結論テキスト
審判費用は,請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2017−890023(T2017−890023/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5825191号商標(以下「本件商標という」。)は,別掲1のとおりの構成からなる立体商標であり,平成25年12月13日に登録出願,第11類「ランプシェード」を指定商品として,同27年12月15日に登録審決,同28年2月12日に設定登録されたものである。
請求人が,本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第5643726号商標(以下「引用商標」という。)は別掲2のとおりの構成からなり,平成25年6月14日に登録出願,第35類「電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として,同26年1月17日に設定登録されたものである。
その後,引用商標に係る商標権は,商標登録の無効審判により,無効とすべき旨の審決がされ,平成30年8月10日に確定審決の登録がされ,同月29日にその登録が抹消された。
請求人は,「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」,との審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,同条第2号に該当するには至っていない。また,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第18号及び同項第7号に該当するものであるから,同法46条第1項第1号により,その登録は無効とすべきものである。
(1)商標法第3条第1項第3号(同法第3条第2項非該当)について
ア 本件商標は,デンマーク人のポール・ヘニングセン(以下「ヘニングセン」という。)によりデザインされたものであり,1958年に公表された後,同じ年に製品化されたものである。
本件商標の立体的形状を見るに,円周,高さ,外周の曲がり具合の異なる下方向に開いた3枚の円筒状のシェードが下から上に向かい徐々に広がるように積み重ねられ,それらの上に,下3枚とは異なるカーブで上向きに開いた1枚のシェード,最上部には円筒形の電球取付ソケット部とみられる部分が積み重ねられて構成されている。
シェード内部に水平の反射板を持ち,下から2枚目のシェードと4枚目のシェードにかけて,円弧状の細長い棒が3本渡されている。
被請求人によれば,本件商標にみられる4枚のランプシェードにより構成される形状は「対数螺旋」といわれるもので独特の形状であるとのことだが,この対数螺旋について,被請求人の日本子会社は「光の反射角度のために採用した」と説明している。
したがって,4枚のランプシェードにより構成される立体的形状の特徴(対数螺旋)は,一義的には「光の反射角度」を実現するため,すなわち,商品の機能に資することを目的とするものであり,加えてその形状が美感にも資するものであるとみるべきである。
また,本件商標の上記形状は,ペンダントランプ用のランプシェードとしては,需要者において予測可能な範囲の特徴といえるのでランプシェードの基本的な機能及び美感を発揮させるために必要な形状の範囲内であって,これを見た需要者において,当該形状をもって商品の出所を表示する自他商品識別標識として認識し得るものではない。
イ 本件商標の立体的形状の日本における使用等について
(ア)本件商標が1958年にヘニングセンによりデザインされ,販売されてから,現在に至るまで,世界中の市場において,ヘニングセンとの協約に基づき,本件商標の立体的形状を被請求人が独占的に使用してきたとあるが,世界中の市場といっても具体的にどの市場でどれぐらい販売されてきたかは何ら立証されていない。
また,被請求人がデザイナーと締結した協約は単なる私人間の契約にすぎず,第三者による当該形状の使用を制限できるものではない。第三者による使用を制限するには,何らかの独占排他的な権利が必要となる。
本件商標は応用美術といわれるものであり,応用美術に関しては,ベルヌ条約第2条第7項により,著作権で保護するか意匠権で保護するか等については各国の国内法制に委ねられている。
しかも,応用美術を著作物として保護する法律又は判例を持つ国であっても,応用美術の著作物の定義,その該当性の判断規準も国によって異なる。 そのような状況で,本件商標の立体的形状が世界中で著作物として著作権の保護を受けられるとはいい難く,著作権法で保護されない国では,第三者による本件商標の立体的形状と同一形状を使用することに何ら制限はない。
以上のことを勘案すると,具体的な裏付けもなく,世界の市場で本件商標の立体的形状が登録権者によって独占的に使用されていたとは認められない。
本件商標の形態について日本で意匠登録されていたという事実が被請求人によって主張されていないことから,1958年に被請求人によって本件商標が公開された後は,日本において当該商標の立体的形状はパブリックドメインであり,何人も自由に実施し得るものである。よって,私人間の契約たるデザイナーとの協約のみを理由に,商標権者が日本市場で登録商標の立体的形状を独占的に使用していたとする主張には,根拠がない。
