Trademark Appeal Case
「白米糀」の慣用名称性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−15177(T2019−15177/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「白米糀」の文字を横書きしてなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成30年6月1日に登録出願されたものである。
その後、原審における平成31年4月22日付けの手続補正書により、その指定商品は、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含むせっけん類,歯磨き,米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含む化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」と補正された。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「白米糀」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、「白米糀」や「白米こうじ」の文字が「白米を使用したこうじ」ほどの意味合いを表すものとして一般に使用されている実情があるから、「白米を使用したこうじ」ほどの意味合いを生じる。
また、「糀」の文字は、「こうじ」の漢字表記として、化粧品、せっけん類を取り扱う業界において一般に使用されているから、本願商標の表記は特段の印象を与えるものではない。
そして、せっけん類、化粧品を取り扱う業界においては、米こうじを原料とする商品が一般に取引されている実情がある。
そうすると、本願商標を、「米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含むせっけん類,米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含む化粧品」に使用するときは、これに接する需要者、取引者は、「白米を使用したこうじを原料とする商品」ほどの意味合いを容易に理解し、単に商品の品質を表示したものと認識するにとどまる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに照応する商品以外の「米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含むせっけん類,米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含む化粧品」に使用するときは、同法第4条第1項第16号に該当する。
3 職権証拠調べ
本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1及び別掲2に掲げる事例を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき、その結果を請求人に通知し(令和2年5月11日付け証拠調べ通知書)、意見を求めた。
4 請求人による回答
(1)別掲1の事例は、特定の需要者層において、「白米糀」の語が、玄米から作られる糀との区別をつけるために「白米を使用して作られた糀(麹、こうじ)」という意味で使用されている特殊な事例を示しているにすぎず、当該語が一般的、恒常的に使用されているとはいえない。
(2)「白米糀」の文字をインターネット検索すると、請求人の商品が多数検出されるが、化粧品やせっけん等の商品について商品の性能、効能等を示すために用いられている事実は検出されない。
(3)別掲2の事例は、「米糀」又は「米麹」を使用しており、「白米糀」の文字を使用している事例ではない。
5 当審の判断
(1)本願商標について
ア 本願商標は、「白米糀」の文字を横書きしてなるところ、その構成中「白米」の文字は「玄米をついてしらげた米。精米。」(「広辞苑 第7版」岩波書店)の意味を、「糀」の文字(「麹」とも表記される)は「米・麦・豆・ふすま・ぬかなどを蒸して、これに麹菌を繁殖させたもの。酒・醤油・味噌などを製するのに用いる。」(前掲書)の意味を有するものであり、構成文字全体として「白米で作った糀」程度の意味を認識させる。
イ そして、糀の取引においては、別掲1のとおり、「白米糀」(白米麹、白米こうじ)と称する米(又は白米)で作った糀が、多くの事業者により製造、販売されており、例えば「国産有機白米糀」、「井村さんの白米糀」、「自家製 白米糀」、「特別栽培米あやひめ使用・白米糀」、「天然白米麹」、「自然栽培白米麹」、「自然栽培米 乾燥白米麹」、「白米麹(生)」、「白米麹」、「乾燥白米こうじ」(白米のみを使用)、「やさかの有機乾燥白米こうじ」(白米で作った)、「白米こうじ」(国産米100%白米を原材料)などと称する白米糀が流通している。
そうすると、「白米糀」の語は、糀の取引においては、米(白米)で作った糀の一種を指称する普通名称として慣用されている実情があるといえる。
ウ また、本願商標の指定商品(化粧品やせっけん類など)に係る取引においては、別掲2のとおり、「糀」(麹、こうじ)若しくは「米糀」(米麹)又はそれらに由来する成分を原材料とする多数の商品(商品の包装に「米麹」の文字などを原材料表記として顕著に表示する商品も含む。)が製造、販売されており、米糀はそれら商品の原材料として広く採択されている実情がある。
エ 以上を踏まえると、本願商標は、その指定商品について使用されるときは、その需要者をして、「米(又は白米)で作った糀」、即ち商品の原材料を表示したものと認識、理解されるにすぎないというべきである。
したがって、本願商標は、その指定商品について、商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する標章であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張に対し
ア 請求人は、本願商標に相当する「白米糀」の語は請求人による造語であって、近年、玄米から生成される糀との区別を付けるために一部で使用があるとしても、化粧品やせっけん類を取り扱う業界においては、白米と玄米の差異はあまり重要視されておらず、将来的にも原材料表記となる高い確率があるとはいえない旨を主張する。
しかしながら、本願商標に相当する「白米糀」の語は、その指定商品に係る原材料表記としては未だ一般的に採択されているものではないとしても、現時点において、当該語は糀の一種を指称する普通名称として慣用されている実情がある上、その指定商品に係る商品(化粧品やせっけん類等)の原材料として米糀が採択されている実情があることをも踏まえると、将来的に他の事業者により原材料表記として使用される可能性は否定できない。
イ 請求人は、化粧品やせっけん類を取り扱う業界においては「白米糀」なる語が商品説明等において一般的、恒常的に使用されている事実は存在せず、「白米糀」の文字をインターネット検索すると請求人の商品のみが検出されるため、本願商標は自他商品識別力を有する旨を主張する。
しかしながら、「商標法3条1項3号の趣旨は、同号に列挙されている商標は、商品や役務の内容に関わるものであるために、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を有しないことが多く、また、これを特定人に独占させることは適切でないために登録することができないものとされていると解される。したがって、指定商品に係る原材料名が、仮に登録査定時には、現実に使用されておらず、あるいは、一般には知られていない場合であっても、将来原材料名として使用されて、取引者、需要者の間において商品の原材料名であると認識される可能性があり、また、これを特定人に独占させることは適切ではないと判断されるときには、右の原材料名は同号に該当すると解される」(平成12年6月13日、平成11年(行ケ)410号、東京高等裁判所判決)。
そして、上記アのとおり、本願商標に相当する「白米糀」の語は、その指定商品に係る商品(化粧品やせっけん類を含む。)の原材料表記として、将来的に他の事業者により使用される可能性があるもので、また、糀の一種である「白米糀」を原材料とする商品の取引に際しては必要な表示であることを踏まえると、特定人による独占使用を認めることは公益上適切ではない。
(3)まとめ
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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