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Trademark Appeal Case

原材料の写実的図形の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−13654(T2019−13654/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標について

本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第29類「茶の実から絞った食用油,食用油脂」を指定商品として,平成30年3月29日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由(要点)

原査定は,「本願商標は,深緑地に長楕円の形をした複数枚の緑色の葉と,緑色の外皮に半分が包まれ茶色い種子がみえている扁円形の2個の果実,及び緑色の外皮に包まれた4個の果実が付いた枝からなる写実的図形を配した構成からなるものである。ところで,茶の実は,古来より我が国において広く親しまれている果実であり,その外見は『複数枚の緑色の葉と,外皮に半分が包まれ茶色い種子がみえている扁円形の果実,及び緑色の外皮に包まれた果実』の特徴を有しているものとして知られているところ,本願商標は茶の実及びその葉を表した写実的な図形からなるものと看取されるものとみるのが相当である。そして,『茶の実』は食用油の原材料としても使用されており,さらに,食用油を取り扱う業界においては,その原材料を表すために写実的な図形や写真を商品の説明や包装に用いることが少なくなく,このことは『茶の実を搾った油』についても同様である。そうすると,本願商標を,その指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,『茶の実を原材料とする商品』であること,すなわち,商品の原材料を表示したものとして認識するにとどまり,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は,別掲1のとおりの,深緑地を背景に実や葉をつけた植物を表してなるものである。

ところで,辞書類において「茶」の項目に「葉は長楕円形で厚く表面に光沢があり,10月頃葉腋に白花を開く。果実は扁円形で,開花の翌秋に成熟し,通常3個の種子がある。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版),「よく分枝し,狭卵形で光沢のある濃緑色の葉を互生。葉腋に白色五弁花を少数つけ,平球形の朔果を結ぶ。」(株式会社小学館 大辞林第三版)の記載があることに加え,原審において示した別掲2の例と同様に,別掲3に示す例からすれば,茶は「楕円形の緑色の葉を有し,緑色の外皮に包まれた茶色い種子を有する扁円形の果実。」のような特徴を有しているものと認められる。

以上を踏まえて本願商標をみると,そこに表されている実や葉等の描き方が「楕円形の緑色の葉を有し,緑色の外皮に包まれた茶色い種子を有する扁円形の果実。」といった色彩や形状の特徴を有する茶の実や葉等の写真やそれらを表した図形と酷似していることから,本願商標は「実(茶の実)をつけた茶」を写実的に表した図形からなるものであって,「茶の実」の部分は,深緑地に映える茶色で,かつ,比較的大きく表示されていることからすれば,顕著に表されているというべきである。

そして,本願の指定商品との関係において,原審において示した別掲4の例に加えて,別掲5及び別掲6に示す例からすれば,「茶の実」は,食用油の原材料として使用されており,さらに,食用油を取り扱う業界においては,商品の説明や包装にその原材料を図形や写真を用いて表示することが少なくなく,「茶の実から搾った食用油」についても同様に,商品の包装容器や商品を説明するウェブサイトにおいて,原材料である「茶の実」を図形で表現したり写真を掲載したりして,原材料として表示している取引の実情が認められる。

そうすると,顕著に表された「茶の実」を構成中に有する本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,「茶の実を原材料とする商品」,すなわち,商品の原材料を表示したものとして理解し,認識するにとどまると判断するのが相当である。

したがって,本願商標は,商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は,本願商標は,単に茶の木に生る茶の実や枝,葉をそのままを模して描いた写実的なものではなく,極めて独創性の高いデザイン的な特徴を複数有する図形であると認識される旨主張する。

しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標は,辞書類やウェブサイトにおける「茶」に関する記載を踏まえれば,茶の実や葉等の写真や図形と酷似していることから,「実(茶の実)をつけた茶」を写実的に表した図形からなるものというべきあって,仮に,本願商標が,請求人が主張するようなデザイン的な特徴を有する図形であるとしても,茶の実や葉の特徴と酷似していることに何ら変わりはないうえに,「茶の実をつけた茶」以外の植物を想起させるような事情もないことからすれば,それが上記(1)の判断に影響を及ぼすものではない。

イ 請求人は,通常の茶畑をみたことがある取引者,需要者はいても,その茶畑で茶の実をみたり,そもそも実をつけることを知っている取引者,需要者は少ないのが一般的であることから,本願商標に接する取引者,需要者は,何かの植物の実であることは理解しても,直ちに茶の実やその葉を表した写実的な図形であると認識されるものではなく,商品の原材料を表示したものと認識することは到底あり得ない旨主張する。

しかしながら,上記(1)並びに別掲2及び別掲3のとおり,「茶の実」については,一般の人の目にも触れる機会が多い辞書類や県等のウェブサイト等においても,その特徴が掲載されていることに加え,本願の指定商品を取り扱う業界においても,茶の実について多数紹介されている実情からすれば,本願商標に接する取引者,需要者にあっては,茶の実の特徴を理解しているものと解すべきであり,ひいては,本願の指定商品の原材料を表示したものと認識するとみるのが相当である。

ウ 請求人は,過去の商標の登録例を挙げて,本願商標もそれらと同様に,登録されるべきである旨主張する。

しかしながら,請求人の挙げる登録例は,本願商標とは,構成態様が異なるものであって,かつ,具体的事案の判断においては,過去の登録例に拘束されることなく,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから,これらの事例の存在によって,上記(1)の判断が左右されるものではない。

エ よって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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