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Trademark Appeal Case

色彩のみ商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−14192(T2017−14192/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおり、黄色(PANTONE:129C)と茶色(PANTONE:188C)の色彩の組合せのみからなる商標であって、第5類「風邪薬」を指定商品として、平成27年4月27日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願の指定商品を取り扱う業界において、別掲2のとおり、様々な色彩の組合せが、商品の魅力向上等のために選択されている実情があり、本願商標をその指定商品の包装に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の包装に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。また、出願人が提出した証拠からは、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものと認めることはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲3に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、平成31年1月28日付け証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

第4 職権証拠調べ通知に対する請求人の意見

請求人は、前記第3の通知に対して、平成31年2月28日付けで提出した意見書において、要旨以下のとおり意見を述べた。

1 証拠調べ通知書における各使用例は、商品の包装に本願商標の色彩と似た色彩が用いられているものの、本願商標を構成する黄色と茶色の組合せ並びにその配置及び割合とは異なる。

2 本願商標は「風邪薬」を指定商品としているところ、各使用例は「胃腸薬」や「生薬」に係るものであり、「風邪薬」と取り違えるおそれはゼロに等しく、「風邪薬」と「胃腸薬」及び「生薬」とは明確に区別され、混同誤認のしようがない。

3 したがって、色彩のみからなる商標については、たとえ同じ医薬品業界において取り扱われる商品であっても、「風邪薬」と「胃腸薬」及び「生薬」とは非類似とみるべきであり、使用例の存在が、本願商標が獲得した「風邪薬」に関する自他商品識別力に影響を及ぼすことはない。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第6号該当性について

(1)本願商標について

本願商標は、前記第1のとおり、黄色(PANTONE:129C)と茶色(PANTONE:188C)の組合せからなる色彩のみからなる商標であって、配色は、上から順に、黄色が商標の16%、茶色が商標の3%、黄色が商標の4%、茶色が商標の17%、黄色が商標の36%、茶色が商標の11%、黄色が商標の13%であり、第5類「風邪薬」を指定商品とするものである。

(2)取引の実情について

色彩は、商品そのものやその包装はもとより、その商品の広告等においても、商品の魅力向上等に資する装飾等として、一般に広く使用されているものであるから、例えば、文字や図形等と組み合わせるなど、具体的な形態を伴う場合はともかく、そのような形態を伴わない場合には、これに接する者は、通常、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

そして、商品そのものやその包装には、様々な色彩が用いられており、黄色や茶色は特異な色彩であるとはいえない上、本願商標を構成する黄色及び茶色と同系色の色彩についても、別掲2及び別掲3のとおり、本願の指定商品である「風邪薬」を含む医薬品を取り扱う業界において、商品の包装に使用されている実情がある。

(3)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について

本願商標は、上記(1)のとおり、配色、順番及び割合を指定した黄色と茶色の組合せからなる色彩のみからなる商標であるところ、商品の包装の色彩等は、一般的に、商品の魅力向上等に資する装飾等と認識されるものであることを考慮すると、本願商標は、商品の魅力向上等に資する目的で使用される色彩の一類型であると判断するのが相当である。

また、上記(2)のとおり、本願の指定商品である「風邪薬」を含む医薬品を取り扱う業界において、別掲2及び別掲3に示すとおり、医薬品の包装に本願商標を構成する黄色と茶色の色彩と似た色彩が様々な配色、順番及び割合で使用されていること、本願商標を構成する黄色及び茶色は特異な色彩ではないことからすると、配色、順番及び割合を指定した黄色と茶色の組合せからなる本願商標は、それ自体に他の同種色彩の用いられ方とは異なる顕著な特徴があるものとはいえない。

そうすると、本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者は、その商品の包装等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

2 使用による識別力の獲得について

請求人は、「請求人の長年の使用により、本願商標は独立して自他商品を識別する出所表示としての機能を有し、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標であるため、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。」旨主張し、証拠方法として原審及び当審において甲第1号証ないし甲第31号証(枝番号を含む。)を提出している。

