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Trademark Appeal Case

周知商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2020−900015(T2020−900015/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6194591号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6194591号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成よりなり,平成31年2月15日に登録出願,第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,チョコレートスプレッド,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,パスタソース,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」及び第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,まくらの貸与,毛布の貸与,家庭用電気式ホットプレートの貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用調理台の貸与,業務用流し台の貸与,家庭用加熱器(電気式のものを除く。)の貸与,家庭用調理台の貸与,家庭用流し台の貸与,食器の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」を指定商品及び指定役務として,令和元年10月16日に登録査定,同年11月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は次のアないしオのとおりであり(以下,これらをまとめて「引用商標」という。),いずれも現に有効に存続しているものである。

ア 登録第5699800号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:「KONAMI」(標準文字)

登録出願日:平成26年3月31日

設定登録日:平成26年9月5日

指定商品及び指定役務:別掲2のとおり

イ 登録第5067363号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

登録出願日:平成16年1月22日

設定登録日:平成19年8月3日

指定商品:別掲4のとおり

ウ 登録第5067364号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:別掲5のとおり

登録出願日:平成16年1月22日

設定登録日:平成19年8月3日

指定商品:別掲6のとおり

エ 登録第4659310号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:「KONAMI」(標準文字)

登録出願日:平成14年3月29日

設定登録日:平成15年4月4日

指定商品:第1類「化学品,くもり止め剤,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類,肥料,陶磁器用釉薬,高級脂肪酸,非鉄金属,非金属鉱物,写真材料,試験紙,人工甘味料,工業用粉類,原料プラスチック,パルプ」

オ 登録第5684045号商標(以下「引用商標5」という。)

商標の構成:「KONAMI」(標準文字)

登録出願日:平成26年2月28日

設定登録日:平成26年7月4日

指定商品及び指定役務:別掲7のとおり

(2)申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第15号,同項第19号及び同項第7号に該当するとして引用する商標は,引用商標及び「コナミ」の片仮名からなるもの(以下「引用商標6」という。)であり,申立人が申立人の「ゲーム関連事業」,「スポーツ事業」及び「飲食物に関する事業」ついて使用し,我が国の取引者,需要者に広く認識されていると主張するものである。

以下,引用商標及び引用商標6をまとめて「引用商標等」という。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第16号,同項第15号,同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第216号証(枝番号含む。)を提出した。

(1)申立人の引用商標等の周知性について

ア 申立人について

申立人は,持株会社であり,現在,傘下に合計18のグループ会社を国内外に有し,これらグループ会社によって,主としてデジタルエンタテインメント事業,スポーツ事業,ゲーミング&システム事業及びアミューズメント事業を展開している(甲26,甲27)。中でも,デジタルエンタテインメント事業においては,全世界でシリーズ累計販売本数1億740万本を超える「ウイニングイレブン」シリーズや,世界で最も販売枚数の多いトレーディングカードゲーム「遊戯王オフィシャルカードゲーム」など,数々の知名度の高いゲームコンテンツが展開されている(甲26)。またスポーツ事業では,フィットネスクラブやスポーツ教室を運営されており,直営施設181,受託施設205,合計386に上る施設が展開されている(甲28)。申立人の連結売上高は,2015年度は約2182億円,2016年度は約2499億円,2017年度は約2299億円,2018年度は約2394億円であり,2019年は約2625億円にも上る。(甲26,甲29)。

申立人は,遅くとも1981年には「KONAMI」の文字からなるロゴマークの使用を開始している。引用商標2は,申立人を表すブランドロゴとして2003年に導入され,以来今日に至るまで,長年にわたり継続的に使用されている(甲30,甲31)。

また,申立人は,各種イベントの開催,展示会への出展,テレビやWEBCMの放映,新聞広告,チラシの配布,看板の設置やポスターの掲示等,幅広く広告宣伝活動を行ってきた。2016年には3億9400万円,2017年には3億1100万円,2018年には6億4900万円,2019年には5億2600万円を,広告宣伝費として投じている(甲32)。申立人は,各事業において広く広告宣伝活動を行い,これらの活動を通じて申立人を表す「KONAMI」「コナミ」ブランドは,多くの消費者の目に触れてきた。

