Trademark Appeal Case
要部抽出と類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2019−900294(T2019−900294/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第6165536号商標(以下「本件商標」という。)は,「VENUS PLACENTA」の欧文字を標準文字により表してなり,平成30年4月4日に登録出願,第3類「プラセンタエキスを含有する化粧品,プラセンタエキスを含有するせっけん類,プラセンタエキスを含有する歯磨き,香料,薫料」を指定商品として,令和元年7月2日登録査定,同月26日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第2606178号商標(以下「引用商標1」という。)は,「VENUS」の欧文字及び「ヴィ−ナス」の片仮名を上下二段に横書きした構成よりなり,平成元年10月4日に登録出願,第4類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同5年12月24日に設定登録され,その後,同16年2月10日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして,その指定商品については,平成16年6月2日に,第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされ,さらに,同25年12月17日に指定商品を第3類とする,区分を減縮する商標権の存続期間の更新登録がなされ,現在有効に存続しているものである。
2 申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するとして引用する商標は,「Venus Placenta」の欧文字からなり(以下「引用商標2」という。),申立人が「プラセンタエキスを含有する美容液」について使用し,本件商標の出願時及び査定時において,美容液の業界において広く知られていたというものである。
3 申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する登録第5528044商標は,「ヴィーナスプラセンタ」の片仮名を標準文字により表してなり,平成24年4月16日に登録出願,第5類「プラセンタを主原料とするサプリメント,プラセンタを主原料とする顆粒状・錠剤状・カプセル状・液状・ペースト状の加工食品」を指定商品として,同年10月12日に設定登録され,現在有効に存続しているものであり,同じく引用する商標は,「Venus Placenta」の欧文字からなり,いずれも申立人が「サプリメント」について使用し,本件商標の出願時及び査定時において,需要者にとって周知・著名であったというものである(以下,これらの片仮名及び欧文字からなる商標をそれぞれ,「引用商標3」,「引用商標4」という。)。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第10号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである旨申し立て,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。
1 具体的理由
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性
ア 本件商標と引用商標1との対比について
本件商標は,「VENUS PLACENTA」の文字を標準文字で表してなるものであるところ,これからは「ビーナス プラセンタ」,「ヴィーナス」又は「ビーナス」,あるいは「プラセンタ」の称呼が生じる。
これに対して,引用商標1からは,「ヴィーナス」又は「ビーナス」との称呼が生じる。
しかしながら,本件商標の指定商品は,「プラセンタエキスを含有する化粧品,プラセンタエキスを含有するせっけん類,プラセンタエキスを含有する歯磨き」であり,「プラセンタエキスを含有する商品」を意味するものと解される。
してみれば,本件商標中の「プラセンタ」の文字は,商品の普通名称を表示するにすぎず,「プラセンタエキスを含有する化粧品」,「プラセンタエキスを含有するせっけん類」や「プラセンタエキスを含有する歯磨き」といった商品に使用した場合,商品の品質や原材料表示を表すにすぎないものであるから,自他商品の識別標識として機能し得ないものである。
一方で,本件商標の「VENUS」の文字部分については,「金星,ローマ神話のビーナス(愛と美の女神)」(ジーニアス英和辞典第5版)という意味を有し,「VENUS」の文字は,「PLACENTA」の文字よりも自他商品の識別力が高く,需要者に対して強く支配的な印象を与える。ゆえに,本件商標の要部は,「VENUS」の文字部分である。
また,本件商標では,「VENUS」の文字と「PLACENTA」の文字との間にスペースが入っていることから,需要者は「VENUS」の文字と「PLACENTA」の文字を分離して看取すると考えられることから,「VENUS」の文字と「PLACENTA」の文字を分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているともいえないものである。