(イ)本件商標は1972年から日本で販売が開始され現在に至っていて,その間,定期的に発行される商品カタログやインターネット販売サイトで紹介されてきたということであるが,それらのカタログには多数種類の照明器具が掲載されていて,とりたてて,本件商標の立体的形状のみが着目されるとすべき理由はない。
また,本件商標の立体的形状は,製品の機能及び美感に資する目的で使われているものであり,本来的に自他商品識別力を持っておらず,また,自他商品識別の目的で使用されているわけではないので,需要者がこれを見たとしても,多数ある同種商品の中において,その立体的形状がもたらす美感・印象に目を留めるだけで,当該形状については,美感を際立たせるために選択されたものとしてしか認識しないというべきである。
(ウ)本件商標は世界で50万台販売されているとあり,その証拠として「週間東洋経済2008年1月12月号北欧はここまでやる。格差なき成長は可能だ!」の記事が採用されている。当該記事におけるコメントは被請求人又は被請求人の子会社が書いたものと推察されるが,結局は本人が話したことにすぎず,何ら客観性がない。
仮に50万台の販売台数が本当であったとしても,世界全体での販売数として,特段多いとは思われない。
日本国内における本件商標の販売数は,1999年から2014年の間に約7万5千台とされていて,1年間の平均販売台数は約5千台で,2014年が約7千台ということになる。
年度が異なるのであくまでも参考程度であるが,2016年上半期の日本における屋内家庭用照明器具の販売台数とされている570万台(甲4)と対比すると,わずか0.4%強のマーケットシェアでしかない。
(エ)被請求人は,商品カタログを全国の建築設計事務所,住宅メーカー,インテリアコーディネーター,インテリアショップ,百貨店,インテリア雑誌及びプレス等の約5千社(人)の顧客に配布したとしている。
しかし,照明器具が半年で570万台前後販売される中,わずか5千人の顧客に対して,同種・他種商品が多数掲載されている商品カタログを定期的に配布するだけで,本件商標の立体的形状のみが周知・著名になるとは考えられない。しかも5千人の中には,同一法人に所属する個人が多数含まれているので,同一法人に対して重複して配布されている分は除外して評価すべきである。
また,本件商標に係る商品である「ランプシェード」は家庭用の屋内照明に用いられるものであり,その需要者は一般消費者であるが,商品カタログの配布先として顧客リストに掲載されているのは,主として建築事務所などいわゆるインテリア等の専門家であり,「ランプシェード」の需要者たる一般消費者とはいえない。それらの顧客に対する当該商品カタログの配布や取引により本件商標の立体的形状が,ランプシェードの需要者(一般需要者)の間で広く知られるに至ったとはいえない。
上述のとおり,一般消費者に対して本件商標の広告宣伝等が積極的に行われていたことは何ら示されていない。
(オ)本件商標は,グッドデザイン賞を受賞しているが,これらは,有料で申請した製品が審査されて受賞されるもので,市場の製品を主催者等がノミネートして賞を授与するものとは全く異なる。
(カ)被請求人は,同社が日本において被請求人の製品に係る立体的形状を使用した結果,日本全国の需要者が被請求人の業務に係る商品であることを認識できる旨の国内及び外国の照明器具の著名なデザイン関係者等並びにデンマーク国駐日大使の証明書又は陳述書を提出している。
本来,この種の証明書は,立体的形状が取引界において需要者等の間で広く知られていて,自他商品識別標識として需要者が認識するに至っていたことを証明するものである。
そのため,取引市場における需要者の認識を知ることができる人(例えば,同業者,取引先,代理店等)によって,証明,陳述されるべきである。
提出された証明書は,被請求人が用意した定型的な印刷物に署名をしただけのものであることを合わせると,被請求人の製品の立体的形状が自他商品識別標識として機能しているかについての証明書としては信用性が低いといわざるを得ない。
また,駐日デンマーク大使による証明についても,当大使は日本に駐在したのはわずか4年にすぎないため(甲6),その大使が日本の取引事情や需要者の認識について理解しているとは考えられず,かつ,当該証明書が被請求人の作成した定型的な内容であることを考慮すると,被請求人の製品の立体的形状が日本において自他商品識別標識として機能するに至っているかについての証明書としては信用性が低いといわざるを得ない。
(キ)本件商標が紹介されているカタログ,雑誌等の記事をみるに,本件商標は「PH5」として紹介されている。
これらのカタログ,記事に接した需要者は「PH5」が自他商品識別標識として認識するのであって,本件商標の立体的形状はあくまでも,商品の形状そのものとして認識するに留まる。そのような状況において本件商標の立体的形状が使用されても,出所表示として認識されるのは「PH5」の文字であり,製品の立体的形状は,記述的表示(商品形状の表示)として需要者等に知られるにすぎない。
(ク)以上の事項を総合すると,本件商標の立体的形状が自他商品識別標識として使用され,その結果,自他商品識別力として獲得するに至ったとはいえない。