さらに,申立人及び申立人の事業は,メディアで紹介される頻度も極めて高い。2018年10月から2019年10月までの間だけでも,申立人や申立人の事業に係る商品・サービス・開催イベント等が掲載された新聞記事と,申立人による新聞広告記事とを合計すると,その数は830を下らない(甲33)。また,該期間における新聞記事及び新聞広告において,申立人を表す「コナミ」の文字が掲載された記事の件数は650件を超える。(甲33,甲34)。

イ 申立人事業について

(ア)ゲーム関連事業について

申立人を表す「KONAMI」,「コナミ」は,ゲームに関する事業を通じて取引者・需要者が目にする機会が極めて多い(甲35〜甲48等)。特に,スマートフォン等で手軽に遊ぶことができるモバイルゲームは,株式会社三菱総合研究所のレポー卜によると「スマートフォン利用者のうち,スマホゲームで遊んだ経験者は,68.9%」との記載もあり(甲88),ゲームはスマートフォン利用者の間で一般に広く親しまれているといえる。また,CESA(一般社団法人コンピュ一タエンターテインメント協会)による2015年のゲーム利用などに関する調査結果では,「家庭用ゲーム」「パソコン用ゲーム」「スマートフォン/タブレット用ゲーム」「携帯電話用ゲーム」「アーケードゲーム」のいずれかを継続してプレイしているユーザーの全体の人数は,4336万人という結果が出ている(甲89)。すなわち,我が国の人口のおよそ3人に1人は,継続的にゲームに親しんでいる。このように,我が国においてゲームは一般に普及しているものであるから,申立人のゲーム事業の需要者は,広く一般の消費者であるといえる。他方,本件指定商品である飲食料品の需要者や,本件指定役務の提供が行われる飲食店の利用者も,広く一般の消費者であるといえるから,申立人のゲーム事業の需要者層と,本件指定商品及び指定役務の需要者層は共通する。よって申立人を表す「KONAMI」「コナミ」ブランドは,本件指定商品及び指定役務の需要者層の間においても,広く認識されているといえる。

(イ)スポーツ関連事業について

申立人の商標「KONAMI」「コナミ」は,スポーツ事業を通じても,本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知著名性を獲得していたことは明らかである(甲90〜甲104等)。また,申立人はスポーツ事業を通じてベビースクールや子供向けのスイミングスクール,体操スクール,ダンススクール,テニススクール,サッカースクール,ゴルフスクール等を広く運営しており,申立人が提供するスポーツ事業は,幅広い年齢層を需要者とする(甲153,甲154)。そうとすると,トップクラスの水泳・体操選手の育成において申立人は広く知られていること,スポーツクラブの事業において,申立人は遅くとも2002年以降常にトップクラスの売り上げを誇っていること,かつ,集客数の多い場所にスポーツクラブの施設を設け,一般の通行者の目につきやすい看板を掲げ役務を提供していることに鑑みれば,申立人の商標「KONAMI」,「コナミ」は,スポーツ事業を通じ,あらゆる世代の一般の需要者に広く知られていることは明らかである。そうとすると,同じく一般の需要者を対象とする本件指定商品及び指定役務とも,その需要者層が共通することから,申立人の商標「KONAMI」,「コナミ」は本件指定商品及び指定役務の需要者層の間でも,周知著名であるといえる。

(ウ)飲食物に関する事業について

申立人は,そのスポーツ事業を通じて,「KONAMI SPORTS CLUBオンラインショップ」や大手ECサイト「amazon.co.jp」を通じ飲料,大豆バーなどの菓子類,レトルトスープ,プロテインパウダー,サプリメント等を販売している(甲125〜甲127)。自社ウェブサイト及び外部ECサイトを通じた販売事業は,ミネラルウォーターやビタミン飲料,ジュース等の飲料だけでみても,その売上高は2017年が2億3296万円,2018年が2億818万円,2019年が1億6027万円を超える(甲155)。

さらに,申立人の「コナミスポーツクラブ」内の売店においてもシリアルバーなどの菓子類や飲料を販売しており,これらは,「KONAMI SPORTS CLUB」のロゴを掲げたフロント(受付)付近の,目立つ場所で販売されることも多い(甲156)。

さらにまた,申立人は,そのデジタルエンタテインメント事業において,2016年に東京ビッグサイト等で開催したゲーム「実況パワフルプロ野球」シリーズのイベント「パワプロフェスティバル2016」において,フードコートを運営した実績もある(甲157)。

