Trademark Appeal Case
豆ファーストの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2019−900279(T2019−900279/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第6158522号商標(以下「本件商標」という。)は,「豆ファースト」の文字を標準文字で表してなり,平成30年5月9日に登録出願,第29類「乳製品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,豆を主材とする惣菜」を指定商品として,令和元年6月20日に登録査定,同年7月5日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきである旨申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。
「豆ファースト」は,「食事の際に大豆を最初に食べること」を意味し,食事の最初に大豆や豆類を摂取する食事法として広く一般的に使用されている実情が見受けられる。
そうすると,本件商標の指定商品はいずれも食料品であることを併せみれば,「豆ファースト」の文字は,本件商標の登録査定時に,「食事の際に大豆や豆類を最初に食べること」を表す語として取引者・需要者に認識されているものである。
そして,食料品メーカーにおいても,「豆(大豆)ファースト」に注目し,食料品に使用している実情があり,さらに,食料品には摂取方法や摂取上の推奨事項などが記載されているものがあることと相まって,本件商標は,これをその登録査定時に食料品である本件商標の指定商品について使用しても,取引者・需要者をして,該文字を「食事の際に大豆や豆類を最初に食べる」という食事の摂取方法を表したものと認識させるにすぎないから,商品の識別標識としての機能を果たすものとはいえない。
そうすると,本件商標は,これをその指定商品に使用しても,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 取消理由の通知
当審において,本件商標権者に対し,「本件商標は,商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和2年2月25日付けで通知した。
4 取消理由に対する商標権者の意見
本件商標権者は,上記3の取消理由に対して,指定した期間内に意見を述べなかった。
5 当審の判断
(1)「豆ファースト」の語(文字)について
証拠及び申立人の主張並びに職権調査によれば,以下の事実が認められる。
ア 「豆ファースト」の語(文字)は,本件商標の登録査定の日前に掲載されたウェブページ(甲7,甲9,甲20)において,食事をする際に大豆を最初に食べることが健康に良いなどという旨を紹介する記事の中で「食事をする際に大豆を最初に食べること」を表す語として用いられている。
イ 「豆ファースト」の語(文字)は,「大豆ファースト」,「ソイファースト」とも呼ばれている(甲12,https://mushimame-kenkyukai.jp/feature_effect.html)。
ウ 「大豆ファースト」の語(文字)は,本件商標の登録査定の日前に掲載されたウェブページ(甲1,甲4,甲11〜甲14(なお,甲12は本件商標に係る審査において拒絶理由通知書で記1として開示した内容と同じである。),甲21)及び雑誌(甲16,甲18,甲19)において,食事をする際に大豆を最初に食べることが健康に良いなどという旨を紹介する記事の中で「食事をする際に大豆を最初に食べること」を表す語として用いられている。なお,そのうち2件(甲1,甲4)はテレビ放送された内容と推認できる。
エ 「医者がすすめる“大豆ファースト”」というタイトルの書籍が2018年(平成30年)11月に発行された(甲14)。
オ 本件商標の登録査定の日前に掲載された料理レシピを紹介するウェブページで,料理名に「大豆ファースト」の語が用いられている(甲15の1〜3,数字の1ないし3は丸付き数字である。)。
カ 「楽天WOMAN」のウェブサイト(2018/05/02 13:00)において,「『大豆ファースト』で痩せる!医師おすすめ大豆レシピ3選」の見出しの下,「糖質制限,ロカボ,ベジファースト,と健康的な食事法が数多く提案される今。池谷医院の池谷敏郎先生がおすすめするのは,大豆を食事のはじめに食べる『大豆ファースト』です。たんぱく質やミネラル,大豆イソフラボンが豊富な大豆を,日々の食事で上手に摂り入れる方法をご紹介します。」の記載がある。
(https://woman.infoseek.co.jp/news/bodycare/lar_103425)
キ 「贈・みそら屋」のウェブサイト(2018−02−25 14:10:43)において,「お味噌汁ダイエット!?」の見出しの下,「みなさんも『ベジファースト』という言葉をよく耳にしていたと思います。野菜から食べるダイエット。しかし最近では,『大豆ファースト』という言葉が注目され始めてきています。読んで字のごとく食事の1番最初に大豆を食べることをいいます。血糖値の上昇を穏やかにし,糖や脂肪の吸収を抑えたり,血液や血管を健康に保つことができるといわれています。」の記載がある。
(http://www.misoraya.net/app/Blogarticleview/index/ArticleId/122)
ク 「日経Gooday」のウェブサイト(2018/1/11)において,「手軽にできて効果的! カロリーコントロールの小ワザ7選 『朝スープ』『ソイファースト』から『目をつぶっての食事』まで」の見出しの下,「試してみよう!『ソイ(大豆)ファースト』」の項に,「ベジタブルファーストならぬ,『ソイ(大豆)ファースト』を取り入れるのもお勧めだ。食事の前に,豆乳を飲んだり,豆腐を食べるだけ。大豆たんぱくは,臨床試験で脂肪を燃焼する効果が高いという結果が出ており(*1),ダイエットの強い味方になってくれる。」の記載がある。
(https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100031/010400541/?P=2)
(2)上記(1)の事実に加え,近年,健康への関心が高まっていること,飲食料品(特に健康食品)には摂取方法や摂取上の推奨事項などが記載されているものがあること,及び本件商標の指定商品はいずれも飲食料品であることを併せみれば,「豆ファースト」の語は,本件商標の登録査定時において,「食事の際に大豆を最初に食べること」を表す語として取引者,需要者に認識されているものであって,かつ,本件商標の指定商品の取引に際し何人もその使用を欲するものと判断するのが相当である。
(3)商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は,上記1のとおり,「豆ファースト」の文字を標準文字で表してなり,第29類に属する商品を指定商品とするものである。
そして,上記(1)のとおり,「豆ファースト」の文字は,「大豆ファースト」の語と同義のものであって,本件商標の登録査定時において「食事の際に大豆を最初に食べること」を表す語として取引者・需要者に認識されているものである。
そうすると,「豆ファースト」の文字からなる本件商標は,これを飲食料品である本件商標の指定商品について使用しても,これに接する取引者・需要者をして,当該文字を「食事の際に大豆を最初に食べること」という食事の摂取方法を表したものと認識させるにすぎず,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と判断するのが相当である。
また,上記(2)のとおり,「豆ファースト」の文字は,本件商標の指定商品の取引に際し何人もその使用を欲するものであるから,本件商標は,特定人による独占使用を認めることは公益上適当でないとともに独占適応性を欠くものというべきである。
したがって,本件商標は,その登録査定時において,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標第3条第1項第6号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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