ウ 以上のとおり,本件商標の立体的形状は,本来的に自他商品識別力を備えておらず,また,国内における使用により自他商品識別力を獲得するに至ったと見るべき事情もない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであり,本件商標が使用された結果,登録審決時において,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができたと認めることはできず,本件商標は,自他商品の識別力の獲得がされていないものとして,同条第2項の要件を満たさない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 商品・役務の類否
本件商標に係る指定商品「ランプシェード」と,引用商標に係る指定役務「電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,類似する。
イ 商標の類否
(ア)本件商標
a 外観
円周,高さ,外周の曲がり具合の異なる下方向に開いた3枚の円筒状のシェードが下から上に向かい徐々に広がるように積み重ねられており,それらの上に,上記の3枚円筒状のシェードとは異なるカーブで上向きに開いた1枚のシェード及び,最上部には円筒形の電球取付ソケット部とみられる部分がある。
そして,シェード内部に水平の反射板を持っており,下から2枚目のシェードと4枚目のシェードにかけて,円弧状の細長い棒が3本わたされている。
b 称呼・観念
本件商標からは,特定の称呼及び観念は生じない。
(イ)引用商標
a 外観
引用商標は,下記(a)〜(c)の各構成部分からなる結合商標である。
(a)(i):上方に向けて広がりをもたせた台形,(ii):(i)より大きく,下方に向けて広がりをもたせた台形,(iii):(i)及び(ii)のいずれよりもさらに大きく,頂面がなだらかな凸湾曲形,(iv):(ii)より大きく,(iii)よりも小さい,湾曲線にて,上方に向けて大胆に広がりをもたせた台形及び(v):(i)よりも小さく,やや下方に向けて広がりをもたせた台形を,縦中心線から左右対称になるように下から一体的に組み合わせ,全体的に丸みを帯びた図形。
(b)ギターピック形状に似た逆三角形において,該三角形の上部左右にかけて3本の緩やかな曲線,同下部中央に2本のV曲線,そして同中央部に欧文字「R&M」が,それぞれ白抜きで配してあり,該逆三角形のV形状に沿うよう,左右対称に,先端に丸みを持たせた短直線を有した湾曲線が伸びている図形。
(c)「R&M Interior Store」の欧文字。
b 称呼・観念
引用商標からは,構成部分(b)から「アールアンドエム」,及び構成部分(c)から「アールアンドエムインテリアストア」の称呼が生じる。
構成部分(c)の「Interior Store」の文字からは,「インテリア商品を扱う店」ほどの意味合いを想起させるとしても,引用商標にかかる指定役務との関係においては,自他役務を識別するための観念を生じないものである。また,構成部分(b)及び(c)の「R&M」には固有の語義はない。
c 引用商標の要部
引用商標は,構成上からは図形部分と文字部分とが,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合されているような事情は見いだせない。
また,文字部分から特定の観念は生じず,また称呼との関係においても,図形との密接な関連は見いだせない。
そうすると,引用商標は,その構成中,図形部分と文字部分とがそれぞれ独立して取引者,需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
引用商標中,最も需要者の注意を引くのは,中央に位置し,他の構成部分より大きく描かれた上記(a)の図形部分であるから,当該図形部分を要部として抽出し,この部分のみを本件商標と比較して商標の類否を判断すべきである。
(ウ)両商標の対比
本件商標の正面外観図と,引用商標の要部となる構成部分(a)を対比すると,円筒状のシェードが積み重ねられており,各シェードの大きさ,及び縦横の比率,並びに各シェードの形状において共通性を有することから,互いに外観が近似している。
また,本件商標の正面外観図と引用商標は,その細部において違いが認められるものの,これらの違いは,上記した両者の共通点を捨象しうるほどの顕著なものとはいえない。
したがって,両者は,類似する。
(エ)小括
上述のとおり,本件商標を特定の方向から観た場合,引用商標の構成部分(a)と,本件商標の正面外観図が類似する。
引用商標の構成部分(a)は,その構成中,出所識別標識として強く支配的な印象を与える最も顕著な部分である。しかも,本件商標からは,特定の称呼及び観念を生ずることがないので,称呼及び観念により,本件商標と引用商標を区別することはできない。
これらを総合勘案すれば,本件商標が,引用商標にかかる指定役務と類似する「ランプシェード」に使用されれば,引用商標との間で出所について誤認・混同されるおそれがある。よって,本件商標は,引用商標と類似する。
以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第18号について
ア 本件商標の立体的形状は,機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標である。以下,その理由を述べる。
イ ヘニングセンは,照明器具のデザインを通じて,光をコントロールすることを生涯のテーマにしていた。特に,光のまぶしさ(グレア)を解消し,光源を最も効率良く,効果的に活用するために,本件商標に係る立体的形状を用いた。