ウ 防護標章登録について

申立人は,赤色の「KONAMI」の文字からなる商標について,本件指定商品及び指定役務である第30類及び第43類の商品及び役務を含む幅広い商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成21年9月18日に防護標章登録を受けている(商標登録第4823109号の防護標章登録第1号,甲14)。

エ さらに付言すると,「コナミ」の文字は,申立人である「コナミ(株)」を表すものとして,「日本語大辞典 第二版」(株式会社講談社発行)に掲載されているもの(甲13)であって,また,「KONAMI」ブランドは,日本ブランドランキングにおいて第89位(甲159),「第31回日経日本企業イメージ調査」で「企業認知度」,「広告接触度」等の項目で上位200以内(甲34の83),2020年3月卒業予定者の就職希望企業人気ランキングでは第8位(甲34)になるなど周知著名なものであるといえる。

オ 小括

以上より,申立人の商標「KONAMI」,「コナミ」は,一般の需要者を対象としたゲームやスポーツに関する事業において極めて高い著名性を有し,また飲食物も販売していることから,飲食物の販売や飲食物の提供の需要者を含む一般の需要者の間で,極めて広く知られているということができる。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標について

本件商標は,図形部分と文字部分とが外観上分離して看取されるものであり,文字部分については,「こなみ珈琲」の文字が「conami coffee roaster」の文字に比べて大きく表されていること,「こなみ珈琲」の文字中,「珈琲」の語は本件指定商品及び指定役務との関係で識別力がないか極めて弱い語であること,「こなみ」の語は申立人を表す周知・著名な「KONAMI」,「コナミ」の語を平仮名で表したものであり,申立人を表す「KONAMI」,「コナミ」の観念が生ずることから,本件商標は「こなみ」の文字部分が,自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たす要部として認識される。

また,下部に配された「conami coffee roaster」の部分についてみると,「coffee roaster」の文字は,「コーヒー」「コーヒー豆」を含む飲食物の販売や,コーヒーを含む飲食物の提供やこれに関連する業務について,業種や業態を一般的に説明しているにすぎず,自他商品及び役務の識別力がないか,極めて弱い部分であるといえる。他方,前半部分の「conami」の欧文字部分は,辞書などには掲載されている語ではなく,造語であると考えられるので,本件商標の欧文字中,自他商品及び役務の識別標識として機能するのは,より識別力の高い「conami」の文字部分であるといえる。よって,本件商標の欧文字部分は,「conami」の文字部分が商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え,該文字部分をもって取引に資されるとみるのが自然である。

イ 引用商標について

引用商標1,引用商標4及び引用商標5は,「KONAMI」の欧文字を標準文字で表してなるものである。

引用商標2は,「KONAMI」の欧文字を赤色で横書きしてなるものである。

引用商標3は,船を横から見たかの如き図形を赤色で表し,その中に白抜きの文字で「KONAMI」の欧文字を横書きしたものである。

ウ 本件商標と引用商標の対比

本件商標は,大きく表された「こなみ珈琲」の文字が独立して看取されるところ,「こなみ」の文字部分が自他商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることから,「こなみ珈琲」の文字部分全体から生ずる「コナミコーヒー」の他,「コナミ」の称呼が生ずる。他方,引用商標からは,その構成文字に相応し「コナミ」の称呼が自然に生ずるから,両商標は「コナミ」の称呼を共通にする互いに相紛れるおそれのある類似の商標である。

また,本件商標は「こなみ」の文字部分が要部として抽出されるところ,かかる文字部分は,申立人を表す「KONAMI」,「コナミ」のブランドを観念させるといえる。他方,引用商標は,申立人の出所識別標識として継続的に使用されてきたものであるから,申立人の取扱いに係る著名な「KONAMI」ブランドを観念させる。そうとすると,本件商標と引用商標は,観念上も相紛れるおそれのある類似の商標と考えるのが相当である。

本件商標の欧文字部分「conami coffee roaster」についても,「coffee roaster」の部分の識別力が弱いから,より識別力の高い「conami」の文字部分のみが抽出され,該文字部分に相応する「コナミ」の称呼をもって取引に資されることは,想像に難くない。そうとすると,本件商標の「conami」の文字部分と引用商標は,「コナミ」の称呼を共通にし,互いに相紛れるおそれのある類似の商標であるといえる。さらに,本件商標中「conami」の文字部分と引用商標は,全6文字中,「ONAMI」の5文字が共通することから,外観上も近似する商標である。

