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Trademark Appeal Case

称呼類似性:音の近似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35513号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4037714号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ハイパーテック」の片仮名文字と、「HYPERTECH」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成3年3月7日登録出願、第11類「電子応用機械器具、その他本類に属する商品(但し、回転電気機械、配電用又は制御用機械器具及び電子通信機械器具を除く)」を指定商品として、同9年8月1日に設定の登録がされたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録を無効とすべきものとする理由に引用する登録第1397373号商標(以下、「引用商標」という。)は、「HYPERTAC」の欧文字を横書きしてなり、昭和51年4月12日登録出願(優先権主張 1975年10月28日 イタリア共和国)、第11類「配電用又は制御用機械器具用接続器及び電気通信機械器具用接続器」を指定商品として、同54年10月30日に設定の登録がされ、その後、平成1年10月23日及び同11年7月21日の2回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標は、指定商品中「電球類および照明器具、電気磁気測定器、電線ケーブル(光ファイバー・光ファイバーケーブルを含む。)、民生用電気機械器具、電子応用機械器具、電子通信機械器具以外の電気通信機械」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし第5号証(枝番を含む)を提出している。

(1)本件商標から生ずる自然な称呼「ハイパーテック」と、引用商標から生じる自然な称呼「ハイパータック」とは、聴覚上印象の薄い後半に位置する「テッ」対「タッ」の差異のみであって、この両音は、「テ」と「タ」の音が調音方法、及び発音方法を同じくするものであり、さらに、この両者は、比較的弱く発音される促音「ッ」を伴い、それに続く音が強い破裂音「ク」であることから、その音感が近似したものとして聴取されるものである。

そうだとすると、この相違が両称呼の全体に及ぼす影響は大きいものといえるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語感が近似したものとなり、彼此聞き誤るおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標と引用商標とは、外観、及び観念について論及するまでもなく、称呼上類似の商標である。

上記したことは、「両音は、50音図中のタ行音に属し、いずれも、舌尖を上前歯のもとに密着して破裂させて発する音であって、音質を同じくする近似音である。」旨の各審決例(甲第1号証の1ないし6)によって証左される。すなわち、これらの各審決例は、本件商標と引用商標に近似している事例である。

(2)本件商標の指定商品のうち、「電球類および照明器具」は、一個の光源と、関連する反射器、屈折器、枠、および必要ならばこれらの支持物を含むように設計された器具等であるから、これらの器具等を機能させるには、配線とコード、コードと前記器具間を接続する必要があり、そのためには、キーソケット、および天井等に直接電球を付けるためのランプリセクプタクルがある部品としての「(電球類および照明器具用)ソケット(接続器)」、あるいは天井からコードを引き出す部分に用い、丸形、および角形がある「(電球類および照明器具用)ローゼット(接続器)」が必要であり、「電気磁気測定器」は、電気の単位、または磁気の単位を測定するものであり、「民生用電気機械器具」は、主として、家庭において使用される電気機械器具であり、「電子応用機械器具」は、電子工業製品の中から、計測、電気、通信等の各装置を除いた各器具であるから、各々の器具を機能させるためには、「配線とコード、コードと各器具間を接続する必要があり、そのためには、プラグを刺し込む受け口がコンセントで電気の取出し口でもある。小型スイッチと同様に露出口と理込型のもの、一般には、平行穴のものが用いられるが、大型機器用にT型や山型のもの、また、差し込めば自動的にアースに接続できる接地極付きコンセント、差し込んで回すと引っ張っても抜けない引掛け型等各種のものがある。

なお、テーブルタップと呼ばれる移動型コンセントがあり、コード、プラグを取り付けコードセットとして電線の延長に用いられる。」を内容とする各器具用のコンセントが必要である。

さらに、「電線 ケーブル(光ファイバー 光ファイバーケーブルを含む。)」には、接続器のひとつである「ケーブル末端用コネクタ、その他のケーブルコネクタ、パネル取付用コネクタ、その他のケーブル用接続器(具)」が含まれている(甲第2号証の1乃至3)。