さらに,本件商標に係る製品は,最上部にシェードを一枚追加し,シェード内に小さな反射板を設けることで,シェードの隙間からの眩しさを遮り,また,できる限り電球のサイズや位置を問わない汎用性をもたせた。
結果として,本件商標に係る製品は,ランプ周囲に対する光ムラが極めて少なく,光源から手元まで,適切な明るさが届くように,光がコントロールされている。
ウ 本件商標の立体的形状のうち,いずれの構成が欠けても,ランプシェードとしての最適な光のコントロールは得られない。
つまり,本件商標の立体的形状は,全ての構成が有機的に結合することによって,上述の機能を発揮させるために不可欠な,ランプシェードの基本デザインともいえるべきものである。
エ したがって,本件商標の立体的形状は,機能を確保するために必ず取らざるを得ない不可欠な立体的形状である。
オ 以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第18号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号について
ア 本件商標が取得された前後の経緯
(ア)請求人の事業活動
請求人の親会社にあたる,株式会社アイエーシーインターナショナル(以下「請求人親会社」という。)は,輸入自動車の輸入・販売を主たる業務としていたが,20年以上前から,完成車両のみならず,自動車部品の輸入・販売も行なっていた。
請求人親会社は,この部品輸入に関する知識を生かし,平成17年頃からは,海外より照明器具やインテリア用品の輸入し,ネット販売を行っていた。
その後,請求人親会社は,主業務に専念することとし,本格的にインテリア用品の輸入販売業務を拡大するため,請求人を平成19年7月17日に設立した。
設立後,請求人は,自身の屋号で,海外より照明器具やインテリア用品の輸入し,ネット販売を今日まで行っている。
(イ)引用商標取得の経緯
引用商標を出願した,平成25年6月14日当時,請求人は,商品の販売に際し,意匠権などが消滅したデザインを用いて生産される商品であるリジェネリック・リプロダクト品であることを製品に大きく表示して販売していた。
これに対し,被請求人ら(被請求人及び被請求人の子会社)は,製品の販売に際して,製品に正規品と大きく表示していた。
販売価格も,請求人の照明器具は,2万2500円程度であるのに対し,被請求人らの商品は,「正規品」であることを強調し,販売価格も8万5000円と非常に高額であり,購買層も全く異なるものであった。
このように,請求人商品と被請求人ら商品とは,全く競業関係にはない状況であった。
ところが,被請求人らより,請求人の商品販売を禁止する通知を内容証明郵便で受けた。
請求人は,被請求人らの権利を何ら侵害していないはずであるのに,かかるいいがかりを受けたことから,自身の事業と権利を守る方策を検討し,主力商品であり現実に権利侵害をしていると名指しされた照明器具の図形を商標登録し,平成25年12月27日に査定された。
(ウ)本件商標の取得と輸入差止申立
被請求人は,平成28年2月11日に,本件商標を取得するや,わずか3ヶ月後である,同年5月11日には,請求人及び親会社のみを標的とする輸入差止申立を行うに至った。
しかも,下記2(2)イのとおり,本件商標は,「照明器具」では,取得できず,その部分である「ランプシェード」に限定して取得されており,商標権は「ランプシェード」にのみ及び,「照明用器具」には及ばないことを熟知しながら,輸入差止申立を行っている。
(エ)このような本件商標取得の経緯から,商標申請の目的は商標の取得そのものではなく,これを用いた輸入禁止申立等の請求人への業務の妨害であることは明らかであり,このような取得目的は,社会的妥当性を欠き,許されない。
イ 本件商標は,日本国以外では,商標登録されていないこと。
創作者であるデザイナーですら,その故国で,商標権を取得できない立体形状が,日本国で,しかも,デザイナーから何ら権利承継もしていない被請求人の商標として登録されたことは,誤りであることが明らかである。
また,デザイナーから何ら権利承継もしていない,被請求人の商標出願は,他人の標章の盗用であり,このような国際信義を損なう出願は,商標法第4条第1項第7号に該当し無効とされるべきものである(甲14)。
ウ したがって,本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
(1)被請求者は,ヘニングセン及び,その相続人から,何ら権利を承継していないこと。
ア 被請求人は,商標法第3条第1項第3号(同法第3条第2号非該当)に関する主張につき,特許庁が「本願商標は,ヘニングセンが1958年にデザインし,出願人が,現在に至るまで55年以上,ヘニングセン及び同氏の子息との協約に基づいて」と認定した,ことで,商標登録できる権限を有しているという。
イ しかし,本件や,無効2017−890003号事件と,これに対する東京知財高裁の,平成29年(行ケ)第10004号事件においても,被請求人が,ヘニングセンまたは,その子孫から,そのデザインに関する知的権利の使用を許諾されたなど,知的権利を独占できる,何らの権限も証明できていない。
そうすると,ヘニングセンから何ら権利を承継していない被請求人が「PH−5」の立体的形状のランプシェードについて商標登録を得るということは,商標法第4条第1項第10号又は同項第15号に該当する。