エ 小括

以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第16号該当性について

本件商標は,その構成中に「珈琲」及び「coffee」の文字を有してなるものであるから,これを本件指定商品及び指定役務中「コーヒー,コーヒー豆」又は「コーヒーを使用した商品」以外の商品に使用するときは,あたかも「コーヒー」又は「コーヒーを使用した商品」であるかの如く,商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

本件商標と引用商標等とは,称呼が共通し互いに類似する商標であり,引用商標等は極めて高い著名性を有する。また申立人の業務は多角化しており,その事業において飲食料品も広く販売していることから,本件指定商品と申立人の事業は共通し,また申立人の事業は消費者一般を広く対象とするものであって,本件指定役務と申立人の事業とは,その需要者が共通する。

以上を考慮すれば,申立人の周知著名な引用商標等と類似する本件商標を本件指定商品及び指定役務に使用した場合,取引者・需要者は,申立人又は申立人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であると混同するおそれがあると考えるのが相当である。

したがって,本件商標は,本件商標の登録出願日及び登録査定日の両時点において,商標法第4条第1項第15号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第19号該当性について

本件商標は,引用商標等と偶然にその要部が一致したとは考え難く,申立人の「KONAMI」,「コナミ」ブランドの持つ顧客吸引力を利用し,不当に利益を上げることを目的として出願され,使用されている商標であることが容易に推認出来る。

また,本件商標が,申立人と何ら関係の無い者により,広く一般の需要者を対象とする本件指定商品及び指定役務に使用されると,引用商標等の出所表示機能を希釈化し,業務上の信用を棄損することにつながり,申立人や取引者・需要者に不利益を与える結果となる。

以上よりすれば,本件商標は申立人を表す商標として周知・著名な引用商標等と類似する商標であり,その登録及び使用は,引用商標等に化体した業務上の信用にフリーライドし,引用商標等の出所表示機能を希釈化するものであるから,本件商標は,本件商標の登録出願日及び登録査定日の両時点において,商標法第4条第1項第19号に該当する。

(6)商標法第4条第1項第7号該当性について

申立人を表す「KONAMI」,「コナミ」のブランドは著名性が高く,本件商標権者が申立人の「KONAMI」,「コナミ」商標を知らないはずはない。本権商標権者は,引用商標等に化体した信用,名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で本件商標を採択・出願し登録を受けたといえ,そして,本件商標を消費者一般を対象とする本件指定商品及び指定役務に使用する場合には,引用商標等の出所表示機能が希釈化され,引用商標等に化体した信用,名声を毀損させるおそれがある。こうした本権商標権者による,本件商標の商標登録出願の経緯は,著しく社会的妥当性を欠き,登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものである。

よって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標等の周知性について

申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。

ア 申立人について

申立人は持株会社であり,現在,傘下に合計18のグループ会社を国内外に有し,これらグループ会社によって,主としてデジタルエンタテインメント事業,スポーツ事業及びアミューズメント事業等が展開されている(以下,申立人及び申立人のグループ会社をまとめて「申立人ら」ということがある。甲26,甲27)。

申立人らの連結売上高は,2017年度は約2299億円,2018年度は約2394億円であり,2019年は約2625億円であった(甲26,甲29)。

また,申立人らは,各種イベントの開催,展示会への出展,テレビやウェブサイトにおけるCMの放映,新聞広告及びポスターの掲示等,広告宣伝活動を行っており(甲34の4,甲34の11,甲34の14,甲50〜甲59等),広告宣伝費は,2017年は3億1100万円,2018年は6億4900万円,2019年5億2600万円であった(甲32の1及び甲32の2)。

また,2018年10月から2019年10月までの間に,申立人や申立人の事業に係る商品・サービス・開催イベント等が掲載された新聞記事と,申立人による新聞広告記事が相当数あったことがうかがえる。(甲33号,甲34の1〜甲34の136)

そして,「コナミ」の文字は,「コナミ(株)」を表すものとして,「日本語大辞典 第二版」(株式会社講談社発行)に掲載がある(甲13)ものであって,また,「KONAMI」ブランドは,日本ブランドランキングにおいて第89位(甲159),「第31回日経日本企業イメージ調査」で「企業認知度」,「広告接触度」等の項目で上位200以内(甲34の83),2020年3月卒業予定者の就職希望企業人気ランキングでは第8位(甲34の102・103)にランクインしていることが確認できる。