してみると,本件商標の要部「VENUS」の文字と引用商標1とは,外観,称呼及び観念を共通にする。
したがって,両者は,類似する。
イ 商品の同一
本件商標に係る指定商品は,商品及び役務の区分の第3類「プラセンタエキスを含有する化粧品,プラセンタエキスを含有するせっけん類,プラセンタエキスを含有する歯磨き」であり,前記第2の1に記載した引用商標1に係る指定商品と同一又は類似するものである。
ウ 以上により,本件商標は,引用商標1と類似であって,その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号の該当性
ア 甲第3号証ないし甲第11号証に示される「Venus Placenta」という商標(引用商標2)が付されたプラセンタエキスを含有する美容液が,2017年から相当程度販売されている。甲第10号証に示されるように,ヴィーナスプラセンタ原液という美容液は2017年9月19日の段階で楽天市場の美容液部門1位となった。甲第11号証の販売実績に示されるように,「Venus Placenta」という商標が付されたプラセンタエキスを含有する美容液が,2017年ないし2018年だけで約10万本販売されている。
このことからも本件商標の出願時及び査定時において,「Venus Placenta」という美容液が,美容液の業界において広く知られていたことがわかる。
なお,甲第11号証の販売実績において,緑色のマーカーが付された箇所のものが「Venus Placenta」という美容液の販売実績である。
イ 本件商標の「VENUS PLACENTA」と「Venus Placenta」という商標(引用商標2)とでは,アルファベットの大文字と小文字の違いがあるだけである。
してみると,本件商標の「VENUS PLACENTA」の文字と上記プラセンタエキスを含有する美容液に付された商標とは,外観,称呼及び観念を共通にする。
そして,プラセンタエキスを含有する美容液は,プラセンタエキスを含有する化粧品である。
以上より,本件商標は,その出願時及び査定時において,美容液の業界において広く知られていた「Venus Placenta」という甲第3号証ないし甲第11号証に示される商標(引用商標2)と類似であって,その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
したがって,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性
ア 甲第12号証に示すように,「ヴィーナスプラセンタ」という商標(引用商標3)が第5類の「プラセンタを主原料とするサプリメント,プラセンタを主原料とする願粒状・錠剤状・カプセル状・液状・ペースト状の加工食品」を指定商品として登録されている(登録第5528044号)。
本件商標「VENUS PLACENTA」の称呼は「ヴィーナスプラセンタ」であり,称呼が同一である。
イ そして,甲第5号証,甲第6号証,甲第8号証,甲第10号証及び甲第12号証ないし甲第21号証には,「Venus Placenta」や「Venus Placenta EX」という商標を付したサプリメントについての記事が掲載されている。甲第10号証に記載されるように,ヴィーナスプラセンタEXというサプリメントは2014年ないし2018年までモンドセレクションの金賞を5年連続で受賞している。さらに,ヴィーナスプラセンタEXというサプリメントは楽天市場においてサプリメント部門1位など数々の1位を獲得している。
これら「Venus Placenta」の文字を商標として付したサプリメントの販売実績は甲第11号証に記載されている。甲第11号証の販売実績において,ピンク色のマーカーが付された箇所のものが「Venus Placenta」というサプリメントの販売実績である。「Venus Placenta」というサプリメント及び「Venus Placenta」という美容液を含む「ヴィーナスプラセンタシリーズ」は,2018年3月末までに累計90万本,2018年11月末までに累計100万本販売されている。
したがって,「Venus Placenta」という商標(引用商標4)が付されたサプリメントは,本件商標の登録出願時及びそして登録査定時において,需要者にとって周知・著名であった。
「Venus Placenta」の称呼は「ヴィーナスプラセンタ」であり,本件商標「VENUS PLACENTA」の称呼は「ヴィーナスプラセンタ」であり,称呼が同一である。
ウ また,甲第5号証,甲第6号証,甲第8号証からわかるように,需要者にとっては,美容のために「Venus Placenta」というサプリメントを飲んだり「Venus Placenta」という美容液を塗ったりしており,美容のための一貫性のある行為として受け止められている。このため,化粧品を含めて,美しさを求める人々の間では「ヴィーナスプラセンタシリーズ」として相当程度周知・著名である。
ゆえに,本件商標をその指定商品中,「化粧品」などに使用するとき,「ヴィーナスプラセンタシリーズ」の商品又は役務と取引者,一般需要者において混同を生じるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 本件商標の取消理由