(2)被請求人の商標取得は,請求人のみを対象に権利行使するために取得され,濫用的に用いられていること
被請求人は,本件商標を濫用的に用いており,本件商標の権利は,その指定商品「ランプシェード」のみに及び「照明用器具」には,及ばない。
ア 被請求人は,本件商標を取得するにあたり,「照明用器具及びその附属品」を含む登録出願時の指定商品では,自他商品識別機能を果たさないものと特許庁から認定され,商標登録を拒否された。
そこで,被請求人は,平成26年8月8日,指定商品を「ランプシェード」と変更したのである。
この事実から,特許庁及び被請求人は,本件商標では,指定商品を「照明用器具」にはできない,すなわち,「照明用器具」には,権利は及ばないと判断していることは明らかである。
そうすると,本件商標の権利は,指定商品「ランプシェード」にのみ及び,「照明用器具」には及ばないことは,商標登録申請の経過から明らかである。
イ 請求人の輸入品は,「照明用器具」であり,「ランプシェード」ではないこと
「ランプシェード」は,「照明用器具」を部品として構成するものであり「ランプシェード」は,「照明用器具」の一部にすぎない。
そこで,「照明用器具」には,その部分としての「ランプシェード」は含まれるが,反対に,単なる部分にすぎない「ランプシェード」に,「照明用器具」は含まれないと解するべきである。
そして,「照明用器具」は,電球取付部分及びその余の部分に分けることができるが,本件では,分割された部分のみを対象に考慮してはならない。
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
なお,乙第2号証には,本件商標の査定不服審判において提出した甲第1号証ないし甲第224号証を含むところ,本審決では,当該甲各号証を乙第2号証の枝番号として,乙第2号証の1ないし乙第2号証の224のように記載する。
本件商標は,拒絶査定不服審判(不服2015−764)を経て登録された。
当該拒絶査定不服審判の審決は,審査基準に記載された項目を,被請求人が提出した多数の証拠に照らしながら検討し,これらを総合的に判断した結果,「本願商標は,その指定商品『ランプシェード』について,出願人により,長年の間,継続的に使用をされた結果,需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものと判断するのが相当であるから,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備している」と認定した(乙3)。
したがって,本件商標は,請求人が主張する審査基準の項目に沿って,商標法第3条第2項が認められている。
これに対して,請求人が本件商標の無効を主張して提出している証拠は,以下の3件(甲4〜甲6)のみである。
甲第4号証は,2016年上半期の日本における屋内家庭用照明器具の販売台数を証明するもの,甲第5号証は,1997年度のグッドデザイン賞受賞製品は842点であることを証明するもの,甲第6号証は,証明書に署名したデンマーク大使の任命期間を証明するものである。
これらはいずれも,被請求人が上記審判において提出した証拠,すなわち,「被請求人の製品の販売台数」(乙2の217)や,「グッドデザイン賞の受賞」(乙2の3)や,「デンマーク大使の証明書」(乙2の219)が真実でないことを証明する証拠(反証)ではない。
したがって,請求人のわずか3つの証拠によって,本件商標が商標法第3条第2項の要件を具備したとする上記拒絶査定不服審判の審決の判断が覆されると認めることはできない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第2項の要件を具備する。
(1) 商標の類否に関する請求人の主張の誤り
請求人は引用商標を引用して,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨を主張しているが,請求人が引用商標の要部を「本件商標中,最も需要者の注意を引くのは,中央に位置し,他の構成部分より大きく描かれた・・・図形部分であるから,当該図形部分を要部として抽出し」としていることが,すでに誤りである(乙4)。
さらに,請求人は,本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当すると主張しながら,引用商標においては照明器具の平面図形は自他商品識別力を有し要部であると主張しており,自己矛盾を起こしている。
(2) 請求人の登録商標の無効理由
引用商標は,被請求人の周知著名な製品の平面図形を不正に取り込んだ,いわゆる「悪意の商標登録出願」であるため,商標法第4条第1項第19号ほかの無効理由をあげて,無効審判(無効2017−890003)を請求した(審決注:当該無効審判は,上記第2のとおり,無効とすべき旨の審決がされ,平成30年8月10日に確定審決の登録がされ,同月29日にその登録が抹消された。)。
上記のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
本件商標は,機能を確保できる代替的な形状が多数存在している。被請求人の製品である「PH4/3」「PH5−41/2」「PHスノーボール」「エニグマ425」「コラージュ4500」「ドゥー・ワップ」「パークフース」等で,どれも個性的な形状のランプシェードを有しながら,本件商標のもつ機能を確保しており,同程度の費用で生産できるものである。
