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Trademark Appeal Case

料金システム表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−11728(T2019−11728/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第43類「飲食物の提供」を指定役務として,平成30年6月15日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は,「本願商標は,縦軸に金額と目盛りを有する料金を表し,横軸に目盛りを有する品数を表し,3000円の料金の所で右上がりから水平となる折れ線グラフの中に『3000円を超えて飲食した代金は頂きません!』及び『食べて飲んだ分だけお会計!』の文字を表してなるところ,これは,料金と品数の数量を表したと認められる折れ線グラフと『3000円を超えて飲食した代金は頂きません』『食べて飲んだ分だけお会計』等の文字を認識させ,取引者,需要者は,本願商標を指定役務の『飲食物の提供』の特性や宣伝広告を表す際に使用される語句及び図の一種と理解するにとどまり,本願商標をその指定役務に使用しても,自他役務の識別標識としての機能を有するものとはいえないことから,本願商標は需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができない商標と認める。よって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋

当審において,請求人に対し,令和2年4月2日付けで,別掲2ないし別掲4に係る証拠を示した上で,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の審尋を発し,相当の期間を指定して,請求人に回答を求めた。

4 審尋に対する請求人の意見(要旨)

(1)本願商標中の文字の意味から,その指定役務の広告宣伝と需要者に認識させる余地はあっても,本願商標に含まれる折れ線グラフは,看者に対して強い印象を与えるものであり,一種の創作的なデザイン(ウイットに富んだ面白い図形)として認識される。よって,当該折れ線グラフは,「宣伝広告」として需要者に認識させ得るものだが,それだけにとどまらず,自他識別力を有する。

(2)「従量課金上限制」の料金システムは,通信サービス分野で広く採用されているものの,「飲食物の提供」の分野では,一般的でなく,この料金システムは,請求人が他社に先駆けて使用開始し,同業他社がグラフ表示するよりも前から,出願人がその運営する飲食店の店舗を紹介する際に自他役務識別標識として使用しているものである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第6号について

本願商標は,別掲1のとおり,縦軸を料金,横軸を品数としたグラフ上に,料金(縦軸)の3000円の目盛りまで品数(横軸)の目盛りが増えるごとに料金が上がる様子を右肩上がりの斜線で示し,3000円の目盛りから横軸と水平となる赤色の折れ線を表示した折れ線グラフからなる図形において,その右肩上がりの斜線及び横軸と水平な直線上に,オレンジ色で着色した2つの吹き出し形状の図形を配し,それぞれの図形内に「食べて飲んだ分だけお会計!」及び「3000円を超えて飲食した代金は頂きません!」の文字を白抜きで表した構成からなるものである。

ところで,別掲2によると,サービスで用いられる料金システム(課金方式)の一つとして「一定の上限を定め,その額に達するまでは従量制で課金され,上限額を超過する利用分については定額制が適用される課金方式」があり,そのような料金システムは「従量課金上限制(キャップ制)」と指称されている。

そして,実際に,料金システムに「従量課金上限制(キャップ制)」を採用しているサービス分野(例えば,インターネットの接続や携帯電話などの通信サービス)において,当該料金システムをわかりやすく示すために,折れ線グラフが使用されている(別掲3)。

また,本願の指定役務の分野においても,料金システムが「従量課金上限制(キャップ制)」であることをわかりやすく示すために,本願商標の構成中の文字と同趣旨の文字やグラフが,宣伝広告の一種として使用されている事例が見受けられる(別掲4)。

以上からすると,折れ線グラフと「食べて飲んだ分だけお会計!」及び「3000円を超えて飲食した代金は頂きません!」の文字を組み合わせてなる本願商標をその指定役務に使用した場合,これに接する需要者は「3000円に達するまではその品数に応じた代金を支払うが,3000円を超えた利用分については3000円という定額制が適用される」程度の意味合いを容易に認識し,その役務の宣伝広告に一般的に使用される文字やグラフの一種と理解するにとどまり,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというのが相当である。

したがって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標というべきであるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は,「従量課金上限制」の料金システムは,通信サービス分野で広く採用されているものの,「飲食物の提供」の分野では一般的なものではない旨主張している。

しかしながら,「従量課金上限制」の料金システム自体は,実際に本願の指定役務「飲食物の提供」の分野で採用されている事実が見受けられ,また当該分野において,たとえ本願商標と同様の折れ線グラフを使用している事例が少ないとしても,本願商標は,これに接する需要者をして,当該料金システムを単に文字とグラフでわかりやすく表した広告宣伝の一種として理解されるにとどまるというのが相当である。

イ 請求人は,「飲食物の提供」の分野において,この料金システムは,請求人が他社に先駆けて使用開始し,同業他社がグラフ表示するよりも前から,出願人がその運営する飲食店の店舗を紹介する際に自他役務識別標識として使用しているものである旨主張している。

しかしながら,請求人が他社に先駆けて使用を開始していることが,本願商標の識別力の判断に影響を及ぼすものではない。

ウ 請求人は,本願商標は,一種の創作的なデザインとして認識されるものであり,また,過去の登録例からも,本願商標は登録されるべきである旨主張している。

しかしながら,本願商標が,一種の創作的なデザインとして需要者に認識されていることを示す証拠の提出はなく,また,請求人の挙げる登録例は,本願商標とは,構成文字や構成態様が異なるものであって,かつ,具体的事案の判断においては,過去の登録例に拘束されることなく,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから,これらの登録例の存在によって,上記(1)の判断が左右されるものではない。

エ よって,請求人の主張は,いずれも採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,これを登録することはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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