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Trademark Appeal Case

黄金の識別力と称呼類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−11331(T2019−11331/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「黄金あまざけ」の文字を横書きしてなり、第30類及び第32類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成30年3月5日に登録出願、その後、本願の指定商品については、当審における令和元年8月29日受付の手続補正書により、第30類「甘酒,甘酒を使用した菓子及びパン,甘酒を使用したコーヒー・ココア」と補正されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は、次の4件である。

(1)登録第122239号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様 縦長楕円形の内側に縦書きの「黄金」の文字と複数の短い横線を配してなるもの

指定商品 第30類「甘栗」を含む第1類、第29類、第30類及び第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

登録出願日 大正9年6月15日

設定登録日 大正9年11月15日

書換登録日 平成13年4月4日

(2)登録第544359号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様 「黄金」の文字を縦書きしてなるもの

指定商品 第30類「甘納豆,あられ,あんころ,いり栗,いり豆,おこし,懐中しるこ,懐中ぜんざい,かき餅,掛物菓子,かりんとう,紅梅焼,五家宝,砂糖菓子,砂糖漬菓子,塩せんべいその他のせんべい,しるこ,ぜんざい,だんご,ちまき,松風焼,饅頭,もち菓子,もなか,八つ橋,ゆで栗,ようかん,らくがん,アイスクリーム,ウエハース,シュークリーム,ビスケット,プディング,パン,もち」

登録出願日 昭和27年2月27日

設定登録日 昭和34年11月16日

書換登録日 平成12年5月31日

(3)登録第1726176号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の態様 「コガネ」の文字を横書きしてなるもの

指定商品 第30類「菓子及びパン」

登録出願日 昭和46年6月4日

設定登録日 昭和59年10月31日

書換登録日 平成17年4月13日

(4)登録第5178573号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の態様 「こがね」の文字を横書きしてなるもの

指定商品 第30類「角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,ぶどう糖,糖蜜,はちみつ」

登録出願日 平成19年11月16日

設定登録日 平成20年11月7日

抹消登録日 令和元年7月24日

なお、上記各引用商標に係る商標権のうち、引用商標4に係るもの以外のものは、いずれも現に有効に存続しているものである。

3 当審においてした審尋

当審において、審判長は、請求人に対し、令和2年3月18日付けで、別掲に示すとおりの事実を提示した上で、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとする旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答

請求人は、前記3の審尋に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答をしていない。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本願商標と引用商標4との類否について

引用商標4の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、平成30年11月7日に存続期間が満了したことにより消滅し、上記2(4)のとおり、令和元年7月24日に商標権の登録の抹消がされている。

したがって、本願商標が、引用商標4と類似するとして、商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶の理由は、解消した。

イ 本願商標と引用商標1ないし3との類否について

(ア)本願商標

本願商標は、前記1のとおり、「黄金あまざけ」の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、その構成全体をもって、特定の商品の出所を表示するものなどとして知られているものではなく、また、その構成中、「あまざけ」の文字は、本願の指定商品を含む食品を取り扱う業界においては、別掲に示すように、「甘酒」を指称する語として一般に広く使用されている実情があることから、本願の指定商品である第30類「甘酒,甘酒を使用した菓子及びパン,甘酒を使用したコーヒー・ココア」との関係においては、商品自体、あるいは、商品の原材料である「甘酒」を平仮名表記したものとして看取、理解され得るとみるのが相当である。

そうすると、本願商標は、「黄金」の文字と「あまざけ」の文字とを組み合わせてなるものといえるところ、前者は、「おうごん。こがね。きん。金貨」等を意味する語(「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店)から引用。)として、一般に広く知られているものではあるものの、本願の指定商品との関係においては、商品の品質を表すなど、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとみるべき事情は見いだせないものである一方、後者は、上記のとおり、その指定商品との関係においては、商品自体、あるいは、商品の原材料を表したものと認識されるものであるから、自他商品の識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものといえる。

してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用するときは、その構成中の「黄金」の文字が、商品の出所識別標識として、取引者、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるといえるから、当該文字を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して、商標そのものの類否を判断することも許されるというべきであり、本願商標は、その構成中の要部である「黄金」の文字に相応して、「オウゴン」又は「コガネ」の称呼を生じ、「おうごん。こがね。きん。金貨」の観念を生じるものである。

(イ)引用商標1ないし3

a 引用商標1は、前記2(1)のとおり、縦長楕円形の内側に縦書きの「黄金」の文字と複数の短い横線を配してなるものであるところ、その構成中の「黄金」の文字は、本願商標における場合と同様に、「オウゴン」又は「コガネ」の称呼を生じ、「おうごん。こがね。きん。金貨」の観念を生じるものである。

また、上記図形部分については、その構成態様に加え、その内側に配された「黄金」の文字の意味するところと相まって、「薄い楕円形の金貨」である「小判」(「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店)から引用。)を描いたものと看取、理解される場合も少なくないとみるのが相当である。