請求人は,これらの製品は「いずれも本件商標とは用途が異なる。したがって,代替的形状とはいえない」としているが,これらの製品は本件商標と同様に照明器具であり,用途は同じである。
よって,本件商標は,商品等の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなるものでないことは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第18号に該当しない。
請求人の主張は,被請求人が請求人の業務を妨害する目的で本件商標の商標権を取得したため,本規定に該当すると主張しているが,被請求人はこれまでも被請求人の権利を侵害する侵害者に対しては,請求人に対するのと同様に警告を行ってきた。平成25年11月には,請求人を含め,全10社に対して警告を行っている。この中で,不当にも未だに侵害行為を止めないのが請求人のみであるため,被請求人は,正当な権利行使を行っているものであり,請求人が指摘するような事情は全くない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は,別掲1のとおりであるところ,本件商標の指定商品との関係では,単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお,この点について,被請求人は主張していない。
(2)商標法第3条第2項について
ア 本件商標の周知性について
被請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実を認めることができる。
(ア)本件商標に係る商品の販売状況
被請求人は,1958年(昭和33年)に,デンマークのデザイナーであるヘニングセンがデザインした本件商標に係る商品(以下「本件商品」という。)の販売を開始し,各国の現地法人や販売代理店を通じて,本件商品を含む,「PHランプ」又は「PHシリーズ」と称される照明用器具の販売を世界的に展開している(乙2の1,5,6,8,12,19,30,40,66,82,100,193,197等)。
日本においては,遅くとも1976年(昭和51年)頃から本件商品の販売が開始され(乙2の158),日本における1999年(平成11年)から2014年(平成26年)までの間の本件商品の販売数量は,7万4627台であり,最近の本件商品の販売数量は,2010年(平成22年)が4458台,2011年(平成23年)が4920台,2012年(平成24年)が5062台,2013年(平成25年)が6858台,2014年(平成26年)が7006台であった(乙2の217)。
(イ)本件商品の取扱い地域
被請求人の顧客リスト(乙2の157)には,全国の建築設計事務所,住
宅メーカー,インテリアコーディネーター,インテリアショップ,百貨店,
インテリア雑誌社及び広告関係等の約5000社(人)(同一法人の重複分
を含む。)が掲載されており,本件商品を含む被請求人の商品は,全国の家具店等で取り扱われている。
(ウ)本件商品の広告宣伝等
日本における本件商品の輸入,販売等を行う株式会社YAMAGIWA(旧商号「株式会社ヤマギワ」。以下「ヤマギワ」という。)や被請求人の100%子会社である「ルイスポールセン ジャパン株式会社」(旧商号「タルジェッティ ポールセン ジャパン株式会社」。以下「被請求人日本法人」という。)は,1976年(昭和51年)頃から2014年(平成26年)頃までの間,本件商品が掲載された商品カタログを定期的に作成し,被請求人の顧客等に配布した。これらの商品カタログの多くでは,1頁全部か1頁の大部分にわたって本件商品の写真が大きく掲載され,本件商品が世界のロングセラー商品であり,ペンダント照明の名作である等の説明がされていた(乙2の158〜178,180〜182,184〜189,191〜195,197〜204,206〜210,212,214)。
(エ)本件商品の出版物等への掲載
ミサワホーム株式会社が2011年(平成23年)及び2012年(平成24年)に発行した商品カタログには,本件商品の写真と説明文が掲載されており,「言わずと知れたポール・ヘニングセンの代表作PH5。一度は目にしたことがあるのでは?」等の説明がされていた(乙2の217,218,219)。
本件商品は,1984年(昭和59年)から2014年(平成26年)までの間に発行された,照明又はインテリアの雑誌やカタログ,その他の書籍等の多数の出版物で紹介された。これらの出版物においては,本件商品の写真や説明文が掲載され,本件商品の説明として,例えば,世界で50万台を越す販売数量を記録するロングセラー商品であり,世界中で愛用されていること,照明デザインの歴史を変えた名作とされ,世界中で数多くの模倣品を生んでいること,デンマークの国民的ランプと称され,北欧のみならず世界のスタンダードの座におそらく21世紀も君臨すると予想されること,20世紀を代表する古典と呼べる名品であること等が記載されていた(乙2の2,4〜63,69)。
(オ)受賞歴
本件商品は,「名作といわれる器具の形を変えることなく内部構造の見直しを図り,より適応性の高い商品に仕上げたことが評価された」として,平成9年度通商産業省選定グッド・デザイン外国商品賞インテリア用品部門を受賞した(乙2の3)。