そして、上記した接続器である「電球類および照明器具用のローゼット、あるいはソケット」、「ケーブル末端用コネクタ、その他のケーブル用コネクタ、その他のケーブル用接続器(具)」、「電気磁気測定器用、民生用電気機械器具用、電子応用機械器具用コンセント」の各々の商品は、専ら、各々の器具に使用されるものであるから、「電球類および照明器具」、「電気磁気測定器」、「電線 ケーブル(光ファイバー・光ファイバーケーブルを含む。)」、「民生用電気機械器具」、あるいは「電子応用機械器具」の見出しの商品に含まれるものである。

しかして、本件商標の指定商品中の商品「電球類および照明器具、電気磁気測定器、電線ケーブル(光ファイバー・光ファイバーケーブルを含む。)、民生用電気機械器具、電子応用機械器具、電子通信機械器具以外の電気通信機械器具」と引例の指定商品「配電用又は制御用機械器具用接続器及び電気通信機械器具用接続器」とは、配線とコード、コードと電気器具間を接続するという用途が一致し(甲第3号証)、さらに、電気・電子に関する機械・器具は、全て一製造業者で製造される場合が多く(甲第4号証)、その流通経路も全体として製造業による系列販売店になっている場合が多いのが、何ら証左の必要のない昨今の取引場裏の実態であることからすると、本件商標の指定商品中の前記商品と引例の指定商品とは、用途に密接な関連があり、ほぼ一製造業者で製造され、さらには流通経路も全体としてほぼ製造業による系列販売店になっている場合が多いから、類似の商品といわなければならない。

さらに、被請求人は、指定商品中より「電気通信機械器具」の概念に属する「電子通信機械器具」を削除しているが、「電気通信機械器具」の概念に属する前記以外の商品」は削除されておらず、したがって、本件登録商標の「Japio商標検索システム詳細印刷シート」上では類似群コード11B01が付与されている。

他方、引用商標の指定商品中には、「電気通信機械器具」の概念に属する「電気通信機械器具用接続器」が含まれているから、引例「Japio商標検索システム詳細印刷」シート上では、類似群コード11B01が付与されている。

だとすると、本件商標と引用商標とは、類似群コード11B01が付与される「電気通信機械器具」の概念に属する商品において、重複していることは明らかである(甲第5号証)。

以上のことより、本件商標は、請求人の所有に係る引用商標に類似し、類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べている。

(1)本件商標は、「ハイパーテック」のカタカナ文字を上段に、「HYPERTECH」の欧文字を下段にそれぞれ通常のブロック体で二段書きに構成してなるものであるのに対し、引用商標は、「HYPERTAC」の欧文字を通常のブロック体で書してなるものと認められる。

したがって、両商標が外観において互いに類似するものでないことは明らかである。

次に、両商標の観念において比較すると、本件商標は、「過度の、(...)を越えた、非常な」といった意味合いを有する英語の接頭語である「HYPER」及びそのカタカナ表記と認められる「ハイパー」の語と、「科学技術」といった意味合いを想起させる英語の「TECH」及びそのカタカナ表記の「テック」を結合してなる新造語であるのに対し、引用商標は、当該「HYPER」の語と全くの造語と思われる「TAC」の語とを結合してなる新造語と認められるため、両者が観念上非類似であることは明白である。

なお、当該「HYPER」の語は創造商標の語頭部として好んで採択・使用される傾向にあり、後続の語と結合して一連不可分の造語商標を構成する造語要素であることは、過去の登録例をみても明らかである。

そこで、両商標の称呼上の類否について検討するに、本件商標は、そのカタカナ文字部分の字音のとおり、一連の「ハイパーテック」の称呼が生じるものであることは明らかであるところ、需要者は前述のとおり本件商標を「HYPER」と「TECH」の結合したものと容易に認識・理解できるため、本件商標に接した需要者は語頭音の「ハ」と中間第4音の「テッ」にアクセントをおいて「ハイパー・テック」と称呼するものと思われる。更に、当該第4音の「テッ」はそれ自体促音を伴うこと、及び前音「パー」の長音に続くものであることからも、明瞭に聴取されるものと思料する。

