTRON」,「VISA」の文字部分は,引用商標1の指定商品との関係からみて,自他商品の識別標識として十分な識別力を有する語といえることから,それぞれが,自他商品の識別標識として機能するものというべきである。

してみれば,引用商標1に接した需要者は「VISA」の文字部分に着目し,これを要部として,当該文字部分より生ずる称呼,観念をもって取引に当たる場合も決して少なくないものというのが相当であるから,上記(1)同様に,引用商標1は,当該文字部分に相応した「ビザ」の称呼並びに「査証」及び「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念をも生ずるものと判断するのが相当である。

(3)本件商標と引用商標1との類否

本件商標と引用商標1とは,全体の外観において差異を有するとしても,それぞれの要部である「VISA」の文字において,そのつづりを同じくするものであって,これより生ずる「ビザ」の称呼並びに「査証」及び「(申立人のブランドとしての)VISA」の観念を共通にする互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり,かつ,本件商標の指定商品は,引用商標1の指定商品中に包含されるものであるから,本件商標と引用商標1の指定商品は,同一又は類似のものである。

(4)小活

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 まとめ

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し,その登録は,同条第1項の規定に違反してされたものといわざるを得ないから,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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