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Trademark Appeal Case

普通名称と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900258(T2019−900258/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6159046号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6159046号商標(以下「本件商標」という。)は、「GINTEN」の欧文字を標準文字で表してなり、平成31年4月4日に登録出願、第21類「食器類」、第33類「焼酎,日本酒,果実酒」及び第35類「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、令和元年6月14日に登録査定され、同年7月5日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。

(1)登録第5951099号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様:「TEN」(標準文字)

指定商品:第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,にごり酒,濁酒,柳陰,マッコリ,ソジュ,発泡性清酒,発泡性焼酎,発泡性濁酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く。)」

登録出願日:平成28年10月21日

設定登録日:平成29年6月2日

(2)登録第5402493号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様:別掲のとおり

指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」

登録出願日:平成22年8月4日

設定登録日:平成23年4月1日

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第33類「全指定商品」及び第35類「全指定役務」(以下「申立商品及び役務」ということがある。)について、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、その前半部の「GIN」の文字は、洋酒の一種である「ジン」(トウモロコシ・大麦・ライ麦を原料とし、杜松の実で香味をつけた蒸留酒。:甲4)を表す普通名称として親しまれており、酒類関連の商品や小売等役務との関係においては、商品の普通名称及び小売等役務の取扱商品を認識させるにとどまり、商品の品質・役務の質の表示にすぎないから、この部分からは、出所識別標識としての称呼、観念は生じない。

これに対し、後半部の「TEN」の文字は、引用商標1の登録が存在するとおり、自他商品識別力を十分に備えたものである。

そして、「GINTEN」の文字は、全体として特定の意味合いは見いだせず、構成全体を常に一体不可分のものとしてみなければならない特段の事情は存しない。

そうすると、本件商標は、「TEN」の文字の前に、出所識別標識としての称呼、観念を生じない酒類の普通名称である「GIN」の文字を付加したにすぎないものであるから、後半部の「TEN」の文字部分が自他商品・役務の識別標識の機能を果たし得るといえ、「TEN」の部分を要部抽出した分離観察も妥当である。

したがって、本件商標は、その要部である「TEN」の文字部分から、これに相応した「テン」の称呼を生じる。

イ 引用商標

引用商標1は、欧文字の「TEN」よりなり、引用商標2は、右下部の引用符付きの「TEN」の欧文字が、構成上他の部分から離れて記載されており、独立して認識されるから、これら引用商標は、いずれも「TEN」の構成文字に相応して、「テン」の称呼を生じる。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標は、引用商標と「テン」の称呼と「TEN」の構成文字を共通にする、出所混同のおそれのある類似の商標といわざるを得ない。

エ 本件商標の指定商品及び指定役務中、申立商品及び役務は、引用商標の指定商品と抵触するものである。

オ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第16号該当性について

本件商標は、上記のとおり、その構成中に、洋酒の一種を表す普通名称である「GIN」の文字を含んでなるから、酒類関連の商品及び役務との関係においては、当該商品及び役務が商品「GIN(ジン)」に係るものであることを認識させるものといえる。

してみれば、本件商標を、申立商品及び役務のうち、第33類「焼酎、日本酒、果実酒」及び「ジン」以外の商品に係る第35類「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用するときは、商品の品質又は役務の質につき誤認を生じさせる蓋然性が高いといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、申立商品及び役務については、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に該当する。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、上記1のとおり、「GINTEN」の欧文字からなるところ、その構成各文字は、同書、同大で等間隔にまとまりよく表されているものであって、いずれかの文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているものではない。

そして、本件商標を構成する「GINTEN」の欧文字をローマ字風又は英語風に発音した「ギンテン」又は「ジンテン」の称呼も、冗長でなく、無理なく一連に称呼し得るものであるから、本件商標はその構成文字に相応して、「ギンテン」又は「ジンテン」の称呼を生じるものである。

また、当該「GINTEN」の文字は、辞書等に載録がなく特定の意味合いを有する語として知られているような事情は見いだせないものであるから、一種の造語として認識され、本件商標は特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標

(ア)引用商標1

引用商標1は、上記2(1)のとおり、「TEN」の欧文字よりなり、当該文字に相応して「テン」の称呼を生じ、また、当該文字は、数字「10」を意味する英語(「コンサイス英和辞典第13版」)として親しまれていることから、「数字の10」の観念を生じるものである。

(イ)引用商標2

引用商標2は、別掲のとおり、赤色の縦長四角形内に、白抜きで丸い膨らみを頂点とし、これに「人」の字形を模した手書き風の太線を上下二段につなげた図形(以下「図形1」という。)及び、その下部に渦巻き状の3つの図形(以下「図形2」という。)を配し、左下部に落款風の図形を小さく白抜きで表すとともに、中央部のやや右側に図形1に一部重なるように黒色で「てん」の文字を手書き風の書体で縦書きし、さらに、当該赤色縦長四角形の上部に「二段酵母仕込」、「コクがあって スッキリ辛口」、当該赤色縦長四角形の下部に「“TEN”」の各文字を白抜きで小さく表してなるものである。

そして、引用商標2の構成中、「二段酵母仕込」、「コクがあって スッキリ辛口」の各文字部分は、商品「日本酒」の品質ないしキャッチフレーズを表示したと理解されるものであり、出所識別標識としての称呼・観念を生じないものである。加えて、その構成中の「“TEN”」の文字は、手書き風の書体で顕著に表された「てん」の文字を付記的に欧文字表記したにすぎないものであるから、当該「TEN」の文字は、独立して自他商品の出所識別力があるとはいえない。