これらの証拠及び請求人の主張によれば、以下のとおりである。

(1)請求人による本願商標の使用状況について

ア 本願商標と使用商標との同一性、使用態様

請求人は、1958年に黄色と茶色の商品パッケージの「ジキニン」という名称の風邪薬の販売を開始し、「黄色いジキニンシリーズ」として、黄色と茶色の組合せを統一して使用していると主張しているところ、請求人の業務に係る「風邪薬」である「新ジキニン顆粒」、「ジキニンC」、「新ジキニンD錠」、「ジキニン顆粒A」、「ジキニン顆粒エース」、「ジキニン総合感冒薬」等のシリーズ商品(以下「黄色いジキニンシリーズ商品」という。)のうち、「新ジキニン顆粒」の商品パッケージの正面において、本願商標と同一視し得る配色、順番及び割合で黄色と茶色の色彩が使用されており、当該パッケージ正面の構成中、右上と左下の角が丸みを帯びた茶色の長方形の図形の中に、「新ジキニン顆粒」の白抜き文字が特徴のある文字で顕著に表示されている(甲1の2、甲2、甲3)。

なお、請求人の主張によれば、当該商品パッケージに記載された文字のうち、「新ジキニン顆粒」を除く他の文字は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の規定により記載が義務づけられた事柄を中心とした必要最小限の情報である。

イ 使用商品の提供開始時期、提供期間

請求人は、上記アのとおり、1958年に黄色と茶色の商品パッケージの「ジキニン」という名称の風邪薬の販売を開始し、その後、商品バリエーションを増やし、黄色いジキニンシリーズ商品を形成するに至っているものの、当該シリーズ商品においては本願商標とは異なる配色、順番及び割合で黄色と茶色の組合せが用いられたり、白、赤、オレンジ、緑、青等の他の色彩が用いられたりしている(甲1の2)。

また、請求人は、本願商標と同一の配色、順番及び割合で黄色と茶色の組合せを使用した「新ジキニン顆粒」の商品パッケージを1983年4月の発売以降30年間使用しており、その配色、順番及び割合は発売当初より変わっていないと主張している。

ウ 使用商品の提供地域

請求人の取扱いに係る風邪薬(以下「請求人商品」という。)は、薬局、ドラッグストア等で一般の需要者が自ら選択して購入できるOTC医薬品として、全国において商品展開されていることが推察される(甲9、甲10)。

エ 使用商品の提供実績

「店頭向医薬品市場の販売動向」をまとめたSDIアニュアルレポート2009、2011及び2013(株式会社インテージ調べ)によれば、黄色いジキニンシリーズ商品全体の2008年度ないし2013年度の販売個数は、各年度約878万個ないし約1,091万個、販売金額は各年度約54億円ないし約67億円で推移しており、同時期の市場シェアは、販売個数では10.6%ないし12.3%、販売金額では5.8%ないし6.9%で推移している(甲12)。

市場における位置付けとしては、薬効を限定せず、あらゆるOTC医薬品の販売推移をまとめた「店頭向け医薬品(OTC医薬品)ベスト100銘柄の販売個数推移」によれば、黄色いジキニンシリーズ商品全体の販売個数は、2008年ないし2013年の間に、第15位ないし第28位を推移している(甲12)。

また、薬効別の販売個数は、総合感冒薬の分野において、2007年度ないし2009年度は第2位、2010年度ないし2013年度は第3位であった(同上)。さらに、薬効別の販売金額は、総合感冒薬の分野において、2007年度ないし2008年度は第5位、2009年度ないし2013年度は第4位であった(同上)。

なお、請求人の主張によれば、「新ジキニン顆粒」に限定すると、2014年度の販売個数は約194万個、販売金額は約18億円である。

オ 広告宣伝の期間・地域及び規模

請求人は、黄色いジキニンシリーズ商品の発売当初よりテレビCMを放映しており、本願商標に係る「新ジキニン顆粒」の商品パッケージが映し出されたテレビCMは、2010年度ないし2013年度の間に、全国の79放送局において、合計18,242回放映していることが把握できる(甲14)。当該テレビCMの内容は、例えば、「かぜに効く黄色_美女編(2010年度)」と題されたテレビCMにおいては、薬局に風邪薬を探しにやってきた男性が「黄色、黄色、かぜに効く黄色は・・・」とつぶやきながら商品を探す場面から始まり、「新ジキニン顆粒」の商品パッケージが映し出されるというようなものである(同上)。

