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Trademark Appeal Case

品質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−9793(T2019−9793/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標について

本願商標は,「常緑キリンソウ」の文字を標準文字で表してなり,第31類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成30年4月5日に登録出願,その後,本願の指定商品については,原審における同31年1月10日受付及び当審における令和元年7月24日付けの手続補正書をもって,第31類「キリンソウの種子類・草・苗・花・盆栽」と補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由(要点)

原査定は,「本願商標は,『常緑キリンソウ』の文字を標準文字により表してなるところ,その構成中の『常緑』の文字部分は,『植物が1年を通じて緑色の葉をつけていること。』を表す語であり,『キリンソウ』の文字部分は,『ベンケイソウ科の多年草。』の一名称であると容易に理解されることからすると,本願商標全体として『1年を通じて緑色の葉をつけているキリンソウ(常緑のキリンソウ)』程の意味合いが容易に認識されるものである。そして,種苗業界においては,1年を通じて緑色の葉をつけている植物について,『常緑』の語を対象の植物名に冠して使用している例が広く認められ,このことは『キリンソウ』が属する多年草においても同様である。そのため,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者等は,該商品が『1年を通じて緑色の葉をつけているキリンソウ(常緑のキリンソウ)』であると認識するにとどまり,単に,商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当である。また,本願商標はその構成中に『キリンソウ』の文字を含むものであることから,『キリンソウの種子類・草・苗・花・盆栽』以外の『種子類,草,苗,花,盆栽』に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は,「常緑キリンソウ」の文字を標準文字で表してなるところ,構成中の「常緑」の文字は,「植物が1年を通じて緑色の葉をつけていること。」の意味を,「キリンソウ」の文字は,「ベンケイソウ科の多年草。」の意味を有する(いずれも株式会社岩波書店 広辞苑第六版)語である。

そして,原審において示した別掲1と同様に,別掲2に示す例からも,「キリンソウ」を含む常緑性の多年草が取引,販売されていることが認められる。

さらに,原審において示した別掲3の例に加え,別掲4に示す例からも,「常緑」の文字を植物名に冠して,一般に常緑性の植物を「常緑○○(「○○」は植物名)」のように称している実情が認められる。

そうすると,「常緑」の文字を植物(キリンソウ)に冠した構成からなる本願商標に接する取引者,需要者は,「常緑」及び「キリンソウ」(植物)の各文字の意味及び上記の取引の実情から,「常緑性(植物が1年を通じて緑色の葉をつけている)のキリンソウ」の意味合いを容易に理解するというべきである。

してみれば,本願商標を補正後の指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,「常緑性(植物が1年を通じて緑色の葉をつけている)のキリンソウの種子類,草,苗,花及び盆栽」であること,すなわち,商品の品質を表示したものとして理解し,認識するにとどまると判断するのが相当である。

したがって,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は,「常緑のキリンソウ」という概念は従来存在しておらず,「常緑キリンソウ」の名称は,品種改良の結果生まれた新しい品種に対して請求人が付けた独自のものであり,一種の造語である,旨主張する。

しかしながら,上記(1)のとおり,「キリンソウ」を含む常緑性の多年草が取引,販売されていることが認められることに加え,一般に常緑性の植物を「常緑○○(「○○」は植物名)」のように称している実情が認められることからすれば,本願商標に接する取引者,需要者にあっては,本願商標から,単に「常緑性(植物が1年を通じて緑色の葉をつけている)のキリンソウ」であることを理解,認識するものと解すべきであり,ひいては,本願の指定商品の品質を表示したものと認識するとみるのが相当であるから,仮に,「常緑キリンソウ」の語が,請求人が考案した造語であるとしても,そのことは,本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断を左右するものではない。

したがって,請求人の主張は採用できない。

イ 請求人は,「常緑キリンソウ」の語は,少なくとも10年以上という長期にわたり,継続的に請求人の商品名を表す商標として使用されており,取引者間においても広く認識されている,旨主張する。

しかしながら,請求人が,「常緑キリンソウ」の文字を商品梱包用資材,商品カタログ等に,使用していることがうかがわれるとしても,本願商標は,取引者,需要者に商品の品質を表示したものと理解させること,上記(1)のとおりであり,また,請求人の使用によって,「常緑キリンソウ」の文字が,「常緑性(植物が1年を通じて緑色の葉をつけている)のキリンソウ」とは異なる意味合いを理解させるといったような事情も見当たらないことからすれば,本願商標については,上記(1)のとおり判断するのが相当である。

したがって,請求人の主張は採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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