イ ゲーム関連事業について

申立人らは,ゲーム事業において,モバイルゲーム,家庭用ゲームやカードゲームの製作,配信を行っており,特に「ウイニングイレブン」シリーズは,1995年の発売以来,2019年12月末時点の家庭用ゲームの累計販売本数が1億740万本,2019年6月時点のモバイルゲームの累計ダウンロード数が2億を突破しているなど,一部のゲームの販売数,配信数は,相当数に上る(甲26)。

また,申立人らは,申立人らの業務に係るゲームについて,ウェブサイトやSNS,テレビなどを利用して,様々な広告宣伝を行っており,その視聴回数は,たとえば,YouTubeにおける「プロ野球スピリッツ2019」の動画である「シーズンプレイバックムービー」が257万回以上,「ダウンロードコンテンツプロモーションムービー」が71万回以上であることがうかがえる(甲56,甲57)。

そして,申立人らは,申立人らの業務に係るゲームに関するイベントを開催したり(甲60),展示会への出展を行ったりしており,たとえば千葉県で開催される大型ゲームイベントである「東京ゲームショウ」に毎年出展しており,その来場者数は,2019年は26万76人,2018年は29万8690人,2017年は25万4311人であった(甲64)。

また,申立人らは,近年盛り上がりを見せるeスポーツ事業へも取り組んでおり(甲65〜70,甲73〜甲76),申立人らの上記「ウイニングイレブン」は国体やeスポーツの国際大会で採用され,また申立人らはJリーグとの共催で,eスポーツの大会「eJ.LEAGUEウイニングイレブン2019」を,2018年からは一般社団法人日本野球機構と共催で,「eBASEBALLプロリーグ」を開催する(甲65〜甲70)などしており,申立人らのこれらのeスポーツ事業への取組によって,2019年に「MM総研大賞2019」の「話題賞」を受賞した(甲71,甲72)。

さらに,申立人らは,麻雀ゲーム「麻雀格闘倶楽部」や音楽ゲーム「beatmania IIDX」「jubeat」等のアーケードゲーム(業務用ビデオゲーム機,業務用メダルゲーム機等)の製造,販売を行っており,中でも「麻雀格闘倶楽部」は全国1269箇所の施設に,「beatmania IIDX」は全国950箇所の施設に,「jubeat」は全国935箇所に設置されている(甲78〜甲84)。

なお,申立人らのデジタルエンタテインメント事業の売上高及び営業収益は,2017年度は約1202億円,2018年度は約1417億円であり,また,アミューズメント事業の売上高及び営業収益は,2017年度は約251億円,2018年度は約278億円であった(甲26)。

そして,申立人らの業務に係る家庭用ゲームのソフトのパッケージや販売サイト,モバイルゲームの販売サイト上やゲームの両面,ゲームのアプリケーションのアイコン,それらのゲームの広告物や,イベントにおける申立人らのブース等には,主に引用商標2と同様の構成態様の標章が使用されている(甲35,甲39,甲40,甲42〜甲46,甲48〜59,甲61,甲62等)。

また,申立人らの業務に係るアーケードゲーム機の筐体に引用商標2又は引用商標3と同様の構成態様の標章が使用されている。(甲79,甲81,甲83)

ウ スポーツ関連事業について

申立人らは,スポーツクラブやスポーツ教室の運営を主とするスポーツ事業を行っており,2019年9月末時点の施設数は,直営施設が181,受託施設も含めると386に上り(甲28),このうち約170の直営施設は,「コナミスポーツクラブ」や「コナミスポーツ」の名称で運営している(甲92)。また,申立人の施設の一部は,ショッピングセンター内(甲92)や駅の近く(甲96,甲98)で運営されている。

そして,申立人らに係るスポーツ事業の売上高及び営業収入は,2017年度は約686億円,2018年度は約660億円,2019年の売上高は約634億円に上る(甲26,甲34の23,甲110〜甲112)。なお,申立人は,フィットネスクラブ売上ランキングにおいて,2019年9月30日時点で首位の位置にあったことを主張しており(甲110),フィットネスクラブ業界の売上高における世界ランキングにおいては,世界5位に位置していたことを主張している(甲113)ものの,いつ時点のどのような情報をもとに,どのような基準によるものであるのか不明であり,裏付けとなる証拠の提出はない。

また,申立人らは,スポーツ事業を通じて様々なスポーツの競技会やイベントを開催しており,これらの競技会においては,その模様がテレビ,新聞や申立人のウェブサイトを含むウェブサイト等で取り上げられている(甲34の66〜甲34の73,甲34の81,甲34の82,甲34の98,甲114〜甲123等)。

