Trademark Appeal Case
FINTECHの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−5783(T2019−5783/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年1月12日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同年9月26日受付けの手続補正書により、第35類「インターネットによる広告の代理,リスティング広告の代理,アフィリエイト広告の代理」、及び第42類「ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,インターネットにおける検索エンジンの検索結果の最適化対策プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,スマートフォン用ソフトウェアの設計・作成又は保守」に補正されたものである。
第2 原査定における理由の要点
「FINTECH」又は「フィンテック」の文字は、「金融とIT(情報技術)との融合による新しい技術革新。」の意味を有する語として、我が国において広く一般に知られた語といえるものである。そして、「フィンテック」とは情報技術を活用したものであり、また、「フィンテック」により収集したデータが広告に活用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者、取引者は、「フィンテックを活用した役務」又は「フィンテックに関する役務」であることを認識するにとどまる。
したがって、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
第3 当審における証拠調べ通知
当審は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲2及び3の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、相当の期間を指定して令和2年4月21日付けで証拠調べの結果を通知して、これに対する意見の提出を求めた。
第4 職権証拠調べに対する請求人の意見
上記第3の証拠調べ通知に対して、請求人から何ら意見は提出されなかった。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、セリフ体の「FINTECH」の欧文字を書してなるところ、「F」と「T」の欧文字がやや大きく書されているものの、いまだ普通の域を脱しない方法で表してなるものであるから、本願商標は、普通に用いられる方法で表示するものである。
そして、別掲2で示した事実によれば、「FinTech」又はその片仮名表記である「フィンテック」の語が、「金融と情報技術を融合した新しい技術革新、金融サービス」といった意味合いを有するものとして、広く説明ないし用いられていることが認められる。そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「金融と情報技術を融合した新しい技術革新、金融サービス」の意味合いを認識、把握させるものである。
次に、別掲3で示した事実によれば、フィンテックを用いて収集された情報(データ)が広告などのマーケティングに広く活用されている実情があることが認められる。そうすると、本願商標を、その指定役務中、第35類に属する指定役務に使用するときは、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「金融と情報技術を融合した新しい技術革新、金融サービスを活用した役務」であるという役務の質を表したものと認識、把握させるにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないものとみるのが相当である。
また、フィンテックは、上記で説示した意味合いのとおり、「情報技術」を活用したものであるから、フィンテックを利用するに当たっては、フィンテックに関する電子計算機用プログラムやソフトウェア等の商品のみならず、フィンテックに関する電子計算機用プログラムやソフトウェア等の提供ないし設計・作成又は保守等の役務も利用されるのが通常であるといえる。そうすると、本願商標を、その指定役務中、第42類に属する指定役務に使用するときは、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「金融と情報技術を融合した新しい技術革新、金融サービスに関する役務」であるという役務の質を表したものと認識、把握させるにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないものとみるのが相当である。
以上によれば、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「FINTECH」の語が、役務の質を表示する用語として成熟していない上、本願の指定役務との関連性が明確でなく、また、「FINTECH」の欧文字が具体的にどのような役務の質を表しているのかも明確でない旨主張する。
しかしながら、別掲2で示した事実のとおり、「FinTech」又はその片仮名表記である「フィンテック」の語が、「金融と情報技術を融合した新しい技術革新、金融サービス」といった意味合いを有するものとして、広く説明ないし用いられている。そして、このようなフィンテックの意味合いが、本願の指定役務とどのように関連しており、また、どのような役務の質を表しているのかは、上記1で認定判断したとおりである。
(2)請求人は、具体的にどの指定役務に本願商標を使用すると、これに接する取引者、需要者が「フィンテックを活用した役務」又は「フィンテックに関する役務」であることを認識するのかが不明確である旨主張し、例えば、本願の指定役務である第35類の「広告の代理」は、いわゆる新金融サービスの「フィンテック」とは直接関係のないサービスであるから、本願商標を「広告の代理」に使用したとしても、これに接する取引者、需要者が「フィンテックを活用した役務」又は「フィンテックに関する役務」であることを認識することはあり得ない旨、また、本願の指定役務である第42類の「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」等についても、「FINTECH」が「〜の設計・作成又は保守」という役務の質を直接的、具体的に示しているとはいえない旨主張するが、上記1で認定判断したとおりである。
さらに、請求人は、原査定が提示した証左につき、広告・プロモーションがフィンテックを活用したものであることを具体的にいっているものではない旨、また、広告や販促支援などで活用されているのは、「フィンテック」ではなく、集められた「消費者の購買データ」である旨主張するが、別掲3で示したとおり、フィンテックを用いて収集された情報(データ)が広告などのマーケティングに広く活用されている実情が認められる。
(3)請求人は、本願商標が、自らの名称である「フィンテック株式会社」の欧文字表記である「FINTECH Co.,Ltd」を表すものでもあるから、役務の質というよりもハウスマークとして認識される可能性が高い旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、「フィンテック」の文字は役務の質を表すものと認識されるものであり、本願商標に接した取引者、需要者がこれをハウスマークとして認識すると認めるに足りる特段の証左はない。
(4)請求人は、過去の審決例に基づき本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当しない旨主張するが、請求人の挙げる審決例は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の審決例に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記1の認定判断が左右されるものではない
(5)よって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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