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Trademark Appeal Case

著名人名含む複合商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−15010(T2019−15010/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成からなるものであり,第29類,第30類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成30年4月5日に登録出願され,その後,指定商品及び指定役務については,原審における令和元年5月24日付け手続補正書により,別掲2に記載のとおりの商品及び役務に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,以下の(1)及び(2)のとおり,認定,判断し,本願を拒絶したものである。

(1)商標法第4条第1項第7号について

本願商標は,著名な歴史上の人物である「源義経」の幼名を想起させる「牛若丸」及び「ushiwakamaru」の文字を,その構成中に顕著に表してなるものであるから,そのような商標を一私人である出願人の商標として登録することは,「牛若丸(源義経)」にちなんだ地域興しや観光振興などの公益的な施策等の遂行を阻害するおそれがあり,ひいては社会公共の利益に反するものというべきであり,本願商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本願商標は,以下の2件の登録商標(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)と類似の商標であって,引用商標に係る指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品及び役務について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。なお,引用商標は,いずれも現に有効に存続しているものである。

ア 登録第3032918号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲3のとおり,「牛若丸」の文字を筆文字風に書してなり,平成4年9月22日登録出願,第42類「焼肉の提供」を指定役務として,同7年3月31日に特例商標として設定登録されたものである。

イ 登録第4752928号商標(以下「引用商標2」という。)は,「牛若丸」の文字を標準文字で書してなり,平成14年9月26日登録出願,第29類,第30類及び第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同16年3月5日に設定登録されたものである。その後,平成25年11月26日に,指定商品を第29類「食肉,肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。)」とする商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 当審における審尋

当審において,請求人に対し,令和2年5月11日付けで,本願商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しないとしても,同項第11号に該当する旨の見解を示し,期間を指定して,これに対する回答を求めた。

4 審尋に対する請求人の意見

請求人は,上記3の審尋に対して,所定の期間内に何ら応答するところがない。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第7号該当性について

本願商標の構成中に顕著に表された「牛若丸」の文字が周知,著名な歴史上の人物名を表すものであるとしても,請求人が本願商標を出願し,登録を受けることが,地域振興や観光振興のための施策等に支障を生じさせるとまではいえず,本願商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合には,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するとはいえないと判断するのが相当である。

したがって,本願商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきものではなく,商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本願商標について

本願商標は,別掲1のとおり,上段には,長尺形状の図形を4等分し,当該4等分した四角形の,左から1番目と3番目の四角形の背景色をオレンジ色とし,左からそれぞれの四角形に「牛」,「若」,「丸」の漢字及び「丼と箸を表したと思しきシルエット図形」(以下「図形部分」という。)を配し,当該丼には白抜きで小さく「牛丼」の漢字を表示し,下段には,黒色の背景色に上段の文字より小さな「ushiwakamaru」の欧文字を白色で書した構成よりなるところ,その構成中,大きく書された上段の「牛」,「若」及び「丸」の漢字は,「源義経の幼名」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味するものと広く知られている「牛若丸」を想起させ,下段に表示された「ushiwakamaru」の欧文字は当該「牛若丸」の文字の読みをローマ字で表記したものと認められる。

そして,当該「牛」,「若」及び「丸」の漢字と,右側の四角形に小さく表されている図形部分とは,観念的に密接な関連性を有しているとは考え難く,一連一体となった何らかの称呼が生じるともいえない。

そうすると,本願商標は,その構成中の図形部分と文字部分とは,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められないものであるから,その構成中に顕著に表されて,かつ,「源義経の幼名」として広く知られている「牛」,「若」及び「丸」の漢字及びそれの欧文字表記と認められる「ushiwakamaru」の文字部分を捉えて,取引に資する場合もあるといえ,当該文字部分を要部として引用商標と比較し,商標の類否を判断することも許されるというべきである。

したがって,本願商標からは,その構成中,「牛若丸」及び「ushiwakamaru」の文字部分に相応して,「ウシワカマル」の称呼及び「源義経の幼名」の観念を生じる。

イ 引用商標について

引用商標1は,別掲3のとおり,「牛若丸」の文字を筆文字風に書してなるところ,その構成文字に相応し「ウシワカマル」の称呼を生じる。また,上記アのとおり,「牛若丸」の文字は「源義経の幼名」を意味するものと広く知られているものである。

したがって,引用商標1は,その構成文字である「牛若丸」の文字部分に相応して,「ウシワカマル」の称呼及び「源義経の幼名」の観念を生じるものである。

引用商標2は,「牛若丸」の文字を標準文字で書してなるところ,その構成文字に相応し「ウシワカマル」の称呼を生じる。また,上記アのとおり,「牛若丸」の文字は「源義経の幼名」を意味するものと広く知られているものである。

したがって,引用商標2は,その構成文字である「牛若丸」の文字部分に相応して,「ウシワカマル」の称呼及び「源義経の幼名」の観念を生じるものである。

ウ 本願商標と引用商標の類否について

本願商標と引用商標とは,外観において,それぞれ上記ア及びイのとおりであるから,図形の有無の差異等から,その構成全体においては相違するものの,本願商標の構成中,要部の一と認められる「牛若丸」の文字部分と引用商標を比較すると,両者は,構成文字を共通にするものであるから,外観において類似するというべきである。また,本願商標と引用商標とは,ともに「ウシワカマル」の称呼及び「源義経の幼名」の観念を生ずるものであるから,両商標は称呼及び観念を共通にするものである。

そうすると,本願商標と引用商標とは,全体の外観においては相違するものの,本願商標の要部の一と認められる「牛若丸」の文字部分と,引用商標とは外観において類似するものであり,また,本願商標と引用商標とは,称呼及び観念において同一であるから,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者・需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,本願商標と引用商標とは相紛れるおそれのある類似のものと判断するのが相当である。

エ 商品及び役務の類似について

本願商標の指定役務中の「飲食物の提供」は,引用商標1の指定役務である「焼肉の提供」と,また,本願商標の指定商品中の「牛肉,牛肉製品,加工水産物,肉を主材とする惣菜,魚を主材とする惣菜,魚介類の天ぷら,肉の天ぷら」は,引用商標2の指定商品である「食肉,肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。)」と,それぞれ,同一又は類似の商品及び役務である。

オ 小括

以上のとおり,本願商標は,引用商標に類似する商標であり,かつ,引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品及び役務に使用されるものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するため,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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