そして,申立人らは,申立人らの公式オンラインショップやAmazonのウェブサイトを通じ,フィットネスバイク,ヨガマット,ボディボール等のフィットネス器具や用具,ゴルフ・テニス・水泳等各競技用の用具,スポーツウェアやサポーター,骨盤用のベルト,ジュース・大豆バー・レトルトスープなどの飲食料品やサプリメント等,多岐にわたる商品を販売している(甲124〜甲127)。

そして,申立人らの運営する各施設の建物の外壁や外壁に取り付けられた看板,送迎バスであると主張する自動車の車体や申立人のスポーツ教室で販売されるスクールバック,申立人らの販売する商品の一部等には,主に引用商標3と同様の構成態様の標章が表示されている(甲93,甲108,甲109,甲124,甲126,甲127等)。また,申立人らのウェブサイトにおける申立人らが販売する「エアロバイク」の紹介ページにおいて,引用商標6が表示されている。(甲187の1)

また,申立人らは,オリンピック出場選手を含む数々のトップアスリートを雇用し,その活動を継続的にサポートしており,活躍したトップアスリートが各種メディアに取り上げられた際には,当該トップアスリートの所属名として「コナミ」,「コナミスポーツ」や「コナミスポーツ体操競技部」等の名称が表示されている(甲34の4,甲34の11,甲34の14,甲34の15,甲34の17,甲34の110,甲34の121,甲34の123,甲34の133,甲128〜甲142)。

エ 飲食物に関する事業について

申立人らは,KONAMI SPORTS CLUBオンラインショップやAmazonのウェブサイトを通じて,飲料,大豆バーなどの菓子類,レトルトスープ,プロテインパウダー,サプリメント等を販売している(甲125〜甲127)。

なお,申立人は,「ミネラルウォーターやビタミン飲料,ジュース等の飲料の売上高は2017年が2億3296万円,2018年が2億818万円,2019年が1億6027万円を超える(甲155)」旨を主張しているが,これを裏付ける証拠の提出はない。

さらに,申立人らの「コナミスポーツクラブ」内の売店においてもシリアルバーなどの食品類や飲料を販売しており,これらは,「KONAMI SPORTS CLUB」のロゴを掲げたフロント(受付)付近で販売されていることも少なくないことがうかがえる(甲156)。

そして,申立人らの事業に商品パッケージに,引用商標3と同様の構成態様の標章が使用されている(甲126,甲127)。

オ 小括

以上によれば,申立人らは,モバイルゲーム,家庭用ゲームやカードゲームの製作,配信及びアーケードゲーム(業務用ビデオゲーム機,業務用メダルゲーム機等)の製造,販売を,また,スポーツクラブやスポーツ教室の運営を行っており,さらに,当該スポーツ事業を通じて,ジュース,大豆バー,レトルトスープなどの飲食料品やサプリメント等を販売しており,ゲームやスポーツ愛好家の間において,これら申立人の事業に係る商品及び役務が一定程度知られていたことはうかがえる(以下,申立人の事業に係る商品及び役務を「申立人の業務に係る商品及び役務」という。)。

そして,提出された証拠からは,申立人の業務に係る商品及び役務について,引用商標等を使用して,新聞記事,チラシ,テレビCM,ウェブサイト等幅広い媒体を通じた広告宣伝等を相当数行っており,その広告費は2017年(平成29年)から2019年(平成31年)において,約3億円から約6.5億円に上ることはうかがえるものの,引用商標等を使用した商品及び役務を広告宣伝した時期,期間,回数,地域,提供数等を具体的に示す証拠の提出はない。

また,引用商標等が使用された商品が申立人らによって展示会へ出展され,当該展示会の入場者数は,2017年(平成29年)より2019年(平成31年)において,約25万人ないし約30万人であることはうかがえるものの,申立人らの展示ブースへの来場者数は不明である。

そして,申立人らの事業全体の連結売上高及び営業収益並びに事業ごとの売上高及び営業収入はうかがえるものの,引用商標等が使用された商品又は役務の売上高,営業収入や市場シェア(規模)を確認することはできず,その他に,申立人らの連結売上高及び営業収益等が,引用商標等の周知性を基礎づける程多数,多額であると認めるに足りる証拠は見いだせない。