(カ)教科書への掲載
日本文教出版社が発行する高等学校の教科書である「高等学校芸術科工芸I」(平成24年3月5日検定)には,「あかり−ライティングデザイン」との標題の下に照明器具に関する説明や複数の写真が掲載されており,本件商品の写真が「モダンデザインの代表的ペンダント(審決注:天井からつるす照明) PH5」などという説明とともに掲載されている(乙2の1)。
イ 判断
本件商標について検討すると,本件商標は,一般的なランプシェードの形状としてありふれたものであるとはいえず,特徴的な形状として需要者に対して強い印象を与えるものといえる。
そして,上記ア(ア)のとおり,本件商品は,遅くとも昭和51年に日本国内における販売が開始され,日本全国で約40年間にわたり継続して販売されており,平成11年から平成26年までの間の本件商品の販売数量は7万4627台であり,上記(ウ)のとおり,ヤマギワ又は被請求人日本法人が定期的に全国の多数の顧客に対して配布していた商品カタログにおいて,本件商品の写真や本件商品が世界のロングセラー商品であること等の説明が掲載され,本件商標を印象づける広告が繰り返しされていること,上記(エ)のとおり,多数の出版物において,本件商品の写真や説明文が掲載され,本件商品が世界のロングセラー商品であり,本件商標が優れたデザインであることが強調されていること,上記(オ)のとおり,本件商品が平成9年度通商産業省選定グッド・デザイン外国商品賞を受賞したこと,上記(カ)のとおり高等学校の教科書にも本件商品の写真や説明文が掲載されていることが認められ,これら本件商品の販売状況や広告宣伝状況等の事実からすると,本件商品は日本を含む世界のロングセラー商品として長年にわたり,被請求人やその関連会社が販売する代表的な商品として,インテリアの取引業者や照明器具等に関心のある一般消費者に認識されていると認めることができる。
以上によれば,ランプシェードとして特徴的な形状を有する本件商標は,本件商品の形状として使用された結果,被請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていたといえる。
ウ したがって,ランプシェードの立体的形状である本件商標は,「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当し,商標法第3条第2項の要件を具備するものである。
引用商標に係る商標権は,上記第2のとおり,商標登録の無効審判により,無効とすべき旨の審決がされ,平成30年8月10日に確定審決の登録がされ,同月29日にその登録が抹消されている。
したがって,引用商標に係る商標権は商標法第46条の2の規定により,初めから存在しなかったものとみなされることから,本件商標と引用商標の類否につて論及するまでもなく,本件商標は,同法第4条第1項第11号に該当するものではない。
請求人は,本件商標は,周辺の人の顔がはっきりと認識できる明るさを保ちつつ,光源のまぶしさによる不快感をほぼ完全に排除し,手元にも必要十分に明るくすることができるという機能を確保するために不可欠な立体的形状であると主張する。
しかしながら,ランプシェードの形状は,シェードの枚数,形状,向き又はそれらの組合せなどにおいて複数の選択肢があり,本件商標も複数の選択肢があるランプシェードの形状の一つであり,上記機能を達成するためのランプシェードの構造が本件商標のみに限られることを認めるに足りる証拠はない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第18号に該当するものではない。
(1)請求人は,被請求人は請求人及びその関連会社による請求人の製造に係る商品(以下「請求人商品」という。)の輸入差止め等の業務妨害を行うために本件商標を登録したのであるから,本件商標は公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に当たる旨主張する。
被請求人は,請求人が請求人商品の販売を開始した後に本件商標を商標登録出願し,本件商標を登録後,直ちに請求人及び親会社に対する請求人商品等の輸入差止めを申し立てたと認められる(甲8,甲9,甲13)。
しかし,世界のロングセラー商品であり,世界的に高い評価を受けている本件商品のブランド価値を守るため,被請求人が,需要者の間で自らの業務に係る商品であることを表示するものとして認識されている本件商標について商標登録を行い,本件商品の模倣品(請求人は,請求人商品が本件商品のリジェネリック・リプロダクト品であると公表している。)である請求人商品の輸入差止めの申立て等を行うことは何ら不当なことではなく,本件商標の商標登録の目的が不正なものといえないことは明らかである。そして,他に本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であると認めるに足りる証拠はなく,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるとはいえない。
(2)請求人は,被請求人は,本件商標を濫用的に用いており,本件商標の権利は,指定商品「ランプシェード」のみであり,「照明用器具」には,及ばないし,本件輸入品は,「照明用器具」であり,「ランプシェード」ではない。したがって,本件商標の権利は,本件輸入品には及ばず,輸入差止は許されない旨主張する。