また、請求人は、公共交通機関広告として、東京メトロ、東急電鉄、JR西日本(大阪)、阪急電鉄、名古屋地下鉄、福岡地下鉄、西日本鉄道において、2014年11月の1か月間、また、名古屋鉄道で同年11月4日ないし12月1日までの間、横20センチメートル、縦15センチメートル程の長方形の右半面中央に「新ジキニン顆粒」の商品パッケージを、その下に「新ジキニン顆粒」の文字を表示した広告ステッカーを車内のドアや窓に掲出したことがうかがえる(甲15の2、甲15の4)。

さらに、請求人は、新聞広告として、1970年1月ないし2015年1月に「月刊みすみ」新聞(全薬工業株式会社発行)において「新ジキニン顆粒」を含む黄色いジキニンシリーズ商品の広告を掲載している(甲16)。また、雑誌広告として、「いきいき12月号」(2014年11月10日:いきいき株式会社発行)や「オレンジページ12/17号」(2014年12月2日:株式会社オレンジページ発行)など7つの全国誌に、片側1面を用いて右半面中央に「新ジキニン顆粒」の商品パッケージを、その下に「新ジキニン顆粒」の文字を表示した広告を掲載し(甲17)、1975年9月ないし2013年10月に「全薬ジャーナル」誌(全薬工業株式会社発行)において「新ジキニン顆粒」を含む黄色いジキニンシリーズ商品の広告を掲載したことがうかがえる(甲18)。

そして、請求人は、これらを総合した2010年ないし2015年の広告宣伝費用(テレビCM、公共交通機関広告、雑誌等への広告)の合計は、約12億2千万円であった旨主張している。

カ 商品パッケージの受賞について

請求人商品の「新ジキニン顆粒」の商品パッケージは、企業(団体)・行政が生活者に発信する様々な情報媒体を 「第三者」が客観的に評価し、優れたコミュニケーションデザインを表彰するUCDAアワード(一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会実施)において、「UCDA AWARD2012」のOTC医薬品、総合感冒薬の商品パッケージ部門で、「情報のわかりやすさ賞」を受賞しており、「家庭の常備薬としての穏やかな配色とデザインの好印象」が評価のポイントとして挙げられた(甲11)。

キ アンケート調査の結果

請求人は、当審における平成30年6月8日付け上申書において、本願商標が請求人の長年の使用により識別力を獲得しているとして、本願商標の需要者の認識度に関するアンケート調査の結果を提出した(甲25)。

当該アンケート調査は、株式会社マイクロミルケアネットによるインターネットリサーチとして、平成30年3月16日ないし同月18日に実施された。回答者は、全国の20歳ないし74歳の男女2万人から、本願の指定商品の関連業種(薬品・化粧品等の製造業、同卸売・小売業、ドラッグストア・百貨店・スーパー・コンビニエンスストア等の卸売・小売業、医療関連業、マスコミ・メディア関連業、広告業、市場調査業、コンサルティング業等)に従事する者を除外した515人であり、市販の風邪薬の購入経験者に限定されている。質問内容は、本願商標を提示して思いついた商品名を自由に回答する純粋想起、他の風邪薬の商品名と共に「ジキニン」を選択肢として挙げ、本願商標を提示して、選択肢の中から商品名を回答する助成想起(複数回答可)、また、風邪薬の商品名の認知度を知るための質問(複数の選択肢の中から知っている風邪薬を選ぶもの)から構成されている。

当該アンケート調査の結果、純粋想起の質問では「ジキニン」との回答が「パブロン」(22.1%)に続き2位(14.4%)であり、助成想起の質問でも「パブロン」(24.7%)に続き2位(20.6%)であった。また、風邪薬の認知度を知るための質問の回答では、「パブロン」89.3%、「ルル」87.8%、「コンタック」73.0%、「ベンザ」68.5%、「エスタック」66.4%、「コルゲンコーワ」55.7%、「ジキニン」54.8%、「ストナ」52.4%、「プレコール」48.5%、「改源」41.2%の順であり、「ジキニン」は7位であった。

(2)判断

請求人は、1983年4月の発売以降30年間、黄色いジキニンシリーズ商品の中で「新ジキニン顆粒」の商品パッケージの正面に本願商標と同一視し得る配色、順番及び割合の色彩を使用している(甲16、甲18)。