また,外国における,引用商標等の周知性を証明する証拠は見当たらない。

そうすると,我が国及び外国における引用商標等が使用された商品及び役務の市場シェア(規模),広告宣伝費等の量的規模を客観的な使用事実に基づいて,引用商標等の使用状況を把握することができない。

したがって,「コナミ」の文字が「日本語大辞典」に掲載されているものであることや,申立人が日本ブランドランキング等でランキングされた事実があることを考慮しても,提出された証拠によっては,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,引用商標等が,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,我が国はもとより外国においても需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

(2)本件商標と引用商標等の類否について

ア 本件商標について

本件商標は,中央にコーヒーこし器と思しき図形を表し,その右上に中央を白抜きした黄緑色の楕円形を配し(以下これらをまとめて「図形部分」という。),コーヒーこし器と思しき図形の下に,「こなみ珈琲」の文字と「conami coffee roaster」の文字を2段に横書きしてなるところ(以下これらをまとめて「文字部分」という。),図形部分と文字部分とは,視覚上分離して看取されるものであって,観念的なつながりも認められないから,両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえないものである。

また,本件商標の文字部分についてみると,「こなみ珈琲」の文字と「conami coffee roaster」の文字は,文字の種類,大きさが異なることから,これらも視覚上分離して看取されるものである。

そして,「こなみ珈琲」の文字及び「conami coffee roaster」の文字部分が,自他商品及び役務を識別する機能を果たし得ないとみる事情はない。

そうすると,本件商標は,その文字部分中の「こなみ珈琲」の文字部分又は「conami coffee roaster」の文字部分のそれぞれを要部として抽出し,他人の商標と比較して商標の類否を判断することもできるというべきである。

そして,本件商標の構成中「こなみ珈琲」の文字部分についてみると,構成各文字が同じ書体,同じ大きさで等間隔に表されており,全体として外観上まとまりよく一体的に構成されているものであり,構成文字全体から生じる「コナミコーヒー」の称呼も,格別冗長というべきものでなく,よどみなく一連に称呼し得るものである。

また,「こなみ珈琲」の文字中,「こなみ」の文字部分が,引用商標等の平仮名表記ではあるものの,上記(1)のとおり,引用商標等が我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであることに加え,他に,構成中の「こなみ」の文字のみが取引者,需要者に対し,商品及び役務の出所識別標識として,強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情も見いだせない。

そうすると,本件商標の構成中,「こなみ珈琲」の文字部分は,その構成全体をもって不可分一体の造語を表したものとして取引者,需要者に認識されるというのが相当であるから,その構成文字に相応して,「コナミコーヒー」の称呼のみを生じ,当該文字部分は特定の意味合いを有しない造語と認められるから,特定の観念を生じないものである。

次に,本件商標の構成中「conami coffee roaster」の文字部分についてみると,「conami」と「coffee」の文字及び「coffee」と「roaster」の文字との間にそれぞれ1文字分のスペースがあるとしても,構成各文字が同じ書体,同じ大きさで,外観上まとまりよく一体的に構成されているものであり,構成文字全体から生じる「コナミコーヒーロースター」の称呼も,格別冗長というべきものでなく,よどみなく一連に称呼し得るものである。

また,引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであることに加え,他に構成中の「conami」の文字のみが取引者,需要者に対し,商品及び役務の出所識別標識として,強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情も見いだせない。

そうすると,本件商標の構成中,「conami coffee roaster」の文字部分は,その構成全体をもって不可分一体の造語を表したものとして取引者,需要者に認識されるというのが相当であるから,その構成文字に相応して,「コナミコーヒーロースター」の称呼のみを生じ,当該文字部分は特定の意味合いを有しない造語と認められるから,特定の観念を生じないものである。

したがって,本件商標は,その構成中「こなみ珈琲」の文字部分又は「conami coffee roaster」の文字部分の,それぞれの構成文字に相応して,「コナミコーヒー」又は「コナミコーヒーロースター」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標等について

(ア)引用商標1,引用商標4及び引用商標5は,上記2(1)ア,エ及びオのとおり,「KONAMI」の文字を標準文字で表してなり,引用商標2は,別掲3のとおり,赤色の「KONAMI」の文字からなり,引用商標3は,別掲5のとおり,船を横から見たかのごとき図形を赤色で表し,その中に白抜きで「KONAMI」の文字を横書きしてなるところ,これらの「KONAMI」の文字は,辞書等に掲載のないものであり,特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものである。

