Trademark Appeal Case
自閉症VRの記述性判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−17206(T2019−17206/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「自閉症体験VR」の文字を標準文字で表してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,運動用具の貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与」を指定役務として、令和元年7月5日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「『自閉症体験VR』の文字を標準文字で表してなるところ、『自閉症』の文字は『脳の機能障害あるいは成熟の遅れが原因と考えられている障害。』の意味を、『体験』の文字は、『自分で実際に経験すること。また、その経験。』の意味を、『VR』の文字は『Virtual Reality(バーチャルリアリティ・仮想現実)の略称。』の意味を有するものであり、教育の分野などにおいて、統合失調症や認知症などの病気について理解を深めることを目的として、実際にVRを使用して、それらの病気を体験するというサービスが提供されている実情があることから(別掲1)、本願商標の構成全体より『自閉症を体験できるVR』程の意味合いが容易に認識されるものとみるのが相当である。したがって、本願商標をその指定役務中『技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供』に使用しても、これに接する需要者、取引者は、『自閉症を体験できるVRに関する役務』であることを認識するにとどまり、役務の質を表示するものであるから、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。また、前記意味合いに照応する役務以外の『技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供』に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審おける証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、令和2年2月12日付け証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
4 職権証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、前記3の通知に対して、令和2年3月13日受付けの手続補正書において、要旨以下のとおり意見を述べた。
(1)「VR」の文字はあくまでも「コンピューターの中で、現実に近い仮想空間を表現する技術」を表すため、原審説示の「自閉症を体験できるVR」は、「自閉症を体験できる仮想空間を表現する技術」を意味するのであり、技術は、物ではなく、無体物であり、役務の提供の用に供する物には該当しない。
(2)「自閉症体験VR」の語は、「自分が自閉症になったような疑似体験ができる」の意味合いのほか、「自閉症患者がいる仮想空間に自分が入り込んでケアの疑似体験をする」の意味合いも生じ、いまだ漠然とした意味合いを想起させるにとどまるものであり、これをもって直ちに役務の質等を具体的かつ直接的に表したものと理解、認識させるとまではいい難い。
(3)証拠調べ通知書における各使用例は、「自閉症体験VR」自体の記載もなく、「自閉症体験VR」の語の具体的な意味合いを示す記載も示唆もないことから、原審説示内容を裏付ける証拠資料たり得ない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「自閉症体験VR」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中「自閉症」の文字は「幼児期早期に始まる精神発達障害。」を、「体験」の文字は「自分が身をもって体験すること。また、その経験。」を、「VR」の文字は、「virtual reality(バーチャルリアリティ)」の略で、「コンピューターの作り出す仮想の空間を現実であるかのように知覚させること。」(いずれも岩波書店「広辞苑第七版」)の意味を有する語である。
そして、本願商標を構成する各語の意味と、別掲の「VR」及び「バーチャルリアリティ」の語の使用例を考慮すると、本願商標全体からは、「自閉症を体験するバーチャルリアリティ」、「自閉症を体験するためのバーチャルリアリティ用装置・機器」の意味を容易に理解、認識させるものというのが相当である。
また、各種研修、セミナー、イベントにおいては、その会場等において、開催テーマに則した装置や機器類を使用することや、施設において同装置や機器類を配備することは、通常行われていることである。
そうすると、標準文字からなる本願商標を、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」に使用した場合には、これに接する需要者、取引者は、「自閉症体験VR」の文字を、セミナーや興行等のテーマ若しくは使用する装置(機器)を普通に用いられる方法で表したものと理解し、当該役務が「自閉症を体験できるバーチャルリアリティをテーマとした知識の教授,同セミナーの企画・運営又は開催,同興行の企画・運営又は開催」、「自閉症を体験できるバーチャルリアリティ装置を使用した知識の教授,同セミナーの企画・運営又は開催,同興行の企画・運営又は開催」及び「自閉症を体験できるバーチャルリアリティ装置を備えた施設の提供」であることを認識するにとどまると判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、役務の質、提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示した標章のみからなる商標というべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標を上記以外の「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」に使用するときは、その役務が上記役務であるかのように、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるというのが相当であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張
請求人は、「VR」の文字はあくまでも「コンピューターの中で、現実に近い仮想空間を表現する技術」を表すため、原審説示の「自閉症を体験できるVR」は、「自閉症を体験できる仮想空間を表現する技術」を意味するのであり、技術は物ではなく無体物であり、役務の提供の用に供する物には該当しない主張している。
しかしながら、別掲2の1.に示す事例によれば、「VR」の語は、「仮想空間を表現する技術」としてだけでなく、「VRを装着したプレイヤーがモンスターとなり、他のプレイヤーは小さなヒーローとなってモンスターと戦います。」(別掲2の1.(2))や、「実物大の本物に乗り、VRを着けてバーチャルリアリティで楽しみませんか?」(別掲2の1.(3))のように、「VR」を体験若しくは体感するための装置そのものを表す語として使用されている実情が見受けられる。
そうすると、本願商標は、提供の用に供する物を表したものとも認識するというのが相当であり、単に「自閉症を体験できる仮想空間を表現する技術」の意味を表すにとどまるということはできない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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