また、引用商標2は、赤色と白色の構成中にあって黒色で明瞭に表された「てん」の文字に着目されやすいものであるが、「てん」と表音する漢字は「天」、「点」、「店」等複数存在し、当該「てん」の文字がこれらのうち特定の意味を認識させる特段の事情は見いだせない上、「てん」の平仮名が特定の意味合いを表すものとして辞書等に載録されていないことからすれば、引用商標2の構成中「てん」の文字は特定の観念を生じるとはいえないものである。

さらに、引用商標2の構成中の図形1及び図形2をそれぞれ単独でみた場合には、我が国で特定の称呼及び観念を有するものとして親しまれているものとはいい難いものであり、当該各図形部分から特定の称呼及び観念を生じるとはいえないものである。

してみれば、引用商標2は、その構成中「てん」の文字に相応し「テン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。

ウ 本件商標と引用商標の類否

(ア)本件商標と引用商標1との類否

本件商標と引用商標1は、上記ア及びイ(ア)のとおりの構成よりなるところ、外観においては、「GIN」の文字の有無、全体の構成文字数に明らかな差異があることから、判然と区別できるものである。

また、称呼においては、本件商標から生じる「ギンテン」及び「ジンテン」の称呼と引用商標1から生じる「テン」の称呼とは、「ギン」及び「ジン」の音の有無、全体の構成音数の相違から、明瞭に聴別できるものである。

さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないのに対し、引用商標1は「数字の10」の観念が生じることから、相紛れるおそれはないものである。

そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼において明らかな差異を有し、観念においても相紛れるおそれのないものであるから、非類似の商標というのが相当である。

(イ)本件商標と引用商標2との類否

本件商標と引用商標2は、上記ア及びイ(イ)のとおりの構成よりなるところ、外観においては、色彩や図形の有無、全体の構成等において明らかな差異があることから、判然と区別できるものである。

また、称呼においては、本件商標から生じる「ギンテン」及び「ジンテン」の称呼と引用商標2から生じる「テン」の称呼とは、「ギン」及び「ジン」の音の有無、全体の構成音数の相違から、明瞭に聴別できるものである。

さらに、観念においては、本件商標及び引用商標2は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において、比較することはできない。

そうすると、本件商標と引用商標2は、観念において比較することができないとしても、外観、称呼において明らか差異を有するものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

(ウ)申立人の主張について

申立人は、本件商標は、その前半部の「GIN」の文字が洋酒の一種である「ジン」を表す普通名称として親しまれており、この部分から出所識別標識としての称呼、観念は生じないから、後半部の「TEN」の文字が自他商品識別力を備えたものであり、引用商標と「テン」の称呼及び「TEN」の構成文字を共通にする、出所混同のおそれのある類似の商標である旨主張している。

しかしながら、本件商標は、その構成中に「トウモロコシ・大麦・ライ麦を原料とし、杜松の実で香味をつけた蒸留酒」(「広辞苑第七版」「コンサイス英和辞典第13版」)を意味する「GIN」の文字を有するとしても、上記認定のとおり、一体不可分のものとして認識されるものであり、殊更構成中の「GIN」の文字部分を取り出して、当該文字を上記蒸留酒の意味を表す語として捉えなければならない合理的な理由はない。

その他、本件商標について、その構成中の「TEN」の文字部分が強く支配的な印象をもって認識されるとみるべき事情を見いだすことはできない。

そうすると、本件商標は、その構成中の「TEN」の文字部分のみを抽出し、これを前提に本件商標と引用商標とが類似するものということはできない。

また、申立人は、引用商標2は、右下部の引用符付きの「TEN」の欧文字が、構成上他の部分から離れて記載されており、独立して認識される旨主張しているが、上記イ(イ)のとおり、引用商標2の構成中、「“TEN”」の文字は、「てん」の文字を付記的に欧文字表記したものというのが相当であるから、当該文字部分のみが独立して認識されるということはできない。

したがって、申立人の上記主張はいずれも採用することができず、本件商標は、上記のとおり、引用商標と非類似の商標であるというのが相当である。

エ 小括

以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務中、申立商品及び役務と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第16号該当性について

申立人は、本件商標は、その構成中に、洋酒の一種を表す普通名称である「GIN」の文字を含んでなるから、酒類関連の商品及び役務との関係においては、洋酒の一種の「GIN(ジン)」に係るものであることを認識させ、本件商標を、その指定商品及び指定役務のうち、第33類「焼酎、日本酒、果実酒」及び「ジン」以外の商品に係る第35類「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用するときは、商品の品質又は役務の質につき誤認を生じさせる蓋然性が高い旨主張する。

しかしながら、本件商標は、上記(1)アのとおり、構成全体をもって一体不可分の商標を表したものと把握、認識されるというべきであるから、殊更構成中の「GIN」の文字部分を取り出して、当該文字を上記蒸留酒の意味を表す語として捉えなければならない合理的な理由はないものであり、本件商標に接する取引者、需要者が、本件商標を使用した商品及び役務が洋酒の一種「GIN(ジン)」に関係するものであるかのごとく、商品の品質及び役務の質について誤認を生じるおそれはないものとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、これを申立商品及び役務中、第33類「焼酎、日本酒、果実酒」及び「ジン」以外の商品に係る第35類「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用しても、当該商品が「洋酒の一種である『ジン』」であるかのように、及び当該役務が「ジン」についての小売等役務であるかのように、商品の品質及び役務の質の誤認を生ずるおそれはないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、申立商品及び役務について、商標法第4条第1項第11号及び同第16号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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