これに対し、引用商標は、上記の構成から一応「ハイパータック」の称呼を生じ得るものと認められるところ、本件商標と同様の理由から「ハイパー・タック」と語頭音「ハ」と第4音「タッ」にアクセントをおいて称呼され、当該第4音「タッ」は明瞭に聴取されるものと思われる。

そして、語頭の「ハイパー」が使用頻度の高い造語要素の称呼であることから、後続の当該差異音「テッ」と「タッ」は、比較的聴者の印象に残りやすく、自然とアクセントがかかること等と相まって、当該差異音が両商標の全体称呼に及ぼす影響は大きく、両称呼は語調語感を明瞭に異にするものと思料する。

したがって、両商標は、称呼においても互いに類似するものではない。

また、請求人は過去の審決例を類似するケースの先例として挙げているが、それらはいずれも本件とは指定商品が相違しており、本件とは事案を異にするものと言うべきである。

(2)請求人は、本件商標の一部指定商品と引用商標の指定商品とが互いに類似する旨主張しているが、その論旨は商品相互間の類否判断の準則を無視した独自の見解と言わざるを得ないものである。

即ち、請求人の論法によれば、およそ電気を用いる機械器具は全て「配電用又は制御用機械器具用接続器」の類似商品ということになるが、このような解釈が商品の類否判断の根拠となり得ないものであることは、類似概念の導入により商品出所の混同を未然に防止して流通秩序の維持を図らんとする商標法の趣旨より明らかであると思料する。

以上の理由により、本件商標は引用商標と外観、観念及び称呼のいずれにおいても類似せず、かつ、指定商品同士も非類似であり、本件商標が商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものでない。

5 当審の判断

本件商標と引用商標の構成は、それぞれ前記のとおりであるから、両者は、外観において明確に区別できるものである。

しかして、本件商標の構成中の「HYPER」、「ハイパー」の文字部分及び引用商標の構成中の「HYPER」の文字部分は、「過度の、(...)を越えた、非常な」といった意味合いを有する英語の接頭語「HYPER」(ハイパー)として広く理解、把握されているものであるから、本件商標は、「HYPER/ハイパー」の文字と「TECH/テック」の文字とが結合してなる一種の造語商標であると認識されるものであり、他方、引用商標は、「HYPER」の文字と「TAC」の文字とが結合してなる一種の造語商標であると認識されるものである。

そうとすれば、本件商標は「ハイパーテック」、引用商標は「ハイパータック」の称呼を生ずること明らかである。

そうすると、本件商標より生ずる「ハイパーテック」及び引用商標より生ずる「ハイパータック」の称呼を一連に称呼するときは、「ハイパー」と「テック」及び「タック」との間に段落が生じて、それぞれ「ハイパー・テック」、「ハイパー・タック」と2音節構成からなるといえるものであり、その場合、2音節である語頭の当該差異音「テッ」と「タッ」は、比較的聴者の印象に残りやすく、自然とアクセントがかかること等と相まって、当該差異音が両商標の全体称呼に及ぼす影響は大きく、両称呼は語調語感を明瞭に異にし、聞き誤るおそれはないものといわなければならない。

なお、請求人は、「両音は、50音図中のタ行音に属し、いずれも、舌尖を上前歯のもとに密着して破裂させて発する音であって、音質を同じくする近似音である。」旨の各審決例(甲第1号証の1ないし6)を示し、本件商標と引用商標とは類似である旨主張しているが、それらは上述のような段落が生ずるものでなく、事案を異にするものであるから、請求人のこの主張は採用できない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、その指定商品の類否にかかわらず、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似しないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項第1号の規定により、これを無効にすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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