したがって,引用商標は「コナミ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

(イ)引用商標6は,上記2(1)カのとおり,「コナミ」の文字からなるところ,当該文字は辞書等に掲載されているとしても多義語であって,その意味を特定できないものであり,また,直ちに特定の意味合いを理解させる語として知られているとも認められないものである。

したがって,引用商標6は「コナミ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標等の類否について

(ア)外観

本件商標の構成中,本件商標の「こなみ珈琲」の文字部分と引用商標等とを比較すると,両者は,その構成文字種が異なることに加え,「珈琲」の文字の有無により,外観上,明らかな差異を有するものである。また,本件商標の「conami coffee roaster」の文字部分と引用商標等を比較しても,両者は語頭の「c」と「K」の差異及び「coffee roaster」の文字の有無又は文字種の相違によって,外観上,判然と区別し得るものである。

(イ)称呼

本件商標からは,上記アのとおり,「コナミコーヒー」又は「コナミコーヒーロースター」の称呼を生じるのに対し,引用商標等からは,上記イのとおり,「コナミ」の称呼のみを生じる。

そして,本件商標から生じる「コナミコーヒー」又は「コナミコーヒーロースター」の称呼と,引用商標等から生じる「コナミ」の称呼とは,音構成及び構成音数において明らかな差異を有するものであるから,それぞれを称呼するときは,明瞭に聴別し得るものである。

(ウ)観念

上記ア及びイのとおり,本件商標,引用商標等からは,特定の観念は生じないものであるから,観念において比較することはできない。

(エ)小括

以上によれば,本件商標と引用商標等とは,観念において比較できないとしても,外観においては,判然と区別し得るものであり,称呼においても,明瞭に聴別し得るものであるから,これらが需要者に与える印象,記憶,連想等を総合してみれば,両商標は,相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

上記(1)のとおり,引用商標等は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであり,上記(2)のとおり,本件商標は,引用商標等と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異のものというべきである。

そうすると,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても,需要者をして引用商標等を連想又は想起させることはなく,その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他,本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性について

上記(1)のとおり,引用商標等は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして,我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであり,上記(2)のとおり,本件商標と引用商標等とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異のものというべきである。

そして,本件商標が,引用商標等の名声などにただ乗りする,引用商標等の出所表示機能を希釈化させるなど不正の目的をもって使用をするものであることを示す証拠の提出はなく,職権で調査するも不正の目的をもって使用するとの事情は見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第7号該当性について

上記(1)のとおり,引用商標等は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであり,上記(2)のとおり,本件商標と引用商標等とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異のものというべきである。

そして,上記(4)のとおり,本件商標が,引用商標等の名声などにただ乗りする,引用商標等の出所表示機能を希釈化させるなど不正の目的をもって使用をするものであることを示す証拠の提出はなく,職権で調査するも不正の目的をもって使用するとの事情は見いだせない。

また,申立人の提出に係る証拠及び同人の主張からは,本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠く等の事実は認められないものであって,本件商標をその指定商品及び指定役務について使用することが,社会の一般道徳観念に反し,商取引の秩序を乱すものともいえず,その他,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であると認めるに足りる具体的事実も見いだせない。

さらに,本件商標は,その構成自体が,非道徳的,きょう激,卑わい,差別的又は他人に不快な印象を与えるようなものではなく,その構成自体がそのようなものではなくとも,それを指定商品及び指定役務に使用することが社会公共の利益に反し社会の一般的道徳観念に反するものともいえない。

そして,本件商標は,他の法律によって,その商標の使用等が禁止されているものではないし,特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反するものでもない。

してみると,本件商標は,その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当するとまではいえないものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第11号該当性について

上記(2)のとおり,本件商標は,引用商標と非類似のものというべきものであるから,その指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(6)商標法第4条第1項第16号該当性について

本件商標は,たとえ,その構成中の「珈琲」及び「coffee」の各文字が「コーヒー,コーヒー豆」の意味を有するとしても,前記(2)アのとおり,本件商標の構成中の「こなみ珈琲」及び「conami coffee roaster」の各文字部分は,それぞれの構成全体をもって不可分一体の造語を表したと認識されるものであるから,本件商標をその指定商品及び指定役務のいずれについて使用しても,商品の品質又は役務の質について誤認を生じさせるおそれはないというべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。

(7)むすび

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第11号,同項第15号,同項第16号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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