確かに,商標法第25条には「商標権者は,指定商品又は指定役務につい登録商標の使用をする権利を専有する。」とある。
しかしながら,侵害とみなす行為は,商標法第37条第1号に規定されているとおり,「・・・指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用。」であり,同条に該当する行為であれば,同法第36条に基づき,差止めを請求できるものである。
そして,本件商標の指定商品「ランプシェード」は,商品「照明用器具」を構成する部品であることは明らかであるから,商品「ランプシェード」と商品「照明用器具」は類似する商品というのが相当である。
そうすると,請求人が認めるように請求人の照明器具が本件商品のリジェネリック・リプロダクト品であることを踏まえると,被請求人が本件商標の商標権に基づいて輸入差止申立てをしたことは不当であるとはいえない。
(3)したがって,本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
(1)請求人は,「(ア)私人間の契約たるデザイナーとの協約のみを理由に,商標権者が日本市場で登録商標の立体的形状を独占的に使用していたとする主張には,根拠がない。(イ)本件商標が掲載されているカタログ,インターネット販売サイトには多数種類の照明器具が掲載されていて,本件商標の立体的形状のみが着目されるとする理由は無い。(ウ)日本国内における本件商品の販売数は,1999年から2014年の間に約7万5千台であり,参考であるが,本件商標の日本のマーケットシェアは0.4%強でしかない。(エ)被請求人のカタログの配布はわずか5千人であり,同一法人に所属する個人が多数含まれている。(オ)顧客リストに掲載されているのはインテリアの専門家であり一般需要者ではない。(カ)グッドデザイン賞は,有料で申請した製品が審査されて受賞されるものであり,1997年度は25,524点の申請に対して842点が受賞していており,本件商標はそのひとつにすぎない。及び(ク)本件商標が需要者の間で広く知られている旨を証明するため,被請求人が提出した証明書に署名している者は,照明器具のデザインの専門家やわずか4年駐在した駐日デンマーク大使であり,該証明書も定型的な印刷物に署名をしたものである。」等を理由に,本件商標は,商標法第3条第2項の要件を具備しない旨を主張する。
しかしながら,上記1(2)のとおり,本件商標は,我が国において,本件商品の形状として遅くとも昭和51年頃から使用された結果,被請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていたといえるものであるから,商標法第3条第2項の要件を具備するものである。
(2)請求人は,「平成30年11月13日付け弁駁書において,被請求人は,ヘニングセン及びその相続人から何ら権利を承継していないから,被請求人による本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号又は同項第15号に該当する。」旨主張する。
しかしながら,上記の主張は,その無効の審判の請求の理由において主張されていなかったものである。
そうすると,当該無効の審判の請求後に新たな主張を追加することは,請求の理由の要旨を変更するものであるから,請求人の上記無効の理由の追加は,商標法第56条において準用する特許法第131条の2第1項(第2号及び第3号を除く。)の規定により認めることはできない。
(3)請求人は「創作者であるデザイナーですら,その故国で,商標権を取得できない立体形状が,日本国で,しかも,デザイナーから何ら権利承継もしていない,被請求人の商標として登録されたことが誤りであることは明らかである。また,デザイナーから何ら権利承継もしていない商標出願は,他人の標章の盗用であり,このような国際信義を損なう出願は,商標法第4条第1項第7号に該当し無効とされるべきものである。」旨主張する。
しかしながら,本件商標をいずれの国において登録するのかは,被請求人の選択に委ねられているものであるから,外国において商標登録がないからといって,当該国において商標権を取得できないというものではない。
また,被請求人とヘニングセンは,1925年(大正14年)より共同で照明器具を製造,販売していることから(乙2の6,217,219),ヘニングセンの死後もその相続人との間で照明器具の販売に関する契約が継続されている(甲10)ことに不自然な点はない。
(4)したがって,請求人の上記主張はいずれも採用できない。
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものの,同条第2項の要件を具備するものである。
また,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第18号及び同項第7号のいずれにも該当するものでなく,その登録は,同条第1項の規定に違反してされたものではない。
したがって,本件商標は,商標法第46条第1項により,無効とすることはできない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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