当審において,本件商標権者に対し,「本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和2年3月17日付けで通知した。
第5 商標権者の意見
本件商標権者は,上記第4の取消理由に対して,指定した期間内に意見を述べなかった。
第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)商標の類否
ア 本件商標
本件商標は,上記1のとおり「VENUS PLACENTA」の文字からなるところ,それぞれの語の間に1文字分のスペースが設けられていることから,「VENUS」と「PLACENTA」との2つの単語からなるものであると容易に認識し得るものである。
そして,本件商標の構成中,後半部分の「PLACENTA」の文字は,本件商標の指定商品中,「プラセンタエキスを含有する化粧品,プラセンタエキスを含有するせっけん類,プラセンタエキスを含有する歯磨き」との関係において,本件商標の登録査定の日(令和元年7月2日)前から「胎盤」の意味を有する語(甲10,甲15)であり,また,商品「化粧品」等の原材料名を表すものとして一般に使用されている「プラセンタ」の英語表記と認められるものである(甲10,甲15,職権調査:別掲)。
そうすると,本件商標の構成中の「PLACENTA」の文字は,上記事実より,取引者,需要者に商品の原材料,品質を表示したものと理解,認識されるものといえるから,自他商品の識別機能を有しないか,又は極めて弱いものとみるのが相当である。
したがって,本件商標は,その構成中,前半の「VENUS」の文字が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから,当該文字のみを抽出し,他人の商標と比較して商標としての類否を判断することが許されるというべきである。
そして,本件商標の構成中「VENUS」の文字は,「ローマ神話のビーナス。金星」の意味を有する語であり,「ビーナス」の称呼を生じるものである。
したがって,本件商標は,その全体から「ビーナスプラセンタ」の称呼が生じるほか,要部である「VENUS」の文字部分から「ビーナス」の称呼及び「ローマ神話のビーナス。金星。」の観念を生じるものである。
イ 引用商標1
引用商標1は,上記2のとおり,「VENUS」の文字及び「ヴィーナス」の片仮名を上下二段に横書きした構成からなるところ,その構成文字に相応して,「ビーナス」の称呼及び「ローマ神話のビーナス。金星。」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標1との類否
本件商標の要部である「VENUS」の文字部分と引用商標1の類否について検討すると,外観においては,書体において若干の差異があるものの,「VENUS」の文字のつづりを同一にすることから近似した印象を与え,称呼及び観念については,共に「ビーナス」の称呼及び「ローマ神話のビーナス。金星。」の観念を生じるものであるから,両者は,称呼及び観念を同一にするものである。
そうすると,本件商標の要部と引用商標1とは,外観において近似した印象を与え,称呼及び観念を同一にすることから,互いに紛らわしい類似の商標といわざるを得ない。
したがって,本件商標と引用商標1とは,類似の商標である。
(2)本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品との類否
本件商標の登録異議申立てに係る指定商品中,第3類「プラセンタエキスを含有する化粧品,プラセンタエキスを含有するせっけん類,プラセンタエキスを含有する歯磨き」(以下「取消対象商品」という。)は,引用商標1の指定商品中,第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」と同一又は類似の商品である。
(3)小括
上記(1)のとおり,本件商標は引用商標1と類似する商標であって,上記(2)のとおり,本件商標の登録異議の申立てに係る指定商品中の取消対象商品は,引用商標1の指定商品と同一又は類似の商品である。
そうすると,本件商標は,かかる取消対象商品について,本件商標の登録査定時において商標法第4条第1項第11号に該当する。
したがって,本件商標の登録は,第3類「プラセンタエキスを含有する化粧品,プラセンタエキスを含有するせっけん類,プラセンタエキスを含有する歯磨き」(取消対象商品)について,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。
2 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,その指定商品中,第3類「プラセンタエキスを含有する化粧品,プラセンタエキスを含有するせっけん類,プラセンタエキスを含有する歯磨き」について,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから,商標法第43条の3第2項の規定によって,取り消すべきものとする。
よって,結論のとおり決定する。
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