してみれば、引用商標1は、その構成全体から「オウゴン」又は「コガネ」の称呼を生じ、「金貨」の観念を生じるものといえる。

b 引用商標2は、前記2(2)のとおり、「黄金」の文字を縦書きしてなるものであるから、本願商標における場合と同様に、「オウゴン」又は「コガネ」の称呼を生じ、「おうごん。こがね。きん。金貨」の観念を生じるものである。

c 引用商標3は、前記2(3)のとおり、「コガネ」の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、その読みに相応して、「おうごん。きん。金貨」等を意味する「黄金(こがね)」又は「わずかな金銭。」等を意味する「小金(こがね)」(各語の意味については、いずれも「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店)から引用。)を想起させるものであって、それを片仮名表記したものと看取、理解されるといい得るものであることから、「コガネ」の称呼を生じ、「おうごん。きん。金貨」又は「わずかな金銭。」の観念を生じるものである。

(ウ)本願商標と引用商標1ないし3との類否について

a 本願商標の要部である「黄金」と引用商標1とを比較すると、両者は、外観上、後者の構成中に図形があるという差異はあるものの、当該図形は、上記(イ)aのとおり、後者の構成中の「黄金」の文字が「小判」を意味するものと認識させる上での補助というべきものであるし、さらに、いずれも「金貨」という同一の観念及び「オウゴン」又は「コガネ」という同一の称呼を生じるものであるから、これらを総合勘案すれば、両者は、互いに紛れるおそれのあるものというべきである。

そうすると、本願商標は、引用商標1と類似する商標である。

また、本願の指定商品中の第30類「甘酒,甘酒を使用した菓子及びパン」は、引用商標1の指定商品中の第30類「甘栗」と同一又は類似するものである。

b 本願商標の要部である「黄金」と引用商標2とを比較すると、両者は、外観上、横書きと縦書きといった差異はあるものの、「黄金」の文字からなる点が共通するため、近似した印象を与えるものといえ、さらに、いずれも「おうごん。こがね。きん。金貨」という同一の観念及び「オウゴン」又は「コガネ」という同一の称呼を生じるものであるから、これらを総合勘案すれば、両者は、互いに紛れるおそれのあるものというべきである。

そうすると、本願商標は、引用商標2と類似する商標である。

また、本願の指定商品中の第30類「甘酒,甘酒を使用した菓子及びパン」は、引用商標2の指定商品中の第30類「甘納豆,あられ,あんころ,いり栗,いり豆,おこし,懐中しるこ,懐中ぜんざい,かき餅,掛物菓子,かりんとう,紅梅焼,五家宝,砂糖菓子,砂糖漬菓子,塩せんべいその他のせんべい,しるこ,ぜんざい,だんご,ちまき,松風焼,饅頭,もち菓子,もなか,八つ橋,ゆで栗,ようかん,らくがん,アイスクリーム,ウエハース,シュークリーム,ビスケット,プディング,パン」と同一又は類似するものである。

c 本願商標の要部である「黄金」と引用商標3とを比較すると、後者が「黄金(こがね)」又は「小金(こがね)」を想起させるものといえることからすれば、その比較のうち、引用商標3が「黄金(こがね)」を想起させるものとした場合は、両者は、外観上、漢字と片仮名という差異はあるものの、いずれも「おうごん。きん。金貨」という同一の観念及び「コガネ」という同一の称呼を生じるものである。

また、引用商標3が「黄金(こがね)」又は「小金(こがね)」を想起させるものといえる点につき、その想起の程度は、いずれかが優位にあるなど、本願商標との比較において考慮すべき特段の事情は見いだせない。

そうすると、引用商標3が「小金(こがね)」を想起させる場合があることを考慮してもなお、本願商標の要部である「黄金」の文字と引用商標3とは、その外観、称呼及び観念を総合勘案すれば、互いに紛れるおそれのあるものというべきである。

してみれば、本願商標は、引用商標3と類似する商標である。

また、本願の指定商品中の第30類「甘酒,甘酒を使用した菓子及びパン」は、引用商標3の指定商品である第30類「菓子及びパン」と同一又は類似するものである。

(エ)小括

上記(ア)ないし(ウ)によれば、本願商標は、引用商標1ないし引用商標3との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、「黄金」の文字が本願商標の要部であると判断されることがあるとしても、本願商標に係る商品は主にインターネット上において取引されているという実情に基づくと、称呼による取引が多用される商品とは異なり、外観の果たす役割が非常に大きいものであるため、本願商標と引用商標とは、その外観上の差異及び商品の取引実情を総合的に考慮すると、両商標は誤認混同のおそれがなく、非類似の商標である旨主張する。

しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではないと判示されている(昭和49年4月25日 最高裁昭和47年(行ツ)第33号)。

そして、請求人の主張に係る取引の実情は、請求人による、現在の販売状況といった特殊的、限定的なものというべきであり、商標の類否判断に考慮すべき一般的、恒常的な実情ということはできないから、本願商標についての上記判断が左右されるものではない。

したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

イ 請求人は,過去の審決例及び登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨を主張している。

しかしながら、商標の類否判断は、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであり、また、請求人が挙げる審決例は、いずれも本願商標及び引用商標とその構成態様を異にするものであるから、請求人の主張は採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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