しかしながら、当該商品パッケージに本願商標と同じ色彩が使用されているとしても、当該商品パッケージの構成中、「新ジキニン顆粒」の特徴のある白抜き文字が、右上と左下の角が丸みを帯びた特徴のある茶色の長方形の中に配置されており、当該文字部分が商品パッケージ正面の構成において見る者の注意をひく態様で顕著に商品の固有名称として表示されているものといえ(甲1の2、甲2、甲3)、本願商標と同じ配色、順番及び割合の黄色と茶色の組合せのみが、商品の出所表示として独立して需要者に認識されているものとはいい難い。

請求人は、本願商標を請求人商品に1983年4月の発売以降30年間使用していると主張しているが、黄色いジキニンシリーズ商品の中には、本願商標とは異なる配色、順番及び割合で黄色と茶色の組合せを使用したものや、白、赤、オレンジ、緑、青等の他の色彩も共に使用したものがある(甲1の2)ことからすれば、本願商標と同じ配色、順番及び割合の黄色と茶色の組合せのみが、商品パッケージに一貫して使用されてきたということはできない。

また、請求人の提出に係る小売店の医薬品売場の写真及びチラシ(甲9、甲10)並びに別掲2及び別掲3に見られるように、総合感冒薬を含む医薬品の商品パッケージに本願商標と似た暖色系の色彩を含め多種多様な色彩が一般的に用いられている実情を考慮すれば、本願商標が、他の色彩の使用例と比較して、印象に残りやすい、格別特徴のある色彩構成であるとみるべき事情は見当たらず、また、上記写真及びチラシを参照しても、医薬品売場において、請求人商品が特別目立っているということもできないから、需要者、取引者が本願商標と同じ配色、順番及び割合の黄色と茶色の組合せをもって、本願商標に係る商品である「新ジキニン顆粒」をはじめとする黄色いジキニンシリーズ商品を認識しているとみることはできない。

使用商品の提供に係る実績については、請求人が主張する商品の販売個数、販売金額、市場シェア及び市場における順位は、黄色いジキニンシリーズ商品全体のものであるところ(甲12)、黄色いジキニンシリーズ商品全体でみても、市場において圧倒的なシェアや順位を獲得しているとまではいい難い上、本願商標をその商品パッケージに使用していると認め得る「新ジキニン顆粒」の販売個数、売上高、市場シェア等は不明であって、本願商標を使用した商品の販売状況から、本願商標が識別力を有していることを推認することもできない。

広告宣伝については、2010年度ないし2013年度の間のテレビCM、2014年の公共交通機関における広告ステッカー及び1970年以降の新聞及び雑誌広告では、常に「新ジキニン顆粒」の文字と共に商品パッケージにおいて本願商標が使用されているものであり、本願商標の配色、順番及び割合の黄色と茶色の組合せのみが独立して取引者、需要者に認識されているというよりは、「新ジキニン顆粒」の文字によって、他の商品と識別されているとみるのが相当である(甲14、甲15の2、甲15の4、甲16〜甲18)。また、公共交通機関における広告ステッカーの掲出期間は1か月と短期間であること、新聞及び雑誌広告については、「月刊みすみ」新聞がどのような購読者に向けてどの程度頒布されている新聞であるのか不明であることからすれば、色彩が独立して請求人の商品表示であることの認知度は、提出された広告物の写しのみから推し量ることはできない。

加えて、請求人が主張する2010年ないし2015年の広告宣伝費用を、客観的に裏付ける資料は提出されていない。

また、請求人商品の「新ジキニン顆粒」のパッケージが、「UCDA AWARD2012」のOTC医薬品、総合感冒薬の商品パッケージ部門において、「情報のわかりやすさ賞」を受賞した事実は把握できるものの(甲11)、受賞の「評価ポイント」は、「パッケージの正面に効能効果が記載されており、わかりやすい。」、「家庭の常備薬としての穏やかな配色とデザインが好印象。」ということであって、当該賞を受賞した事実は本願商標が使用による識別力を獲得しているということに直ちに結びつくものとはいえない。

そして、アンケート調査の結果については、純粋想起の質問では「ジキニン」との回答が14.4%(2位)、助成想起では20.6%(2位)とされるが、純粋想起及び助成想起のいずれの質問においても、本願商標の画像を提示してもなお、黄色と茶色の組合せを用いていない「パブロン」と回答した者が最も多かった。また、風邪薬認知度調査の回答では、「パブロン」89.3%、「ルル」87.8%、「コンタック」73.0%、「ベンザ」68.5%等、他の風邪薬を回答する割合が相当高く、54.8%の「ジキニン」の回答率が特に高いとみることはできない(甲25)。

そうすると、当該アンケート調査の結果から、本願商標が請求人の取扱いに係る商品を表すものとして需要者の間に広く知られていると認めることはできない。

加えて、本願商標が黄色と茶色の色彩からなるものであるにもかかわらず、請求人は、本願商標に係る商品を「黄色いジキニンシリーズ」のように、テレビCM等を通じて「黄色い」ことを強調していることからすると、需要者は、本願商標に係る商品が「黄色い」商品であるというイメージを印象付けられるというのが自然であって、「黄色と茶色の組合せ」からなる色彩を使用した商品というイメージは印象付けられていないとみるのが相当である。

(3)小括

以上より、請求人の提出した甲各号証を検討しても、本願商標の配色、順番及び割合の黄色と茶色の組合せのみが独立して請求人の業務に係る「風邪薬」を表示するものとして取引者及び需要者の間で広く知られているということはできず、本願商標は、使用をされた結果、自他商品識別力を獲得し、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標に至っているということはできない。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、原審で示した事例である「カイゲン顆粒G24包」や、需要者が類似品を購入した事例として「ジキニッド顆粒」について、これらは請求人商品の類似品の例であって、商品パッケージの色彩と配置によって、請求人商品と区別はできても、何らかの関係があると誤解を招く可能性が高く、このような類似品が商品パッケージの色彩を真似ていることが、本願商標が請求人商品の出所識別標識として機能することを示している旨主張している。

しかしながら、請求人も「カイゲン顆粒G24包」や「ジキニッド顆粒」は、商品パッケージの色彩が本願商標と似ているとしても、需要者は請求人商品である「新ジキニン顆粒」とは区別できていると述べているように、通常、医薬品を求める需要者は、商品を手に取る際に、医薬品の商品名、製造会社、効果、効能に注意を払うと考えるのが自然であって、必ずしも商品パッケージの色彩や配置のみから誤解を招く可能性が高いとはいえない。

また、そもそも色彩は、商品の魅力向上等に資する装飾等と認識されるものであり、誰もが様々な色彩を採択使用するものであって、本来、識別標識として機能するものではないことからすれば、たとえ類似品が商品パッケージの色彩を真似たものであったとしても、そのことによって、本願商標が請求人商品の出所識別標識として機能することを示しているとはいえない。

(2)請求人は、本願商標は「風邪薬」を指定商品としており、証拠調べ通知における使用例(別掲3)は「胃腸薬」や「生薬」に係るものであるから、たとえ同じ医薬品業界において取り扱われる商品であっても「風邪薬」と「胃腸薬」、「風邪薬」と「生薬」とは非類似とみるべきである旨主張するとともに、これらの使用例は、商品パッケージに本願商標の黄色と茶色に似た色彩が使用されているものの、本願商標とは異なる配色、順番及び割合からなるものであるから、これらの使用例の存在が、本願商標が獲得した「風邪薬」に関する自他商品識別力に影響を及ぼすことはない旨主張している。

しかしながら、本願の指定商品である「風邪薬」と別掲2及び別掲3の使用例における「胃腸薬」や「生薬」は、いずれも「医薬品」であり、製薬会社が製造すること、薬局やドラッグストアで販売されていること、医薬品を求める需要者に販売されること等の事実を総合的に勘案すれば、両者は、製造者、販売場所、需要者を共通にすることの多い商品であって、これらに同一又は類似の商標を使用した場合には、商品の出所について誤認を生じさせるおそれがあるとみるのが相当であるから、両者は、互いに類似する商品であるといわざるを得ない。

また、別掲2及び別掲3のとおり、厳密には本願商標と異なる配色、順番及び割合からなるものであっても、一般の需要者が、商品の識別に当たり、その色彩の配色、順番及び割合までを子細に観察し、それぞれの色彩を異なるものとして明瞭に区別することは困難である上、本願商標の黄色と茶色に似た色彩を、互いに類似する商品の分野において他人も商品の包装に使用している実情からすると、需要者、取引者が、本願商標を請求人商品の出所識別標識を表すものであると認識する蓋然性は低いというべきである。

そして、本願商標は、上記2(3)のとおり、使用をされた結果、自他商品識別力を獲得し、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標に至っているということはできないものである。

(3)したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。 4 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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